表示段落: 第3部


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第3部 平成13年度において実施すべき防災に関する計画

第1章 概要

1 防災に関する科学技術の研究の推進

 科学技術の研究については,地震に関する調査研究・火山噴火の予知に関する研究,各種災害の発生機構・防止対策等に関する研究,構造物の安全性に関する研究等を推進する。

2 災害予防の強化

 災害予防については,教育訓練,指導啓発等に努めるとともに,地震観測施設,気象業務施設,火山観測施設,消防施設,通信施設等の充実を図り,併せて,石油コンビナート災害等及び原子力防災対策の強化,豪雪地帯対策の推進等の災害予防事業を推進する。

3 国土保全の推進

 国土保全については,基幹大河川,浸水被害が頻発している中小河川,緊急度の高い危険地等に重点に置いて治山治水事業の一層の推進を図るほか,急傾斜地崩壊対策事業,海岸保全事業,農地防災事業,地盤沈下対策事業等各般の施策を推進する。

4 災害応急対策及び災害復旧・復興の迅速適切化

 災害応急対策については,災害時に迅速かつ適切な救助活動,被災者への支援対策等が実施できる防災体制等の確立に努めるとともに,災害が発生した場合には,災害の態様等に応じて非常災害対策本部等を設置して必要な応急対策を講ずる。

 災害復旧事業については,直轄事業については原則として2箇年で復旧を完了させる方針に基づき,平成12年度災害の復旧事業はこれを完了させ,補助事業については原則として3箇年で復旧を完了させる方針に基づき,平成11年災害の復旧事業はこれを完了させ,平成12年災害の復旧事業費を計上して復旧事業の迅速かつ効果的な施行を図るほか,災害融資等に必要な金融措置を講じ,復旧資金等の調達の円滑化を図る。

 さらに,阪神・淡路大震災について,引き続き,生活の再建,経済の復興,安全な地域づくり等の諸課題に関する取組みの推進を図る。

5 平成13年度における防災関係予算額等

 平成13年度における予算額等は次のとおりである。(表1-5-1)

 (表1-5-1) 平成13年度における防災関係予算額等

第2章 科学技術の研究

1 災害一般共通事項

(1) 総合科学技術会議による防災科学技術研究の推進

 平成13年1月の省庁再編において,内閣府に総合科学技術会議が設置された。同会議は内閣総理大臣を議長,関係閣僚及び有識者を議員として構成されており,科学技術の総合的かつ計画的な振興を図るための政策の建議を行うことを任務としている。

 同会議の建議に即した科学技術基本計画において,国の存立にとって基盤的で国として取り組むことが不可欠な領域として防災科学技術,危機管理に関する技術が盛り込まれ,研究開発を推進することとなっている。防災科学技術の研究開発は,災害大国の我が国で被害を軽減するだけでなく,自然災害の多発に悩む国際社会にとっても大変有意義なものであり,強力に推進していく。

(2) 情報通信危機管理基盤技術の研究開発

 独立行政法人通信総合研究所においては,サイバーテロを未然に防ぐための情報通信技術や,大規模災害時においてネットワーク資源を有効に利用する技術を実現するための研究開発を実施する。

(3) デジタル防災行政無線の普及促進

 総務省においては,市町村防災行政無線のデジタル方式の導入に当たり,同方式の特長を生かした多様なアプリレーションシステムについて検討し,より安価なシステムの導入を促進するため,技術的な任意推奨規格を策定する。

  平成13年度予算額 (10百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (10百万円)

(4) 消防防災対策に関する研究

 消防庁においては,次の研究を行う。

a 衛星データ通信・データ放送に係る調査検討

 通信衛星を用いた高度情報伝達システムを構築するため,課題,改善方法等を検証する。

  平成13年度予算額 (7百万円)

  平成12年度予算額 (850百万円)

  差引増△減    (△843百万円)

b 災害時における消防防災ヘリ映像等を活用した被災状況把握システムに係る調査検討

 消防防災ヘリコプター等が撮影した被災地の映像のコンピュータ解析を行うことにより被災状況を把握し,地図表示ができるシステムの機能について検討する。

  平成13年度予算額 (87百万円)

  平成12年度予算額 (101百万円)

  差引増△減    (△14百万円)

c 消防・救急無線のデジタル化の検討

 デジタル化に当たっての広域運用,地下街等における通信確保等に関し検討を行う。

  平成13年度予算額 (65百万円)

  平成12年度予算額 (319百万円)

  差引増△減    (△254百万円)

d 携帯電話からの119番通報発信地表示システム等の検討

 携帯電話から直接所管消防本部へ119番通報でき,かつこれを発信地表示できるシステムの検討を行う。

  平成13年度予算額 (52百万円)

  平成12年度予算額 (99百万円)

  差引増△減    (△47百万円)

e 災害時における119番通報の集中状況を把握する仕組みの検討

 災害時に119番通報が集中している地区に関する情報を通信事業者から消防庁及び都道府県に伝達する仕組みについて検討する。

  平成13年度予算額 (6百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (6百万円)

f 防災無線の高機能化に係る検討

 市町村防災行政無線の戸別受信機の高度化やインターネット技術を活用した情報収集システムについて検討する。

  平成13年度予算額 (8百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (8百万円)

g 災害対応小型衛星電話の開発

 現在の可搬型衛星地球局は機動性に劣る面があるため,通信機能に限定して一人で持ち運びができる程度の災害対応小型衛星電話を開発し,機動性の向上を図る。

  平成13年度予算額 (282百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (282百万円)

(5) 防災科学技術の推進

a 国際防災科学技術共同研究の推進等

 文部科学省においては,防災に関する研究開発基本計画(昭和56年7月内閣総理大臣決定,平成5年12月改定)に基づき,科学技術に関する経費の見積り方針の調整等による総合調整を図る。また,国際防災科学技術共同研究の推進等の国際協力を推進する。

  平成13年度予算額 (5百万円)

  平成12年度予算額 (5百万円)

  差引増△減    (0百万円)

b 防災科学技術研究所における総合的,共通的研究等

 独立行政法人防災科学技術研究所において,防災科学技術に関する総合的,共通的研究(プロジェクト研究は別掲)を行うとともに,内外の防災科学技術資料の収集・整理及び提供を行う。

c 防災科学技術研究所における施設整備

 独立行政法人防災科学技術研究所において,防災科学技術に関する総合的,共通的研究に資するための施設整備を行う。

(6) 自然災害に関する研究

 文部科学省においては,自然災害の予防・軽減策を確立するため,科学研究費補助金により,大学等の研究者による研究プロジェクトを支援し,基礎的研究を推進する。

  平成13年度予算額 (455百万円)

  平成12年度予算額 (467百万円)

  差引増△減    (△12百万円)

(7) 砂防,海洋災害,防災材料,水文学等に関する研究

 文部科学省においては,国立大学の研究所等で,砂防,海洋災害,防災材料,水文学及びオホーツク海沿岸の流氷等に関する基礎的研究行う。

  平成13年度予算額 (267百万円)

  平成12年度予算額 (340百万円)

  差引増△減    (△73百万円)

(8) 農作物及び森林の災害防止等に関する研究

 農林水産省においては,道府県の各試験研究機関の協力を得て,次の研究を行う。

a 農作物の災害防止に関する研究

 耐冷性,耐寒性,耐湿性,耐干性品種の育成,冷害,雪害,風害,凍霜害,湿害,干害等への作物の気象災害防止技術に関する研究を独立行政法人農業技術研究機構,独立行政法人農業環境技術研究所,独立行政法人農業工学研究所において行う。

 また,指定試験事業として,道府県に委託し,農作物の耐冷性品種等の育成のための品種改良試験を進める。

b 農業用施設等に関する研究

 独立行政法人農業工学研究所においては,農地の地すべり防止に関する研究,異常降雨・大規模地震による災害の軽減対策に関する研究を行う。

c 治山技術の確立及び森林災害の防止に関する研究

 独立行政法人森林総合研究所において,山地荒廃の予防及び復旧,水保全,土地保全,強風・津波・雪崩の害防止等の治山技術の確立に関する研究並びに森林災害の防止等に関する調査研究を行う。

(9) 北海道における港湾・海岸防災に関する研究

 独立行政法人北海道開発土木研究所においては,冬期における港湾・漁港の安全確保のため,港内への流氷流入,港内結氷,港内施設への着氷等の対策及び高波による施設被害や海岸護岸の背後における利用障害を防止するための技術開発を行う。

(10) 船舶における防災技術の研究

 独立行政法人海上技術安全研究所においては,深海モニター用小型ロボットシステムの技術開発,フェールセーフとしての衝突・座礁回避システムの研究,船舶の操縦性能評価技術に関する研究,荒天下の航行不能船舶の漂流防止等に関する研究を行う。

(11) 港湾・海岸及び空港における防災技術の研究

 独立行政法人港湾技術研究所においては,津波・高潮等海の波に関する研究,耐波構造物に関する研究,漂砂に関する研究,沿岸の防災に関する研究等,港湾・海岸及び空港における災害を防止するための研究を行う。

(12) 知能化材料を用いたHQMS(ハイクオリティ・モニタリングシステム)の開発による港湾構造物の信頼性向上に関する研究

 独立行政法人港湾技術研究所においては,港湾構造物を対象に,耐久性に優れた知能化材料を用いた構造部材の変状のセンシング技術の開発及び情報の伝送・処理システムの検討を行い,港湾構造物の総合的モニタリングを構築する研究を行う。

(13) 波による地盤の液状化・変形メカニズムの解明とその対策・利用技術の確立に関する研究

 独立行政法人港湾技術研究所においては,液状化を中心とした,波と構造物そいて地盤の相互作用を解明する基礎的研究,そしてそれに基づいた構造物の設計法の確立,さらには地盤技術を利用した技術開発を行う。

(14) メガフロート情報基地機能実証実験

 国土交通省,総務省及び経済産業省は連携して,耐震性や半永久型電源の確保等情報バックアップ基地としての最適な基本性能を有するメガフロートを活用し,メガフロート情報基地機能実証実験を実施する。また,大都市の大規模災害時におけるメガフロートの活用方策,平時の利活用等について検討する。

  平成13年度予算額 (2,772百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (2,772百万円)

  (内訳 国土交通省 2,022 総務省 600 経産省 150)

(15) 長周期波の発生メカニズムと港湾・海岸における長周期波対策に関する研究

 独立行政法人港湾技術研究所においては,越波による浸水被害や,共振による荷役障害などを引き起こす長周期波の発生メカニズムを解明するとともに,港湾や海岸における長周期波対策工を提案する。

(16) 火山性地殼変動のダイナミックモデルに関する研究

 国土交通省国土地理院においては,火山地域のGPS連続観測等の地殼変動データを解析して,火山活動の推移を逐次予測するシステムの開発に関する研究を行う。

  平成13年度予算額 (3百万円)

  平成12年度予算額 (3百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(17) GPS連続観測による上下地殼変動検出手法開発に関する研究

 国土交通省国土地理院においては,全国にほぼ均一に配備されているGPS連続観測データを用いて,全国の上下方向の地殼変動の進行状況を解明する手法の開発について研究する。

  平成13年度予算額 (3百万円)

  平成12年度予算額 (3百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(18) 火山斜面地の地形変化に関する研究

 国土交通省国土地理院においては,多時期の空中写真から作成した火山斜面地の地形データをGIS上で比較することにより,火山斜面地の開析過程を把握し,火山防災に利用していくための研究を行う。

  平成13年度予算額 (6百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (6百万円)

(19) 気象・水象に関する研究

 気象庁においては,気象研究所を中心に大気中の温室効果ガス濃度の増加に伴う地球温暖化の予測技術の高度化を図る。この成果を基に,地球温暖化に伴う気温,降水量等の全球及び地域的な変動の予測を行う。

  平成13年度予算額 (1,162百万円)

  平成12年度予算額 (1,152百万円)

  差引増△減    (9百万円)

2 震災対策

2-1 地震に関する調査研究

(1) 首都圏広域地殼変動の観測

 独立行政法人通信総合研究所においては,VLBI(超長基線電波干渉計)のリアルタイム定常観測及びSLR(衛星レーザ測距)の観測を行うとともに,システムの高度化・高信頼化の研究を行う。

(2) 地震に関する調査研究の推進

 文部科学省においては,地震調査研究推進本部の方針の下,地方公共団体が行う活断層調査等に対して地震関係基礎調査交付金を交付する。

  平成13年度予算額 (2,481百万円)

  平成12年度予算額 (3,110百万円)

  差引増△減    (△629百万円)

(3) 地震総合フロンティア研究の推進

 理化学研究所,宇宙開発事業団,核燃料サイクル開発機構及び海洋科学技術研究センターにおいては,それぞれ「地震国際フロンティア研究」,「地震リモートセンシングフンティア研究」,「陸域地下構造フロンティア研究」及び「固体地球統合フロンティア研究」を実施する。

  平成13年度予算額 (1,459百万円)

  平成12年度予算額 (1,026百万円)

  差引増△減    (433百万円)

(4) 深海底ネットワーク総合観測システムの開発・整備

 海洋科学技術センターにおいては,海底観測等を行うシステムの開発・整備及び,観測研究を実施する。

  平成13年度予算額 (349百万円)

  平成12年度予算額 (349百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(5) 地震に関する調査研究

 独立行政法人防災科学技術研究所においては,次の研究を行う。

a 地震観測網の運用

 全国に整備する高感度地震観測施設及び広帯域地震観測施設等について,当該施設から得られるデータを収集・解析処理し,これらのデータや処理結果について全国の地震研究者,防災関係者等へ提供を行う。

b 地震動予測地図作成手法の研究

 日本全国を概観した地震動予測地図の作成手法の研究を行い,地震調査研究推進本部による地震動予測地図の作成を支援する。

c 関東・東海地域における地震活動に関する研究

 関東・東海地域に設置された各種観測施設から収集されるデータを用いて,当該地域の詳細な地殼活動解析研究を行うとともに,重点的観測強化を推進する。

d 地震発生機構に関する研究

 地震発生の長期予測の高度化に資するため,内陸地震発生域の場(構造,物性や強度)や現象(地震活動,応力や水の状態)の時間的変化について,フィールドでの実験・観測研究,及び室内でのモデル実験・数値実験により研究を推進する。

e 強震動・震災被害予測システムに関する研究

 これまでに整備してきた地震観測網等の観測システムを最大限に活用し,高度化された震源解析・強震動予測をもとに震災被害を予測することができるシステムを開発するための研究を行う。

f 地震観測施設の整備

 地震調査研究推進本部の方針の下,全国に基盤的な調査観測網の整備を行うため,高感度,広帯域,強震動等地震観測施設の整備を行う。

(6) 地震予知に関する基礎的研究の推進

 文部科学省においては,「地震予知のための新たな観測研究計画」(平成11〜15年度)に基づき,関係の国立大学等において地震予知のための基礎的研究を推進する。このため,地震発生に至る地殼活動解明のための観測研究等を推進する。

  平成13年度予算額 (1,700百万円)

  平成12年度予算額 (1,671百万円)

  差引増△減    (29百万円)

(7) 活断層等による地震発生ポテンシャル評価の研究と電磁界変動の多点計測技術および発生源同定技術の研究

 独立行政法人産業技術総合研究所においては,地震調査研究推進本部策定の「地震に関する基盤的調査観測計画」および測地学審議会の建議「地震予知のための新たな観測研究計画の推進について」に則り,1.陸域および海域における活断層の調査,2.観測強化地域及び特定観測地域における高品位地下水観測,3.活断層周辺に設置した歪計・地震計等による歪蓄積過程の把握,4.地震発生の場に近い条件での実験データを用いた地震発生サイクルのモデル化,5.平野部における地下構造調査,6.地震テクトニクス解明のための観測強化地域・特定観測地域周辺における地質図や活構造図等の作成,7.地震にともなう電磁界変動の発生源同定,発現機構の解明および地殼内空隙水の精密観測を行う。

(8) 海底地形地質構造の調査等

 海上保安庁においては,観測強化地域等における海底地形地質構造の調査,海底活構造調査及び精密海底反射強度観測,プレート境界域の地形・活断層調査,地殼変動監視観測等を行う。

  平成13年度予算額 (184百万円)

  平成12年度予算額 (181百万円)

  差引増△減    (3百万円)

(9) 地殼活動観測データの総合解析技術の開発

 国土交通省国土地理院においては,GPS等地殼活動観測データを用いて地殼の変形のモデル化及びシミュレーション技術の開発を行う。また,モデルの解析により地殼の変形等を定量的に評価し,データ取得条件及び観測点配置の最適化を行う。

  平成13年度予算額 (96百万円)

  平成12年度予算額 (112百万円)

  差引増△減    (△16百万円)

(10) 地震予知研究の推進

 地震予知連絡会(事務局:国土交通省国土地理院)においては,観測強化地域である東海・南関東地域及び8か所の特定観測地域を含む全国の地震予知観測研究に関する情報交換と学術的見地での検討を行う。また,国土交通省国土地理院においては,同連絡会に報告された観測データ等を地震予知連絡会会報として編集する。

  平成13年度予算額 (37百万円)

  平成12年度予算額 (37百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(11) 測地的方法による地殼変動調査

 国土交通省国土地理院においては,全国を対象とした高精度三次元測量,高度基準点測量等を定期的に実施するほか,全国に展開する電子基準点(GPS連続観測施設)で連続観測を行い,地殼変動の監視を実施する。また,地震予知で重要な観測強化地域及び特定観測地域において,高密度で短周期の地殼変動観測を実施するほか,御前崎地方において高精度三次元連続観測(GPS高精度比高観測)を実施する。

 さらに,機動的な地殼変動連続観測及び重要活断層の地形学的調査等を実施する。

 その他,定常観測として地磁気観測,地殼変動連続観測,潮位の連続観測及びGPS衛星の精密軌道決定を行う。

  平成13年度予算額 (1,828百万円)

  平成12年度予算額 (1,821百万円)

  差引増△減    (7百万円)

(12) 活構造調査

 国土交通省国土地理院においては,地震予知上重要な地域において,地震予知の評価精度を向上させるため,現地調査,空中写真判読,資料分析等により,変動地形の解析,活断層等の活構造調査を実施する。

  平成13年度予算額 (2百万円)

  平成12年度予算額 (2百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(13) 地殼変動データベース整備

 国土交通省国土地理院においては,測量・調査結果等についてデータベース化し,関係機関,研究者等への地震調査関連情報の提供・流通を促進する。

  平成13年度予算額 (9百万円)

  平成12年度予算額 (9百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(14) 地殼活動総合解析

 国土交通省国土地理院においては,GPS等の地殼変動観測データ等各種データを総合解析して,地殼活動の予測分析を行い,地震調査委員会における評価等に資する。

  平成13年度予算額 (90百万円)

  平成12年度予算額 (90百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(15) 干渉合成開口レーダの解析技術に関する研究

 国土交通省国土地理院においては,干渉合成開口レーダによる一次元の変位データをGPS等他の測地観測技術で得られる変位データと組み合わせて三次元的な地殼変動を検出する手法の開発について研究する。また,機動性の高い航空機搭載型合成開口レーダによる干渉技術について研究する。

  平成13年度予算額 (2百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (2百万円)

