4−2 阪神・淡路大震災に対してとった措置



4−2 阪神・淡路大震災に対してとった措置

(1)阪神・淡路大震災復興基金に係る地方財政措置
 兵庫県及び神戸市においては,阪神・淡路大震災からの早期復興のための各般の行政施策を補完し,被災者の救済及び自立支援,並びに被災地域の総合的な復興対策を長期・安定的,機動的に進めることを目的とした,(財)阪神・淡路大震災復興基金を平成7年4月1日に設立した。設立当初の同基金の規模は6,000億円で,そのうち出資金200億円,長期借入金5,800億円を兵庫県と神戸市がいずれも2対1で負担している。
 総務省としては,被害の甚大性等にかんがみ,同基金を支援することとし平成7年度において,県市の出資金及び長期借入金の原資に対して地方債を許可するとともに,長期借入金に係る地方債のうち,5,000億円から生じる利子について普通交付税措置(算入率95%)することとした。また,平成8年度においては,生活再建支援事業を行うために積み増しした基金3,000億円に対して地方債を許可するとともに,そのうち2,000億円から生じる利子について普通交付税措置(算入率95%)を講じることとした。
 さらに,生活再建支援事業の拡充のため,平成8年度に積み増しした基金3,000億円の設置期間を4年間延長(平成17年度まで)し,そのうち1,500億円から生じる利子について普通交付税措置(算入率95%)を講じることとした。
 なお,平成13年度においては,引き続き,長期借入金に係る地方債のうち7,000億円から生じる利子について普通交付税措置を講じている。
(2)災害公営住宅等の家賃の低減
 低所得者の被災者の居住の安定等を図るため,災害公営住宅等の家賃(40m2で3万円程度)について,地元地方公共団体が特別に減額する場合の特別措置として,入居後10年間(激変緩和としての5年間の経過措置を含む。),その減額分の一定割合を国が補助するとともに,地方負担について,特別交付税措置を講じるなどの支援を行った。これにより,例えば神戸市の公営住宅の場合,夫婦世帯で年収100万円程度以下の層では家賃6千円程度まで引き下げられることとなった。
(3)震災復興事業に係る特別の地方財政措置
 総務省においては,被災市街地復興特別措置法に基づく「被災市街地復興推進地域」において被災地方公共団体が実施する土地区画整理事業,市街地再開発事業等に係る地方債の元利償還金について,引き続き地方交付税措置を講じた。
(4)要保護及び準要保護児童・生徒に対する援助
 文部科学省においては,災害に伴い経済的な理由で就学困難となった小・中学校の要保護及び準要保護児童・生徒に援助を行った市町村等に対し,援助を行った。
(事業費 3,805千円  国費 1,890千円)
(5)地震防災フロンティア研究の推進
 独立行政法人防災科学技術研究所においては,兵庫県の協力のもと,兵庫県三木市において,多分野の研究者等の連携により,都市部を中心とする地震災害の軽減に関する先導的な研究の推進を図った。
(6)災害弔慰金の国庫負担
 厚生労働省においては,災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき,本災害により死亡した者の遺族に対し支給した災害弔慰金に要した費用の一部について負担した。
(事業費 5,000千円  国費 2,500千円)
(7)年金住宅融資の特別措置
 厚生労働省においては,年金資金運用基金が行う被保険者住宅融資における特別措置として,引き続き,阪神・淡路大震災災害復興貸付を実施し,被災した被保険者に対して災害復興に係る住宅融資の金利の軽減を行った。
〔融資実行額 128,000千円〕
(8)産業復興支援
 経済産業省においては,阪神・淡路大震災の被災地域における経済復興に資する産業支援体制を整備するため,(財)阪神・淡路産業復興推進機構が行う企業誘致,地場産業支援,新事業創造等の事業に対して事業費の一部補助を行った。さらに,復興特定事業の一つである神戸医療都市構想推進のため,「バイオメディカル・アクセレレータ」の整備に対し,地域振興整備公団を通じて出資を行った。
(事業費 2,062,816千円  国費 1,931,408千円)
(9)中小企業対策
 中小企業庁においては,被災中小企業者への支援として,次の措置を講じた。
 a 資金調達の円滑化
 政府系中小企業金融三機関(中小企業金融公庫,国民生活金融公庫,商工組合中央金庫)による「災害復旧貸付」の適用を延長し,中小企業の資金供給の円滑化を図った。
 b その他の措置
