9 その他の災害対策



9 その他の災害対策


(1) 地球科学技術に関連した防災科学技術

 文部科学省防災科学技術研究所においては,次の研究を行った。
a 全球水文過程における災害予測に関する研究
 全球水文過程変化と災害ポテンシャルを予測するための数値シミュレーションモデルの開発等の研究を行った。また,数値モデルの高度化に必要な熱帯域,雪氷域における観測研究及び地表面乱流風洞等を用いた実験研究を行った。さらに降水量変動,海面変動の災害への影響評価に関する研究を行った。(国費 1,441,843千円)
b 衛星搭載レーダー等による災害・地球環境変動の観測研究
 地球規模の環境変動を広域的に把握するシステムの構築に資するため,マイクロ波によるリモートセンシング技術の研究を行った。(国費 28,546千円)

(2) 斜面災害の発生機構に関する研究

 文部科学省防災科学技術研究所においては,大規模崩壊の発生場及び崩壊土砂流動に関する研究を行うとともに,ハザードマップの高度化に関する研究を行った。
(国費 57,243千円)

(3) 沿岸防災に関する研究

 文部科学省防災科学技術研究所においては,波浪特性・風の特性に関する観測研究,津波の発生伝播の研究,沿岸異常波浪の特性と予測手法に関する研究を行った。

(4) 労働災害防止に関する研究

 厚生労働省産業安全研究所においては,産業用機械・設備等の破壊・倒壊災害,誤動作等による災害,爆発災害等,各種災害を防止するため,次の基礎的,応用的研究を行った。(国費 638,753千円)
a 大規模システムの破壊に対する安全性・信頼性評価手法の開発
b 生産・施工システムの総合的安全制御技術の開発(施工作業用ロボットの機構開発)
c 超音波法による高温疲労損傷の検出
d 土石流による土砂崩壊災害防止技術に関する研究(フェールセーフ型土石流検知警報システムの試作)
e 屋根面からの滑落に関する実験
f 支持地盤の不安定性による移動式クレーンの転倒挙動に関する実験的解析
g 化学プロセスにおける危険性(事故)予測のためのシミュレーション技術の開発
h 堆積した金属粉体層に沿った燃え拡がり(対向気流速度,雰囲気組成の影響)
i 交流アーク溶接作業時における感電災害の検討
j 中波による大型クレーンへの誘導電流等の数値計算
k 掘削機械オペレータの危険回避能力に関する研究
l 共同作業時における安全確認行動としてのコミュニケーションに関する研究

(5) 機能性金属粉体の静電気による爆発危険性の解明に関する研究

 厚生労働省産業安全研究所では,科学技術振興調整費重点基礎研究により,静電気による機能性金属粉体の爆発危険性の解明に関する基礎的研究を行った。
(国費 6,050千円)

(6) 化学物質安全特性予測基盤の確立に関する研究

 厚生労働省産業安全研究所では,科学技術振興調整費知的基盤整備推進制度により経済産業省工業技術院物質工学工業技術研究所等と共同実施の,化学物質安全特性予測基盤の確立に関する研究において,爆発燃焼反応挙動の解明に関する研究を実施した。(国費 4,197千円)

(7) 漁船の転覆事故防止に関する研究

 農林水産省においては,漁船の省エネルギーのための船型改良に伴う転覆事故防止のための研究を行った。(国費 16,307千円)

(8) 気候変動に関する研究

 水産庁北海道区水産研究所,東北区水産研究所,中央水産研究所,遠洋水産研究所,気象庁,気象研究所においては,気候モデルの高度化に資するため,科学技術振興調整費により「北太平洋亜寒帯循環と気候変動に関する国際共同研究」を行った。
(国費 109,551千円)

(9) 産業防災危機管理対策推進

 経済産業省においては,産業における防災対策の現状等を調査するとともに,総合的な防災対策を確立するための検討を行った。(国費 1,873千円)

