1−2 防災施設設備の整備



1−2 防災施設設備の整備

(1)中央防災無線網の整備
 非常災害時における情報の収集・伝達に不可欠な中央防災無線網の体制強化のための無線設備等の整備,総理大臣官邸の整備に伴う中央防災無線網の充実強化,危機管理職員宿舎との通信手段の整備等を図った。 (国費 1,723,470千円)

(2)災害警備活動用資機材の整備
 警察庁においては,都道府県警察の災害警備活動に必要なヘリコプター等の整備を行った。 (事業費 2,360,651千円 国費 2,350,223千円)

(3)警察情報通信システムの整備
 警察庁においては,災害発生現場等におけるより迅速な情報収集活動や通信手段の確保のため,可搬型衛星通信設備等の整備を行った。また,気象状況の変化に即応した気象情報を各防災機関において共用するための緊急防災情報システムを整備した。 (国費 409,300千円)

(4)NHKにおける非常用電源設備等の整備
 NHKにおいては,放送局の非常用電源設備等の整備を行った。 〔公団等支出額 8,006千円〕

(5)防災と放送についての連絡会
 総務省においては,放送事業者やケーブルテレビ事業者の団体と関係省庁が定期的に防災に関する情報交換等を行う連絡会を開催し,防災に対する放送の役割の向上を積極的に推進した。

(6)災害の場合の放送についての要請
 総務省においては,放送事業者に対して,非常災害時等において放送が果たすべき重要な役割を確保できるよう,放送システムの安全性・信頼性の確保について要請した。

(7)電気通信網の確保等
a 東日本電信電話株式会社,西日本電信電話株式会社
 東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社においては,安定した電気通信サービスの提供を確保するため,技術の進展,ネットワーク構成の変化に配慮しつつ,通信網の信頼性向上施策として都市部におけるとう道網の建設等を実施した。
b NTTドコモグループ
 NTTドコモグループ各社においては,安定した電気通信サービスの提供を確保するため,技術の進展,ネットワーク構成の変化を考慮しつつ,以下の工程を実施した。
(a)通信網の信頼性向上施策として,共通線の分散管理施策,中継伝送路の多ルート化等を実施した。
(b)大規模災害を考慮した早期復旧対策として,移動基地局車の配備,また,三宅島現地災害対策本部の通信を確保するため,現地に無線基地局1局を新設した。
c その他の第一種電気通信事業者
 その他の第一種電気通信事業者においては,伝送路の多ルート化,設備の二重化及び非常用電源等の各種非常災害対策機器の配備等を実施した。

(8)緊急防災基盤整備事業の推進
 総務省及び消防庁においては,大規模な地震等の発生時に住民の安全が確保できるよう緊急に防災機能の向上を図るため次の事業を推進した。
a 公共施設等の耐震改修
 避難地や災害対策拠点等となる公共・公用施設,不特定多数の者が利用する公共施設等について耐震性の強化を図った。
b 防災基盤の整備
 防災拠点,ヘリポート,防災情報通信施設等,地域防災計画に基づき整備すべき防災基盤の整備を推進した。

(9)防災まちづくり事業の推進
 総務省及び消防庁においては,防災まちづくり事業として,地方公共団体が行う防災センター,コミュニティ消防センター,防災無線施設等の消防防災施設,避難路,避難地等の防災基盤及び閉塞区域情報システム等震災対策に有効な施設・設備の整備を推進した。

(10)地域衛星ネットワーク整備構想の推進
 総務省及び消防庁においては,防災行政無線の機能拡充や通信ルートの多重化を図ることを目的とした地域衛星通信ネットワーク整備構想を推進するため,地域情報通信基盤整備事業を活用して,地方公共団体における衛星通信地球局の整備を進めた。