(16) 東アジア・太平洋のプレート運動及びプレート内部変形の様式に関する国際共同研究

 国土交通省国土地理院においては,地震現象の理解等に必要なプレート運動に関わる諸現象を全地球的な視点から明らかにするため,日本を取り巻くプレートの境界部・内部でGPS連続観測を行い,プレート内部変形の有無や様式について研究する。

  平成13年度予算額 (5百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (5百万円)

(17) 地震に関する調査研究

 気象庁においては,気象研究所を中心に地震に関する研究を推進する。特に,東海地域に想定される地震の予知の確度を向上させるため,地震発生過程の詳細なモデリングによる東海地震発生の推定精度向上に関する研究を行う。

  平成13年度予算額 (33百万円)

  平成12年度予算額 (51百万円)

  差引増△減    (△18百万円)

(18) 地震観測施設の整備等

 気象庁においては,地震に関する調査研究を推進するため,全国における地震観測,地殼岩石歪観測等を行うとともに観測施設の整備等を進める。また,関係機関の地震に関するデータ,地震に関する基盤的調査観測網のデータを収集し,その成果を防災情報等に活用するとともに,地震調査研究推進本部地震調査委員会に提供する。さらに,ナウキャスト地震情報(地震発生直後の即時的情報)提供の実用化調査を実施する。

  平成13年度予算額 [2,454百万円]

  平成12年度予算額 [2,322百万円]

  差引増△減    [131百万円]

(注)

 [ ]書きは3章2-2(29)に計上したものと同様である。

2-2 震災対策一般の研究

(1) 地震防災に関する研究

 独立行政法人消防研究所においては,地震防災に関し次の研究を行う。

a 消防活動支援情報システムに関する研究

 大規模災害時における消防部隊の現場対応を円滑に行うため,現場における無線通信を確保し,災害情報をリアルタイムに消防本部等へ伝達するとともに,収集された災害情報と消防水利等の防災資源を含む地理情報等を統合し,効率的な消防活動を行うために必要な情報を伝えることが可能なシステムの開発を行う。

b 地震動による小規模タンクの損傷に対する安全性評価に関する研究

 阪神・淡路大震災では小規模タンクに甚大な被害が発生したことから,地震時の浮き上がり挙動による底部破口のメカニズムを解析するとともに,小規模タンクの安全性を確保するための総合的な強度評価システムを構築する。

c 大規模災害時リアルタイム最適消防力運用システムの開発

 災害現場での効率的情報収集が可能な携帯端末と輻輳の起こらないデジタル無線システムの実用化を図るとともに,これを用いて最適消防防災活動のための支援情報をリアルタイムに伝達するシステムの開発を行う。

(2) 震災対策に関する研究

 独立行政法人防災科学技術研究所においては,次の研究を行う。

a 地震防災フロンティア研究

 兵庫県の協力のもと,兵庫県三木市の地震防災フロンティア研究センターにおいて,多分野の研究者等の連携により,都市部を中心とする地震災害の軽減に関するソフト面に重点を置いた先導的な研究を推進する。

b 実大三次元震動破壊実験施設の整備

 構造物や,地盤等の震動破壊現象を解明・予測するため,実際の地震動と同様の震動により,実大構造等を破壊させて,データを得ることができる「実大三次元震動破壊実験施設」(E-ディフェンス)の整備を推進する。

c 実大三次元震動破壊実験シミュレーション開発

 実大三次元震動破壊実験施設による実験結果を活用し,構造物の破壊現象のシミュレーションを可能とするシミュレーション・システムの開発を行う。

(3) 橋梁等の耐震設計法及び施工法に関する研究

 独立行政法人北海道開発土木研究所においては地震による構造物被害等の災害を防止するため,地震動の特性に関する研究及び地震時における基礎構造の安定に関する研究を行う。

(4) 港湾・海岸及び空港土木施設の地震災害防止に関する研究

 独立行政法人港湾技術研究所においては,港湾地域における強震観測の実施,港湾基礎地盤の地震時安定性に関する研究,港湾施設等の耐震性に関する研究等,港湾・空港,海洋の諸施設における地震災害の防止に関する研究を行う。

(5) 強震観測

 国土交通省国土技術政策総合研究所においては,土木構造物の合理的な耐震設計法を確立するため,高密度強震観測網の維持管理及び地震動の観測並びに解析を行う。

  平成13年度予算額 (12百万円)

  平成12年度予算額 (12百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(6) 耐震設計の性能規定化に関する研究

 国土交通省国土技術政策総合研究所においては,公共事業における建設コスト縮減及び設計の自由度を高めること等を目的として,部分安全係数法による耐震性能の照査法に関する研究を行う。

  平成13年度予算額 (9百万円)

  平成12年度予算額 (9百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(7) 公共土木施設に対する地震防災投資効果の評価手法に関する研究

 国土交通省国土技術政策総合研究所においては,公共土木施設の重要度に応じた耐震補強を行うための地震防災投資効果の評価手法に関する研究を行う。

  平成13年度予算額 (8百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (8百万円)

(8) 土木構造物の耐震性能評価方法に関する国際共同研究

 独立行政法人土木研究所においては,土木構造物の耐震性能設計に係わる評価方法に関し,欧米との国際共同研究を行う。

(9) 既設構造物直下地盤の液状化対策技術の開発

 独立行政法人土木研究所においては,既設構造物直下等でも現場条件の制約を受けない,地盤補強効果の高い液状化対策技術及び耐震補強技術に関する研究開発を行う。

(10) 日米共同構造実験研究

 国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所においては,災害時に適応可能な高知能建築構造システムを開発するため,高知能建築材料を用いた知的材料・構造部材の性能を把握するための研究を日米共同で行う。

  平成13年度予算額 (7百万円)*

  平成12年度予算額 (37百万円)

  差引増△減    (△30百万円)

*:

 一部,運営費交付金で実施

(11) 日欧共同耐震研究

 国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所においては,欧州と国際共通基準等の将来の統合を視野におき,日欧の耐震建築基準の比較,日欧標準架構モデルの構築等,建築物の耐震技術に関する共同研究を行う。

  平成13年度予算額 (1百万円)*

  平成12年度予算額 (7百万円)

  差引増△減    (△6百万円)

*:

 一部,運営費交付金で実施

(12) 日米共同研究

 国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所においては,日米共同で木造住宅の耐震設計法を1次元的な解析法から2・3次元モデルへ拡張し,構造性能評価手法に関する研究を行う。

  平成13年度予算額 (1百万円)*

  平成12年度予算額 (5百万円)

  差引増△減    (△4百万円)

*:

 一部,運営費交付金で実施

(13) 仮動的実験による建築物のねじれ振動に起因する破壊過程の解明

 国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所においては,災害時に適応可能な建築物の耐震性の向上させるため,ねじれ振動を伴う建築物の地震時挙動を実験的に再現し,その破壊過程の解明を図るための研究を行う。

  平成13年度予算額 (1百万円)*

  平成12年度予算額 (12百万円)

  差引増△減    (△11百万円)

*:

 一部,運営費交付金で実施

(14) 用途複合型集合住宅の建設システムの合理化

 独立行政法人建築研究所においては,ピロティ形式集合住宅の耐震性を向上させるために,崩壊原因の解明,耐震性能評価法の開発,設計・施工システムの開発を行う。

3 風水害対策

(1) 豪雨,強風及び土砂災害の対策に関する研究

 独立行政法人防災科学技術研究所においては,地すべり地形分布図の作成の推進,土砂災害の危険性評価に関する研究等を行い,これらの成果を基に土砂災害予測支援システムの開発及び災害に強い社会システムに関する実証的研究を推進する。

(2) 北海道における風水害対策に関する研究

 独立行政法人北海道開発土木研究所においては,次の研究を行う。

a 河川災害防除に関する研究

 洪水の制御・予測・河道計画・堤防強化といったハード,ソフト両面での研究を進めるとともに,河川災害情報の高度化による洪水発生時の危機管理システムの研究を行う。

b 斜面災害防止に関する研究

 積雪寒冷地における急崖斜面崩落等の災害を防止するため,岩盤崩落メカニズムの解析・検討,岩盤内地下水の挙動,岩盤風化が構造物及び環境変化へ及ぼす影響の把握,岩盤崩落監視警戒システム等に関する研究を行う。

c 農地保全に関する研究

 北海道特有の泥炭層の厚い泥炭地帯では,排水に伴い経年的に地盤沈下が生じているため,泥炭地域における農地の沈下量を推定・把握するとともに,沈下量に影響する泥炭層の性状との関連を研究し,沈下対策に資する研究を行う。

(3) 流砂系一貫した土砂移動予測モデルの開発に関する研究

 国土交通省国土技術政策総合研究所においては,土砂災害の防除のため,山地から沿岸漂砂域までの流砂系一貫した土砂移動予測モデルの開発に関する研究を行う。

  平成13年度予算額 (13百万円)

  平成12年度予算額 (13百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(4) 少子高齢社会における災害に係る構造分析と情報資源の活用に関する研究

 国土交通省国土技術政策総合研究所においては,土砂災害・河川災害防除のため,少子高齢の地域社会で避難・防災活動を効果的に行うための提供情報に関する研究を行う。

  平成13年度予算額 (13百万円)

  平成12年度予算額 (13百万円)

  差引増△減    (0百万円)

4 火山災害対策

(1) 火山噴火予知に関する研究

 独立行政法人防災科学技術研究所においては,火山噴火調査研究を強化しつつ推進するため,富士山,三宅島,伊豆大島等の火山活動に関する観測研究を行う。

 また,火山専用空中赤外映像装置による観測研究を行う。これらの観測研究により火山と関連した地震・地殼変動などの活動評価手法を確立する。

(2) 火山噴火予知に関する基礎的研究

 文部科学省においては,「第6次火山噴火予知計画」(平成11〜15年度)に基づき,観測研究を実施し,火山噴火予知高度化のための基礎的研究を推進する。

  平成13年度予算額 [270百万円]

  平成12年度予算額 [266百万円]

  差引増△減    (4百万円)

(注)

 [ ]のうち47百万円は2章2-1(6)の再掲である。

(3) 火山噴火予知に関する研究

 独立行政法人産業技術総合研究所においては,火山噴火予知研究の推進のため,活動的火山の地質学的調査および観測研究を行う。

(4) 火山噴火予知に関する研究

 国土交通省国土地理院においては,火山噴火予知の基礎資料とするため,火山変動測量及び機動連続観測を行う。

  平成13年度予算額 (11百万円)

  平成12年度予算額 (11百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(5) 海底火山噴火予知の推進

 海上保安庁においては,航空機による南方諸島及び南西諸島方面の海底火山活動海域の温度分布,火山性変色水の分布等の調査及び磁気測量を行うとともに,ハイドロホンアレイを用いた海域火山リアルタイム監視システムによる監視を行う。

 さらに,海域における火山噴火の予知に関する的確な情報収集と提供を図るため,海域火山基礎情報の整備を引き続き行う。

  平成13年度予算額 (13百万円)

  平成12年度予算額 (13百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(6) 火山噴火予知に関する研究

 気象庁においては,気象研究所を中心に火山活動を客観的に評価する手法を開発する為の火山評価手法に関する研究等を推進する。また,火山噴火予知連絡会を通じて,関係機関と緊密な連携を図り,火山噴火予知に関する研究を推進する。

  平成13年度予算額 (29百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (29百万円)

(7) 火山観測施設の整備等

 気象庁においては,火山噴火予知に関する研究を推進するため,火山常時観測,火山機動観測,火山観測施設の整備等を行うほか,本庁(東京)及び札幌・仙台・福岡管区気象台に火山監視・情報センターを整備し,データ処理と異常検知及び迅速な情報提供を行うシステムを整備する。

  平成13年度予算額 [2,034百万円]

  平成12年度予算額 [417百万円]

  差引増△減    [1,617百万円]

(注)

 [ ]書きは,3章4-2(5)に計上したものと同様である。

5 雪害対策

(1) 雪氷災害の発生予測に関する研究

 独立行政法人防災科学技術研究所においては,より高度化された積雪変質モデルを作成するための研究を行うとともに,降雪分布モデル,積雪変質モデルを基にした高精度な雪氷災害の発生予測及びその情報提供に関する研究を推進する。

(2) 雪害に関する研究等

 文部科学省においては,国立大学の研究所等で,雪崩に関する基礎的研究等を行う。

  平成13年度予算額 (6百万円)

  平成12年度予算額 (6百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(3) 北海道における雪害対策

 独立行政法人北海道開発土木研究所においては,冬期道路交通の安全確保を目的として,冬期交通事故の特性や路面管理の問題点を把握し対策を検討するとともに,安全性が期待できる走行支援システムの開発及びインターネット技術を活用した道路情報システムの開発に関する研究を行う。

6 火災対策

(1) 火災に関する一般的研究

 消防庁及び独立行政法人消防研究所においては,火災の予防,警防に関し次の研究を行う。

a 中高層建物における延焼性状に関する研究

 独立行政法人消防研究所において,中高層共同住宅火災における火災性状及び上階への延焼性状を解明し,延焼拡大防止上,避難安全上さらには消防活動上有効な対策を確立するための研究を行う。

b 住宅火災総合監視システムの開発

 独立行政法人消防研究所において,住民が自主的に住宅防火対策を行える環境を整備し,住宅火災による死者の低減を図るため,住宅の居住空間に自主的に設置しやすくかつ機能の維持管理が容易な住宅用火災総合監視システムの開発を行う。

c ウォーターミストによる消火の研究

 独立行政法人消防研究所において,消火に伴う水損の軽減,水の持つ高い消火性能をハロン代替として活用する等の観点から,ウォーターミストによる消火設備について,火災の各段階における燃焼条件に適した消火機構を検討,モデル化を行う。

d 林野火災の発生予測と拡大シミュレーションシステムの開発

 独立行政法人消防研究所において,過去の林野火災,地形のデータベース,オンライン気象情報等を活用し,林野火災の発生危険度を予測するシステム及び最も効果的な火災拡大防止策を講じるためのシミュレーションシステムの開発を行う。

e 建物火災の映像情報等のデータベース化に関わるプロトコルの構築

 独立行政法人消防研究所において,消防職員等が建物火災に関する技術的情報を容易に得ることのできる共通データベースのアクセス手続き(プロトコル)を構築するとともに,当該データベースを利用して仮想現実空間での疑似火災体験が可能なシステムの開発を行う。

(2) 火災に関する一般的研究

 防火対象物の火災危険性に応じた総合防火安全設計法に関する研究

 消防庁において,新技術の円滑な導入等や技術基準の性能規定化が求められている状況にかんがみ,防火対象物の火災危険性に応じて消防用設備等・防火管理・建築構造等を総合的に勘案した防火安全設計手法に関する研究を行う。

  平成13年度予算額 (131百万円)

  平成12年度予算額 (112百万円)

  差引増△減    (19百万円)

(3) 日米共同防火実験研究

 国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所においては,住宅密集市街地等の火災拡大を及ぼす風の影響等の実験的シミュレーション等により,住宅個々の防火対策や都市的な防災対策等に資する研究を日米共同で行う。

  平成13年度予算額 (1百万円)*

  平成12年度予算額 (7百万円)

  差引増△減    (△6百万円)

*:

 一部,運営費交付金で実施

7 危険物災害対策

(1) 材料安全使用のための材料リスク情報プラットフォーム開発に関する研究

 独立行政法人物質・材料研究機構においては,火力発電プラントや化学プラント等の構成材料を対象として,受容可能なリスク目標値に対して材料を安全に使用できる指針を出すことのできる,情報プラットフォームの開発のための研究を行う。

(2) 爆発防止等に関する研究

 液化石油ガス供給事業安全管理技術開発

 経済産業省においては,液化石油ガス設備の腐食等による事故を防止するため,供給・消費設備の維持管理技術等に関する調査研究等を行う。

  平成13年度予算額 (105百万円)

  平成12年度予算額 (224百万円)

  差引増△減    (△119百万円)

(3) 危険物災害の防止に関する研究

 消防庁及び独立行政法人消防研究所においては,危険物災害の防止に関し次の研究を行う。

a 国際標準化の動き等に向けての危険性物資の試験方法確立

 独立行政法人消防研究所において,最近のIT革命によるコンピュータ,半導体関連産業の発展等に伴い,急速に利用が進められている危険性が十分に評価されていない化学物質について,危険性を適正に判定する試験方法を確立する。

b 危険物施設に係る新しい安全性評価手法等に関する調査検討及び国連危険物輸送専門家委員会への参画

 消防庁において,諸外国の安全性に関する考え方,性能規定,リスクアセスメント等の新しい安全性評価手法等に関する調査・検討を行う。また,国連危険物輸送専門家委員会に参画する。

  平成13年度予算額 (16百万円)

  平成12年度予算額 (14百万円)

  差引増△減    (2百万円)

8 原子力災害対策

(1) 原子力の開発利用に係わる安全確保のための研究

 文部科学省においては,独立行政法人放射線医学総合研究所,日本原子力研究所,核燃料サイクル開発機構等において,原子力施設等安全研究,環境放射能安全研究及び放射性廃棄物安全研究を行う。

  平成13年度予算額 (24,807百万円)

  平成12年度予算額 (22,848百万円)

  差引増△減    (1,960百万円)

9 その他の災害対策

(1)

 衛星利用の高度化・普及促進のための調査研究

 総務省においては,大規模な災害等の発生時に,より効果的,迅速な対策を行うため,衛星通信ネットワークを活用した災害対応システムに関する検討を実施する。

  平成13年度予算額 (11百万円)

  平成12年度予算額 (11百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(2)

 地球科学技術に関連した防災科学技術

 独立行政法人防災科学技術研究所においては,次の研究を行う。

a

 全球水文過程における災害予測に関する研究

 温暖化等気候変動に伴う災害の未然防止に資するため,全球水文過程変化と災害ポテンシャルを予測するための数値シミュレーションモデルの開発等の研究を行う。また,数値モデルの高度化に必要な熱帯域,雪氷域における観測研究及び地表面乱流風洞等を用いた実験研究を行う。さらに,降水量変動,海面変動の実態把握等によるそれらの変動の災害への影響評価に関する研究を行う。

b

 衛星搭載レーダ等による災害・地球環境変動の観測研究

 地球規模の環境変動を広域的に把握し,災害状況等を観測・監視するシステム構築に資するため,マイクロ波センサーによるリモートセンシング技術の研究を行う。

(3)

 深海地球ドリリング計画の推進

 海洋科学技術センターにおいては,マントルに到達する掘削能力を有する地球深部探査船を開発し,関係機関との連携及び国際協力運用により,地球深部を探査し,地球環境変遷,地球内部構造の解明等を行う「深海地球ドリリング計画」を推進する。

  平成13年度予算額 (7,624百万円)

  平成12年度予算額 (7,468百万円)

  差引増△減    (156百万円)

(4)

 海洋底ダイナミクスの研究

 海洋科学技術センターにおいては,「かいれい」等の深海調査システムにより,海洋プレートのダイナミクスを解明し,海底下で起こる様々な地殼活動を定量的に評価することを目的とする海洋底ダイナミクス研究を実施する。

  平成13年度予算額 (100百万円)

  平成12年度予算額 (122百万円)

  差引増△減    (△22百万円)

(5)

 漁船の転覆事故防止に関する研究

 独立行政法人水産総合研究センターにおいては,漁船の省エネルギーのための船型改良に伴う転覆事故防止のための研究を行う。

(6)

