2−2 防災施設設備の整備



2−2 防災施設設備の整備

(1)広域防災基地の整備
 内閣府においては,南関東地域に広域的な災害が発生した場合の災害応急対策活動の拠点となる立川広域防災基地について,整備を行う。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)       64         64      0 

(2)地域防災拠点施設の整備
 内閣府においては,地震等の災害から国民の生命,身体及び財産を保護するため,平常時は防災教育の普及啓発,災害時には関係機関の連携による効果的な応急対策拠点として機能を発揮する,地域における中核的な防災拠点施設の整備を全国的に促進するため,先進的なモデルとなるような施設について,地域防災拠点施設整備モデル事業により事業費補助を行う。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)       561         623    △ 62 

(3)地震防災情報システム(DIS)の整備
 内閣府においては,地震発生直後に迅速かつ的確な初動対応等を可能とするために整備している地震防災情報システム(DIS)について,交通,通信網の途絶等により被災状況の把握が極めて困難な大規模災害発生直後の実情報の収集及び被害の全体把握を可能とする,人工衛星等を活用した被害早期把握システム開発を行う。また,これまで整備してきた各種機能について,利便性の更なる向上等充実・強化を行う。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)       681         599      82 

(4)公共施設等耐震化事業の推進
 総務省及び消防庁においては,地震等の大規模災害発生時の被害を軽減し,住民の安全を確保できるよう,公共施設等耐震化事業として地方債及び普通交付税措置を講ずることにより,地方公共団体が行う防災対策拠点となる公共施設や地域防災計画上の避難所とされている公共施設等の耐震化を推進することとする。

(5)大震火災対策施設等の整備
 消防庁においては,大規模地震の発生時に予想される火災等に対処するため,次の施設等の整備充実を図る。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)      2,640        3,222    △ 582 

a 耐震性貯水槽の整備
 初期消火体制の整備,避難地の安全確保及び避難者の飲料水の確保等を図るため,耐震性貯水槽の整備について,地方公共団体に対し補助を行う。
b 特殊車両の整備
 避難誘導体制の整備,地域住民に対する防災知識の普及啓発等を図るため,大震火災対策用特殊車両(電源車,給水車,起震車及び震災工作車)の整備について,地方公共団体に対して補助を行う。
c 備蓄倉庫の整備
 応急救護体制の整備を図るため,被災者に供給する生活必需品,医薬品及び防災用資機材等を収納する備蓄倉庫の整備について,地方公共団体に対し補助を行う。
d 震災初動対応資機材の整備
 自主防災組織の震災時の初期消火対応及び救護活動に必要な資機材の整備について,地方公共団体に対し補助を行う。

(6)国立学校施設の整備
 文部科学省においては,地震による建物への被害等を防止し,学生等の安全性を確保するため,校舎等の耐震補強整備を行い,防災機能の強化を図る。

(7)公立学校施設等の整備
 文部科学省においては,児童生徒の安全の確保を図るとともに地域住民等の応急避難所としての役割を果たすため,防災機能の強化の観点から,次の公立学校施設等の整備を行う。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)     64,060       59,565     4,495 

a 校舎等の安全性の向上を図り必要な耐震性能を確保するため,校舎等の地震改築や耐震補強の推進を図る。
b 防災機能の強化のために,備蓄倉庫等,防災広場及び浄水型プール等の整備並びに学校給食施設の防災機能の整備等を図る。

(8)私立学校施設の整備
 文部科学省においては,大規模災害時における児童・生徒及び学生の安全確保を図る観点から,私立学校の施設について,防災機能の強化のための施設整備事業に対し補助を行う。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)      1,490        1,490      0 

(9)社会体育施設の整備
 文部科学省においては,防災対策の観点から,水泳プールに貯められた水を活用し,災害時における飲料水及び生活用水を確保するため,浄水機能を有する水泳プールの整備促進を図る。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)       243         249    △ 6 

(10)医療施設耐震化施設整備事業
 厚生労働省においては,地震防災対策特別措置法第2条に基づき,都道府県知事が作成した五箇年計画に定められた,地震防災上緊急に整備すべき医療機関に対し補助を行う。

(11)ライフライン機能強化事業
 厚生労働省においては,地震災害の再発防止として,災害復旧した管から直近の制水弁までの管について,耐震化の更新が必要な場合の,その事業に補助を行う。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)       927         927      0 

(12)緊急時給水拠点確保等事業
 厚生労働省においては,地震の被害が予想される地域において,配水管等管路を利用した貯留施設及び緊急遮断弁の整備推進を図る。また,貯水池容量の増大及び連絡管整備を引き続き促進する。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)      1,447        1,447      0 

(13)国立病院等の施設整備
 厚生労働省においては,国立病院・療養所について,建物の倒壊を防止するための耐震強化等の整備を行う。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)       627         920    △ 293 