 官公需確保への配慮,中小企業者からの相談への対応等をした。
(10)大阪湾ベイエリアの整備の促進等
 国土交通省においては,大阪湾臨海地域開発整備法に基づく中核的施設の整備の推進による被災地域の復興を図るため,平成14年度までに整備計画の同意を得たものに対し,日本政策投資銀行のNTT株売却収入の活用による無利子貸付等について融資比率の改善(神戸市,尼崎市,西宮市,芦屋市,伊丹市及び宝塚市において現行25%または37.5%を50%に引き上げ)を行った。
(11)被災者向け住宅確保対策
 国土交通省においては,次の措置を講じた。
a 公的な住宅の供給
 被災者の居住の安定等を図るため,災害公営住宅の整備等に対し補助を行った。
 また,住宅建設と道路,公園等の整備を一体的・総合的に行う住宅市街地整備総合支援事業,密集住宅市街地において老朽住宅の除却や建替え,公共施設の整備等を総合的に行う密集住宅市街地整備促進事業を実施するとともに,平成13年度補正予算において,これらの事業に追加的に財政支援措置を行った。さらに,不良住宅が密集し保安,衛生等に関し危険または有害な状況にある地区の環境の整備改善を図る住宅地区改良事業を実施した。
b 個人の自力による住宅の再建,取得,補修の支援
 通常融資と較べて低利の住宅金融公庫の災害復興住宅融資等により,個人の自力による住宅の再建,取得,補修を支援した。
c ニュータウン開発及び関連する公共施設の整備
 住宅供給のために必要なニュータウン開発及び関連する公共施設の整備事業を実施した。
(12)被災地域の再生等のための面的整備事業の推進
 国土交通省においては,被災市街地復興促進地域等の再生,被災者のための住宅供給及び新都市核の整備に関連する土地区画整理事業,市街地再開発事業等を実施した。
(13)河川の復旧
 国土交通省においては,被災した河川等の公共土木施設の復旧とあわせて,必要な箇所については改良復旧事業を実施した。
(14)幹線道路の整備
 国土交通省においては,次の措置を講じた。
a 格子型幹線道路ネットワークを構成する高規格幹線道路等
 阪神地域の交通の円滑化,緊急時における交通の高速化,代替性を確保するために,格子型幹線道路ネットワークを構成する高規格幹線道路等の整備を実施した。
b 格子型幹線道路ネットワークを補完する一般道路
 緊急輸送路や広域迂回路の一部を形成する幹線道路等及び避難路や災害危険市街地における緊急活動を支援する路線等,格子型幹線道路ネットワークを補完する一般道路の整備を実施した。
(15)防災性向上のための根幹的な公共施設の整備
 国土交通省においては,次の措置を講じた。
a 避難地・防災活動拠点となる都市公園等の整備
 大震災発生時に,復旧・復興本部や生活物資等の中継基地として機能する広域避難地や一時避難となる防災公園,地域住民の集結場所,消防救護活動の拠点として機能する防災公園の整備等を実施した。
b 土砂災害対策の推進
 二次災害の防止や迅速な警戒避難体制の確立等に資する土砂災害対策の推進,六甲山麓部において土砂災害に対する安全性を高め緑豊かな都市環境と景観の保全,創出に資するグリーンベルトの整備について推進・支援した。
c 公共施設の耐震性の向上
 高速自動車国道,阪神高速道路,一般国道等のうち緊急度の高い橋梁についての耐震補強,新耐震基準に基づく下水道施設の整備,改良,ゼロメートル地帯等の海岸堤防等の補強を実施した。
(16)災害に強いライフライン共同収容施設の整備
 国土交通省においては,災害時におけるライフライン確保に資する共同溝及び電線共同溝の整備を実施した。
(17)緊急時の消火・生活用水等の確保対策
 国土交通省においては,下水処理水の活用のための高度処理施設等の整備を実施した。また,生活用水の安定的な供給や緊急時における消火用水等の供給が早期に可能となるダムの整備を実施・支援した。
(18)情報通信基盤の整備
 国土交通省においては,災害時の迅速かつ的確な災害情報等の収集,伝達,道路・河川利用者等への情報提供に資する道路・河川情報通信基盤の整備を実施した。
(19)鉄道の整備
 国土交通省においては,鉄道駅の利便性及び安全性の向上を図るため最寄駅(阪神電気鉄道岩屋駅,春日野道駅)の総合的な改善事業について費用の一部を補助した。
(20)神戸港の復興に対する措置
 国土交通省においては被災地の復旧・復興の支援拠点として,臨海部において防災拠点の整備を推進した。
(事業費 286,500千円  国費 143,250千円)


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