 気候変動に関する研究

 独立行政法人水産総合研究センター,気象庁気候・海洋気象部,気象庁気象研究所においては,気候モデルの高度化に資するため,科学技術振興調整費により「北太平洋亜寒帯循環と気候変動に関する国際共同研究」を行う。

(7)

 独立行政法人農業工学研究所等においては,集中豪雨によるため池及び農・林地地すべりの災害発生機構の解明と予測技術の開発を行う。

(8)

 先端技術を活用した国土管理技術の開発

 国土交通省国土技術政策総合研究所及び国土地理院並びに独立行政法人土木研究所及び独立行政法人建築研究所においては,防災,災害対策,環境保全等の課題に対し,GISやセンサーなどの先端技術を活用した国土全体に対する広域的かつ定常的な監視・管理を実現する国土管理技術の高度化のための研究開発を行う。

  平成13年度予算額 (87百万円)*

  平成12年度予算額 (142百万円)

  差引増△減    (△54百万円)

*:

 一部,運営費交付金で実施

(9)

 災害等に対応した人工衛星利用技術に関する研究

 国土交通省国土技術政策総合研究所及び国土地理院並びに独立行政法人土木研究所及び独立行政法人建築研究所においては,人工衛星技術を活用した災害情報・環境情報の収集,建設分野における情報活用技術を研究して,リモートセンシングの実用化に関する研究を行う。

  平成13年度予算額 (143百万円)*

  平成12年度予算額 (204百万円)

  差引増△減    (△61百万円)

*:

 一部,運営交付金で実施

(10)

 リアルタイム災害情報技術の高度化に関する研究

 国土交通省国土技術政策総合研究所においては,洪水災害等の発生予測,地震被害の把握,危険度評価情報をインターネット等の最新情報技術を活用して,地域住民,自治体,施設管理者等に対してリアルタイムに提供する技術に関する研究を行う。

  平成13年度予算額 (30百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (30百万円)

(11)

 まちづくりにおける防災評価・対策技術の開発

 国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所においては,延焼遮断帯・避難地・避難路対策などの都市計画的防災対策に加えて,地区内の施設などや耐火性能を有する建築物等による延焼抑止効果の明確化,地区防災性能の評価手法の整備,地区防災性能向上のための効果的対策技術の研究開発を行う。

  平成13年度予算額 (110百万円)*

  平成12年度予算額 (167百万円)

  差引増△減    (△57百万円)

*:

 一部,運営費交付金で実施

(12)

 多国間共同研究

 国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所においては,国内外の性能評価モデル・建築規制制度等の検討を行い,建築物の基準に係わる合理的な性能評価法・表示法の標準化等を国際的な協調の下に作成するための研究を行う。

  平成13年度予算額 (6百万円)*

  平成12年度予算額 (9百万円)

  差引増△減    (△3百万円)

*:

 一部,運営交付金で実施

(13)

 地震時の人的被害と都市構造の関連分析による都市防災性向上技術の開発

 国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所においては,阪神・淡路大震災時のGIS上の建築物被災状況に,死亡原因・重傷者等の情報を付加して詳細に分析し,地震時の人的被害と都市構造の問題に関する情報基盤を構築する。

  平成13年度予算額 (5百万円)*

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (5百万円)

*:

 一部,運営交付金で実施

(14)

 地球科学技術に関連した防災科学技術

 独立行政法人国立環境研究所においては,地球温暖化やオゾンホールの形成に関与する対流圏および成層圏の各種微量気体成分のモニタリング技術の高度化・精緻化に資するため,「地球環境遠隔探査技術等の研究」の一環として「イメージングフーリエ変換赤外分光計に関する研究」を行う。

第3章 災害予防

1 災害一般共通事項

1-1 教育訓練

(1) 警察庁における教育訓練

 警察庁においては,次の訓練を行う。

  平成13年度予算額 (66百万円)

  平成12年度予算額 (104百万円)

  差引増△減    (△38百万円)

a 災害警備担当幹部教養及び大規模災害警備訓練

 都道府県警察の災害警備担当幹部の集合教養,都道府県警察の幹部に対する自然災害及び各種事故災害発生時の災害応急対策等について教育訓練を行う。また,阪神・淡路大震災の教訓等を踏まえた大震災対策総合警備訓練をはじめ,管区警察局及び都道府県警察単位で大規模災害警備訓練を行う。

b 災害救助のための特殊技術訓練

 被災者の救助活動に必要な特殊技術を体得させるため,都道府県警察から適任者を選定して,レンジャー訓練を行う。

c 災害警備通信訓練

 災害発生時におけるより迅速な映像情報等の確保のため,ヘリコプターテレビ等の各種情報通信システムを活用した実践的な災害警備通信訓練を行う。

(2) 防衛庁における教育訓練

 防衛庁においては,平素から部隊の災害対処能力を高めるため,人命救助システムを使用する都市型災害対処訓練,堤防の補習等を行う風水害対処訓練等を実施するほか,離島や孤立した沿岸地域等における大規模災害対処訓練に係る経費を計上している。

  平成13年度予算額 (723百万円)

  平成12年度予算額 (738百万円)

  差引増△減    (△15百万円)

(3) 総務省における非常通信訓練等の指導

 総務省においては,災害時の非常通信の円滑な疎通を図るため,非常通信協議会に対し非常通信体制の整備について指導を行うほか,無線局の免許人に対しても非常通信の訓練の実施及び通信施設の総点検について指導を行う。

  平成13年度予算額 (21百万円)

  平成12年度予算額 (21百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(4) 日本放送協会における教育訓練

 日本放送協会(以下「NHK」という。)においては,災害時の放送及び受信を確保するため,防災に関する教育訓練及び防災知識の普及を行う。

  平成13年度予算額 (25百万円)

  平成12年度予算額 (25百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(5) 消防庁における教育訓練

a 消防庁消防大学における教育訓練

 消防庁消防大学校において,国,都道府県の消防の事務に従事する職員及び市町村の消防職団員に対し火災,風水害,震災等の各種災害の防止や災害時の避難誘導,救助・救急等の応急対策に関する高度の知識及び技術の教育訓練を行う。

 また,都道府県及び市町村の防災担当者に対し広域的な消防防災に関する実務講習等を行う。

b 防災訓練の実施の推進

 地方公共団体が,地域防災計画に従い,各種の災害や様々な条件を想定して,関係機関及び地元住民と連携した総合防災訓練や広域訓練,参集訓練,情報伝達訓練など実践的な訓練を実施するよう要請・助言等を行う。

  平成13年度予算額 (206百万円)

  平成12年度予算額 (206百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(6) 法務省における教育訓練

 法務省においては,災害等非常事態における法務省関係機関相互の情報連絡手段を確保し,災害情報等を迅速かつ確実に収集・伝達するため,衛星通信センター局設備及び衛星通信可搬局装置等で構成される「法務省緊急連絡体制網」通信訓練を行う。

  平成13年度予算額 (27百万円)

  平成12年度予算額 (28百万円)

  差引増△減    (△1百万円)

(7) 安全教育の充実

 文部科学省においては,学校における安全教育の充実を図るため,研修会(独立行政法人教員研修センターで実施)の開催,安全教育教材の作成等を行う。

  平成13年度予算額 (70百万円)

  平成12年度予算額 (73百万円)

  差引増△減    (△3百万円)

(8) 都道府県の災害救助対策事業に対する補助

 厚生労働省においては,都道府県が行う市町村災害救助法担当職員に対する研修等の災害救助対策事業に要する経費について補助を行う。

  平成13年度予算額 (38百万円)

  平成12年度予算額 (38百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(9) 日本赤十字社の救護員養成事業に対する補助

 厚生労働省においては,日本赤十字社の非常災害に係る救護班要員等に対する研修に要する経費について補助を行なう。

  平成13年度予算額 (19百万円)

  平成12年度予算額 (19百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(10) 国土交通省国土交通大学校における教育訓練

 国土交通省国土交通大学校においては,国土交通行政を担当する国,地方公共団体,公団等の職員に対し,防災・災害対策及び災害復旧事業に関する専門知識・技術について研修を実施する。

 また,大規模災害・事故等への的確な対応を図る上で必要な,高度で総合的な知識の修得及び危機管理能力の向上を目的とする「建設企画III」研修を実施する。

(11) 海上保安庁における教育訓練等

 海上保安庁においては,関係機関とも連携を図り,巡視船艇,航空機等による総合的かつ実践的な各種災害対策訓練を行うほか,機動防除隊,特殊救難隊等を対象とした高度な防災技術・救難技術の訓練・研修を努める。

 また,海難の未然防止及び海上災害の予防に資するため,海難防止講習会等を開催するほか,タンカー等危険物積載船舶の乗組員等の海事関係者を対象に訪船指導,タンカーバースの点検等を行うとともに,カーフェリー等旅客船の事故対策訓練を実施し,運航関係者に対して事故時の措置等について指導する。

(12) 気象庁における教育訓練

 気象庁においては,各地で防災気象講演会を主催するとともに,職員を各種講習会等に出席させ気象等に関する知識の普及等の周知を図る。また,防災機関の担当者を対象に予報,警報その他の情報の伝達等に関する説明会を適宜開催する。一方,気象大学校大学部及び研修部で,それぞれ気象業務遂行に必要な知識及び技術の教育を行い,職員の資質の向上を図る。

  平成13年度予算額 (152百万円)

  平成12年度予算額 (153百万円)

  差引増△減    (0百万円)

1-2 防災施設設備の整備

(1) 中央防災無線網の整備

 非常災害時における情報の収集・伝達に不可欠な中央防災無線網の体制強化のための無線設備等の整備,総理大臣官邸整備に伴う中防災無線網の充実強化,危機管理職員宿舎との通信手段の整備等を行う。

  平成13年度予算額 (1,763百万円)

  平成12年度予算額 (1,893百万円)

  差引増△減    (△130百万円)

(2) 災害警備活動用資機材の整備

 警察庁においては,都道府県警察の災害警備活動に必要なヘリコプター等の整備を行う。

  平成13年度予算額 (2,351百万円)

  平成12年度予算額 (2,330百万円)

  差引増△減    (21百万円)

(3) 警察情報通信システムの整備

 警察庁においては,災害発生現場等におけるより迅速な情報収集活動や通信手段の確保のため,可搬型衛星通信設備の整備を推進する。また,気象状況の変化に即応した気象情報を各防災機関において共有し相互の連絡を図る緊急防災情報システムの整備を行う。

  平成13年度予算額 (409百万円)

  平成12年度予算額 (42百万円)

  差引増△減    (367百万円)

(4) 防災まちづくり事業の推進

 総務省及び消防庁においては,地域の特性と自主性に応じた災害に強い安全なまちづくりを進めるため,防災まちづくり事業として地方公共団体が行う防災センター,防災無線施設等の消防防災施設,避難路,避難地等の防災基盤及び拠点避難地等震災対策に有効な施設・設備の計画的な整備を推進する。

(5) 地域衛星通信ネットワーク整備構想の推進

 総務省及び消防庁においては,防災行政無線の機能拡充や通信ルートの多重化を図ることを目的とした地域衛星通信ネットワーク整備構想を推進するため,地域情報通信基盤整備事業を活用して,地方公共団体における衛星通信地球局の整備を進める。

(6) 緊急防災基盤整備事業の推進

 総務省及び消防庁においては,大規模な地震等の発生時に住民の安全が確保できるよう緊急に防災機能の向上を図るため,以下の事業を推進する。

a 公共施設等の耐震改修

 避難地や災害対策拠点等となる公共・公用施設,不特定多数の者が利用する公共施設について耐震性の強化を図る。

b 防災基盤の整備

 防災拠点,ヘリポート,防災情報通信施設等,地域防災計画に基づき整備すべき防災基盤の整備を推進する。

(7) 消防防災無線通信設備の整備

 消防庁においては,災害情報等を迅速かつ的確に収集・伝達するため,次のとおり,消防防災無線通信施設の整備を推進する。

a 国・都道府県・市町村相互間を結ぶ消防防災無線の充実強化

 災害時における国・都道府県・市町村相互間における情報の収集伝達の確実化及び迅速化を推進するため,全国的な消防防災通信ネットワークの整備等機能の高度化に努める。

b 市町村防災行政無線の整備促進

 住民に対して情報の一斉伝達を行う同報系無線,防災関係機関の相互連絡に活用できる地域防災無線など,市町村防災行政無線網整備を国庫補助金及び単独事業に対する支援により推進する。

  平成13年度予算額 (2,684百万円)

  平成12年度予算額 (2,556百万円)

  差引増△減    (128百万円)

(8) 画像伝送システムの整備

 消防庁においては,災害による被害状況を早期にかつ正確に把握し,迅速かつ的確な防災活動を展開することを可能にするため,高所監視カメラやヘリコプターテレビ伝送システムからの映像を消防本部において即座に把握し,その映像情報を国,都道府県及び他の消防本部等へ伝送するための施設整備を推進する。また,機動性のある可搬型衛星地球局と可搬型ヘリコプターテレビ受信装置で構成され,山間部の災害でもリアルタイムでの映像情報を送信できる可搬型画像伝送システムの導入を推進する。

  平成13年度予算額 (678百万円)

  平成12年度予算額 (676百万円)

  差引増△減    (2百万円)

(9) コミュニティ防災資機材等の整備

 消防庁においては,地域の防災体制の強化を図るため,地方公共団体に対する補助により,自主防災組織等が使用する資機材等の整備を促進する。

  平成13年度予算額 (61百万円)

  平成12年度予算額 (82百万円)

  差引増△減    (△21百万円)

(10) 救急用ヘリコプター離着陸場の整備

 消防庁においては,山間地,離島等におけるヘリコプターによる救急患者の搬送の救急用ヘリコプター離着陸場の整備について,地方公共団体に対し補助を行う。

  平成13年度予算額 (15百万円)

  平成12年度予算額 (15百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(11) 救助・救急施設設備の整備

 消防庁においては,災害の複雑多様化に対応して救助体制の整備・拡充を図るため,救助工作車及び救助資機材等の整備について,地方公共団体に対し補助を行う。

 また,救急業務の高度化を推進し,傷病者の救命効果をより一層向上させるため,救急隊員が高度な応急処置等を行うために必要となる高規格救急自動車及び高度救命処置用資器材の整備について,地方公共団体に対し補助を行う。

  平成13年度予算額 (1,080百万円)

  平成12年度予算額 (1,104百万円)

  差引増△減    (△24百万円)

(12) 緊急消防援助隊関係資機材の整備

 消防庁においては,国内の大規模災害発生時における人命救助活動及び消火活動等を迅速かつ効果的に行う全国の消防機関相互の援助体制として創設された緊急消防援助隊の整備拡充を図るため,緊急消防援助隊が使用する災害対応のための特殊な救助工作車,救急自動車,支援車の車両及びそれらに積載する高度な資機材の整備について,地方公共団体に対し補助を行う。

 さらに緊急消防援助隊の体制強化のため,新たに消防庁登録制とした消火部隊,特殊災害部隊及び新たに創設された航空部隊,水上部隊の充実を図るため災害対応のための特殊な消防ポンプ自動車,化学消防ポンプ自動車,はしご付消防ポンプ自動車の車両,及びヘリコプター,ヘリコプターテレビ電送システム,消防艇の整備について,地方公共団体に対し補助を行う。

  平成13年度予算額 (2,446百万円)

  平成12年度予算額 (1,074百万円)

  差引増△減    (1,372百万円)

(13) 電気通信網の確保等

 NTTグループ各社においては,安定した電気通信サービスの提供を確保するため,都市部におけるとう道の建設等による災害に強く信頼性の高い通信設備を構築や移動電源車の配備等による重要通信を確保するための早期復旧対策を実施するとともに,円滑かつ適切な災害対策を遂行できるよう十分な連携・協力を行う。

 また,大規模災害発生時の被災地との円滑な安否確認等に利用できる「災害用伝言ダイヤル」の社会への一層の定着を推進する。

 KDDIにおいては,伝送路の多ルート化,設備の二重化及び分散化,通信局舎の耐震対策等信頼性向上対策を推進する。

(14) NHKにおける非常用電源設備等の整備

 NHKにおいては,放送局の非常用電源設備等の整備を図る。

  平成13年度予算額 (14百万円)

  平成12年度予算額 (9百万円)

  差引増△減    (5百万円)

(15) 貴重な文化財の保存機能の強化(埋蔵文化財センターの建設)

 文化庁においては,防災機能に配慮した施設を前提に,埋蔵文化財保護行政も積極的に進めるため,地域の実情に則した特色ある拠点施設を整備するための補助を行う。

  平成13年度予算額 (589百万円)

  平成12年度予算額 (663百万円)

  差引増△減    (△74百万円)

(16) 日本赤十字社への災害球護活動用通信指令車輌整備費補助

 厚生労働省においては,日本赤十字社に対し災害救護活動用通信指令車輌を整備するための補助を行う。

  平成13年度予算額 (32百万円)

  平成12年度予算額 (32百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(17) 災害拠点病院の整備

 厚生労働省においては,都道府県が行う災害時の患者受入機能(ヘリポート等)水・医薬品・医療材料の備蓄機能等を備え,耐震性能が強化された災害拠点病院の整備について補助を行う。

  平成13年度予算額 (1,619百万円)

  平成12年度予算額 (2,047百万円)

  差引増△減    (△428百万円)

(18) 広域災害・救急医療情報システムの整備

 厚生労働省においては,都道府県が既存の救急医療情報センター事業を再編強化し,災害時において医療機関の稼働状況,医師・看護婦等スタッフの状況,医療ボランティアの確保・受入れ機能等災害医療にかかる総合的な情報収集を行うため,厚生労働省,保健所,消防本部,病院等とのネットワーク化を図るための整備について補助を行う。

  平成13年度予算額 (1,262百万円)

  平成12年度予算額 (1,243百万円)

  差引増△減    (19百万円)

(19) 緊急時の農業水利施設の活用

 農林水産省においては,農業水利施設から,緊急時の消防用水,生活用水の取水を可能とするための防火水槽,吸水枡,給水栓等の施設整備を行う。

  平成13年度予算額 (255百万円)*

  平成12年度予算額 (360百万円)*

  差引増△減    (△105百万円)*

 (*(20) 渇水対策のための農業水利施設整備に係る予算を含む)

(20) 渇水対策のための農業水利施設整備

 農林水産省においては,渇水の頻発している地域において,渇水時に農業用水を有効利用するための堰,揚水機場,ファームポンド等の施設整備を行う。

  平成13年度予算額 (255百万円)*

  平成12年度予算額 (360百万円)*

  差引増△減    (△105百万円)*

 (*(19) 緊急時の農業水利施設の活用に係る予算を含む)

(21) 漁港漁村の防災対策

 農林水産省においては,背後に山が迫っているような地形条件にあり,地震,津波等の災害を受けやすい漁港漁村の防災対策を次のとおり推進する。

  平成13年度予算額 (20,602百万円)

  平成12年度予算額 (20,464百万円)

  差引増△減    (138百万円)

a 災害に強い漁港漁村づくり事業

 地震・津波等の災害が予想される漁業集落の防災対策等に資するため,漁港施設の耐震性の確保及び液状化対策,避難道路,避難広場等の整備を推進する。

b 防災拠点漁港の整備

 地域の防災安全性の向上に資するため,災害時の救援活動,緊急輸送等の拠点となる防災拠点漁港を,耐震性に配慮した岩璧,輸送施設等の漁港整備を実施する。

(22) 食糧等の備蓄

 農林水産省においては,乾パン及び乾燥米飯約10万4千食の更新等を行い,全国8地区に約26万食を備蓄し,災害時の応急食糧として円滑な供給を図る。

  平成13年度予算額 (11百万円)