(14)海岸保全施設の整備
 農林水産省及び国土交通省においては,地震・津波対策として,ゼロメートル地帯における海岸堤防等の耐震対策を行うとともに,三陸地域,東海地域等を対象に,堤防・護岸等の整備や津波防波堤の整備,水門等の海岸保全施設の効率的な管理制御を行う「津波・高潮防災ステーション」の整備を行う。

(15)石油精製プラント地震対策の推進
 経済産業省においては,高圧ガス設備施設の更なる耐震性向上のため,弱部補強,免震構造等最新の技術を活用した効率的な耐震対策に関して検討を行う。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)       55         55      0 

(16)官庁施設の耐震補強等整備
 国土交通省においては,官庁施設の総合耐震診断結果に基づき,災害応急対策活動に必要な施設を優先的に,逐次,耐震補強等整備を行う。

(17)建設機械の整備
 国土交通省においては,災害時の緊急輸送道路確保等に必要な機械を整備する。
 平成15年度予算額  平成13年度予算額   差引増△減  (百万円)      2,493        2,522    △ 29 

(18)震災に強いまちづくりの推進
 国土交通省においては,次の事業を実施する。
a 都市の防災性向上のための根幹的な公共施設の整備
(a)避難地,避難路,防災活動拠点となる防災公園の機能アップ等を行うため,三木総合防災公園(兵庫県三木市)等の公園事業を実施するほか,国営昭和記念公園(東京都)の整備を促進する。また,防災公園街区整備事業を活用し,大都市の既成市街地において防災公園と周辺市街地の整備改善を一体的に行い,都市の構造的な防災機能の強化を図る。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)     44,050       44,416    △ 366 

(b)避難路として活用される都市計画道路を整備するため,環状8号線(東京都区部)等で街路事業を実施する。瑞江駅西部地区(東京都区部),東第1地区(浜松市)等においては,避難地・避難路の整備を都市の防災構造化と併せて行うため土地区画整理事業を実施する。また道路の未整備による消防活動の困難な区域の解消を図るため,3大都市圏,県庁所在地等の密集市街地において街路事業を実施する。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)     107,323       112,462    △5,139 

(c)これらと関連して,避難地として西南杜の湖畔公園(福岡市)等の都市公園予定地及び避難路として利用する横浜藤沢線(横浜市)等予定地の取得を行う地方公共団体に対し,長期金利の資金である都市開発資金を113億円の予算枠内で貸付ける。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)    〔11,300〕     〔13,738〕   〔△2,438〕 
(注)〔 〕書きは,融資額を表す。
(d)三大都市圏のうち,特に地震の際に危険度の高い地区について,避難地等の整備と周辺の住宅地等の再開発を促進し,一体的に拠点として整備することにより市街地の防災性の向上及び防災拠点の整備を図る。
 特に東京都江東区については,大震火災から住民の生命を守るため,白鬚西地区,亀戸・大島・小松川地区において市街地再開発事業を実施するとともに,これと併せて,避難地となる都市公園の整備を図るため,白鬚西公園等において公園事業を実施する。
b 災害に強い都市構造の推進
(a)災害危険度判定調査,住民等のまちづくり活動支援,地区内の道路・公園等の整備や避難地・避難路周辺等の不燃化を図る都市防災総合推進事業を環状8号線杉並地区(東京都杉並区)等において実施する。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)       738         756    △ 18 

(b)三大都市圏の木造密集市街地等において,地区内道路・公園等の都市基盤の整備により,安全な市街地の形成を図るため,都市再生区画整理事業を推進する。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)      3,436        3,521    △ 85 

(c)低層木造建築物の密集した既成市街地において,都市災害を防止し,土地の合理的利用と建築物の耐震不燃化を図るため,神保町一丁目南部地区(東京都千代田区),阿倍野地区(大阪市)等において市街地再開発事業を促進する。また,防災上問題のある地区の安全性の向上等に資する市街地再開発事業を促進するため,先導型再開発緊急促進事業を引き続き推進する。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)     40,539       39,669      870 

(d)まちづくり総合支援事業において,耐震性水槽,備蓄倉庫,避難空間等の地域の防災のために必要な施設の整備を積極的に支援する。
(19)下水道における震災対策
 国土交通省においては,自然排水が困難なため地震時に浸水被害が予想される地区の排水設備整備を図るため,三大都市圏の既成市街地等の都市において,雨水ポンプ場の新設及び改築等の下水道事業を推進する。また,新耐震基準に基づく下水道施設のネットワーク化を推進するとともに緊急時に下水処理水等を活用するための高度処理施設等の整備及び下水処理場等の避難地等としての活用を推進する。

(20)河川の整備
 国土交通省においては,人口,経済活動の集積したゼロメートル地帯等において,大震災等により堤防が沈下して浸水した場合の壊滅的被害を防止するため,堤防の耐震性向上対策を実施する。また,大地震等の大災害時において,被災者の救援活動,被災地の復旧活動及び物資の輸送等に活用できる緊急用河川敷道路を整備する。また,災害時,消火用水等の取水等を行うためのアクセスが確保できる河川整備を行う。

