9−4 三宅島噴火災害



9−4 三宅島噴火災害


(1) これまでの経過

 三宅島は,平成12年6月26日に地震が多発,「噴火のおそれがある」旨の緊急火山情報が出され,翌27日には三宅島西方約1km沖で海底噴火が確認された。その後いったん活動は低下したものの,7月4日頃から山頂で地震が増え始め,同月8日に山頂で噴火が起こった。以降,山頂噴火が繰り返され,8月10日,18日には,噴煙の高さがそれぞれ8,000m,14,000mに達する大規模な噴火が発生し,また,8月29日の噴火では,低温で勢いの弱い火砕流が発生した。
 同年9月からは二酸化硫黄等の火山ガスの大量放出が始まり,1日あたり50,000tを超える二酸化硫黄がたびたび観測され,平成12年11月16日には,1日あたり約80,000tの二酸化硫黄が観測された。なお,14年3月現在においても,桜島の平均的な放出量の約10倍にあたる,1日あたり10,000〜20,000tの二酸化硫黄の放出が継続している (図2−9−1)
 一方,火山活動の状況を受けて,平成12年8月25日に三宅村の小中高校生の島外避難を決定したのに続き,9月2日には防災関係者を除く全島民に対して島外避難指示が発令され,9月4日までに避難が完了した。三宅島内における火山ガスの大量放出は未だ続いていることから帰島の目途はたっておらず,都営住宅等における避難生活が続いている。
 全島避難以降,島内においては,火山活動の状況を的確に把握するため,平成12年度予算の予備費も活用して(12年9月12日閣議決定)観測監視体制を強化し,12年11月までに主要な機器の設置を完了させたほか,火山ガス放出の収束の見通しがたち,帰島の目途がついた場合に1日も早く帰島できるよう,電力・ガス等のライフラインの機能維持,仮橋の設置等による都道(島内周回道路)の全周に渡る通行の確保,泥流等による被害拡大防止のための対策等が講じられている。
 なお,当初これらの作業の実施にあたって,工事関係者は神津島に滞在し,漁船等で三宅島に渡島して日帰りでの作業を行っていたため,作業は日中の短い時間に限られていた。そこで,工事関係者が島内に夜間滞在して作業をより効率的に進められるよう,クリーンハウス(既存建築物等に二酸化硫黄等の除去装置を備えた施設)の整備を推進し,第一番目として,平成13年5月に東京都三宅支庁第二庁舎のクリーンハウス化が完成,防災関係者による夜間滞在の試行が開始された。また,同年7月には東京都三宅支庁第一庁舎,三宅村役場庁舎等が新たにクリーンハウス化されたことにより,工事関係者を含めた本格的な島内夜間滞在が開始され,14年3月現在においては,12箇所において約500人分のクリーンハウスが整備されている。
 また,都道の通行が確保されたことや,クリーンハウスの整備等により,一定の安全性が確保されたことから,家屋の被災状況の確認等のための島民の方々の一時帰宅が平成13年7月から14年3月まで実施された(島内滞在時間は数時間程度)。さらに,14年4月からは,週に1度程度東京〜三宅島間の直行船を運航しており,家財道具等の島外への持ち出しが可能となっている。

(図2−9−1)三宅島における火山ガス(SO 2 )放出量の推移(気象庁地震火山部)

(図2−9−1)三宅島における火山ガス(SO2)放出量の推移(気象庁地震火山部)
(2) 支援策の実施

 全島避難指示が出されてから1年半以上が経過し,三宅島民は島を離れて不自由な生活を余儀なくされていることから,これまで,政府・東京都・三宅村が一体となり,被災者生活再建支援金の支給や都営住宅等の無償提供,緊急地域雇用特別交付金等を用いた雇用の確保,中小企業者の既往債務に係る利子補給をはじめとして,多方面からさまざまな支援策を講じている。これまでに講じられてきた対策については (表2−9−3)(その1)   (その2)   (その3) のとおりである(平成14年3月現在)。

(表2−9−2)三宅島噴火災害に係るこれまでの経過

(表2−9−2)三宅島噴火災害に係るこれまでの経過
(表2−9−3)三宅島噴火災害の被災者に対してとった支援措置(平成14年3月現在)(その1)

(表2−9−3)三宅島噴火災害の被災者に対してとった支援措置(平成14年3月現在)(その1)
(表2−9−3)三宅島噴火災害の被災者に対してとった支援措置(平成14年3月現在)(その2)

(表2−9−3)三宅島噴火災害の被災者に対してとった支援措置(平成14年3月現在)(その2)
(表2−9−3)三宅島噴火災害の被災者に対してとった支援措置(平成14年3月現在)(その3)

(表2−9−3)三宅島噴火災害の被災者に対してとった支援措置(平成14年3月現在)(その3)
(3) 三宅島復興に向けた計画の検討

 三宅村においては,噴火災害からの早期復興を図るため,平成14年1月に学識経験者や三宅村議会議員,三宅村経済団体関係者等により構成される「三宅村復興計画策定委員会(委員長:林春男京都大学教授)」を設置した。同委員会においては,島民の方々の意見を反映させるため,島民から意見募集結果も踏まえて検討を行っており,平成14年夏を目途に復興基本構想及び復興基本計画を策定することとしている。


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