1−1 河川事業



第5章 国 土 保 全


1 河川事業


 我が国は,洪水時の河川水位より低い沖積平野を中心とした高度な土地利用が行われており,国土面積の約1割にすぎない河川の氾濫区域に,現在,人口の約50%,資産の約75%が集中するなど我が国の経済・社会活動の中枢になるべき地域の多くが水害及び土砂災害の危険性を内包している。
 このため,古くから治水事業の重要性が認識され着実に実施されてきたところであり,浸水面積は減少傾向にある。しかしながら,国土保全施設の整備状況はまだ低い水準にあり,さらに,洪水等の危険区域における資産が増大しているため,単位面積当たりの水害被害額はかえって増加する傾向にある。このような状況の中で,国土交通省においては第9次治水事業七箇年計画に基づき,安全な社会基盤の形成,水と緑の水辺の創出,活力ある地域づくりの支援の展開を図ることとしている。
(事業費 1,398,757,624千円  国費 834,918,000千円)

1−1 河川事業


 国土交通省においては,平成12年度において,大規模治水事業を始めとして,基幹大河川の整備を重点的に進めるとともに,近年,激甚な災害が発生した河川等について再度災害の防止対策及び慢性的な床上浸水被害の解消を図るための治水対策を推進した。さらに,下水道整備等とあいまって,流域が一体となって総合的な治水安全度の向上を図るための河川事業や良質な住宅・宅地供給を図るための河川事業を推進した。また,社会・経済の中心的役割を担っている大都市地域等を破堤による壊滅的被害から防御するとともに併せて水と緑に親しめる良好な都市空間の形成を図る高規格堤防の整備を推進した。

(1) 直轄事業

a 直轄河川改修事業
 一級河川117河川及び北海道の指定河川3河川について実施した。
b 直轄床上浸水対策特別緊急事業
 床上浸水被害が頻発している地域に関係する河川のうち,特に対策を促進する必要がある14箇所について実施した。
c 直轄河川維持修繕
 河川管理施設の機能を維持するため,水閘門,堤防,護岸等を維持修繕した。
d 直轄河川工作物関連応急対策事業
 前後の一連区域の治水機能に比較して,工作物周辺の治水可能が劣っているものについて,応急的に改良並びに新・増設の改善措置をとった。
e 直轄流水保全水路整備事業
 流入支川等の水質が著しく汚濁している河川について流水の適切な保全を図るため,新たな低水路等を整備した。

f 直轄消流雪用水導入事業
 消流雪用水の確保が可能な河川から市街地を流れる中心河川等に消流雪用水を導入するため導入路を整備した。
g 直轄河川災害復旧等関連緊急事業
 上流部での災害復旧等による下流部での流量増への対策を機動的,集中的に実施する必要がある10河川について実施した。
h 直轄河川激甚災害対策特別緊急事業
 3河川3箇所について実施した。

(2) 補助事業

a 河川改修事業等
 広域河川改修事業等を次のとおり実施した。
 ・基幹河川改修事業   504河川(うち新規7河川)実施, 51河川完了
 ・一般河川改修事業   254河川(うち新規2河川)実施,123河川完了
 ・局部改良事業     185河川         実施, 63河川完了
 ・流域水防災対策事業  14箇所(うち新規2河川)実施, 12箇所完了
 ・消流雪用水導入事業  2箇所         実施, 2箇所完了
 ・耐水型地域整備事業  2箇所         実施
 ・河川再生事業     8箇所         実施, 8箇所完了
 ・河川構造物改築事業  4箇所(うち新規1箇所)実施, 4箇所完了
 このほか河川工作物関連応急対策事業及び情報基盤緊急整備事業を実施した。
b 床上浸水対策特別緊急事業
 継続事業として21河川及び新規事業として2河川について実施し,18河川を完了した。
c 河川災害復旧等関連緊急事業
 継続事業として20河川及び新規事業1河川について実施した。
d 河川激甚災害対策特別緊急事業
 継続事業として10河川及び新規事業2河川について実施し,1河川を完了した。


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