(11)消防防災無線通信施設の整備
 消防庁においては,次のとおり,消防防災無線通信施設の整備を推進した。
a 情報の収集伝達の確実化及び迅速化を推進するため,国・都道府県,市町村相互間を結ぶ全国的な消防防災通信ネットワークの整備等機能の高度化に努めた。
b 同報系無線,地域防災無線など,市町村防災行政無線網整備を国庫補助金及び単独事業に対する支援により推進した。 (事業費 2,934,206千円 国費 1,524,544千円)

(12)画像伝送システムの整備
 消防庁においては,高所監視カメラやヘリコプターテレビ電送システムからの映像を消防本部においてリアルタイムで把握するとともに,その映像情報を国,都道府県及び他の消防本部等へ伝送するための施設整備を推進した。また,山間部等の災害でもリアルタイムでの映像情報を送信できる可搬型画像伝送システムの導入を推進した。 (事業費 165,144千円 国費 82,572千円)

(13)コミュニティ防災資機材
 消防庁においては,地域の防災力を向上させるため,市町村が行う96組織に対するコミュニティ防災資機材等整備事業について補助を行った。 (事業費 114,882千円 国費 38,294千円)

(14)緊急消防援助隊関係施設及び資機材の整備
 消防庁においては,全国の消防機関相互の援助体制として創設された緊急消防援助隊が使用する災害対応のための特殊な消防ポンプ自動車,化学消防ポンプ自動車,はしご付き消防ポンプ自動車,救助工作車,救急自動車,及びそれらに積載する資機材(高度救助用資機材),消防艇の整備について,地方公共団体に対して補助を行った。
 また,緊急消防援助隊が大地震等の大規模災害発生時の広域応援時に行う,各種人命救助活動を想定した合同訓練が実施可能である広域訓練拠点施設の整備について,地方公共団体に対し補助を行った。 (事業費 1,731,424千円 国費 865,712千円)

(15)救急用ヘリコプター離着陸場の整備
 消防庁においては,救急用ヘリコプター離着陸場の整備について,地方公共団体に対し補助を行った。 (事業費 84,384千円 国費 46,111千円)

(16)救助・救急施設設備の整備
 消防庁においては,災害の複雑多様化に対応した救助体制の整備・拡充を図るため,救助工作車,救助資機材の整備について,地方公共団体に対し補助を行った。また,救急業務の高度化を推進し,傷病者の救命効果をより一層向上させるため,救急隊員が高度な応急処置を行うために必要となる高規格救急自動車及び高度救命処置用資器材の整備について,地方公共団体に対し補助を行った。 (事業費 4,902,927千円 国費 1,634,309千円)

(17)貴重な文化財の保存機能の強化(埋蔵文化財センターの建設)
 文化庁においては,防災機能に配慮した施設を前提に,拠点施設を整備する為の補助を行った。 (事業費 1,474,838千円 国費 577,500千円)

(18)災害拠点病院の整備
 厚生労働省においては,災害時の患者受入機能(ヘリポート等),水・医薬品・医療材料の備蓄機能等を備え,耐震性能が強化された災害拠点病院の整備について補助を行った。 (事業費 2,844,546千円 国費 948,182千円)

(19)広域災害・救急医療情報システムの整備
 厚生労働省においては,災害時において医療機関の稼働状況,受入れ機能等災害医療にかかる総合的な情報収集を行うため,厚生労働省,消防本部,病院等とのネットワーク化を図るための整備について補助を行った。 (事業費 6,614,977千円 国費 2,204,971千円)

(20)国立病院等の施設整備
 厚生労働省においては,国立病院・療養所について,災害発生時に負傷者等を収容する施設等の整備を行った。 (国費 591,930千円)

(21)社会福祉施設の整備
 厚生労働省においては,社会福祉施設における防災対策上必要な施設整備に対する補助を行った。

(22)日本赤十字社への災害救護活動用通信指令車輌整備費補助
 厚生労働省においては,日本赤十字社に対し災害救護活動用通信指令車輌を整備するために補助を行った。 (事業費 63,494千円 国費 31,500千円)