(10) 鉱山保安技術対策に関する研究

 経済産業省においては,次の研究を行った。
a 金属鉱業事業団において,高効率廃水処理技術,坑排水最適中和処理システム技術の鉱害防止技術に関する調査研究を行った。(国費 49,733千円)
b 工業技術院資源環境技術総合研究所においては,傾斜坑道における坑内火災時の熱気流の挙動と各種消火法の現場適応性に関する研究を行った。(国費 10,083千円)
c 工業技術院資源環境技術総合研究所においては,粉じん計測システムの精度向上,現場条件に適した粉じん抑制技術について検討し,新しい粉じん濃度の較正方法,粉じんネット方式による粉じん抑制技術を開発し,それらの有用性を明らかにした。(国費 12,150千円)

(11) 砂浜海岸の諸機能の評価とコースト・マネジメント手法に関する研究

 国土交通省港湾技術研究所においては,砂浜の防災,海水浄化機能,親水性の観点から海岸の機能を再評価し,それらの機能を総合的にマネジメントするための技術及びその最適化手法について研究を行った。(国費 8,265千円)

(12) 先端技術を活用した国土管理技術の開発

 国土交通省土木研究所,建築研究所及び国土地理院においては,防災,災害対策,環境保全等の課題に対し,GISやセンサーなどの先端技術を活用した国土全体に対する広域的かつ定常的な監視・管理を実現する国土管理技術の高度化のための研究開発を行った。(国費 141,705千円)

(13) 災害等に対応した人工衛星利用技術に関する研究

 国土交通省土木研究所,建築研究所及び国土地理院においては,人工衛星技術を活用した災害情報・環境情報の収集,建設分野における情報活用技術を利用して,リモートセンシングの実用化に関する研究を行った。(国費 203,973千円)

(14) まちづくりにおける防災評価・対策技術の開発

 国土交通省建築研究所及び土木研究所においては,延焼遮断帯・避難地・避難路対策などの都市計画的防災対策等に加えて,地区内の施設などや耐火性能を有する建築物等による延焼抑止効果の明確化,地区防災性能の評価手法の整備,地区防災性能向上のための効果的対策技術の研究を行った。(国費 167,012千円)

(15) 高度情報処理技術等を活用した都市・建築防災関連技術の開発

 国土交通省建築研究所においては,大規模地震発生時のスムーズな被災情報把握と被災情報の的確な活用を図るため,GISデータベース等の高度情報処理技術等を活用した被災情報把握・提供・活用システムの開発を目的とした研究を行った。
(国費 3,956千円)

(16) 開発途上国の建築物の地震防災技術情報ネットワークに関する研究

 国土交通省建築研究所においては,建築物等の地震防災技術情報を収集・整理・分析した結果を情報ネットワークにより開発途上国に提供し,地震防災技術の向上を促進かつ支援し,地震被害軽減に資するための研究を行った。(国費 11,509千円)

(17) サステイナブル都市整備のための空間データ総合管理手法の開発

 国土交通省においては,科学技術振興調整費重点基礎研究により,持続的発展可能な都市環境整備にあたって必要とされる様々な事前評価手法や空間データをGIS(地理情報システム)によって統合化し,都市計画行政に役立つ管理手法の研究開発を行った。(国費 4,714千円)

(18) 地震・火山活動に関する調査研究

 気象庁気象研究所では,地震・火山活動の推移予測に資するため,科学技術振興調整費により「地殻変動モデル構築に向けた地震・火山関連データの統合処理に関する基礎的研究」を行った。(国費 7,837千円)

(19) 地球科学技術に関連した防災科学技術

 環境省国立環境研究所においては,地球温暖化やオゾンホールの形成に関与する対流圏及び成層圏の各種微量気体成分のモニタリング技術の高度化・精緻化に資するため,「地球環境遠隔探査技術等の研究」の一環として「イメージングフーリエ変換赤外分光計に関する研究」を行った。(国費 8,000千円)


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