次頁 ａ 多様な防火対象物における総合防火安全評価基準に関する調査研究
６ 火災対策
（1）火災に関する一般的研究
消防庁においては，防火対象物の大規模化，複雑化，利用形態の高度化・多様化が進むとともに，新技術・新素材等の円滑な導入や弾力的運用による性能的・経済的メリットの高いシステムが開発されており，技術基準の性能規定化が消防の分野においても求められている状況にかんがみ，防火対象物の火災危険性に応じた防火安全対策を講じることを目的として，総合的な防火安全性能について種々多様な状況に応じて適切に評価を行うための検証法・基準に関する調査研究，実証実験等を実施する。
平成16年度予算額 平成15年度予算額 差引増△減 （百万円） 119 0 119
ｂ 燃料電池実用化に対応した防火安全対策のあり方に関する調査研究
消防庁においては，燃料電池の実用化・普及に備え，[1]燃料電池自動車について，火災性状の把握，燃料電池自動車の火災を想定した駐車場の消火実験等を踏まえ，燃料電池自動車用駐車場に係る消火設備のあり方等について検討を行う。[2]家庭用燃料電池構造，機能，特性等から考えられる火災危険要因を踏まえ，安全確保に必要な技術基準等を検討し，その整備を図る。
平成16年度予算額 平成15年度予算額 差引増△減 （百万円） 20 0 20
ｃ 消防防災科学技術研究推進制度（競争的研究資金制度）の促進
消防庁においては，消防防災科学技術の振興を図るため，消防防災技術に係わる競争的資金制度を創設し，産学官の連携，地方公共団体における研究等，総合的に消防防災科学技術に係る研究を積極的に促進する。
平成16年度予算額 平成15年度予算額 差引増△減 （百万円） 300 199 101
ｄ 地下施設，大規模複合建築物等における避難誘導効果評価法に関する研究
独立行政法人消防研究所においては，地下施設，大規模複合用途建築物で火災等非常事態が発生した場合，最終避難口に至る経路選択の困難性及び多人数の合流による動線の混乱等が懸念されることから，新たに開発した人工現実感（VR）災害体験装置を用い，煙・光環境等様々な環境下における誘導灯等の避難誘導設備の効果を，避難者の視点から評価可能な手法の検討を行うとともに，効果的な避難誘導設備について技術的な提言を行う。ｅ 新反応性物質等の危険性を把握するための研究
独立行政法人消防研究所においては，科学技術の発達及び社会環境の変化により，その用途及び科学的性質が特殊な化学物質等で，高エネルギーを内在するものが使用される状況にかんがみ，これらの物質に適切な危険性評価方法を確立するとともに，安全な貯蔵，取扱い及び輸送の基準作成に資する。
ｆ 災害時要援護者の火災時避難安全のための警報・通報手法の開発
独立行政法人消防研究所においては，高齢者や聴覚障害により警報音の聞取りが困難な人に対しても有効な警報伝達手法の開発及び病気・身体不自由などにより自力避難が困難な人を救助するための通報システムの開発研究を実施する。
ｇ 消防用防護服の総合的な評価手法に関する研究
独立行政法人消防研究所においては，消防用防護服の耐熱性能に加えて快適性，機能性などに関する研究を実施し，それらの性能に関する我が国基準の提案と日本の気候風土に適した消防隊員用防護服の総合評価手法の開発を行う。
ｈ 廃棄物及びその処理施設の火災安全技術に関する研究
独立行政法人消防研究所においては，屋外に大量に放置された廃棄物からの火災及び廃棄物処理施設における火災の出火防止策の開発研究及び火災時の消火技術の開発研究を行う。
（2）特殊な火災外力が想定される空間における火災性状の解明と安全性評価手法の開発
独立行政法人建築研究所においては，地下駐車場，地下空間及び縦穴・水平等のトンネル状空間等における，火災性状を明らかにするとともに，市街地火災への拡大を防止するための研究開発を行う。
（3）火災風洞実験とCFD解析を用いた市街地火災時の火の粉による延焼機構の解明
独立行政法人建築研究所においては，市街地火災の延焼シミュレーションモデルを従来の経験的手法に変わり，実験的・工学的手法を駆使して延焼モデルを構築するための研究開発を行う。
（4）森林火災に関する一般研究
独立行政法人森林総合研究所においては，林野火災対策として，植物の葉の含水率の季節変化に関する研究，里山の林床可燃物の制御手段の開発を推進する。