  平成12年度予算額 (12百万円)

  差引増△減    (△1百万円)

(23) 情報収集・伝達体制の整備

 農林水産省においては,今後の災害に備えた確実な情報体制を確保するため,災害に強い通信手段として農林水産本省と各地方農政局等とを結んだ衛星通信施設等を整備するとともに,各地方農政局の災害対策本部としての機能強化を図る。

  平成13年度予算額 (23百万円)

  平成12年度予算額 (23百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(24) 農山村の防災機能強化の促進

 農林水産省においては,災害に強く安心して暮らせる村づくりを推進するため,緊急的に次の施設等の整備を図る。

  平成13年度予算額 (15,137百万円)

  平成12年度予算額 (4,164百万円)

  差引増△減    (10,973百万円)

a 避難路及び避難地等の確保

 緊急車両の通行及び避難路の確保のための農道,農業集落道及び林道,災害時の避難地や災害対策拠点として活用するため場外離着陸場等としても利用できる農村公園緑地等集落の安全性の確保に資する施設の整備を図る。

b 消防用施設等の確保

 防火用水が確保されていない地域において防火用水や防火水槽等の整備を図る。

c 集落の防災施設整備

 老朽ため池の改修,地すべり工,土留工及び雨水排水路等の集落の安全確保のため必要な施設,電柱の倒壊による被害を防止するため電線類の地中化及び地震等防災上補強が必要な既存の橋梁等の公共施設の整備を図る。

d 災害情報の伝達施設の確保場所

 住民に対する農業情報の提供とともに災害時の情報伝達を行うことが可能なCATV及び防災無線の整備を図る。

(25) 防災情報システムの整備

 国土交通省においては,災害時の防災情報を迅速かつ的確に収集,分析,提供し円滑な防災活動を行うために,北海道開発局のコンピューター・ネットワークと携帯型パソコンにより情報伝達を行う防災情報システムの整備及び防災情報データベースを構築する。

  平成13年度予算額 (12百万円)

  平成12年度予算額 (12百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(26) 河川・道路管理用無線通信設備の整備

 国土交通省においては,次の無線通信設備の整備を行う。

a 多重無線通信設備

 災害時の信頼性向上及びヘリコプター画像の伝送等通信内容の多様化・大容量化に対処するため,本省,地方整備局,事務所及び出張所間を連絡する多重無線回線のディジタル化整備及び通信容量の増強を行う。

b 移動無線通信設備

 移動通信の高度化として,複信方式による通話,データや写真の伝送が可能な移動通信システム(K-COSMOS)の整備を行う。

 また,ヘリコプター画像固定受信設備及び可搬型受信設備の整備を行う。

c 衛星通信設備

 衛星通信車及び衛星小型画像伝送装置(Ku-SAT)整備を行う。

(27) 宅地防災工事資金融資

 住宅金融公庫においては,宅地造成等規制法,急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律又は建築基準法による勧告又は命令を受けて,擁壁又は排水施設の設置,改造等を行う宅地防災工事に対して必要な融資を行う。

(28) SA,PA等における緊急離着陸用ヘリポートの整備

 国土交通省においては,高速道路内等での災害の発生時や交通事故が発生した場合に,その被害を最小限に抑え迅速な救助,救急活動を支援するため,ヘリコプターを活用して負傷者を発生現場から高次医療施設まで早期に搬送する緊急離着陸用ヘリポートをSA,PA等において整備を進め,さらにこれと一体となった道路整備を図る。

(29) 巡視船艇の整備等

 海上保安庁においては,次のとおり巡視船艇等の整備を行う。

a 巡視船艇・航空機等の整備

 継続分も含め,ヘリコプター1機搭載型巡視船,大型巡視船等の整備を行う。

b 通信施設の整備

 昨年度に引き続き,老朽化した陸上通信回線の抜本的な見直しを行い,大容量高速データ通信に対応でき,耐震性の高い高度情報通信網の整備を実施する。

c 電子海図システムの整備

 航海の安全に必要な情報を表示できる電子装置に必要な航海用電子海図を作成するためのシステム整備及び同図の刊行を引き続き行う。

d 航路標識の整備

 引き続き灯台,灯浮標等の航路標識の整備を行う。

  平成13年度予算額 (61,064百万円)

  平成12年度予算額 (61,489百万円)

  差引増△減    (△425百万円)

(30) 海上防災体制の整備

 海上保安庁においては,油排出事故,海上火災等の海上災害や海難に対処するため,防災資機材の整備,機動防除隊及び特殊救難体制の充実強化,巡視船艇の配備等を図る。また,船舶所有者,油保管施設の設置者等に排出油防除資機材の整備,排出油の防除に関する協議会の組織化・広域化の推進等防災体制の整備,海上災害防止センターの行う防災措置等の各種事業に対し指導等を行う。

  平成13年度予算額 (80百万円)

  平成12年度予算額 (379百万円)

  差引増△減    (△299百万円)

(31) 気象観測施設の整備等

 気象庁においては,台風,豪雨,豪雪等の自然現象による災害の防止・軽減を図るとともに,国際協力を行うため,主に次の整備を行う。

  平成13年度予算額 (18,970百万円)

  平成12年度予算額 (20,106百万円)

  差引増△減    (△1,136百万円)

a 静止気象衛星業務の整備

 静止気象衛星5号の運用等を行うとともに,運輸多目的衛星新1号及び運輸多目的衛星新2号の製作等を行う。

b 地上気象観測施設・地域気象観測施設の整備

 日々の天気予報,気候値など最も基本的な気象資料として多方面に利用されている地上気象観測の精度向上を図るため,地上気象観測装置10台の更新を行う。

 また,自動観測の結果を即時に集配信する地域気象観測システム(アメダス)の観測精度の向上を図るため,積雪深計14か所の更新を行う。

c 気象資料伝送網(沖繩Lアデス)の更新整備

 時間的・空間的にきめ細かい量的予報の推進をはじめ,防災情報の高度化等のために沖繩地方気象台管内に,伝送網の高速化と端末コンピュータの処理能力等を強化した気象資料伝達網(沖繩Lアデス)を更新・整備する。

1-3 災害危険地住宅移転等

(1) 防災集団移転促進事業

 国土交通省においては,防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律に基づき,災害の発生した地域又は建築基準法第39条第1項の災害危険区域のうち,住民の居住に適当でない地域内にある住居の集団的移転を促進する。

  平成13年度予算額 (45百万円)

  平成12年度予算額 (44百万円)

  差引増△減    (1百万円)

(2) がけ地近接等危険住宅移転事業

 国土交通省においては,がけ地の崩壊,津波等により住民の生命に危険を及ぼすおそれのある区域に存する危険住宅の移転を促進するため,移転者に補助金を交付する地方公共団体に対して補助を行い,800戸の危険住宅の移転を実施する。

 なお,平成13年度に土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に基づき指定する「土砂災害特別警戒区域」を事業の対象区域に追加する。

  平成13年度予算額 (794百万円)

  平成12年度予算額 (803百万円)

  差引増△減    (△9百万円)

1-4 その他

(1) 国連を中心とした国際防災体制との連携等

 内閣府においては,関係省庁との連携のもと,国際防災10年を継承した「国際防災戦略」活動等を通して防災に関する国際機関等と協調して国際防災協力を推進するほか,2国間防災協力を推進する。

  平成13年度予算額 (58百万円)

  平成12年度予算額 (60百万円)

  差引増△減    (△2百万円)

(2) 災害対策の推進

a 地震防災対策強化地域判定会招集連絡報等の連絡体制の整備等

 地震防災対策強化地域判定会が招集された旨の連絡等を夜間及び休日においても確実に受理し,関係職員に迅速に伝達するために必要な情報連絡要員を常駐させ,情報連絡体制の整備を図る。

  平成13年度予算額 (39百万円)

  平成12年度予算額 (39百万円)

  差引増△減    (0百万円)

b 災害対策総合推進調整費による調査等

 災害対策の総合的な推進を図るため実施する防災に関する調査,総合防災訓練等の事業を行う。

  平成13年度予算額 (305百万円)

  平成12年度予算額 (305百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(3) 防災関連情報の総合的活用の推進等

 内閣府においては,防災関連情報の高度利用を目的とした基本システムの運用を行い,情報の収集に努めるとともに,このシステムの高度化についての検討を行う。

 また,防災対策を的確に実施するための基礎的,理論的な調査研究を行う。

  平成13年度予算額 (48百万円)

  平成12年度予算額 (34百万円)

  差引増△減    (14百万円)

(4) 防災意識の高揚

 内閣府においては,防災週間(8月30日〜9月5日),防災の日(9月1日)を中心に,国,地方公共団体,関係諸団体との緊密な連携の下に,防災フェア,防災ポスターコンクール等の行事の実施等により,防災意識の普及と防災意識の高揚を図る。

  平成13年度予算額 (24百万円)

  平成12年度予算額 (24百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(5) 防災ボランティア活動の連携の推進

 内閣府においては,防災とボランティアに関する啓発普及を強力に推進するとともに,「防災とボランティア週間」(毎年1月15日〜21日)において,ポスター・パンフレットの作成,シンポジウムの開催その他の啓発事業を行う。また,防災ボランティア活動の広域的な連携体制を整備するための検討を行う。

  平成13年度予算額 (17百万円)

  平成12年度予算額 (11百万円)

  差引増△減    (6百万円)

(6) 企業における防災対策と職場での防災活動の推進

 内閣府においては,企業の防災活動の参考となる優良事例を収集・紹介するなど企業防災に関する普及啓発を行うとともに,企業の防災に対する取組みを促進する方策について検討を行う。

  平成13年度予算額 (6百万円)

  平成12年度予算額 (6百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(7) 防災分野における国際協力の推進

 内閣府においては,開発途上国における防災体制の整備の促進を図るため,我が国の防災システム等の開発途上国への適応可能性,防災体制の課題等に関する調査を行うとともに,我が国の防災協力のあり方について検討する。また,アジア地域を対象に,どのような災害に脆弱であるかを評価するリスクアセスメントの実施に向けての検討を行う。

  平成13年度予算額 (23百万円)

  平成12年度予算額 (24百万円)

  差引増△減    (△1百万円)

(8) アジア防災センターにおける多国間防災協力の推進

 内閣府においては,アジア防災センターにおける多国間防災協力として,防災情報の収集・提供,防災協力の推進に関する調査等を行う。

  平成13年度予算額 (121百万円)

  平成12年度予算額 (121百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(9) 防災基本計画の推進

 内閣府においては,防災対策をめぐる環境の変化を踏まえて,防災対策の充実強化を図るために,我が国の防災施策の根幹である防災基本計画を普及・推進する。

  平成13年度予算額 (5百万円)

  平成12年度予算額 (5百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(10) 復興対策の調査検討

 内閣府においては,地方公共団体の迅速かつ効率的な復興のため,国内外の復興施策の事例調査を行い,産業復興や被災者生活再建等の分野別対応手法等を内容とする総合復興手引書の作成を進める。また,現在各省庁が個別に収集・管理している被災者に関する情報を一元的に収集・管理するシステムの構築を関係省庁と連携しつつ検討する。

  平成13年度予算額 (44百万円)

  平成12年度予算額 (33百万円)

  差引増△減    (11百万円)

(11) 特定地震防災対策施設(阪神・淡路大震災メモリアルセンター(仮称))の運営に対する助成

 内閣府においては,特定地震防災対策施設(阪神・淡路大震災メモリアルセンター(仮称))において行われる,[1]阪神・淡路大震災をはじめとする国内外の地震災害関連資料の収集・保存・展示及び情報発信,[2]防災に関する総合的,実践的能力を有する人材の育成,[3]復旧・復興対策のあり方等を含めた総合的な防災に関する調査研究などの事業に要する経費の一部を補助し,当該事業の推進を図る。

  平成13年度予算額 (63百万円)

  平成12年度予算額 (63百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(12) 阪神・淡路地域の防災関係情報の活用

 内閣府においては,今後の防災対策に資するため,インターネットを活用し公開している「阪神・淡路大震災教訓情報資料集」の維持・管理業務,本教訓情報資料集を活用した復興施策に関連する調査など,必要なフォローアップ業務を行う。

  平成13年度予算額 (16百万円)

  平成12年度予算額 (16百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(13) 大規模災害対策の推進

 警察庁においては,警察庁及び各管区警察局主催の対策会議を開催し,大規模震災対策について検討する。また,災害時には,ヘリコプターや通信衛星を利用して画像伝送等による迅速な現場情報の収集,伝達に努めるなど,大規模災害発生時における災害警備対策の強化対策の推進を図る。

  平成13年度予算額 (698百万円)

  平成12年度予算額 (699百万円)

  差引増△減    (△1百万円)

(14) 無線局における災害対策

 総務省においては,防災関係機関の無線局の免許,定期検査等に際し,免許人に対して,災害に対する保安対策,予備装置等の配置等を行うよう指導する。

(15) 地域防災計画の見直しの推進

 消防庁においては,防災アセスメントや被害想定等に基づく地域防災計画の抜本的な見直しを推進する。その際に,地域の実情に即した具体的かつ実践的な計画になるよう地方公共団体に対し要請・助言等を行う。

 また,平成9年6月,平成12年5月及び12月の防災基本計画の修正を踏まえ,地域防災計画における各種対策の充実を図るよう地方公共団体に対し要請・助言等を行う。

  平成13年度予算額 (3百万円)

  平成12年度予算額 (3百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(16) 地方公共団体の防災体制の充実強化

 消防庁では,市町村の防災体制の充実強化を図るため,災害時の初動体制の現状について検証を行うとともに,その望ましい姿について研究を行い,指針等を作成する。

  平成13年度予算額 (9百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (9百万円)

(17) 防災まちづくりの推進

 消防庁においては,地域コミュニティ等における防災に関する取組等のうち,特に優れた取組を防災まちづくり大賞として,総務大臣賞等により表彰し,防災上の効果を解説したパンフレット等により幅広く紹介して,防災まちづくりの推進を図る。

(18) 緊急消防援助隊派遣体制の整備

 消防庁においては,国内の大規模災害発生時における人命救助活動等を迅速かつ効果的に行う全国の消防機関の援助体制である緊急消防援助隊の出動が円滑に行われるよう,早期出動体制,関係機関との連携体制,装備資機材等に関する調査研究等を推進する。

  平成13年度予算額 (18百万円)

  平成12年度予算額 (15百万円)

  差引増△減    (3百万円)

(19) 緊急消防援助隊動態情報システムの開発

 消防庁においては,国内において大規模な災害が発生し,緊急消防援助隊が出動した際に,高度化された通信体系により各部隊の動態状況を把握して,広範囲かつ大規模な派遣であっても円滑で効果的な活動が行えるよう支援するシステムを整備する。

  平成13年度予算額 (100百万円)

  平成12年度予算額 (124百万円)

  差引増△減    (△24百万円)

(20) 消防力の効率的運用のためのシステム開発

 消防庁においては,消防・防災ヘリコプターによる消防活動を迅速かつ的確に行うため,三次元の地図によりヘリコプターの動態管理を行うシステムを研究開発する。

 また,現場到着までの時間等を短縮するため,消防車両の最適経路の探索及び優先走行の支援を行うシステムを研究開発する。

  平成13年度予算額 (100百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (100百万円)

(21) 航空消防防災体制の整備推進

 消防庁においては,消防防災活動の迅速性,機動性を高め,災害被害の軽減を図るため,ヘリコプターを活用した航空消防防災体制を充実強化し,ヘリコプターの広域的運用や救急業務への活用等を推進する。

  平成13年度予算額 (7百万円)

  平成12年度予算額 (7百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(22) 防災意識の高揚

 消防庁においては,国民の防災意識の高揚のため,テレビ放送やインターネットによる広報活動を実施するとともに,地方公共団体に対し「防災週間」「防災とボランティア週間」等の機会を通じ,地域の実情に即応した広報活動や啓発行事等を実施するよう要請を行う。

  平成13年度予算額 (57百万円)

  平成12年度予算額 (61百万円)

  差引増△減    (△4百万円)

(23) コミュニティ防災の推進

 消防庁においては,自主防災組織の活性化を図るため青少年の自主防災組織の活動に青少年が参加できるプログラムを実施するとともに,地域の防災体制強化を図るため,リーダーの育成,訓練の実施,活動拠点の整備等コミュニティ防災の推進を図る。

  平成13年度予算額 (4百万円)

  平成12年度予算額 (13百万円)

  差引増△減    (△9百万円)

(24) 他分野の活動と連携した防災活動の検討

 消防庁においては,自主防災組織の活動と他の分野の活動との適正な連携を図るため,コミュニティレベルでの防災活動と他の分野の活動との連携の実態を調査し,効果的な連携を推進するための方策について検討する。

  平成13年度予算額 (4百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (4百万円)

(25) 災害ボランティアの活動環境の整備推進

 消防庁においては,平常時からの災害ボランティア団体と地方公共団体の連携を推進するため,災害ボランティア団体と地方公共団体の連携の実態を調査し,その体制のあり方について検討する。

  平成13年度予算額 (6百万円)

  平成12年度予算額 (12百万円)

  差引増△減    (△6百万円)

(26) 防災情報通信体制の整備

 消防庁においては,防災情報システムの整備を進め,災害発生時における消防防災関係情報の迅速,的確な収集・伝達体制の充実を図るとともに,時代に即したシステムのセキュリティ対策を進める。また,大規模災害発生時に災害現場の最前線に出動し,被災状況等の収集等を行う前線基地となる現地活動支援車や災害現場からの映像を全国へ配信する衛星車載局車等の運用訓練を行う。さらに,「防災情報・通信施設等整備推進要綱」に沿って,システムの整備を進めるに当たり,各都道府県の具体的な問題点を把握し,解決方策について検討する。

  平成13年度予算額 (137百万円)

  平成12年度予算額 (201百万円)

  差引増△減    (△64百万円)

(27) 消防団の充実強化

 消防庁においては,地域の消防防災の中核として重要な役割を果たしている消防団の一層の充実強化を図るため,消防団拠点施設等整備事業及び消防団活性化総合整備事業により,消防団の拠点施設及び設備等の整備を推進するとともに,平常時の地域に密着した消防団活動で,優良かつ他地域への模範となる事例を全国に紹介する。

  平成13年度予算額 (1,395百万円)

  平成12年度予算額 (1,329百万円)

  差引増△減    (66百万円)

(28) 救急業務の高度化の推進

 消防庁においては,傷病者の救命効果をより一層向上させるため,救急業務の高度化に関する諸施策及び住民に対する応急手当の普及啓発を推進するとともに,救急要請に対する対応能力の向上を図るため,救急指令システムに関する検討を行う。

  平成13年度予算額 (28百万円)

  平成12年度予算額 (22百万円)

  差引増△減    (6百万円)

(29) 救助技術高度化の推進

 消防庁においては,救助技術の高度化を図るため,救助技術に関する検討を進めるとともに,大規模災害発生時における人命検索手法として,消防機関による災害救助犬の活用について調査研究を行う。

  平成13年度予算額 (11百万円)

  平成12年度予算額 (6百万円)

  差引増△減    (5百万円)

