1−5 鳥取県西部地震に対してとった措置



1−5 鳥取県西部地震に対してとった措置


(1) 緊急参集チーム会議及び災害関係省庁連絡会議の開催

 10月6日13時55分より関係省庁の局長級職員が官邸に参集し,緊急参集チーム会議を開催した。また,国土庁(当時)においては同日15時30分及び19時の2回,災害対策関係省庁連絡会議を開催し,[1]関係機関は今後とも迅速かつ的確に情報の収集・伝達を行い,関係地方公共団体を含め,緊密な連携を図り,警戒などに万全を期すること,[2]事態の推移に応じ必要があれば,災害関係省庁連絡会議を開催する等,関係省庁の連携を密にしていくこと,等を確認した。

(2) 政府調査団等の派遣

 10月17日,扇国土庁長官(当時)を団長とする16省庁31名からなる政府調査団を鳥取県に派遣した。

(3) 内閣府における対応

a 10月6日13時30分国土庁(当時)に「情報対策室」を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,被害及び対応状況をとりまとめ,官邸,関係省庁に伝達した。また,同日蓮実国土総括政務次官(当時)を現地に派遣した。
b 被災者生活再建支援法の適用
 鳥取県全域,島根県安来市及び伯太町に被災者生活再建支援法を適用し,同法の要件に合致する被災世帯の内,195世帯に合計1億3,596万円の被災者生活再建支援金を支給し,その半額を補助した。(事業費 135,960千円  国費 67,980千円)

(4) 警察庁における対応

 警察庁及び関係管区警察局においては,「災害警備本部」等を設置して,情報の収集及び関係機関との連絡調整等に当たった。また,機動警察通信隊は,衛星通信車を活用するなどして,応急通信回線の確保を図った。
 鳥取県その他関係府県警察では,「災害警備本部」等を設置して,情報収集,ヘリコプター等による救出救助活動,住民の避難誘導及び交通規制等に当たるとともに,中国管区警察局内の広域緊急援助隊等が,被害の大きかった鳥取県において,情報収集,警戒活動及び困りごと相談等に当たった。

(5) 防衛庁における対応

 防衛庁は,関係地方公共団体への連絡要員の派遣,航空偵察等を行ったほか,10月6日鳥取県知事から,7日には島根県知事から災害派遣の要請を受け,6日から18日までの間,給水・給食,入浴,独居老人宅の屋根のシート張り等の支援を実施した。

(6) 総務省における対応

 自治省(当時)においては,大きな被害を受けた鳥取県内9団体,島根県内2団体及び岡山県内1団体に対し,地方交付税法第16条第2項の規定に基づき,11月に定例交付すべき普通交付税の一部2,343百万円を繰上げ交付した。

(7) 放送受信料の免除

 NHKにおいては,次のとおり放送受信料の免除を実施した。

(表6−1−24参照)放送受信料の免除

(表6−1−24)放送受信料の免除
(8) 特設公衆電話の設置等

 西日本電信電話株式会社においては,被災者等の通信手段を確保するために避難所21箇所に特設公衆電話31台,18箇所に携帯電話34台,2箇所に衛星携帯電話2台を無償で配備した。また,被災者の安否確認のために災害用伝言ダイヤルを運用した。
 株式会社NTTドコモ中国においては,鳥取県災害対策本部に携帯電話60台,衛星携帯電話10台を,中国セルラー電話株式会社においては,町役場1箇所に携帯電話30台を,ジェイフォン西日本株式会社においては,町役場1箇所に携帯電話20台を無償で貸与した。

(9) 郵政事業庁における対応

a 郵便葉書等の無償交付
 次のとおり被災世帯に対し,郵便葉書及び郵便書簡を無償交付した。

(表6−1−25参照)郵便葉書等の無償交付

(表6−1−25)郵便葉書等の無償交付
b 被災者が差し出す郵便物の料金免除
 次のとおり被災者が差し出す郵便物の料金免除を行った。

(表6−1−26参照)被災者が差し出す郵便物の料金免除

(表6−1−26)被災者が差し出す郵便物の料金免除
c 救助用の現金を内容とする郵便物の料金免除
 次のとおり被災者の救助を行う団体にあてた救助用郵便物の料金免除を行った。

(表6−1−27参照)救助用の現金を内容とする郵便物の料金免除

(表6−1−27)救助用の現金を内容とする郵便物の料金免除
d 災害義援金の郵便振替による無料取扱い

(表6−1−28参照)災害義援金の郵便振替による無料取扱い

(表6−1−28)災害義援金の郵便振替による無料取扱い
e 郵便貯金,郵便為替等の非常取扱い

(表6−1−29参照)郵便貯金、郵便為替等の非常取扱い

(表6−1−29)郵便貯金、郵便為替等の非常取扱い
f 簡易保険の非常取扱い
 被災地の郵便局において,簡易保険の保険金及び貸付金の非常即時払,保険料払込猶予期間の延伸等の非常取扱いを実施した。

