1−2 最近起こった主な災害



1−2 最近起こった主な災害

 2002年以降に発生した主な自然災害は 表4−1−2 のとおりであり,そのうち被害の大きなものは次のとおりである。

2002年以降に起こった主な自然災害(2003年3月現在)

(1)アフガニスタンの地震
 2002年3月25日夜,マグニチュード6の地震がアフガニスタンの首都カブールから北東160kmに位置するバグラン県を襲った。この地震により800人以上の死者,数千人の負傷者が発生し,最も被害が大きかったナハリーン地区は,およそ90%の建物が崩壊するなど損壊が激しく,また余震が続いていたため,住民はテントあるいは野外での生活を余儀なくされた。

(2)イランの地震
 現地時間2002年6月22日午前7時半(日本時間22日正午)頃,テヘランの西約200kmに位置するガズヴィン州を震源地とするマグニチュード6.5の地震が発生した。死者約230人,負傷者約1千人,家屋喪失者約2万5千人などの被害が生じ,テヘランの西250km程の山間に点在している被災地の村々などに対して,イラン政府,イラン赤新月社(赤十字社に相当),軍,警察,地域コミュニティなどによって災害救援活動が実施されるとともに,食料テント等の物資の輸送,伝染病の予防等の対策が実施された。

(3)中国の洪水
 中国北西部や南部の穀倉地帯などの多くの地域で,2002年6月上旬から中旬にかけて続いた豪雨により,地すべりや鉄砲水などにより大きな被害が発生した。死者793人,被災者約8千万人,約77万3千戸の家屋の倒壊及び約202万戸の家屋が損壊し,被害額は22億ドルに及んだ。

(4)韓国の台風
 2002年8月4日から11日に死者22人,行方不明者1人を出した集中豪雨に引き続き,8月30日から9月1日にかけての1日で,台風Rusaにより朝鮮半島の中部から東部にかけて大きな被害が発生した。この台風による被害は韓国の近代史上,最も大きく,217人が亡くなり,29人が行方不明,被害総額は4.3億ドルに及んだ。また2万7千棟以上の建造物,3万1千ヘクタールの耕地が浸水被害を受けた。
 犠牲者の多くは,地すべりや鉄砲水などを含む斜面崩壊によるものであり,被害は,集中豪雨に伴う山地崩壊(山林火災後に適切な処理がなされていない弱部が豪雨によって崩壊)が主要因とみられている。江原道江陵市1日間の降雨量は870.5mmという韓国観測史上最大の日降水量に及んだ。この多量降雨量に加え,乱開発が都市部の災害への脆弱性を増大させたことが,被害を拡大させた要因と考えられる。

(5)ヨーロッパ各地の洪水
 ヨーロッパ各地において,2002年8,9月の長期降雨による洪水で大規模な被害が生じた。エルベ川流域では8月上旬からの降雨により,プラハで1828年以来の最大流量を記録し,約22万人が避難,15人が死亡するなど,チェコ国内で20億ドルもの被害が発生している。また,ドイツのドレスデンでは,住民,軍,技術支援隊,ボランティアなどの努力で水防活動が行われたが,堤防の越水・破堤による氾濫が各地で発生し,約1万2千人が避難し,4人が死亡している。また,オーストリアではザルツブルクにおいて日降水量140mmを超え,警報発令から約4時間で洪水波が到達し,家屋密集地域が被災,油流失が被害を拡大するなど,国内で8人の死者が発生した。フランスでは,2002年9月上旬の暴風雨とこれに伴う洪水が発生し,24人の死者が発生した。特にガール川の流域で,激しい集中豪雨があったため,アレス市で634戸が被害を受け,アラモン市においては約2千人が被害を被り,7百〜8百人がヘリコプターやボートで救助されたものの5人が死亡している。

(6)中国の地震
 2003年2月24日午前10時(日本時間24日午前11時)頃,中国北西部の新疆ウイグル自治区においてマグニチュード6.8の地震が発生した。死者268人,重傷者2,058人,軽傷者1,942人余り,被災者数約51万人,家屋損壊約7万戸以上,損壊した学校は103校に及んだ。被災した地域においては,過去50年間で最大規模の地震被害であり,寒冷地である同地域は雪と低温のために救助活動が困難を極めるとともに,水と電力の供給が寸断されたため,被災者は不自由な避難生活を余儀なくされた。


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