1−3 三宅島噴火及び新島・神津島近海地震に対してとった措置



1−3 三宅島噴火及び新島・神津島近海地震に対してとった措置


(1) 災害対策関係省庁連絡会議の開催及び政府現地対策チームの派遣

 6月26日以降,計7回にわたり災害対策関係省庁連絡会議を開催し,関係省庁の連携を密にしていくこと,等を確認した。さらに,8月30日より政府現地対策チームの先遣チームを派遣し,その合流を含めて政府現地対策チームを9月1日から2日にかけて三宅島に(関係10省庁23名),9月6日から8日にかけて神津島及び新島に(関係17省庁33名)派遣した。

(2) 非常災害対策本部の設置

 8月29日12時15分,「平成12年(2000年)三宅島噴火及び新島・神津島近海地震非常災害対策本部」(本部長:扇国土庁長官(当時),場所:国土庁(当時))を設置した。また同日14時から第1回本部会議を,11月30日に第2回本部会議を開催した。

(3) 内閣府における対応

a 6月26日以降,震度6弱の地震発生にあわせて国土庁(当時)に「情報対策室」を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,被害及び対応状況をとりまとめ,官邸,関係機関に伝達した。また,7月5日には蓮実国土総括政務次官(当時)を神津島に派遣し,19日には扇国土庁長官(当時)が三宅島,新島及び神津島を視察した。8月30日以降担当官を現地に派遣し,東京都現地対策本部等との連絡・調整等を実施した。
b 被災者生活再建支援法の適用
 東京都三宅村に被災者生活再建支援法を適用し,同法の要件に合致する被災世帯の内,1,350世帯に合計8億6,997万1千円の被災者生活再建支援金を支給し,その半額を補助した。(事業費 869,971千円  国費 434,986千円)

(4) 警察庁における対応

 警察庁においては,「非常災害警備本部」を設置して,情報の収集及び関係機関との連絡調整等に当たった。また,機動警察通信隊は,可搬型衛星通信設備を活用するなどして,応急通信回線の確保を図った。
 警視庁では,「総合警備本部」を設置して,住民の避難誘導及び警戒活動等に当たった。

(5) 防衛庁における対応

 防衛庁は,関係地方公共団体への連絡要員の派遣,震度5弱以上の地震が発生した場合の航空偵察等を行ったほか,三宅村については,平成12年6月27日から7月2日,8月20日から26日及び8月29日から平成13年10月3日までの間,神津島村については7月1日に,東京都知事から災害派遣の要請を受け,物資の輸送,土のう積み,降灰除去,救援物資等の搬送,艦船の待機,火山観測,防災関係機関の人員輸送等の支援を実施した。

(6) 総務省における対応

a 地方交付税による措置
 自治省(当時)においては,三宅島噴火災害により大きな被害を受けた東京都内1団体に対し,地方交付税法第16条第2項の規定に基づき,9月に定例交付すべき普通交付税の一部180百万円を繰上げ交付した(8月1回,9月1回の延べ2回の繰上交付を実施。)。また,新島・神津島近海地震により大きな被害を受けた東京都内3団体に対しても,同項の規定に基づき,9月に定例交付すべき普通交付税の一部283百万円を繰上げ交付した(7月1回,8月1回の延べ2回の繰上交付を実施。)。
b 総務庁(当時)は,11月1日,被災者等からの各種相談,問い合わせ等に応じるための総合的な相談窓口として,東京都竹芝棧橋において関係機関の協力を得て特別総合行政相談所を開設した。
c 寄附金付郵便切手の発行
 郵政省(当時)においては,三宅島噴火及び新島・神津島近海地震災害による被災者の救助を行う事業を行う団体への寄附を目的とする寄附金付郵便切手を発行し,平成12年11月15日から同年12月28日まで販売した(発行枚数:1,500万枚,付加される寄附金の額:1枚当たり20円)。付加された寄附金については,平成13年3月30日の郵政審議会の答申を得て,三宅村,新島村,神津島村,利島村及び御蔵島村に配分された。