(21)土砂災害に対する整備
 国土交通省においては,地震に伴う土砂災害を防止するため,次の事業を推進する。
a 地震による山腹斜面の崩壊等が多発する危険性の高い地域や,土砂災害の危険箇所が集中して存在する都市部における砂防事業,地すべり対策事業,急傾斜地崩壊対策事業を推進する。
b 土砂災害に対する安全性を高め,緑豊かな都市環境と景観を保全・創出することを目的に,市街地に隣接する山麓斜面にグリーンベルトとして一連の樹林帯の形成を図る「都市山麓グリーンベルト整備事業」を砂防事業等により行う。
c 砂防えん堰等への地震計の設置,現行の設計基準を満たさない砂防設備の補強対策,また緊急路として使用可能な管理用道路の整備等を推進する。

(22)道路における地震対策
 国土交通省においては,阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ,安全で信頼性の高い道路の通行を確保するため,各種道路事業を推進する。
a 広域的な幹線道路ネットワークの構築
 大震災等の災害が発生した場合においても,広域的な社会経済活動への影響を最小限に抑制するため,代替性・多重性に配慮した高規格幹線道路,地域高規格道路等の整備を推進するとともに,空港,港湾等の交通拠点へのアクセス道路整備を推進し,道路ネットワーク全体の形成・管理を図る。
b 道路の震災対策の推進
 地震直後から発生する救急,消防,応急復旧等の緊急輸送を確保するために必要な緊急輸送道路のうち,対策を要する橋梁の耐震補強等の震災対策を実施する。また,災害時におけるライフラインの安全性・信頼性の向上に資するライフライン共同収容施設としての共同溝,電線共同溝の整備を推進する。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)     39,545       44,009    △4,464 

(23)住宅市街地の防災性の向上の推進
a 住宅地区改良事業等
 不良住宅の密集地区や狭隘な道路の多い地区等において,不良住宅等を除去し,耐震性・耐火性の高い住宅に建て替えるとともに,地区の住環境の整備を行いつつ地区の防災性の向上を図るため,横浜市新山下二丁目地区等において,住宅地区改良事業等を実施する。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)     23,430       26,008    △2,578 

b 住宅市街地整備総合支援事業
 耐火建築物を中心とした安全で快適な拠点的住宅街区の形成を図るとともに,これと一体的に避難地,避難路の確保を図るため,西新井駅西口地区(足立区)等において住宅市街地整備総合支援事業を実施する。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)     67,300       66,671      629 

c 密集住宅市街地整備促進事業
 老朽住宅等が密集して防災上危険な住宅市街地において,土地所有者等による老朽住宅の建替えを促進するとともに,地方公共団体等による地区公共施設の整備を行う密集住宅市街地整備促進事業を東四つ木地区(葛飾区)等において実施する。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)     15,000       14,550      450 

(24)老朽公営住宅の建替の推進
 新耐震基準施行以前に建設された,耐震性の低い既存の公営住宅団地について,早急に建替事業を実施し,防災性の強化を図る。

(25)既存の鉄道構造物の耐震補強
 国土交通省においては,阪神・淡路大震災の被災状況に鑑み,鉄道の安全確保等を図るために鉄道事業者が緊急的に実施する既存の鉄道構造物の耐震補強に要する費用について補助する。

(26)港湾の大規模地震対策
 国土交通省においては,緊急物資等の輸送機能及び幹線貨物輸送機能を確保するため,耐震強化岸壁の整備を行うとともに,被災地の復旧・復興支援拠点として臨海部における防災拠点緑地の整備及び市民の安全を守るための避難緑地の整備を行う。その他,液状化により臨海部の岸壁直背後や道路等の安全性が損なわれることがないよう対応するため,液状化対策を行う。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)     11,490       13,296    △1,806 

(27)空港・航空保安施設の震災対策
 国土交通省においては,阪神・淡路大震災の被災状況に鑑み,空港・航空保安施設の震災対策を強化するために既存施設の耐震補強等の推進を行う。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)      1,575         252     1,323 

(28)地震観測施設の整備等
 気象庁においては,地震,津波による災害の防止・軽減を図るため,主に次の整備等を行う。
 平成15年度予算額  平成14年度予算額  差引増△減  (百万円)     2,500*       2,353*     147* 
(注)*は, 第2章2−1(23)地震観測等 に係る予算を含む。
a ナウキャスト対応型地震計の整備
 東海地震が切迫している東海地域や今世紀前半に海溝型地震の発生が予想される東南海・南海地域などにナウキャスト対応型の新しい地震計を80点整備し,ナウキャスト地震情報の提供体制を整える。
b 地震活動等総合監視システムの改良更新
 全国の地震活動,東海地域の地震・地殻活動を監視し,より迅速かつ的確な地震・津波情報を作成・伝達するため,地震活動等総合監視システムを改良更新する。


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