(30) 国際消防救助隊の海外派遣体制の整備

 消防庁においては,国際消防救助隊の一層の充実,強化を図るため,救助資機材の整備や隊員の教育訓練等の一層の充実を図る。

  平成13年度予算額 (12百万円)

  平成12年度予算額 (1百万円)

  差引増△減    (11百万円)

(31) 消防に係る国際協力の推進

 消防庁においては,消防防災に関する共通の課題への対応を図るため,開発途上国を対象とした消防研修員の受入れ,消防専門家の派遣,プロジェクト方式技術協力を実施するとともに,海外の消防関係者との交流を推進する。

  平成13年度予算額 (6百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (6百万円)

(32) 国際防災科学技術共同研究の推進

 文部科学省においては,国際防災戦略(ISDR)の一環として,国内外の防災関係研究機関が連携して防災に関する共同研究を推進するためのワークショップの開催等を行う。

  平成13年度予算額 [5百万円]

  平成12年度予算額 [5百万円]

  差引増△減    (0百万円)

(注)

 [ ]書きは,2章1(5)に計上したものと同様である。

(33) 教育委員会の危機管理体制の在り方

 文部科学省においては,災害時において,教育委員会が,所管の学校等の状況を適宜把握し,的確な情報提供や指導・助言等を行うことができるよう,危機管理体制の在り方に関する調査研究を行い,その普及を図る。

  平成13年度予算額 (5百万円)

  平成12年度予算額 (27百万円)

  差引増△減    (△22百万円)

(34) 防災対策の強化・推進

 文部科学省においては,文教施設の耐震性の向上,応急危険度判定技術者の養成等,総合的・計画的な防災対策を強化・推進する。

  平成13年度予算額 (10百万円)

  平成12年度予算額 (8百万円)

  差引増△減    (2百万円)

(35) 災害救助調査研究・研修事業

 厚生労働省においては,災害救助を適切かつ迅速に実施する上で必要な調査研究を行い,その成果を研修等を通じ関係者に広く情報提供していく災害救助調査研究・研修事業を実施する。

  平成13年度予算額 (36百万円)

  平成12年度予算額 (36百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(36) 種子の貯蔵

 農林水産省においては,災害発生時の代作用種子の確保を図るため,野菜種子約52klを社団法人日本種苗協会に備蓄させるほか,独立行政法人種苗管理センターにおいて,雑穀(そば)及び豆類(大豆)の種子約33トンを平成13年4月から7月まで予備貯蔵する。

(37) 山地防災体制の整備

 農林水産省においては,山地災害等に係る情報収集能力強化のため養成した山地防災ヘルパーを対象に,山地災害危険地区の点検や山地防災活動の連携強化に必要な知識の付与を目的とした講習会,現地研修を実施し,山地防災体制の整備を図る。

  平成13年度予算額 (9百万円)

  平成12年度予算額 (11百万円)

  差引増△減    (△2百万円)

(38) 道路交通情報の充実

 安全かつ円滑な道路交通を確保するため,災害情報,渋滞情報,交通規制情報等の情報をリアルタイムにカーナビゲーション等の車載機へ提供するVICS(道路交通情報通信システム)の整備を,警察庁,総務省,国土交通省が推進し,平成13年度も提供エリアの拡大や情報内容の充実を図る(12年度27都道府県)。

 また,警察庁及び国土交通省においては,交通情報板,道路情報板や(財)日本道路交通情報センター等を通じて,渋滞情報,規制情報などの道路交通情報を道路利用者に正確かつ迅速に提供するため,情報収集・提供業務の高度化を図る。

(39) 土地保全基本調査

 国土交通省においては,危険な自然作用から国土を保全するため,自然環境,災害対策の実績等を都道府県ごとに調査する縮尺20万分の1の土地保全基本調査を実施し,また,自然現象の類型ごとに詳細に調査する縮尺5万分の1の土地保全基本調査を広島県において実施する。

  平成13年度予算額 (45百万円)

  平成12年度予算額 (44百万円)

  差引増△減    (1百万円)

(40) 被災宅地危険度判定制度の整備

 国土交通省においては,大規模な地震,豪雨等に伴い宅地災害が広範囲に発生した場合に,被害状況を迅速かつ的確に把握するための危険度判定を実施することによって,二次災害を軽減・防止し,住民の安全を確保することを目的とした被災宅地危険度判定制度の整備を促進するため,危険度判定にあたる被災宅地危険度判定士の養成のための講習会を実施する等,都道府県等と協力し本制度の運用体制の整備を進める。

(41) 災害に対応した道路管理情報システムの整備

 国土交通省においては,日常パトロールや災害発生の際に適切かつ迅速な対応を図るため,防災カルテ等の防災情報をデータベース化した新たな道路防災管理システムの導入を進める。また,防災情報と道路施設管理に関する情報を有効に組み合わせるための地理情報システム(GIS)の活用について検討を進めるとともに,衛星を活用した災害情報収集方式,災害復旧用資機材の調達を迅速化するためのデータベースの構築について推進する。

(42) 沿岸海域基礎調査

 国土交通省国土地理院においては,沿岸海域の各種防災及び保全に必要な基礎資料を得るため,海部については水深約50m以浅の地形,管理区分等を,また,陸部については地形分類,地盤高,防災に関する利用施設の調査を行い,沿岸海域基礎データを整備し,2万5千分の1の沿岸海域地形図,沿岸海域土地条件図の作成を行う。

  平成13年度予算額 (68百万円)

  平成12年度予算額 (68百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(43) 土地条件調査

 国土交通省国土地理院においては,防災計画等の基礎資料とするため,地形の分類,活断層,防災関係施設等の分布に関する事項等を空中写真判読,現地調査等により調査し,土地条件図データを整備するとともに,2万5千分の1及び1万分の1土地条件図の作成を行う。

  平成13年度予算額 (17百万円)

  平成12年度予算額 (17百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(44) GIS基盤情報整備

 国土交通省国土地理院においては,コンピュータ上で地図と地域に関する情報を結合させて被害状況,避難経路等,必要な情報を検索・解析・表示する地理情報システム(GIS)の利用に不可欠な全国の道路,河川・海岸線,鉄道等の国土に関する骨格的な地理情報をディジタル化し,GIS基盤情報を整備する。

  平成13年度予算額 (2,667百万円)

  平成12年度予算額 (1,414百万円)

  差引増△減    (1,253百万円)

(45) 宅地災害の防止対策の推進

 国土交通省においては,宅地擁壁の崩壊に伴う災害を未然に防止するため,宅地擁壁の老朽化の進行度及び危険度の判定指標などについて検討を行う。

(46) 実践的な危機管理訓練の推進

 国土交通省においては,水害・土砂災害及び震災に対する防災体制のより一層の向上を目的として,各防災担当者が実際の災害対応時に極めて近い状況を体験できる危険管理トレーニングの開発・実施を推進する。このトレーニングにより,災害状況が進展する中での不測の事態に際しての迅速かつ的確な判断・対応等の能力の向上を図る。

(47) 沿岸防災情報図の整備

 海上保安庁においては,災害時に海上からの救護活動を迅速かつ適切に実施するため,海岸線,水深等の自然情報,公共機関所在地等の社会情報及び災害危険地,避難地等の防災情報を網羅した沿岸防災情報図の整備を引き続き行う。

  平成13年度予算額 (8百万円)

  平成12年度予算額 (8百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(48) 気象観測施設の整備等

 気象庁においては以下の整備を行う。

a 航空気象業務の整備

 航空交通の安全を確保するため,空港における新たな気象観測システムの導入(新東京国際ほか14空港),空港気象ドップラレーダーの新設(大阪国際)等の観測施設を整備する他,気象資料伝送網の更新(那覇ほか5空港)の予報・通信施設の整備を行い,予報・観測業務の充実を図る。また,無線を使用して飛行中の航空機に主要空港の気象情報を音声により自動通報するボルメット通報装置の機能向上を図る。

b 海洋気象業務の整備

 台風時の高潮等を迅速かつ的確に把握するため,検潮所の遠隔自記検潮装置を更新する(下関,枕崎)。

(49) 予報,警報その他の情報の発表,伝達

 気象庁においては,適時適切な予報,警報その他情報を発表するとともに,防災関係機関等に伝達して,災害の防止・軽減に努める。また,各種天気図や波浪,海流及び海氷の実況・予想図等について,気象無線模写通報(無線ファクシミリ放送)等によって提供を行う。

(50) 地球規模の高度海洋監視システムの推進

 気象庁においては,文部科学省,海上保安庁等と連携して,全世界の海洋の状況をリアルタイムで監視・把握するとともに,海洋変動・気候変動の把握・解明等を進展させ,気候予報の精度を飛躍的に向上させる地球規模の高度海洋監視システム(ARGO計画)を推進する。平成13年度は,海水温予測モデルの高度化に着手するとともに,アルゴフロートの本格的な展開を開始する。

  平成13年度予算額 (29百万円)

  平成12年度予算額 (330百万円)

  差引増△減    (△301百万円)

2 震災対策

2-1 教育訓練

(1) 総合防災訓練の実施

 内閣府においては,関係機関等と密接な連携を図りつつ,総合防災訓練を企画・立案し,訓練及び実際の災害発生時の応急対策の円滑な実施に向けて,防災関係機関等の担当者に対し研修等を行う。

  平成13年度予算額 (1百万円)

  平成12年度予算額 (1百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(2) 警察庁における教育訓練

a

 警察庁において,都道府県警察の幹部に対し,大規模地震に対する教育訓練を行うほか,阪神・淡路大震災における教訓等を踏まえ,東海地震に係る判定会招集報等の伝達及び大規模地震の発生を想定した実践的な訓練を行う。

b

 警察庁において,防災訓練,指定自動車教習所における教習,更新時講習等において,交通方法に関する教則等を用いて,東海地震に係る警戒宣言発令時及び大規模地震発生時並びに災害対策基本法による交通規制が行われた際における運転者のとるべき措置について周知徹底を図るよう都道府県警察に対し指導する。

(3) 消防庁における教育訓練

a 消防庁消防大学校における教育訓練

 消防庁消防大学校において,国,都道府県の消防事務に従事する職員及び市町村の消防職団員等に対し震災時の救急・救助,避難誘導等の消防活動をはじめ震災対策に関する高度の教育訓練を行うとともに,都道府県及び市町村の防災担当者に対し実務講習を行う。

b 消防庁及び地方公共団体における訓練等

 国の総合防災訓練のほか,消防庁においては,参集訓練,情報収集訓練等を行うとともに,平成12年度に行った阪神・淡路大震災に係る調査研究の結果を基に,同年度に発生した伊豆諸島における群発地震及び鳥取県西部地震の教訓等を踏まえ,地方公共団体等がより実践的な訓練の実効性を高めるべく,地方公共団体に対し要請・助言等を行う。

(4) 海上保安庁における震災対策訓練

 海上保安庁においては,9月1日の「防災の日」を中心に国が実施する総合防災訓練の一環として,対策本部の設置運営,情報伝達,巡視船艇・航空機動員手続き等の訓練を実施する他,海上における実働訓練等の大規模地震災害対策訓練を行なう。

(5) 津波注意報,警報の伝達訓練等

 気象庁においては,地震発生時における震源の決定及び津波判定並びに津波注意報,警報の発表の迅速化を図るため,全国及び津波予報中枢(本庁,札幌・仙台・大阪・福岡・沖繩)ごとに津波予報作業等について訓練を行うとともに,地方公共団体が行う訓練にも積極的に参加協力する。また,地震予知情報を報告するための異常発見,地震防災対策強化地域判定会,大規模地震関連情報等に係る業務の円滑な遂行を期するための訓練を実施する。

2-2 防災施設設備の整備

(1) 広域防災基地の整備

a

 内閣府においては,南関東地域に広域的な災害が発生した場合の災害応急対策活動の拠点となる立川広域防災基地について,整備を行う。

  平成13年度予算額 (64百万円)

  平成12年度予算額 (65百万円)

  差引増△減    (△1百万円)

(2) 地域防災拠点施設の整備

 内閣府においては,災害発生時における災害対策活動の拠点となる地域防災拠点施設の整備を図るため,地域防災拠点施設整備モデル事業に対して事業費補助を行う。

  平成13年度予算額 (693百万円)

  平成12年度予算額 (769百万円)

  差引増△減    (△76百万円)

(3) 地震防災情報システム(DIS)の整備

 内閣府においては,地震発生直後に政府の初動対応の迅速化等のため整備を行っている地震防災情報システム(DIS)について,応急対策を支援するシステムの充実・強化や,10mを越える津波に対して被害の早期評価を行うためのデータベースの作成を行うとともに,人工衛星等の画像を活用して迅速かつ的確な災害情報の把握を行う手法の検討を行う。

  平成13年度予算額 (626百万円)

  平成12年度予算額 (3,169百万円)

  差引増△減    (△2,543百万円)

(4) 郵便局舎等の耐震対策

 郵政事業庁においては,既存の郵便局舎等の耐震点検調査を実施し,必要と認められる施設について,補強工事等の耐震対策を実施する。

  平成13年度予算額 (4,537百万円)

  平成12年度予算額 (3,889百万円)

  差引増△減    (648百万円)

(5) 大震火災対策施設等の整備

 消防庁においては,震災時に予想される同時多発火災等に対処するため,次の施設等の整備充実を図る。

  平成13年度予算額 (3,686百万円)

  平成12年度予算額 (3,978百万円)

  差引増△減    (△292百万円)

a 耐震性貯水槽の整備

 初期消火体制の整備,避難地の安全確保及び避難者の飲料水の確保等を図るため,耐震性貯水槽等の整備について,地方公共団体に対し補助を行う。

b 特殊車両の整備

 避難誘導体制の整備,地域住民に対する防災知識の普及啓発等を図るため,大震火災対策用特殊車両(電源車,給水車,起震車及び震災工作車)の整備について,地方公共団体に対し補助を行う。

c 備蓄倉庫の整備

 応急救護体制の整備を図るため,被災者に供給する生活必需品,医薬品及び防災用資機材等を収納する備蓄倉庫の整備について,地方公共団体に対し補助を行う。

d 震災初動対応資機材の整備

 救護所等を拠点とした市町村,自主防災組織の震災時の初動対応に必要な資機材の整備にいて,地方公共団体に対し補助を行う。

(6) 国立学校施設の整備

 文部科学省においては,地震による建物への被害等を防止し,学生等の安全性を確保するため,校舎等の耐震補強整備を行い,防災機能の強化を図る。

(7) 公立学校施設等の整備

 文部科学省においては,公立学校施設等の整備について,児童生徒の安全の確保を図るとともに地域住民等の応急避難所としての役割を果たすため,防災機能の強化の観点から,以下の施策を行う。

a

 校舎等の安全性の向上を図り必要な耐震性能を確保するため,校舎等の地震改築や耐震補強の推進を図る。

b

 防災機能の強化のために,備蓄倉庫等,防災広場及び浄水型プール等の整備並びに学校給食施設の防災機能の整備等を図る。

  平成13年度予算額 (66,357百万円)

  平成12年度予算額 (62,003百万円)

  差引増△減    (4,354百万円)

(8) 私立学校施設の整備

 文部科学省においては,大規模災害時における児童・生徒及び学生の安全確保を図る観点から,私立学校の施設について,防災機能の強化のための施設整備事業に対して補助を行う。

  平成13年度予算額 (1,690百万円)

  平成12年度予算額 (1,590百万円)

  差引増△減    (100百万円)

(9) 社会体育施設の整備

 文部科学省においては,防災対策の観点から,水泳プールに貯められた水を活用し,災害時における飲料水及び生活用水を確保するため,浄水機能を有する水泳プールの整備促進を図る。

  平成13年度予算額 (263百万円)

  平成12年度予算額 (487百万円)

  差引増△減    (△224百万円)

(10) ライフライン機能強化事業

 厚生労働省においては,地震被害の再発防止として災害復旧により復旧した管から直近の制水弁までの間の管について耐震化のための更新が必要な場合に,その更新を行う事業に補助を行う。

  平成13年度予算額 (927百万円)

  平成12年度予算額 (927百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(11) 緊急時給水拠点確保等事業

 厚生労働省においては,地震の被害が予想される地域において,配水管等管路を利用した貯留施設及び緊急遮断弁の整備推進を図る。また,配水池容量の増大及び連絡管整備を引き続き促進する。

  平成13年度予算額 (1,447百万円)

  平成12年度予算額 (1,409百万円)

  差引増△減    (38百万円)

(12) 海岸保全施設の整備

 農林水産省においては,地震・津波対策として三陸地域,東海地域等の農地海岸,漁港海岸を対象に,堤防・護岸等の整備を行う。

(13) 高圧ガスプラントの耐震化の推進

 経済産業省においては,最近の各分野における耐震化対策の動向,耐震化技術の現状等について調査を行い,今後の高圧ガスプラント耐震化対策の在り方について調査・検討を行う。

  平成13年度予算額 (2百万円)

  平成12年度予算額 (2百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(14) 石油精製プラント地震対策の推進

 経済産業省においては,高圧ガス設備施設の更なる耐震性向上のため,弱部補強,免震構造等最新の技術を活用した効率的な耐震対策に関して検討を行う。

  平成13年度予算額 (58百万円)

  平成12年度予算額 (58百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(15) 広域防災基地の整備

 国土交通省においては,広域防災活動の拠点となる旭川地方合同庁舎,福岡港湾合同庁舎及び八丈島測候所について整備に着手し,那覇第2地方合同庁舎及び古仁屋海上保安署については引き続き整備を行う。

(16) 地域一体型防災街づくり(広域防災街づくり)推進事業

 国土交通省においては,大都市圏の市街地の防災性の向上を図るため,地域住民の防災意識の向上等とともに,防災拠点の整備等の広域的な災害対策を配慮しつつ避難地・避難路の機能と延焼遮断帯の機能をあわせもつ防災緑地網整備の一層の促進を図る地域一体型防災街づくり推進事業を実施する。

  平成13年度予算額 (76百万円)

  平成12年度予算額 (85百万円)

  差引増△減    (△9百万円)

(17) 海岸保全施設の整備

 国土交通省においては,地震・津波対策として,海岸保全施設の耐震性強化や津波防波堤の整備を行う。また,海象データ等の収集処理を行うとともに,水門等の海岸保全施設の効率的な管理制御を行う津波・高潮防災ステーションの整備を行う。

  平成13年度予算額 (36,697百万円)

  平成12年度予算額 (38,027百万円)

  差引増△減    (△1,330百万円)

(18) 空港・航空保安施設の震災対策

 国土交通省においては,阪神・淡路大震災の被災状況に鑑み,空港・航空保安施設の耐震対策を強化するため,既存施設の耐震補強および管制施設の多重化等の推進を行う。

  平成13年度予算額 (4,698百万円)

  平成12年度予算額 (10,123百万円)

  差引増△減    (△5,425百万円)

(19) 大規模地震対策施設の整備

 国土交通省においては,緊急物資等の輸送機能及び幹線貨物輸送機能を確保するため,耐震強化岸壁の整備を行うとともに,被災地の復旧・復興支援拠点として臨海部における防災拠点緑地の整備及び市民の安全を守るための避難緑地の整備を行う。

 その他,岸壁や臨港道路等の安全性が損なわれないよう,液状化対策を行う。

  平成13年度予算額 (13,165百万円)

  平成12年度予算額 (12,294百万円)

  差引増△減    (871百万円)