(7) 放送受信料の免除

 NHKにおいては,次のとおり放送受信料の免除を実施した。

(表6−1−10参照)放送受信料の免除

(表6−1−10)放送受信料の免除
(8) 特設公衆電話の設置等

 東日本電信電話株式会社においては,被災者等の通信手段を確保するために,避難所等24箇所に特設公衆電話159台,衛星携帯電話75台を無償で配備するとともに,被災者の安否確認のために災害用伝言ダイヤルを運用した。また,周辺4島の通信確保のため,海底ケーブルの直結,デジタル衛星車載車等の配備を実施するほか,電話料金の支払期限の延長や電話等を使用できない期間の基本料金等の免除等を実施した。
 株式会社NTTドコモにおいては,地方自治体等2箇所に携帯電話20台,17箇所に衛星携帯電話40台を無償で貸与した。

(9) 郵政事業庁における対応

a 郵便葉書等の無償交付
 次のとおり被災世帯に対し,郵便葉書及び郵便書簡を無償交付した。

(表6−1−11参照)郵便葉書等の無償交付

(表6−1−11)郵便葉書等の無償交付
b 被災者が差し出す郵便物の料金免除
 次のとおり被災者が差し出す郵便物の料金免除を行った。

(表6−1−12参照)被災者が差し出す郵便物の料金免除

(表6−1−12)被災者が差し出す郵便物の料金免除
c 救助用の現金を内容とする郵便物の料金免除
 次のとおり被災者の救助を行う団体にあてた救助用郵便物の料金免除を行った。

(表6−1−13参照)救助用の現金を内容とする郵便物の料金免除

(表6−1−13)救助用の現金を内容とする郵便物の料金免除
d 災害義援金の郵便振替による無料取扱い

(表6−1−14参照)災害義援金の郵便振替による無料取扱い

(表6−1−14)災害義援金の郵便振替による無料取扱い
e 郵便貯金,郵便為替等の非常取扱い

(表6−1−15参照)郵便貯金、郵便為替等の非常取扱い

(表6−1−15)郵便貯金、郵便為替等の非常取扱い
f 簡易保険の非常取扱い
 被災地の郵便局において,簡易保険の保険金及び貸付金の非常即時払,保険料払込猶予期間の延伸等の非常取扱いを実施した。

(表6−1−16参照)簡易保険の非常取扱い

(表6−1−16)簡易保険の非常取扱い
g 郵便局舎等災害復旧事業
 災害により被害を受けた郵便局舎等について,復旧事業を行った。
(国費 5,837千円)

(10) 消防庁等における対応

 消防庁では,8月29日に消防庁長官を長とする災害対策本部を設置し,情報収集及び関係機関との連絡調整等に当たった。また,地元消防本部は,東京消防庁と連携を図り,ヘリコプター等による被害状況調査や警戒活動,住民の避難誘導,崖崩れ等の応急措置作業及び避難指示・勧告区域における警戒活動を実施した。

(11) 財務省における対応

a 申告,納付等の期限の延長
 災害により,多大な被害を受けた三宅村,神津島村及び新島村の納税者に対し,国税庁告示をもって,別途告示で定める期日まで,国税の申告,納付等の期限を延長した。その後,神津島村及び新島村については,国税の申告,納付等の期限を,それぞれ平成13年2月26日,7月31日に指定した。
b 納税の猶予
 災害により,その財産に相当の損害を受けた納税者及び国税を一時に納税することができないと認められる納税者について,その申請に基づき,1年以内の期間に限り,その国税の全部又は一部の納税を猶予した。
c 国税の軽減免除等
 災害により,住宅,家財,事業用資産等に損害を受けた納税者について,その申請等に基づき,国税の軽減免除等を行った。

(12) 文部科学省における対応

 文部省(当時)では,幼児・児童生徒の所在・状況の把握,転入学の弾力措置,また状況に応じ,臨時休校や授業短縮,夏季休業の前倒し等適切な対応をとるよう指示した。被災地域における学校については,教育委員会を通じ,学校施設等の安全確認のうえ,授業を再開しうるよう指示した。なお,三宅村の児童生徒については,都立秋川高校等に受け入れ,授業等が円滑に実施されるよう措置した。また,9月1日に大島文部大臣(当時),12月13日に河村文部総括政務次官(当時),平成13年1月15日には,町村文部科学大臣(当時)と池坊大臣政務官が都立秋川高校を視察した。
 科学技術庁(当時)では,地震調査研究推進本部定例会及び臨時会を開催し,地震活動の現状に関して評価を行った。また科学技術振興調整費を用いた「神津島東方海域の海底下構造等に関する緊急研究」を関係機関の協力の下実施した。

