3−2 宮城県沖を震源とする地震



3−2 宮城県沖を震源とする地震

(1)災害の状況
 平成15年5月26日18時24分頃,宮城県沖の深さ約72kmでM7.1の地震が発生し,岩手県大船渡市,江刺市,衣川村,平泉町,室根村及び宮城県石巻市,涌谷町,栗駒町,高清水町,金成町,桃生町で震度6弱を観測したほか,青森県,岩手県,宮城県,秋田県,山形県の一部で震度5強,東北地方を中心に,北海道から近畿地方にかけて震度1以上を記録した。この地震は,陸側のプレートの下に沈み込んでいる太平洋プレート内部で発生したものと推定され,地震発生の切迫性が高いと言われている,いわゆる「宮城県沖地震」とは,発生場所,深さ,地震発生のメカニズムが異なるものと考えられる。
 この地震により,東北各県に被害が発生し,負傷者174名,住家全壊2棟,住家半壊21棟,住家一部破損2,404棟となった。
 ライフライン関係においては,東北電力管内で延べ35,496戸,東京電力管内で延べ341戸が停電となったほか,ガスについては秋田県象潟町で延べ2,931戸,その他岩手県内で延べ169戸が供給停止,上水道については,岩手県内で延べ2,703戸,宮城県内で延べ2,089戸が断水した。
 電気通信関係では,岩手県内の約450世帯の電話が不通となった。
 道路については,東北自動車道をはじめとする高速自動車国道,国道,県道等で点検のため一時通行止めとなったほか,国道,県道で土砂崩落等により各地で通行止め等となった。
 鉄道関係では,東北新幹線で軌道狂い,橋脚破損が発生し運休となったのをはじめ,東北地方及び関東地方のJR等各線で点検のための運休が発生した。
 土砂災害については,地すべり,がけ崩れが宮城県及び岩手県で計8か所発生した。
 公共土木施設では,河川31か所,海岸6か所,砂防施設等3か所,道路(橋梁を含む)143か所,港湾15か所,下水道3か所,公園8か所で被害が発生した。
 農林水産業関係では,農地208か所,農業用施設424か所,治山施設9か所,林地21か所,林道等525か所,漁港等87か所に被害が発生した。
 文教施設では,国立学校施設10校,公立学校施設759校,私立学校施設109校,社会教育・体育施設297施設,文化財等42件で被害が発生した。
(2)国等の対応状況
 地震発生後直ちに,各省庁の防災担当者が官邸危機管理センターに参集し,警察,消防,海上保安庁,国土交通省等のヘリコプターからの映像や消防の固定カメラの映像を含めて,迅速な情報収集を行うとともに,内閣府の地震防災情報システム(DIS)を稼動させて,建物被害や人的被害などを推計し,概括的な被害規模の把握に努めた。また,官邸危機管理センターに参集した関係省庁の局長級職員などによる緊急参集チームにより,収集された情報を集約・確認することにより,政府として被害の実態把握と対応方針の決定を早期に行った。(なお今回の地震は,平成14年度に新官邸が整備されてから,最初の自然災害対応での危機管理センターの本格的な使用となった。)
 また,5月26日22時30分より,内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を開催し,被害情報や各省庁の対応状況について情報の共有を図った。さらに,5月28日に,内閣府及び消防庁担当官を被害状況の調査のため現地へ派遣した。
 内閣府は,5月26日18時30分,情報対策室を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,官邸,関係省庁との情報連絡や災害対応の調整を行った。
 警察庁は,5月26日18時25分,災害警備本部を設置し,東北管区警察局機動警察通信隊等による通信手段の確保を図る一方,関係県警察ではヘリコプター等による情報収集,被災者の避難誘導,交通規制等の災害警備活動を実施した。
 防衛庁は,5月26日18時30分,災害対策室を設置し,宮城県庁等へ連絡要員を派遣したほか,人員約980名,車両30両,航空機23機により航空・地上偵察を実施した。
 消防庁は,5月26日18時24分,災害対策本部を設置し,関係機関との連絡調整に当たるとともに,消防防災ヘリコプター等により被害情報収集を行った。
 海上保安庁は,5月26日18時30分,災害対策本部を設置し,巡視船艇及び航空機による被害状況調査を実施した。
 総務省は,5月26日19時5分,災害対策本部を設置した。
 文部科学省は,5月26日18時31分,災害情報連絡室を設置,同日23時20分,災害応急対策本部を設置した。また,5月27日に地震調査研究推進本部の地震調査委員会臨時会を開催し,この地震についての分析・評価を行った。
 農林水産省は,5月26日21時,省内関係局庁連絡会議を設置した。
 中小企業庁は,5月27日,政府系中小企業金融三機関,信用保証協会,商工会議所,商工会連合会及び東北経済産業局に対して災害に係る特別相談窓口設置を指示するとともに,政府系中小企業金融三機関に対して災害復旧貸付の要請を行った。
 国土交通省は,5月26日18時24分,非常体制をとり,ヘリコプター等による情報収集活動を行った。また,国土技術政策総合研究所等より地震防災,土砂災害,道路,港湾等各分野に係る専門家等を派遣し,現地調査を実施した。
 気象庁は,5月26日18時24分非常体制をとり,地震情報等の発表に万全を期し,防災関係機関や住民に対して適宜適切に情報を提供した。5月27日には気象庁から現地調査に職員を派遣し,被害調査等を実施した。また,5月28日に土砂崩れ等の二次災害防止の観点から当分の間,宮城県及び岩手県における大雨注意報・警報の暫定基準による運用を開始した。


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