(23)農林水産省における情報収集・伝達体制の整備
 農林水産省においては,災害に強い通信手段として農林水産本省と各地方農政局等とを結んだ衛星通信施設等を整備した。 (国費 22,518千円)

(24)緊急時の農業水利施設の活用
 農林水産省においては,農業水利施設から,緊急時の消防用水,生活用水の取水を可能とするための防火水槽,吸水枡,吸水栓等の施設整備を行った。 (事業費 218,380千円 国費 109,190千円)

(25)渇水対策のための農業水利施設整備
 農林水産省においては,渇水の頻発している地域において,渇水時に農業用水を有効利用するための堰,揚水機場,ファームポンド等の施設整備を行った。 (事業費 292,424千円 国費 146,212千円)

(26)農山村の防災機能強化の促進
 農林水産省においては,農村総合整備事業(緊急防災型)等により,緊急車両の通行や避難路の確保等のための農道・農業集落道等の整備を行った。 (事業費 5,313,377千円 国費 2,666,609千円)

(27)農山村の防災機能強化の促進(林道事業防災林道開設・整備)
 林野庁においては,自然災害が発生した際に迂回路等としても重要な役割を果たす林道の開設・整備を行った。 (事業費 140,813千円 国費 82,000千円)

(28)漁港漁村の防災対策
 農林水産省においては,地震・津波の災害が予想される漁業集落の防災対策等に資するため,漁港施設の耐震性の確保及び液状化対策,避難道路,避難広場,安全情報伝達施設等を整備する災害に強い漁港漁村づくり事業を行うとともに,災害時の救援活動・緊急輸送等の拠点となる漁港において防災拠点漁港整備事業を行った。 (事業費 32,753,000千円 国費 20,602,00千円)

(29)河川・道路管理用無線通信設備の整備
 国土交通省においては,次の無線通信設備の整備を行った。
a 多重無線通信設備
 災害時の信頼性向上及びヘリコプター画像の伝送等通信内容の多様化・大容量化に対処するため,本省,地方整備局,事務所及び出張所間を連絡する多重無線回線のデジタル化及び通信回線容量の増強を引き続き行った。
b 移動無線通信設備
 復信方式による通話,データや写真の電送が可能な移動通信システム(K−COSMOS)の整備を引き続き行った。ヘリコプター画像伝送設備として,中部地方整備局のヘリコプター「まんなか」号の整備に併せて機上送信設備一式,受信設備として東北,関東,中部,中国,四国の各地方整備局,北海道開発局及び沖縄総合事務局で固定型17箇所,可搬型4台の整備を行った。
c 衛星通信設備
 災害画像の迅速な収集配信を行うため,衛星通信車3局,衛星小型画像伝送装置(Ku−SAT)13局の整備を行った。

(30)防災拠点施設の整備
 国土交通省においては,防災拠点となる旭川地方合同庁舎等について整備に着手し,中央合同庁舎第2号館等については引き続き整備を行った。 (事業費 15,466,490千円 国費 4,886,382千円)

(31)宅地防災工事資金の融資
 住宅金融公庫においては,宅地造成等規制法,急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律及び建築基準法による勧告又は命令を受けて,擁壁又は排水施設の設置等を行う宅地防災工事に対して必要な融資を行った。

(32)被災宅地危険度判定制度の整備及び判定士の活用
 国土交通省においては,宅地災害が広範囲に発生した場合に,被害発生状況を迅速かつ的確に把握するための危険度判定を実施することによって,二次災害を軽減・防止することを目標として創設された被災宅地危険度判定制度について,引き続き危険度判定を行う技術者の養成登録を行うなど,危険度判定の実施体制の整備を進めた。

(33)宅地災害の防止対策の促進
 国土交通省においては,地方公共団体等に対して,宅地防災マニュアルの普及を図るとともに,宅地造成工事区域指定要領を参考に適正な指定地域の見直しを指導した。また,安全かつ安心な宅地の確保・供給の促進との観点から,老朽化擁壁の判定指標に係る指針及び宅地性能の評価に係る指針を取りまとめた。