(20) 既存の鉄道構造物の耐震補強

 国土交通省においては,阪神・淡路大震災における鉄道施設の被害の甚大さにかんがみ,鉄道の安全確保等を図るために鉄道事業者が緊急的に実施する既存の鉄道構造物の耐震補強に要する費用について補助する。

(21) 河川の整備

 国土交通省においては,人口,経済活動の集積したゼロメートル地帯等において,大震災等により堤防が沈下して浸水した場合の壊滅的被害を防止するため,堤防の耐震性向上対策を実施する。また,大地震等の大災害時において,被災者の救援活動,被災地の復旧活動及び物資の輸送等に活用できる緊急用河川敷道路を整備するとともに,しゅつ水時においては水防活動の拠点となり,地震時等においては避難場所等として活用できる防災ステーションを整備する。また,緊急時,消火用水等の取水等を行うためのアクセスが確保できる河川整備を行う。

(22) 土砂災害に対する整備

 国土交通省においては,地震に伴う土砂災害を防止するため,以下の措置を講ずる。

a

 地震による山腹斜面の崩壊等が多発する危険性の高い地域や,土砂災害の危険箇所が集中して存在する都市部における砂防事業,地すべり対策事業,急傾斜地崩壊対策事業を推進する。

b

 土砂災害に対する安全性を高め,緑豊かな都市環境と景観を保全・創出することを目的に,市街地に隣接する山麓斜面にグリーンベルトとして一連の樹林帯の形成を図る「都市山麓グリーンベルト整備事業」を砂防事業等により行う。

c

 現行の設計基準を満たさない砂防設備の補強対策,取水用ピットの整備,また緊急路として使用可能な管理用道路の整備等を推進する。

(23) 道路における地震対策

 国土交通省においては,阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ,安全で信頼性の高い道路の通行を確保するため,各種道路事業を推進する。

a 広域的な幹線道路ネットワークの構築

 大震災等の災害が発生した場合においても,広域的な社会経済活動への影響を最小限に抑制するため,代替性・多重性に配慮した高規格幹線道路,地域高規格道路等の整備を推進するとともに,空港,港湾等の交通拠点へのアクセス道路整備を推進し,道路ネットワーク全体の形成・管理を図る。

b 道路の震災対策の推進

 平成8・9年度に実施した道路防災総点検に基づき,地震直後から発生する救急,消防,応急復旧等の緊急輸送を確保するために必要な緊急輸送道路のうち,対策を要する橋梁の耐震補強等の震災対策を実施する。

 また,災害時におけるライフラインの安全性・信頼性の向上に資するライフライン共同収容施設としての共同溝,電線共同溝の整備を推進する。

 〈震災対策事業〉

  平成13年度予算額 (51,945百万円)

  平成12年度予算額 (50,753百万円)

  差引増△減    (1,192百万円)

(24) 官庁施設の耐震補強等整備

 国土交通省においては,官庁施設の総合耐震診断結果に基づき,災害応急対策活動に必要な施設を優先的に,逐次,耐震補強等整備を行う。

(25) 震災に強いまちづくりの推進

 国土交通省においては,以下の通り震災に強いまちづくりを推進する。

a 都市の防災性向上のための根幹的な公共施設の整備

(a)

 避難地,避難路,防災活動拠点となる防災公園の整備を推進するとともに,災害応急対策施設の整備による防災公園の機能アップ等を行うため,三木総合防災公園(兵庫県三木市),等の公園事業を実施するほか,国営昭和記念公園(東京都)の整備をを促進する。また,防災公園街区整備事業を活用し,大都市の既成市街地における防災公園の整備を推進する。

 〈防災公園〉

  平成13年度予算額 (58,641百万円)

  平成12年度予算額 (56,350百万円)

  差引増△減    (2,291百万円)

(b)

 避難路として活用される都市計画道路を整備するため,環状8号線(東京都区部),左富士臨港線(静岡県富士市)等で街路事業を実施する。瑞江駅西部地区(東京都区部),東第一地区(浜松市)等においては,避難地・避難路の整備を都市の防災構造化と併せて行うため土地区画整理事業等を実施する。また道路の未整備による消防活動の困難な区域の解消を図るため,三大都市圏,県庁所在地等の密集市街地において街路事業を実施する。

(c)

 これらと関連して,避難地として大東中央公園(大阪府大東市)等の都市公園予定地及び避難路として利用する横浜藤沢線(横浜市)等予定地等の取得を行う地方公共団体に対し,長期金利の資金である都市開発資金を292億9,000万円の予算枠内で貸付ける。

  平成13年度予算額 [29,290百万円]

  平成12年度予算額 [33,200百万円]

  差引増△減    [3,910百万円]

(注)

 [ ]書きは,融資額を表す。

(d)

 三大都市圏のうち,特に地震の際に危険度の高い地区について,避難地等の整備と周囲の住宅地等の再開発を促進し,一体的に拠点として整備することにより市街地の防災性の向上及び防災拠点の整備を図る。

 特に東京都江東区については,大震火災から住民の生命を守るため,白鬚西地区,亀戸・大島・小松川地区において市街地再開発事業を実施するとともに,これと併せて,避難地となる都市公園の整備を図るため,亀戸・大島・小松川公園等において公園事業を実施する。

b 災害に強い都市構造の形成

(a)

 密集市街地に代表される防災上危険な市街地等において,避難地・避難路周辺等の建築物の不燃化,道路・公園・防災まちづくり拠点施設等の整備,災害危険度判定等調査,住民等のまちづくり活動への支援を図るため,中原街道地区(東京都大田区)等において都市防災推進事業を推進する。

 〈都市防災推進事業〉

  平成13年度予算額 (756百万円)

  平成12年度予算額 (800百万円)

  差引増△減    (△44百万円)

(b)

 三大都市圏の木造密集市街地等において,地区内道路・公園等の都市基盤の整備により,安全な市街地の形成を図るため,都市再生区画整理事業を推進する。

 〈都市再生区画整理事業〉

  平成13年度予算額 (3,521百万円)

  平成12年度予算額 (3,648百万円)

  差引増△減    (△127百万円)

(c)

 低層木造建築物の密集した既成市街地において,都市災害を防止し,土地の合理的利用と建築物の耐震不燃化を図るため,神保町一丁目南部地区(東京都千代田区),阿倍野地区(大阪市)等において市街地再開発事業を実施する。また,防災上問題のある地区の安全性の向上等に資する市街地再開発事業を促進するため,先導型再開発緊急促進事業を引き続き推進する。

 〈市街地再開発事業〉

  平成13年度予算額 (38,312百万円)

  平成12年度予算額 (36,649百万円)

  差引増△減    (1,663百万円)

(d)

 まちづくり総合支援事業において,耐震性貯水槽,備蓄倉庫,避難空間等の地域の防災のために必要な施設の整備を積極的に支援する。

(26) 住宅市街地の防災性の向上の推進

 国土交通省においては,次の事業を実施する。

a 住宅地区改良事業等

 不良住宅の密集地区や狭溢な道路の多い地区等において,不良住宅等を除去し,耐震性・耐火性の高い住宅に建て替えるとともに,地区の住環境の整備を行いつつ地区の防災性の向上を図るため,横浜市新山下二丁目地区等において,住宅地区改良事業等を実施する。

  平成13年度予算額 (29,564百万円)

  平成12年度予算額 (29,550百万円)

  差引増△減    (14百万円)

b 住宅市街地整備総合支援事業

 耐火建築物を中心とした安全で快適な拠点的住宅街区の形成を図るとともに,これと一体的に避難地,避難路の整備を図るため,東雲地区(江東区)等において住宅市街地整備総合支援事業を実施する。

  平成13年度予算額 (69,900百万円)

  平成12年度予算額 (61,900百万円)

  差引増△減    (8,000百万円)

c 密集住宅市街地整備促進事業

 老朽住宅等が密集して防災上危険な住宅市街地において,土地所有者等による老朽住宅等の建替えを促進するとともに,地方公共団体による地区公共施設の整備等を行う密集住宅市街地整備促進事業を,東四つ木地区(葛飾区)等において実施する。

  平成13年度予算額 (15,400百万円)

  平成12年度予算額 (12,500百万円)

  差引増△減    (2,900百万円)

d 老朽公営住宅の建替の推進

 新耐震基準施行以前に建設された,耐震性の低い既存の公営住宅団地について,早急に建替事業を実施し,防災性の強化を図る。

(27) 建設機械の整備

 国土交通省においては,災害時の緊急輸送道路確保等に必要な機械を整備する。

  平成13年度予算額 (1,555百万円)

  平成12年度予算額 (1,584百万円)

  差引増△減    (△29百万円)

(28) 下水道における震災対策

 国土交通省においては,自然排水が困難なため地震時に浸水被害が予想される地区の排水施設整備を図るため,三大都市圏の既成市街地等の都市において,雨水ポンプ場の新設及び改築等を行う下水道事業を推進する。また,新耐震基準に基づく下水道施設の整備,改築及び災害発生時の下水道の機能維持のための下水道施設のネットワーク化を推進するとともに緊急時に下水処理水等を活用するための高度処理施設等の整備及び下水処理場等の避難地等としての活用を推進する。

(29) 地震観測施設の整備等

 気象庁においては,地震,津波による災害の防止・軽減を図るため,主に次の整備等を行う。

a 地震津波監視システムの更新

 地震・津波に関する的確な防災情報を提供するための地震津波監視システムの更新を行う。(大阪)

b 地震調査観測データ収集一元化システムの強化

 地震に関する調査研究を推進するため,地震調査研究推進本部の計画に基づき文部科学省が整備を進めている地震に関する基盤的調査観測網のデータ収集のためのシステム強化等,業務体制を強化する。(気象庁本庁(東京))

  平成13年度予算額 (2,454百万円)

  平成12年度予算額 (2,322百万円)

  差引増△減    (131百万円)

2-3 その他

(1) 大都市震災対策の推進

 内閣府においては,大都市圏における大規模震災に対して効果的な対策を行うため,さまざまな状況を考慮した広域的な被害想定を実施する。また,南関東地域について,平成10年に改訂された「南関東地域震災応急対策活動要領」等に基づくアクションプランの策定に向けた検討を引き続き実施する。

  平成13年度予算額 (103百万円)

  平成12年度予算額 (107百万円)

  差引増△減    (△4百万円)

(2) 大規模地震対策等の推進

 内閣府においては,東海地震に対する防災体制の一層の充実を図るため,大規模地震対策特別措置法に基づく施策の推進・強化を図る。また,地震防災対策特別措置法に基づく地震防災緊急事業の促進を図る。

  平成13年度予算額 (50百万円)

  平成12年度予算額 (50百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(3) 津波対策の推進

 内閣府においては,津波災害に対する対策を充実・強化するため,津波災害に対する被害を定量的に推計する手法を開発する。

  平成13年度予算額 (16百万円)

  平成12年度予算額 (16百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(4) 交通対策の推進

 警察庁においては,次のとおり交通対策を行う。

a 広域交通管制システム(交通対策室)の整備

 災害時における都道府県警察間の情報交換及び警察庁の情報収集を効果的に行うための広域交通管制システム(交通対策室)の整備を推進する。

b 交通安全施設等の整備

 災害発生時における適正な交通管理等を実現するためのITV(交通監視用テレビ),光ビーコン,交通情報板等の整備を行うなど最先端の情報通信技術を活用した新交通管理システム(UTMS)の整備を引き続き推進する。

(5) 大震火災対策等の推進

 消防庁においては,消防施設設備,資機材の整備拡充に努めるほか,災害対策基本法等に基づき,震災対策に係る国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の連絡,地域防災計画等に関する地方公共団体に対する助言等,防災訓練に係る助言等及び防災知識の普及啓発等の施策の推進を図る。また,津波対策について,災害時の情報伝達等をはじめとした関係機関相互の有機的な連携方策のあり方等の課題を踏まえ,地域防災計画の見直し等について検討を行う。

  平成13年度予算額 (68百万円)

  平成12年度予算額 (61百万円)

  差引増△減    (7百万円)

(6) 都市開発と一体的な首都圏防災拠点整備方策検討調査

 国土交通省においては,首都圏での大地震に際し,国内外からの広域的な支援活動の拠点となる「首都圏防災拠点」を,大規模な都市開発と一体的に整備する方策について検討を行う。

  平成13年度予算額 (5百万円)

  平成12年度予算額 (6百万円)

  差引増△減    (△1百万円)

(7) 鉄道施設の地震防災対策

 国土交通省においては,鉄道の地震による被害の軽減及び早期復旧のための対策指針の検討を行う。

  平成13年度予算額 (9百万円)

  平成12年度予算額 (9百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(8) 建築物の耐震診断・耐震改修の促進

 国土交通省においては,建築物の耐震改修の促進に関する法律の的確な施行に努めるとともに,耐震改修に対する補助事業,地方公共団体の行う住宅の耐震診断等の支援事業の推進,政府系金融機関の融資等により耐震改修を促進する。

(9) 被災建築物の応急危険度判定体制の整備及び活動支援

 国土交通省においては,地震により被災した建築物の危険性を速やかに判定し情報提供を行う被災建築物応急危険度判定について,人材の育成,実施体制及び支援体制の整備を推進する。

(10) 地震観測施設の整備等

 気象庁においては,地盤の異常傾斜及び昇降に伴う地殼変動を検潮記録により常時監視するとともに,津波の状況を迅速かつ的確に把握するため,検潮所の遠隔自記検潮装置を更新する。(下関,枕崎)

(11) 地震予知情報の報告及び大規模地震関連情報の発表,通報

 気象庁においては,気象庁長官が地震防災対策強化地域に係る大規模な地震が発生するおそれがあると認めるときは,直ちにその地震に関する情報を,また,その後において当該地震に関し新たな事情が生じたと認めるときは,その都度,当該事情に関する情報を内閣総理大臣(後者については,地震災害警戒本部が設置されたときは,内閣総理大臣及び地震災害警戒本部長)に報告する。また,地震防災対策強化地域に係る観測成果等を大規模地震関連商法や東海地域の地震・地殼活動に関する情報として発表するとともに,防災関係機関,報道機関に通報する。

(12) 津波注意報,警報,地震情報等の発表,伝達

 気象庁においては,地震の観測を行い,観測結果をもとに津波注意報・警報,地震情報等を発表し,防災関係機関,報道機関に伝達して,災害の防止・軽減に努める。

3 風水害対策

3-1 教育訓練

(1) 警察庁における教育訓練

 警察庁においては,都道府県警察の幹部に対し,風水害発生時の災害応急対策等についての教育訓練を行うほか,都道府県警察に対し地域住民,関係機関との連携による風水害警備訓練の積極的な実施について指導する。

(2) 消防大学校における教育訓練

 消防庁消防大学校において,国,都道府県の消防の事務に従事する職員及び市町村の消防職団員に対し風水害対策に関する高度の教育訓練を行うとともに,都道府県及び市町村の防災担当者に対し風水害対策に関する実務講習を行う。

(3) 災害弱者関連施設に係る防災対策の推進

 農林水産省においては,地すべり防止対策事業等による災害弱者施設に係る農地の保全に係る地すべり危険箇所の周知等を図るとともに,治山事業等による災害弱者関連施設に隣接した山地災害の発生のおそれのある林地等において,防災施設等の設置及び危険地区等の周知等の防災対策を積極的に推進する。

3-2 防災施設設備の整備

(1) 降雨情報等収集分析装置の整備

 消防庁においては,迅速かつ的確な警戒避難対策を講じるため,市町村における降雨情報等収集分析装置の整備について補助を行う。

  平成13年度予算額 (4百万円)

  平成12年度予算額 (16百万円)

  差引増△減    (△12百万円)

(2) 建設機械の整備

 国土交通省においては,風水害の災害対策に必要な機械を,事業費8億700万円,国費4億6,200万円をもって整備する。

  平成13年度予算額 (462百万円)

  平成12年度予算額 (412百万円)

  差引増△減    (50百万円)

(3) 水防施設の整備

 国土交通省においては,直轄河川について国土交通大臣が行う洪水予報(気象庁と共同),水防警報に必要なテレメータ局24局,気象ファックス3式,水位予測機2機,警報装置3局について事業費1億5,729万円をもって整備する。

  平成13年度予算額 (157百万円)

  平成12年度予算額 (157百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(4) 安全で信頼性の高い道路網の整備

 国土交通省においては,代替性・多重性に配慮した幹線道路ネットワークの整備を行うとともに,緊急的に対策が必要な法面等における落石防護工のほか緊急輸送道路を中心とした橋梁等の耐震補強,雪崩・地吹雪対策の実施や,道路防災週間等を通じた道路利用者への道路防災対策の復旧・啓発を推進する。また,道路管理者においては,インターネット等情報通信技術(IT)を活用した道路の点検結果や被災状況等の災害情報の提供を推進する。

  平成13年度予算額 (206,183百万円)

  平成12年度予算額 (204,168百万円)

  差引増△減    (2,015百万円)

(5) 河川・ダム・道路管理用情報通信設備の整備

 国土交通省においては,次の情報通信設備の整備を行う。

a テレメータ

 雨量,水位,水質等の水文データ及び雨量,路温等の道路気象データを収集するためのテレメータを引き続き整備する。また,データの収集を確実に行うためテレメータ回線の複ネート化を図る。

b 警報設備

 ダムや堰等の放流による河川水位上昇を付近の住民に警報するための警報設備を整備する。

c レーダ雨雪量計

 雨量,雪量をリアルタイムで広域に捉え,迅速かつ的確な災害予防,災害対策を行うためのレーダ雨雪量計の整備を行う。なお,九州地方整備局3基目と北海道開発局2基目の更新に着手する。

d 河川情報システム

 現在の河川情報システムをさらに情報の高度化・多様化を図るために「総合河川情報システムの整備方針」に基づき,地方整備局のシステムの整備を推進する。

(6) 土砂災害に対する整備

 国土交通省においては,土砂災害を防止するため以下の措置を講じる。

a 土砂災害防止施設の整備

 国土交通省においては,土石流,地すべり,がけ崩れによる土砂災害から人命を守るために砂防設備等の整備を図る。

b 土砂災害に対する警戒避難システム等の整備

 国土交通省においては,土砂災害による被害を受けた地区等において,テレメータ雨量計や監視カメラ,GPS観測装置等の各観測施設,データを処理する監視装置等の設置による土砂災害警戒避難システムの整備および平常時・災害時を通じて土砂災害関連情報を住民と行政機関が相互通報するシステムの整備などのソフト対策を推進する。

3-3 その他

(1) 総合的な土砂災害対策の推進

 内閣府においては,総合的な土砂災害対策の推進を図る。

  平成13年度予算額 (26百万円)

  平成12年度予算額 (26百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(2) 風水害対策の推進

 消防庁においては,災害危険箇所の把握及び周知,情報の的確な把握とこれに基づく適切な避難の勧告・指示や誘導など警戒避難体制の整備,二次災害防止対策の強化,実践的な防災訓練の実施及び防災知識の普及等について,地方公共団体に対し要請・助言等を行う。また,土砂災害の発生する危険度が高い地域の属する地方公共団体に対し,総合的な土砂災害対策を講ずるよう要請・助言等を行う。

(3) 災害弱者施設の防災対策強化のための検討

 消防庁においては,災害弱者施設を土砂災害から守るため,災害弱者施設における土砂災害対策に関する実態調査を行い,防災対策強化のための指針作成を行う。

  平成13年度予算額 (4百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (4百万円)

