2−2 震災対策一般の研究



2−2 震災対策一般の研究

(1)災害現場における消防活動を支援する情報システムの開発
 独立行政法人消防研究所においては,災害現場での効率的情報収集が可能な携帯端末,輻輳の起こらないデジタル無線システム,被害情報及び災害時の防災資源情報等を総合的に把握して合理的な消防防災活動のための支援情報を創出伝達できるシステムの開発を行った。開発したシステムは,情報収集端末,車載型情報端末,消防防災通信システム,火災延焼シミュレーター,消防力最適運用支援システム,消防活動支援地理情報システムから構成されており,横須賀市をモデル地区とした原型システムを構築した。さらに,日本新生枠予算により,実用レベルのリアルタイム最適消防力運用システムを目指した実証システム試験を所沢市を対象として実施した。

(2)震災対策に関する研究
 独立行政法人防災科学技術研究所においては,次の研究を行った。
a 地震防災フロンティア研究
 兵庫県の協力のもと,兵庫県神戸市の地震防災フロンティア研究センターにおいて,多分野の研究者等の連携により,都市部を中心とする地震災害の軽減に関するソフト面に重点を置いた先導的な研究を推進した。
b 実大三次元震動破壊実験施設の整備
 構造物や,地盤等の震動破壊現象を解明・予測するため,実際の地震動と同様の震動により,実大構造等を破壊させて,データを得ることができる「実大三次元震動破壊実験施設」(E−ディフェンス)の整備を推進した。
c 実大三次元震動破壊実験シミュレーション
 実大三次元震動破壊実験施設(E−ディフェンス)による実験結果を活用し,構造物の破壊現象のシミュレーションを可能とするシステムの開発を行った。

(3)構造物の破壊過程解明に基づく生活基盤の地震防災性向上に関する研究
 文部科学省,独立行政法人防災科学技術研究所,独立行政法人物質・材料研究機構,独立行政法人建築研究所,独立行政法人土木研究所,独立行政法人港湾空港技術研究所,独立行政法人農業工学研究所においては,科学技術振興調整費総合研究により,構造物の大規模破壊実験に必要な測定法や高度な加振手法など耐震性評価のための支援技術の開発,基礎・地盤系を含めた構造物の塑性領域での挙動と破壊過程解明の研究を行った。 (国費 278,542千円)

(4)アジア・太平洋地域に適した地震・津波災害軽減技術の開発とその体系化に関する研究
 文部科学省,独立行政法人防災科学技術研究所,独立行政法人建築研究所,独立行政法人土木研究所,独立行政法人港湾空港技術研究所においては,科学技術振興調整費多国間型国際共同研究により,災害軽減技術の開発を行うとともに,地震・津波防災技術マスタープラン構築の研究を行った。 (国費 192,557千円)

(5)地震豪雨時の高速長距離土砂流動現象の解明
 文部科学省,独立行政法人防災科学技術研究所,国土交通省国土地理院,独立行政法人森林総合研究所では,科学技術振興調整費により,地震豪雨時の高速長距離土砂流動メカニズムの解明を行うとともに危険斜面抽出のための地形計測・解析技術の開発などを行った。 (国費 130,709千円)

(6)石油精製プラント地震対策の推進
 経済産業省においては,高圧ガス設備施設の更なる耐震性向上のため,弱部補強,免震構造等最新の技術を活用した効率的な耐震対策に関して検討を行った。 (国費58,000千円)