(34)防災情報システムの整備
 国土交通省北海道開発局においては,情報伝達を行う防災情報システムの整備及び防災情報データベースを構築した。 (国費 11,956千円)

(35)気象観測施設の整備等
 気象庁においては,次の気象観測・予報関連の整備を行った。
a 台風・集中豪雨雪監視体制の整備
(a)静止気象衛星業務の整備
 静止気象衛星5号の運用等を行うとともに,運輸多目的衛星新1号及び運輸多目的衛星新2号の製作等を行った。
(b)地上気象観測施設・地域気象観測施設の整備
 日々の天気予報,気候値など最も基本的な気象資料として多方面に利用されている地上気象観測の精度向上を図るため,地上気象観測装置10台の更新を行った。また,自動観測の結果を即時に集配信する地域気象観測システム(アメダス)の観測精度の向上を図るため,積雪深計14か所の更新を行った。
(c)気象レーダー観測施設の整備
 降雨状況等の監視を強化するため,老朽化した福岡,種子島,名瀬レーダーを昨年度より引き続き更新し,レーダー観測精度の向上を図った。また,レーダーエコーデジタル化装置の改良・更新(沖縄気象台管内)を実施した。
(d)気象資料伝送網(沖縄Lアデス)の更新整備
 時間的・空間的にきめ細かい量的予報の推進をはじめ,防災情報の高度化等のために沖縄気象台管内に,伝送網の高度化と端末コンピュータの処理能力等を強化した気象資料伝送網(沖縄Lアデス)を更新・整備した。
b 航空気象業務の整備
 航空交通の安全を確保するため,空港における新たな気象観測システムの導入(新東京国際ほか13空港),空港気象ドップラーレーダーの新設(大阪国際)等の観測施設を整備する他,気象資料伝送網の更新(那覇ほか5空港)による予報・通信施設の整備を行い,予報・警報業務の充実を図った。また,無線を使用して飛行中の航空機に主要空港の気象情報を音声により自動通報するボルメット通報装置の機能向上を行った。
c 海洋気象業務の整備
 台風時の高潮等を迅速かつ的確に把握するため,検潮所の遠隔自記検潮装置を更新した。(下関,枕崎) (国費 20,361,878千円)

(36)巡視船艇の整備等
 海上保安庁においては,次の巡視船艇の整備等を行った。 (国費 74,683,684千円)
a 巡視船艇・航空機の整備
 継続分も含め,ヘリコプター1機搭載型巡視船1隻,中型巡視船2隻,大型巡視艇6隻(うち,消防型4隻)及び小型巡視艇15隻並びに新型ジェット飛行機2機,中型飛行機3機及び中型ヘリコプター1機の整備を行った。
b 通信施設整備
 老朽化した陸上通信回線を更新し,大容量高速データ通信に対応でき,耐震性に強い,高度情報通信網の整備を完了した。被災地等の迅速かつ的確な状況把握を図り,関係機関へのより迅速な映像情報の伝達を可能にするため,ヘリコプター撮影画像伝送システム(固定型)の整備を行った。
c 電子海図システムの整備
 従来の紙海図と同程度の情報量と精度に加えて,電子画面上に自船等の位置,針路,速力等の航海の安全に必要な情報を表示できる電子装置に必要な航海用電子海図を作成するためのシステムの整備を引き続き行い,航海用電子海図を刊行した。
d 航路標識の整備
 海難を未然に防止するため,灯台の設置等の航路標識の整備について,74件の新設整備及び841件の改良改修を行った。

(37)海上防災体制の整備
 海上保安庁においては,防災資機材の充実,機動防除隊の充実強化及び巡視船艇・航空機等の常時出動体制の確保等を図った。また,タンカー等の所有者及び一定規模以上の油保管施設等の設置者に対し,海洋汚染防止法に基づき適切な排出油防除資機材を備え付けるよう指導する等により排出油防除体制の整備を推進した。 (国費 49,262千円)


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