(表6−1−30参照)簡易保険の非常取扱い

(表6−1−30)簡易保険の非常取扱い
g 郵便局舎等災害復旧事業
 災害により被害を受けた郵便局舎等について,復旧事業を行った。
(国費 61,510千円)

(10) 消防庁等における対応

 消防庁は,10月6日に災害対策本部を設置するとともに,情報収集を強化するため,緊急消防援助隊の指揮支援部隊に対しヘリコプターによる出動を要請した。また,近畿,中国,九州ブロックの緊急消防援助隊地上部隊が出動待機した。

(11) 財務省における対応

a 申告,納付等の期限の延長
 災害により,国税の申告,納付等をその期限までに行うことができないと認められる納税者について,その申請に基づき,災害によるやむを得ない理由のやんだ日から2ヶ月以内の日を期日として指定し,国税の申告,納付等の期限を延長した。
b 納税の猶予
 災害により,その財産に相当の損害を受けた納税者及び国税を一時に納税することができないと認められる納税者について,その申請に基づき,1年以内の期間に限り,その国税の全部又は一部の納税を猶予した。
c 国税の軽減免除等
 災害により,住宅,家財,事業用資産等に損害を受けた納税者について,その申請等に基づき,国税の軽減免除等を行った。

(12) 文部科学省における対応

 文部省(当時)では,児童生徒の安全確保を最優先するとともに,市町村を支援するよう関係の県教育委員会に指示した。
 科学技術庁(当時)では,地震調査研究推進本部臨時会及び定例会を開催し,地震活動の現状に関して評価し,その結果を公表した。

(13) 厚生労働省における対応

a 災害救助費の国庫負担
 鳥取県においては,米子市,境港市,西伯郡西伯町,西伯郡会見町,日野郡日野町,日野郡溝口町に,また島根県においては,安来市,能義郡伯太町に災害救助法を適用し,避難所の設置,応急仮設住宅の供与,炊き出しなどによる食品の給与,被服・寝具等生活必需品の給与等を実施した。この鳥取県及び島根県の救助に要した費用2億5,381万9千円について1億2,691万円の国庫負担を行った。
(事業費 253,819千円  国費 126,910千円)
b 災害援護資金の原資の貸付
 災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき,本災害により一定の被害を受けた世帯の世帯主に対し貸し付けた災害援護資金3億2,688万円について2億1,792万円の国庫の貸付を行った。(事業費 326,880千円  国費 217,920千円)
c 国民健康保険税の災害減免措置に対し,特別調整交付金を交付した。
(国費 9,310千円)

(14) 農林水産省における対応

 農林水産省では,被害を受けた農林漁業者等に対する既往貸付制度資金の償還猶予等及び災害関係資金の円滑な融通について関係機関を指導した。
 10月14日〜15日にかけて石破農林水産総括政務次官(当時)を被災地に派遣,15日〜16日にかけて谷農林水産大臣が,被災地を視察した。

(15) 国土交通省においてとった措置

a 運輸省(当時)においては情報収集体制を整備,建設省(当時)においては緊急体制を発令し情報の収集を行い,災害状況の把握に努めた。
 また,災害対策用ヘリコプター3機を情報収集のため現地に派遣するとともに,画像を官邸等関係機関へ配信した。
b 現地調査のため,土木研究所,建築研究所,港湾技術研究所より研究官を派遣した。
c 航空関係者に対し必要な注意喚起を行い,安全確保に努めた。
d 国土地理院においては,電子基準点,合成開口レーダー画像により,地殻変動の観測及び解析を実施するとともに,空中写真撮影による地形変動調査の実施,地震断層調査のための職員を派遣した。

(16) 海上保安庁における対応

 海上保安庁においては,本庁,第八管区海上保安本部及び境海上保安部に対策本部を設置,人員延べ約590名,航空機延べ13機,巡視船艇延べ57隻を派遣し,被害状況調査,付近航行船舶に対して注意を喚起するための航行警報を発出するとともに,港内及び航路の水深調査を行い,航行の安全を確保した。

(17) 災害廃棄物処理事業の実施

 環境省においては,地方公共団体が災害のために実施した廃棄物の収集,運搬及び処分に係る事業に対して補助を行った。


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内閣府政策統括官(防災担当)

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