(7)地震災害対策に関する研究
a 強震観測
 国土交通省国土技術政策総合研究所においては,土木構造物の合理的な耐震設計法を確立するため,高密度強震観測網の維持管理及び地震動の観測ならびに解析を行った。 (国費 11,335千円)
b 公共土木施設に対する地震防災投資効果の評価手法に関する研究
 国土交通省国土技術政策総合研究所においては,公共土木施設に対する地震防災投資効果の評価手法と費用対効果に基づく目標耐震性能を選択する方法論を提案し,施設の防災投資のアカウンタビリティの向上や耐震設計基準の高度化について研究を実施した。 (国費 7,760千円)
c 日米共同構造実験研究
 国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所においては,災害時の適応可能な高知能建築構造システムを開発するため,高知能建築材料を用いた知的材料・構造部材の性能を把握するための研究を日米で行った。 (国費 6,766千円)
d 日欧共同耐震研究
 国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所においては,欧州と国際共通基準等の将来の統合を視野におき,日欧の耐震建築基準の比較,日欧標準架構モデルの構築等新たな視点に立った建築物の耐震技術に関する共同研究を実施した。 (国費 1,408千円)
e 日米共同研究
 国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所においては,日米共同で木造住宅の耐震設計法を1・2次元的な解析法から3次元モデルへ拡張した,構造性能評価手法に関する研究を行った。 (国費 1,010千円)
f 地震時の人的被害と都市構造の関連分野による都市防災向上技術の開発
 国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所においては,阪神淡路大震災時のGIS上の建築物被災状況に,死亡原因・重傷者等の情報を付加して詳細に分析し,地震時の人的被害と都市構造の問題に関する情報基盤について研究を行った。 (国費 4,779千円)

(8)橋梁等の耐震設計法及び施工法に関する研究
 独立行政法人北海道開発土木研究所においては,北海道において地震による構造物被害等の災害を防止するため,地震動の特性に関する研究及び地震時における基礎構造の安定に関する研究を行った。

(9)地震防災に関する研究
 独立行政法人土木研究所においては,以下の研究を行った。
a 土木構造物の耐震性能評価方法に関する国際共同研究
 土木構造物の耐震性能設計に係る評価方法に関し,欧米との国際共同研究を行った。
b 既設構造物直下地盤の液状化対策技術の開発
 既設構造物直下等でも現場条件の制約を受けない,地盤補強効果の高い液状化対策技術及び耐震補強技術に関する研究開発を行った。
c 三次元大型振動実験施設増改築
 社会資本整備における耐震技術を開発し都市再生事業に反映させ,地震に強い市街地の再生に寄与する研究開発を行うため,三次元大型振動実験施設の増改築を行った。

(10)震災対策に関する研究
 独立行政法人建築研究所において,次の研究を行った。
a ピロティ建築物の耐震安全性確保方策の開発
 ピロティ形式の集合住宅に要求される耐震性,機能性,耐久性等を明確にし,それらの要求性能を耐震設計,建築計画,施工の各方面から総合的に評価できる設計・施工合理化システムに関する研究を行った。
b 仮動的実験による建築物のねじれ振動性状に関する研究
 偏心する建物の試験体に,変動する水平力を加え水平2方向の地震動をシミュレーションすることにより,実地震時の全体建物の挙動を忠実に再現しながら,その終局的な力学的挙動を解明するための基礎資料を得るために研究開発を行った。
c 携帯型情報端末による現地調査システムの開発
 震災時等における建築物の面的・悉皆的な調査を目的として,携帯型情報端末による現地調査システムを開発するため,当該システムのデータ作成・更新における研究開発を行った。
d 特定の領域における高精度破壊核形成過程のモデル化に関する研究
 日本列島周辺の地殻活動を総合的にモデル化し,予測される地殻活動と実際のGPS連続観測等から得られる地殻変動データを比較検討し,中期的に地震発生の危険度を評価する手法の研究開発を行った。
e 開発途上国の建築物の地震防災技術情報ネットワーク構築
 開発途上国の建築物の地震防災に関する技術開発を促進・支援するため,既存の開発途上国向け地震被害情報・地震動のデータベース整備に加え,近年普及し続けているマイクロゾーニング手法を用いることで,新たなデータベース整備化による情報ネットワークシステムのモデル構築に関する研究開発を行った。


所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.