(4) 土砂災害防止のための啓発普及活動

 農林水産省においては,山地災害の未然防止についての住民への周知徹底,注意の喚起及び防災意識の高揚に資することを目的に山地災害防止キャンペーンを実施する。

(5) 災害弱関連施設に係る防災対策の推進

 農林水産省においては,災害弱者施設に係る農地の保全に係る地すべり危険箇所の周知等,地すべり防止対策事業等による防災対策を推進する。

(6) 砂利採取に伴う災害防止のための教育等

 経済産業省及び国土交通省においては,砂利採取に伴う災害を防止するため,各都道府県に対し砂利採取業者の監督を指導するとともに,砂利採取業務主任者等の啓蒙指導を目的とした講習会を6月1ヶ月間に全国10数ヵ所で実施するほか,6月1日から30日までを砂利採取防止月間とし,ポスター,パンフレット等を配布するとともに砂利採取場の立入検査を実施する。

  平成13年度予算額 (5百万円)

  平成12年度予算額 (5百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(7) 総合的な土砂災害対策の推進

 国土交通省は,既存の諸制度と相まって総合的な土砂災害対策を講じるため,平成13年より施行された「土砂災害警戒区域等にかける土砂災害防止対策の推進に関する法律」(土砂災害防止法)に基づき急傾斜地の崩壊等のおそれがある土地に関する地形等の状況及び土砂災害の発生のおそれがある土地の利用状況等に関する調査について平成13年度より砂防関係基礎調査費補助制度を創設する。

(8) 鉄道施設の落石事故等防止対策

 国土交通省においては,落石等による鉄道施設の災害を防止するため,危険箇所等の実態調査を行い,落石事故等防止対策について検討し,鉄道事業者に対して指導を行う。

  平成13年度予算額 (1百万円)

  平成12年度予算額 (1百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(9) 総合治水対策の実施

 国土交通省においては,浸水被害の著しい既成市街地が大部分を占める河川流域等について,治水施設の整備,流域の保水・遊水機能の確保等を行う総合治水対策を推進する。特に,鶴見川等全国17の総合治水対策特定河川について,総合治水対策特定河川事業による河川改修の重点的実施,流域の保水・遊水機能の確保等,流域整備計画に基づく諸施策を実施する。また,上記17河川以外の河川においても,浸水予想区域及び浸水実績の公表を推進する。さらに,流域の保水・遊水機能の恒久的な維持・増進を図るため,個人の住宅の敷地等への貯留浸透施設(浸透ます等)の設置及び公共公益施設への貯留浸透施設の設置等の総合的な雨水流出抑制対策を推進する。

(10) 河川情報基盤整備の推進

 国土交通省においては,平成8年度に創設した情報基盤緊急整備事業により,都道府県の洪水,土砂災害,津波等に関する都道府県の各種観測施設の整備を推進するとともに,国が管理する歌手防災情報とあわせて,総合的に情報を収集,処理,活用するシステムの整備を行う。

(11) 河川情報の提供の推進

 国土交通省の有する雨量・河川の水位,水防警報,洪水予報等の河川情報は,水防活動,避難誘導等洪水等による被害を最小限に食いとめるために極めて有効であることから,インターネットや携帯端末を活用するとともにNHK等報道機関を通じて一般住民への情報提供を行う。また,(財)河川情報センターにて河川情報の収集,処理,加工を行い,全国情報ネットワークを通じて,市町村,水防関係団体等に確実,迅速,かつ的確に河川情報を伝達する。

(12) 災害危険区域図等の作成,公表の推進

 国土交通省においては,浸水実績図,洪水氾濫危険区域図,土砂災害危険区域図及び災害が発生した場合の状況を想定して,避難地,避難路の位置,災害時の心得等を具体的に示したハザードマップ及び洪水による浸水状況が時間とともにどのように変化するのかを示した洪水氾濫シミュレーションの作成・公表を推進し,住民の防災意識の高揚と災害への備えの充実と,地域防災計画への反映を図る。

(13) 水防災対策の推進

 国土交通省においては,地域の選択により,土地の有効利用を図りつつ住宅等を洪水から防御する地域水防災対策を円滑に推進する。

(14) 水防に関する啓発普及活動

 国土交通省においては,水防の意識及び重要性について国民の理解と関心を高めるとともに,水防に対する国民の協力を求めるため,水防月間において,都道府県,水防管理団体その他関係機関とともに各種の行事及び活動を実施する。特に,関係団体と連携して,水防団員等に対して水防技術の習得・研鑚,水防に関する基本的考え方の普及を図るため,利根川等9河川において洪水時に際しての水防工法,情報伝達,救援,救護訓練等の総合的な演習を実施する。また,水防体制の強化・拡充を図ることを目的として,都道府県及び市町村の職員に対し,水防に関する実務的知識を修得させるため,関係団体と連携の下に水防研修を実施するとともに,主として水防団員に対し,水防技術の向上及び伝承を図るため,水防工法の実技演習を中心とした水防技術講習会を実施する。

(15) 土砂災害防止のための啓発普及活動

 国土交通省においては,土砂災害に関する国民の理解と関心を深めるとともに,土砂災害に関する防災知識の普及,警戒避難体制整備の促進等の運動を強力に推進し,土砂災害による人命,財産の被害の防止に資することを目的として,土砂災害防止月間及びがけ崩れ防災週間を実施する。月間中には,土砂災害防止推進の集い(全国大会)を鳥取県で開催するほか,広報活動の推進,土砂災害防止功労者の表彰,土砂災害に関する絵画・ポスター・作文の募集を行うとともに,各地で講演会,見学会の開催,危険区域の周知,点検,警戒避難訓練等を実施する。

(16) 国土交通省と気象庁との河川及び気象等に関する情報のリアルタイム交換の整備

 国土交通省と気象庁においては,水防法及び気象業務法に基づき共同で実施する洪水予報業務その他の業務の高度化に資するため,それぞれの保有する河川及び気象等に関する情報のリアルタイム交換を行う。

a 交換する情報の内容

(a)

 国土交通省が気象庁に提供する情報

 河川水位・流量,地点雨量,レーダー雨量計,ダム,堰諸量,積雪,地震情報,洪水予報,水防体制・水防警報,ダム放流通知

(b)

 気象庁が国土交通省に提供する情報

 洪水予報,気象注意報・警報,台風や大雨等に関する気象情報,降水短時間予報(含む流域雨量),量的予報,アメダス,レーダーエコー,降水ナウキャスト,季節予報・天候等の状況に関する気象情報,地震・津波

b 技術交流の促進

 情報の効果的な使用を促進するため,国土交通省と気象庁は,観測の方法,データの精度等,情報の内容や質に関する基礎資料を相互に交換するとともに,交換情報の利用について技術的な助言を相互に行い,技術交流を促進する。

(17) 郵政事業庁と国土交通省・林野庁との連携による土砂災害・山地災害警戒避難体制の強化

 各地の郵便局を窓口に地域住民への土砂災害・山地災害関連情報の提供を行うなどの基本協定を郵政省と建設省及び郵政省と林野庁においてそれぞれ締結し土砂災害・山地災害警戒避難体制の強化を行うこととしている。平成13年度においても引き続き郵便局と砂防担当機関・山地担当機関との連携を推進する。

(18) 災害弱者関連施設に係る防災対策の推進

 平成10年8月に福島県西郷村の救護施設の入所者5名が土石流により死亡するなど,いわゆる災害弱者が犠牲となった土砂災害が相次いだことに鑑み,文部省,厚生省,林野庁,建設省においては,土砂・山地災害を受けるおそれのある災害弱者関連施設の立地条件に関する緊急点検調査を実施した。その調査結果を受け,文部省,厚生省,林野庁,建設省,消防庁においては,[1]国土保全事業の推進,[2]災害弱者関連施設に係る情報提供等,[3]災害弱者関連施設における防災対策の確立を図ることを旨とした共同通達を平成11年1月に都道府県知事等宛に発出した。この共同通達を受け国土交通省においては,被害想定区域内にある災害弱者関連施設の管理者等に対して,市町村と協力して地域防災計画に基づき警戒避難体制の整備を行うよう指導するとともに,自力避難が困難な者が入所・入院している施設等を保全対策に含む緊急的に対応すべき箇所について警戒避難体制を確立する情報基盤の整備や砂防設備等の整備を実施する。また,災害弱者(高齢者等)が入所・入院する施設に係る急傾斜地崩壊対策事業を採択基準を拡充し重点的に実施する。

(19) 予報,警報その他の情報の発表,伝達

 気象庁においては,気象,高潮,洪水に関する水防活動の利用に適合する予報及び警報を発表するとともに,洪水予報指定河川については,水防法等に基づき,国土交通省と共同で洪水予報を発表し,災害の防止・軽減に努める。

4 火山災害対策

4-1 教育訓練

(1) 警察庁における教育訓練

 警察庁においては,都道府県警察の幹部に対し,火山災害発生時の災害応急対策等について教育訓練を行うほか,都道府県警察に対し地域住民,関係機関との連携による火山災害警備訓練の積極的な実施について指導する。

4-2 防災施設設備の整備

(1) 活動火山周辺地域における避難施設の整備

 消防庁においては,火山噴火災害時の住民避難等に必要な退避壕,ヘリコプター離着陸用広場について,活動火山周辺地域の地方公共団体に対し補助を行う。

  平成13年度予算額 (13百万円)

  平成12年度予算額 (6百万円)

  差引増△減    (7百万円)

(2) 活動火山周辺地域における農林水産業防災施設の整備

 農林水産省においては,火山の爆発による農林水産物等の被害が農林漁業の経営に著しい支障を及ぼすおそれがある地域において,活動火山対策特別措置法の規定に基づき,次の事業を実施する。

  平成13年度予算額 (1,681百万円)

  平成12年度予算額 (1,831百万円)

  差引増△減    (△150百万円)

a 防災営農施設整備事業

 活動火山の降灰による農作物の被害に対処するため,防災営農施設整備計画に基づき,次の事業を実施する。

(a)

 活動火山周辺地域防災営農対策事業

 降灰による土壤の酸性化等の矯正に必要な石灰質資材等の共同購入を行う降灰地域土壤等矯正事業,降灰被害の防止又は降灰除去のため,野菜,茶,果樹等について被覆,洗浄等の施設を整備する降灰防止・降灰除去施設等整備事業及び降灰による被害を比較的受けにくい飼料作物への作付転換等により,肉用牛を導入する等の耐灰性作目等導入促進事業等を総合的に実施する。

(b)

 畑地かんがい施設の整備

 降灰対策を含めた多目的畑地かんがい施設等の整備及び地下水源の開発事業を実施する。

(c)

 活動火山周辺地域防災林業対策事業

 しいたけ等特用林産物について,被覆施設,洗浄機械施設等降灰の防止又は降灰の除去のために必要な機械施設を整備する事業を実施する。

(3) 火山地域防災機能強化総合治山事業の促進

 農林水産省においては,火山地域において,荒廃地の復旧整備及び泥流,土石流等による山地災害の未然防止を図るため,治山ダム,観測施設等の設置等を行う火山地域防災機能強化総合治山事業を推進する。

(4) 火山砂防事業の推進

 国土交通省においては,火山地域における住民の安全確保のため,ハード対策としての火山砂防事業,ソフト対策としての火山噴火警戒避難対策事業を推進する。

a 火山砂防事業の推進

 火山地,火山麓地,又は火山現象により著しい被害を受ける恐れのある地域において,土石流,溶岩流,火山泥流等に対する砂防設備の整備を行う。

b 火山噴火警戒避難対策事業の推進

 火山地域における警戒避難体制の整備を図るために,火山災害予想区域図の作成を促進する。また,火山活動の状況や異常な土砂の動き等を監視,情報伝達するため必要なワイヤセンサー,雨量計,監視カメラ等の設備を設置して火山噴火対策情報ネットワーク整備の推進を図る。

c 火山砂防激甚災害対策特別緊急事業

 噴火等の活発な火山活動により激甚な災害が発生した一連地区において,火山泥流や土石流等の広域的かつ大規模な土砂災害に対処するため,平成13年度より火山砂防激甚災害対策特別緊急事業を創設し,一定計画に基づき一定期間内(概ね5年)に緊急的かつ機動的な火山災害防止対策のための砂防設備の整備を行う。

(5) 火山観測施設の整備等

 気象庁においては,火山活動の的確な監視及び適時適切な火山情報の発表を行うため,火山観測施設の整備等を行うほか,本庁(東京)及び札幌・仙台・福岡管区気象台に火山監視・情報センター(仮称)を整備し,データ処理と異常検知及び迅速な情報提供を行うシステムを整備する。

  平成13年度予算額 (2,034百万円)

  平成12年度予算額 (417百万円)

  差引増△減    (1,617百万円)

4-3 その他

(1) 総合的な火山災害対策の推進

 内閣府においては,地理情報システム(GIS)を活用し機動的火山災害対策を行うことができるシステムを構築するとともに,平成12年における有珠山や三宅島の噴火災害の教訓を踏まえた応急対策の充実を図る。

  平成13年度予算額 (45百万円)

  平成12年度予算額 (18百万円)

  差引増△減    (27百万円)

(2) 活動火山対策の推進

 消防庁においては,火山噴火災害に対する防災対策の充実強化を図るため,地域防災計画の整備充実,広域的な防災体制の確立,防災知識の普及及び実践的な防災訓練の実施等について,関係地方公共団体に対し引き続き要請・助言等を行う。

(3) 火山情報整備

 国土交通省国土地理院においては,活動的火山の自然条件及び既往災害等を把握し,防災計画等の基礎資料とするため,地形分類,防災関係施設の分布等を空中写真判読,現地調査等により調査し,2万5千分の1火山土地条件図の作成を行う。また,航空機による地表面温度分布等の調査及び火山基本図の作成とそのデータベース化を行う。

  平成13年度予算額 (19百万円)

  平成12年度予算額 (19百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(4) 伊豆半島東方沖火山活動に関する連続監視

 国土交通省国土地理院においては,伊豆半島東方沖の火山活動に伴う地殼変動の動向を的確に把握するため,電子基準点(GPS連続観測施設)及びEDM(光波測距儀)等による地殼の三次元的な連続監視を行う。

  平成13年度予算額 [7百万円]

  平成12年度予算額 [7百万円]

  差引増△減    [0百万円]

(注)

 [ ]書きは,2章2-1(10)に計上したものの内数である。

(5) 火山災害防止のための啓発普及活動

 国土交通省においては,火山地域の自治体が火山と地域の安全についての理解を深める等により,火山砂防事業の推進に寄与することを目的とした火山砂防フォーラム(於:東京都)の開催を支援し,火山災害防止のための啓発活動を行う。

(6) 火山情報の発表,伝達等

 気象庁においては,雲仙岳,伊豆大島をはじめとする常時観測火山については定期的に,また,全国の各火山について火山活動の活発化等変化が生じた場合には,臨時に火山情報を発表して一般及び防災関係機関への周知に努めるほか,直接人体に被害が生じ,または生じるおそれがある場合など必要があると認めたときは,緊急火山情報を関係都道府県知事に通報する。なお,必要に応じて,火山機動観測班を現地に派遣し,各種の観測及び調査を行う。

5 雪害対策

5-1 教育訓練

(1) 警察庁における教育訓練

 警察庁においては,都道府県警察に対し,地域住民及び関係機関との合同による雪害警備訓練の実施について指導する。

5-2 防災施設設備の整備

(1) 民間社会福祉施設の雪害防止

 厚生労働省においては,特別豪雪地帯における民間社会福祉施設に対し,除雪助成事業を行う。

  平成13年度予算額 (54百万円)

  平成12年度予算額 (53百万円)

  差引増△減    (1百万円)

(2) 豪雪地帯対策

 国土交通省においては,次のとおり施設の整備を行う。

  平成13年度予算額 (160百万円)

  平成12年度予算額 (178百万円)

  差引増△減    (△18百万円)

a 個性と活力に満ちた雪国創造事業

 道府県豪雪地帯対策基本計画を策定している道府県において,計画推進の先導的役割を果たすモデル地域を設定し,道府県計画の理念に基づく具体的な対策の推進を図るため,克雪活動その他の雪対策活動に必要な施設等の整備の補助を行う。

b 特別豪雪地帯産官学連携プロジェクト推進事業

 特別豪雪地帯において,産官学の連携を図りながら,先導的な技術を導入して,雪害を防除する施設等を整備するための補助を行う。

(3) 空港の雪害防止

 国土交通省においては,積雪寒冷地における航空交通を確保するため,空港の除雪,除雪機械等の整備を行う。

  平成13年度予算額 (868百万円)

  平成12年度予算額 (968百万円)

  差引増△減    (△100百万円)

(4) 冬期における道路交通の確保

 国土交通省においては,積雪寒冷地域における安全で円滑な冬期の道路交通を確保するため,平成10年度を初年度とする新積雪寒冷地域道路交通確保五箇年計画に基づき,除雪,防雪,凍雪害防止事業,除雪機械整備に係る事業を推進する。

  平成13年度予算額 (92,376百万円)

  平成12年度予算額 (92,646百万円)

  差引増△減    (△270百万円)

a 除雪,防雪,凍雪害防止

 安全で円滑な冬期道路交通を確保するため,拠点間を結ぶ主要な広域幹線道路について,重点的な除雪・防雪事業を推進する。積雪による歩道幅員の減少や凍結による転倒危険性の増大などに対し,鉄道駅周辺や中心市街地,通学路等,特に安全で快適な歩行者空間の確保が必要な歩道等の除雪の重点的な実施や融雪施設等の整備を推進する。さらに,冬期の安全な走行を支援するため,路面凍結検知器等の気象観測装置,道路情報板などの情報収集・提供機器の整備を推進する。

(5) 雪崩対策事業

 国土交通省においては,次の事業を実施する。

  平成13年度予算額 (2,306百万円)

  平成12年度予算額 (2,402百万円)

  差引増△減    (△96百万円)

a 雪崩対策事業

 集落における雪崩による災害から人命を保護するため,雪崩防止施設の整備を促進する。

b 総合的な雪崩対策の推進

 雪崩の頻発する地域においては,雪崩防止施設を整備するとともに警戒・避難体制の整備等を目的とした総合雪崩対策モデル事業を推進する。

c 雪崩対策事業調査

 事業の効率的な実施のため,現地観測等を通して雪崩の被害予測法,防止施設の合理的な設計・施工等について調査・研究を行う。

(6) 雪に強いまちづくりの推進

 国土交通省においては,豪雪時の都市機能の確保を図るため,積雪・堆雪に配慮した体系的な市街地内道路整備を行うとともに,効率的な除排雪を可能とする消融雪施設,流雪溝の整備を行うスノートピア道路事業を11都市で実施する。

 また,居住地内の積雪を速やかに排除するために下水道の水路や下水処理水等を活用する新世代下水道支援事業制度(再生資源活用型)を実施する。

(7) 融雪時の出水や雪崩に伴う土砂流出対策等

 国土交通省においては,融雪時の出水や雪崩に伴う土砂流出防止,流雪用水確保に寄与,及び除排雪機能を有する砂防設備の整備を総合的・包括的に実施することを目的とする雪対策砂防モデル事業を実施する。

5-3 その他

(1) 雪崩災害対策の推進

 内閣府においては,雪崩災害対策の予防及び軽減を図るため,総合的な雪崩災害対策を推進する。

  平成13年度予算額 (2百万円)