(13) 厚生労働省における対応

a 災害救助費の国庫負担
 東京都においては,三宅村,神津島村,新島村に災害救助法を適用し,避難所の設置,炊き出しなどによる食品の給与,被服・寝具等生活必需品の給与等を実施した。この東京都の救助に要した費用4億654万3千円について2億327万2千円の国庫負担を行った。(事業費 406,543千円  国費 203,272千円)
b 災害弔慰金の国庫負担
 災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき,本災害により死亡した者の遺族に対し支給した災害弔慰金500万円について250万円の国庫負担を行った。
(事業費 5,000千円  国費 2,500千円)
c 災害援護資金の原資の貸付
 災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき,本災害により一定の被害を受けた世帯の世帯主に対し貸し付けた災害援護資金3,370万円について2,246万7千円の国庫の貸付を行った。(事業費 33,700千円  国費 22,467千円)
d 国民健康保険税の納付期限の延長(平成12.9.19三宅村告示)及び一部負担金の減免等(平成13.2.13)を実施。

(14) 農林水産省における対応

 農林水産省では,被害を受けた農林漁業者等に対する既往貸付制度資金の償還猶予等及び災害関係資金の円滑な融通について関係機関を指導した。また,被害の著しい農林漁業者に対する農林漁業金融公庫融資について,地元地方公共団体と協力して利子助成を行い,結果的に無利子とする措置を講じた。
 9月15日には谷農林水産大臣(当時)が,三宅島,新島村及び神津島村の被災地を視察した。

(15) 三宅島火山の活動推移に関する緊急研究

 経済産業省産業技術総合研究所地質調査所長を総本部長とする三宅島火山噴火対策本部を設置し,噴出物,噴煙,火山ガス,地下水などの現地調査・観測に基づく噴火・火山ガス放出活動の実態把握,活動推移の予測に努めた。(国費 230,395千円)

(16) 国土交通省における対応

a 省庁再編に伴い13年1月6日「国土交通省三宅島噴火及び新島・神津島近海地震非常災害対策本部」を設置した。(発災日である7月19日には「三宅島噴火及び新島・神津島近海地震災害対策本部」を運輸省及び建設省(当時)において各々設置)
b 7月19日には建設大臣(当時),12月18日には建設総括政務次官(当時)が現地調査を行った。また,現地に職員を派遣し,道路の応急復旧工事等の技術指導を,必要な箇所においては,応急工事を実施した。また,二次災害に備え,神津島及び三宅島へ土砂災害対策の専門家を派遣し,危険箇所の点検,無人化施工及び避難体制等に関する指導を実施した。
c 新島・神津島において,災害により住宅の損壊を受けた被災者等のための公営住宅の建設を支援した。
d 航空関係者,観光関係団体に対し必要な注意喚起を行い,安全確保に努めた。
e 避難者に対する支援として,自動車検査証の有効期間の延長,雇用確保に関する運輸関係事業者への協力要請を実施した。
f 伊豆諸島の観光振興対策として旅行業者等に対し必要な協力要請を行った。
g 離島航路事業者へ財政支援を行った。(国費 416,000千円)
h 緊急的な土砂災害対策として,砂防えん堤等の整備を災害関連緊急砂防等事業により実施した。
i 国土地理院においては,観測・監視機器の増設や電子基準点,合成開口レーダ画像等により,地殼変動の観測及び解析を実施するとともに,空中写真による地形変動調査等を実施した。(国費 260,236千円)

(17) 気象庁における対応

 気象庁は,緊急火山情報,臨時火山情報及び地震情報等を適宜・適切に発表するとともに,火山噴火予知連絡会等を開催し,地震・火山活動を総合的に評価して情報提供を行った。また,地震・火山機動観測班を急派し,大学,関係省庁等と連携を図りながら,震度計等を増設し,観測・監視体制等を強化した。さらに,警報を含む気象情報を適時に発表し,大雨に伴う土砂災害等に十分に警戒するよう呼びかけた。

(18) 海上保安庁における対応

 海上保安庁においては,本庁及び第三管区海上保安本部に対策本部を設置,周辺海域を危険海域として設定,航行警報を発し,付近航行船舶に対し注意喚起を行った。また,人員延べ約26,400名,航空機延べ364機,巡視船艇延べ703隻を派遣し,緊急時の避難支援,火山観測支援及び被害を受けた灯台等の応急措置等を行った。

(19) 災害廃棄物処理事業の実施

 環境省においては,地方公共団体が災害のために実施した廃棄物の収集,運搬及び処分に係る事業に対して補助を行った。


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内閣府政策統括官(防災担当)

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