1 国民の防災に対する意識



第3章 国民の防災活動


 災害から国民の生命,身体及び財産を保護することは行政の重要な役割の一つであるが,一人ひとりの国民が「自らの身の安全は自らが守る」という自覚を持ち,平常時より災害に対する備えを心がけるとともに,災害発生時には自発的な防災活動への参加等に努めることが重要である。
 本章では,防災対策に関する国民の意識の現状を示すとともに,災害時には消防団・水防団,自主防災組織,防災ボランティア団体及び企業による,国民それぞれの立場での自発的な防災活動が大きな役割を果たすことが期待されることから,これらの団体の活動状況等について述べる。

1 国民の防災に対する意識


 平成13年6月に実施された「国土の将来像に関する世論調査」注1)により,国民の防災に対する意識の現状を示すと以下のとおりである。

(1) 国土づくりの重点に災害対策を挙げる人が多い

 これからの国土づくりにおいて,特にどのようなことに力を入れるべきかの問に対し,「災害に対する安全性の確保」を挙げた者の割合が40.4%と最も高く,以下「自然環境の保護」(38.8%),「食料や資源の安定供給の確保」(32.8%),「身近な生活環境施設の整備」(25.3%)の順になっている(2つまでの複数回答可) (図3−1−1)
 「災害に対する安全性の確保」を挙げた回答者の属性をみると,小都市・町村部に比べ,大都市(東京都区部及び政令指定都市)の居住者の回答率が高くなっている。
 なお,過去の調査と比較して「災害に対する安全性の確保」の回答率の推移を見ると,平成8年6月調査よりも10ポイント近く低下しているが,同調査は平成7年に発生した阪神・淡路大震災の直後であり,さらにそれ以前の調査と比較すると,大規模災害直後に一時的に関心が高まっただけとも捉えられ,災害に対する継続的な普及啓発の重要性を示している (図3−1−2)

(図3−1−1)今後の国土づくりにおいて力を入れるべき点

(図3−1−1)今後の国土づくりにおいて力を入れるべき点
(図3−1−2)「災害に対する安全性の確保」回答率の推移

(図3−1−2)「災害に対する安全性の確保」回答率の推移
(2) 防災対策としては危機管理体制の整備,施設の耐震化,必要な情報の開示等を重視

 国民の生命,財産を守るために,必要と思う防災対策を尋ねた問に対しては,「災害が起きたときに素早く対応できるような危機管理体制の整備」(61.2%)に次いで,「住宅や公共施設の耐震性強化,堤防など防災施設の整備」(31.9%),「個人の判断で身を守れるよう,ハザードマップの作成等必要な情報を予め市民に知らせておく」(31.7%)の回答が多くなっている(2つまでの複数回答可) (図3−1−3)

(図3−1−3)防災対策のうち必要なもの

(図3−1−3)防災対策のうち必要なもの
(3) 予算制約下でも着実な防災対策が求められている

 国などの予算が限られている中で,どのような考え方で防災対策を実施すべきと思うかの問に対しては,「防災対策も必要であるが,生活環境や福祉の向上など他の施策を優先すべき」の回答(21.9%)を,「災害が発生した場合に大きな被害が予想される地域の防災対策を重点的に実施すべき」(34.9%)及び「被害が予想される全ての地域について防災対策を講じるべき」(36.9%)との回答とが上回る結果となった (図3−1−4)

(図3−1−4)予算制約下での防災対策のプライオリティ

(図3−1−4)予算制約下での防災対策のプライオリティ

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