  平成12年度予算額 (2百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(2) 雪害予防のための広報啓発活動

 警察庁においては,雪害の発生実態を的確に把握し,各種広報媒体を通じて雪害予防のための効果的な広報啓発活動を推進する。

 このほか,各都道府県警察においては,関係機関と連携し,パトロール,各種会合等を通じて広報啓発活動を推進する。

(3) 集落における雪崩災害防止のための啓発普及活動

 国土交通省においては,集落を対象とした雪崩災害に対する国民の理解と関心を深め,雪崩災害による人命,財産の被害防止に資することを目的として,雪崩防災週間を実施し,雪崩防災シンポジウムの開催(於:岩手県)をはじめとした広報活動の推進,危険箇所の周知,点検,警戒避難訓練等を実施する。

(4) 予報,警報その他の情報の発表,伝達

 気象庁においては,降積雪やなだれ等に関する適時適切な予報,警報その他の情報を発表して,防災関係機関,報道機関等に伝達し,災害の防止・軽減に努める。

6 火災対策

6-1 教育訓練

(1) 消防大学校における教育訓練

 消防庁消防大学校において,国・都道府県の消防の事務に従事する職員及び市町村の消防職団員に対し火災予防,火災時の救助・救急等に関する高度の教育訓練を行う。

(2) 消防団員の教育訓練に対する補助

 消防庁においては,消防団員のための各種教育訓練に要する経費について,財団法人日本消防協会に対し補助を行う。

  平成13年度予算額 (15百万円)

  平成12年度予算額 (21百万円)

  差引増△減    (△6百万円)

6-2 防災施設設備の整備

(1) 消防施設設備の整備

 消防庁においては,消防力の強化のために必要な防火水槽,消防広域化推進事業,消防ポンプ自動車等の整備について,市町村等に対し補助を行う。

  平成13年度予算額 (6,231百万円)

  平成12年度予算額 (6,900百万円)

  差引増△減    (△669百万円)

(2) 林野火災用消防施設等の整備

 消防庁においては,林野火災に対処するため,地方公共団体に対する補助を行うことにより,防火水槽,林野火災用活動拠点広場,林野火災工作車等の整備を促進する。

  平成13年度予算額 (251百万円)

  平成12年度予算額 (311百万円)

  差引増△減    (△60百万円)

(3) 国立学校の防火施設整備

 文部科学省においては,国立学校の火災予防又は,その被害を最小限にとどめるための防火施設の整備を行う。

  平成13年度予算額 (823百万円)

  平成12年度予算額 (823百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(4) 文化財の防火施設等の整備

 文化庁においては,文化財の火災予防のための施設設備を整備するための補助を行う。

  平成13年度予算額 (2,486百万円)

  平成12年度予算額 (2,727百万円)

  差引増△減    (△241百万円)

(5) 社会福祉施設等の施設整備

 厚生労働省においては,火災予防等のための施設・設備を整備する社会福祉施設等に対し,補助を行う。

(6) 林野火災予防施設の整備等

 農林水産省においては,森林火災を予防するため,全国山火事予防運動等林野火災の未然防止についての普及,予防体制の強化,予消防組織の育成,林野火災予防情報システムの整備等を地域単位で推進する事業及び防火林道を整備する事業につき助成する。また,国有林においても防火線の整備,防火林道の整備等を実施する。

  平成13年度予算額 (1,639百万円)

  平成12年度予算額 (2,594百万円)

  差引増△減    (△955百万円)

(7) 空港における消防体制の整備

 国土交通省においては,航空機火災等に対処するため,東京国際空港に大型化学消防車を増車体制強化し,新千歳,稚内,福岡,熊本,大分,鹿児島,那覇空港の大型化学消防車等を,大型化及び性能向上を図って更新を行い,主要空港については,指揮指令及び通信連絡体制の強化を図るため,通信指令卓の整備を行う。また,平成12年度から運用を開始した「空港防災教育訓練センター」については,空港消防業務従事者のさらなる技術の向上を図るため,専門的,かつ,総合的な消火救難訓練等の計画的な運用を行う。さらに,空港保安防災体制の充実,危機管理体制の強化を図るため,主要空港に専門職員の配置を行う。

 一方,空港救急防災体制については,老朽化した空港救急医療用資器材等の更新等を行う。

  平成13年度予算額 (2,317百万円)

  平成12年度予算額 (927百万円)

  差引増△減    (1,390百万円)

(8) スーパー堤防区域内における中高層耐火建築物への融資

 国土交通省においては,スーパー堤防の整備を推進するとともに,周辺の市街地における地震,火災等の災害の防止を図るため,スーパー堤防の区域内における中高層耐火建築物に係る融資を行う。

(9) 災害の防止に寄与する耐火建築物等に対する建設・購入資金融資

 住宅金融公庫においては,災害の防止に寄与する耐火建築物等の建設・購入資金に対し都市居住再生融資,市街地再開発等融資及び中高層建築物融資を行う。

  平成13年度予算額 [408,199百万円]

  平成12年度予算額 [394,162百万円]

  差引増△減    [14,037百万円]

(注)

 [ ]書きは,融資額を表す。

(10) 海上消防能力の整備

 海上保安庁においては,海上火災に,より的確に対処するため,消防能力を備えた巡視艇を整備する。

6-3 その他

(1) 火災予防体制の整備

 消防庁においては,次の施策を講じる

a 消防計画の作成及び修正

 市町村の消防計画の作成及び修正等について,市町村に対し助言等を行う。

b 消防の広域再編の推進

 消防の対応力の強化を図り,効率的な消防行政を進めていくために,既に策定されている消防広域化基本計画の見直しを要請することなどにより消防本部の広域再編を一層推進する。

  平成13年度予算額 (6百万円)

  平成12年度予算額 (5百万円)

  差引増△減    (1百万円)

c 消防用設備等の設置の促進

 消防法により義務付けられた消防用設備等が未設置である防火対象物の是正指導を行う。特に悪質なものについては,措置命令等厳正な措置を講ずるよう引き続き全国の消防機関に対して周知する。

d 消防用設備等の維持管理の徹底

 防火対象物に設置された消防用設備等の適正な維持管理を図るため,定期点検の実施の徹底を推進,点検・維持管理に必要な知識や技能を有する人材の育成を図る。

e 消防用設備等の国際化への対応

 国際規格策定作業への積極的な参画,外国検査機関の検査データの受け入れ等を推進するため,国際規格等の情報収集,国内規格との比較及び外国検査機関についての調査等を行うとともに,それらの情報をデータベースの形で分類整理を行う。

  平成13年度予算額 (5百万円)

  平成12年度予算額 (5百万円)

  差引増△減    (0百万円)

f 消防用設備等に関するISO規格の比較実験等

 国際規格を基礎とした試験を実際に行い,国内の既往試験結果との比較等を通じて,制定された国際規格を補足し,我が国内において,適切な試験の実施を可能とするための試験設備の仕様や試験実施要領に関する指針を策定する。

  平成13年度予算額 (10百万円)

  平成12年度予算額 (5百万円)

  差引増△減    (5百万円)

g 自主防火管理体制の整備促進

 自主防火管理体制の整備促進を図るため,百貨店,地下街等における防火管理者の選任,消防計画の作成,消火訓練等を促進するとともに,事業所等における自衛消防組織の育成強化を行う。また,旅館,社会福祉施設等における防火安全対策の推進を図るため,これらの施設の特性に応じた防火管理体制等についてのマニュアルに基づき実態に即した防火対策を促す。

h 表示・公表制度の推進

 不特定多数の者が利用する施設の防火安全対策を推進するとともに,当該施設の利用者に防火情報を提供する防火基準適合表示制度の周知徹底を図り,「適マーク」未交付の旅館等における不備事項の是正を促進する。

i 全国火災予防運動等の実施

 火災予防や初期消火の心構え等防火知識の普及啓発を行うほか,春と秋の2回,全国火災予防運動を実施する等,車両火災予防運動,全国山火事予防運動,文化財防火デーなどの予防運動を関係省庁と共同で実施し,関係者に対する防火思想の普及を図る。

j 消防防災システムのインテリジェント化の推進

 建築物の高層化,深層化等に伴って多様化,複雑化する火災に的確に対処するため,消防防災システムのインテリジェント化推進要綱に基づき,技術開発ガイドライン,表彰制度等の活用を通じて,消防防災システムのインテリジェント化を図る。

k 住宅防火対策の推進

 高齢化が進展する中で,住宅火災による死者の大幅な低減を図るため,過去10年間の住宅防火対策の成果を踏まえ,「連携と実践」を合い言葉に,ハード面とソフト面の両面から一層実践的な対策を強力に展開する。

  平成13年度予算額 (2百万円)

  平成12年度予算額 (2百万円)

  差引増△減    (0百万円)

l ハロン消火剤等の使用抑制に関する対応

 オゾン層保護及び地球温暖化防止を図るため,モントリオール議定書及び京都議定書の趣旨に沿って,ハロン消火剤及びハロン代替消火剤の使用抑制に関する具体的方策等を検討する。

  平成13年度予算額 (3百万円)

  平成12年度予算額 (3百万円)

  差引増△減    (0百万円)

m 文化財保護のための総合的防火対策の推進

 文化財を火災等の災害から保護し,次代に継承させるため,地域協力体制の構築を図り,また防火上有効な設備等の設置のあり方等を検討し,防火安全対策の推進を図る。

  平成13年度予算額 (5百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (5百万円)

n 放火火災予防対策の推進

 放火火災予防対策マニュアル等に基づき,「放火されない環境づくり」と「被害の局限化」を最重点に,放火火災の更なる低減を図る。

o 消火器・防炎物品のリサイクルの推進

 消火器・防炎物品について,効果的なリサイクル方法や実効性のあるリサイクル制度の構築について検討を行う。

  平成13年度予算額 (112百万円)

  平成12年度予算額 (85百万円)

  差引増△減    (27百万円)

p 燃焼機器等の規制のあり方に関する調査研究

 消防庁においては,燃焼機器に関する火災予防上の規制のあり方について調査研究し,燃焼機器による火災発生要因の分析,燃焼機器に関する技術開発の動向の把握等を行い,合理的な防火安全を確保し,今後の火災予防行政に反映させる。

  平成13年度予算額 (7百万円)

  平成12年度予算額 (27百万円)

  差引増△減    (△20百万円)

q 災害弱者に配慮した総合的防火安全対策の推進

 高齢者,身体不自由者等いわゆる災害弱者は,火災等の災害発生時において,逃げ遅れ等により死傷する事例も多い。そのため,火災情報の迅速な伝達ができる機器の開発普及,避難誘導体制の充実を図るとともに,一人でも操作できる屋内消火栓設備などの初期消火設備の充実や,消防機関への迅速な通報が可能な火災通報装置の設置の促進を図る。病院・社会福祉施設等に対しては,「夜間の防火管理体制指導マニュアル」に基づき,防火管理上特に問題点が多い夜間における防火管理体制の整備を図るなどソフト面の充実に努め,災害弱者に配慮した総合的な防火安全対策の推進を図る。

r 効率的な立入検査の執行基準の確立に関する調査研究

 消防庁においては,12年度の調査研究結果に基づき,各消防本部の立入検査執行体制,管内情勢等の状況に応じて,適正な立入検査を実施するための具体的な執行基準(立入検査執行マニュアル)を検討し,効率的な立入検査の促進を図る。

  平成13年度予算額 (3百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (3百万円)

s 小規模防火対象物の防火安全対策に関する調査研究

 土地の高度利用に伴う雑居ビル等の増加・事業形態の多様化から生ずる小規模防火対象物における火災危険の増加に対応するため,防火管理・消防用設費等のあり方を調査検討し,防火安全性の確保を図る。

  平成13年度予算額 (4百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (4百万円)

t 高齢化社会に対応した火災予防・通報システムの開発

 高齢者の火災による死者の発生を低減するために,高齢者の体力・視力・聴力等を考慮した,活用しやすい消防用機器や,デジタル回線等の技術を活用した多様な情報を送信可能な火災通報装置・緊急通報装置の開発等を行う。

  平成13年度予算額 (273百万円)

  平成12年度予算額 (0百万円)

  差引増△減    (273百万円)

u 林野火災防止対策の推進等

 林野庁と共同して全国山火事予防運動を実施し,関係者の防火意識を高揚させるとともに,林野火災の発生又は拡大の危険度の高い地域を対象とする林野火災特別地域対策事業の一層の推進に努める。

v 自主防災組織,民間防火組織の育成等による防火思想の高揚

 自主防災組織,婦人防火クラブ,少年消防クラブ及び幼年消防クラブの育成指導を通じ,防火思想の高揚を図る。

w 雑誌「日本消防」の発行等に対する補助

 消防庁においては,雑誌「日本消防」の発行等に要する経費について,財団法人日本消防協会に対し補助を行う。

  平成13年度予算額 (15百万円)

  平成12年度予算額 (9百万円)

  差引増△減    (6百万円)

x 統計情報等

 火災報告の形式及び方法の改訂,消防白書,火災年報及び火災四半期報等各種消防統計の分析整理並びに消防行政に必要な資料の編さんを行う。

  平成13年度予算額 (11百万円)

  平成12年度予算額 (5百万円)

  差引増△減    (6百万円)

(2) 林野火災予防のための啓発普及活動

 農林水産省においては,春の火災危険期に消防庁と協力して,全国山火事予防運動を実施する等林野火災の予防思想の啓発普及を行う。

  平成13年度予算額 (6百万円)

  平成12年度予算額 (6百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(3) 地下鉄道の火災対策

 国土交通省においては,既設地下鉄道の火災対策設備の良方策の検討を行う。

  平成13年度予算額 (5百万円)

  平成12年度予算額 (5百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(4) 建築物の安全対策の推進

 国土交通省においては,火災等の災害から建築物の安全を確保するため,多数の者が利用する特定の特殊建築物等に対して,維持保全計画の作成,定期調査・検査報告,防災査察等を推進し,これに基づき適切な維持保全及び必要な改修を促進する。

(5) 火災気象通報等

 気象庁においては,気象状況が火災予防上,危険であると認めるときは,消防法に基づき,その状況を直ちに都道府県知事に通報し,地方公共団体の火災予防対策に協力する。また,一般に対しては,乾燥注意報,暴風警報,強風注意報を適時発表して注意・警戒を喚起するものとする。

7 危険物災害対策

7-1 教育訓練

(1) 危険物担当者の教育訓練

 警察庁においては,消防危険物,高圧ガス,毒物・劇物,火薬類等の危険物による災害防止等保安対策推進のため,都道府県警察の危険物担当幹部に対して,関係法令,指導取締り要領等について必要な教育訓練を行う。

(2) 消防大学校における教育訓練

 消防庁消防大学校においては,国,都道府県の消防の事務に従事する職員及び市町村の消防職団員に対し,危険物災害防止対策,石油コンビナート災害防止対策等に関する高度の教育訓練を行う。

(3) 火薬類災害防止対策

 経済産業省においては,社団法人全国火薬類保安協会に事業委託し,火薬類取扱従事者保安対策講習,各種技術基準の作成,煙火等保安対策,火薬類流通保安対策,その他保安対策及び国際化に対応した火薬類保安規制の見直しのための検討を行う。

  平成13年度予算額 (36百万円)

  平成12年度予算額 (38百万円)

  差引増△減    (△2百万円)

(4) 危険物運送事業者の研修等

 国土交通省においては,危険物輸送事業者への監査の実施のほか,運行管理の徹底,関係法令の遵守等の指導,関係民間団体による自主パトロールの推進を図る等,イエローカード(緊急連絡カード)のより一層の普及を図るため研修等の機会をとおして指導を行う。また,放射性特質等の安全輸送に関する知識普及のため,運送事業者等の使用者等の関係者に対する研修を行うとともに,運搬の事故防止等を図るため,立入検査を行う。

(5) 海上防災訓練等

 海上保安庁においては,石油コンビナート等の周辺海域を中心に,油等排出事故対策訓練及び消防訓練を実施する。また,海上災害防止センターの行う海上防災訓練に対する指導を行うとともに,タンカー等危険物積載船の乗組員,危険物管理施設の従業員を対象に,危険物排出時や海上災害発生時の通報及び応急措置の具体的な方法について,海上防災講習会等を通じて指導する。さらに,サハリン東方沖掘削基地での油の暴噴事故に備えて,ロシア連邦運輸省国家海難救助調査庁との間で油防除に関する情報交換及び合同訓練を実施する。

  平成13年度予算額 (8百万円)

  平成12年度予算額 (3百万円)

  差引増△減    (5百万円)

7-2 防災施設設備の整備

(1) 石油コンビナート災害用消防施設

 消防庁においては,石油コンビナート等特別防災区域等における危険物災害に対処するため,大型化学消防ポンプ自動車,大型高所放水車,泡原液搬送車及び化学消防ポンプ自動車の整備について,当該区域所在の市町村等に対し補助を行う。

  平成13年度予算額 (524百万円)

  平成12年度予算額 (539百万円)

  差引増△減    (△15百万円)

(2) 大規模石油災害対策

 経済産業省においては,原油流出等大規模な石油災害に対応するため,石油連盟が実施する災害対策用資機材の整備,災害対策技術等に関する調査研究及び国際会議の開催等に補助を行い,石油災害への対応体制の整備を行う。

  平成13年度予算額 (899百万円)

  平成12年度予算額 (798百万円)

  差引増△減    (101百万円)

(3) LPガス用安全器具及び高圧ガス保安設備の設置推進

 経済産業省においては,次の措置を講じる。

 LPガス集中監視システム

 LPガス集中監視システムの導入促進をするため,LPガス販売事業者に対し融資を行う。

 (平成13年度中小企業金融公庫=事業環境整備促進グループ貸付枠6,500億円の内数,国民生活金融公庫=事業環境整備促進グループ貸付枠800億円の内数)

(4) 工業地帯及び石油コンビナート地帯等と市街地との間の緩衝地帯の整備

 国土交通省においては,石油コンビナート地帯等における災害・公害の市街地への拡大を防止するため,和歌山地区共同福利施設等において,都市公園等整備事業の一環として,工業地帯等と市街地との間に緩衝緑地を整備する事業を行う。

7-3 その他

(1) 火薬類の安全管理対策

 警察庁においては,火薬類取扱事業者等による火薬類の保管管理と取扱いの適正化を図るため,火薬類取扱場所等への立入検査を徹底するよう都道府県警察を指導し,併せて火薬類の盗難防止等についての広報啓発活動を推進する。

(2) 消防危険物等の災害防止対策

 警察庁においては,都道府県警察が行う関係機関との緊密な連携による消防危険物,高圧ガス,毒物・劇物,火薬類等の運搬車両等に対する指導,取締りの強化及び安全基準の遵守についての指導を徹底する。

(3) 石油コンビナート等防災対策指導等

a 新設事業所等のレイアウト規制

 消防庁及び経済産業省においては,石果コンビナート等災害防止法に基づき,石油及び高圧ガスを併せて取り扱う事業所の新設等に際し,事業所内の施設のレイアウトについて規制を実施するとともに,必要な指導を行う。

b 石油コンビナート等防災本部等の指導

 消防庁においては,石油コンビナート等防災本部等に対し石油コンビナート等防災計画の策定及び運用等について指導を行う。

  平成13年度予算額 (10百万円)

  平成12年度予算額 (10百万円)

  差引増△減    (0百万円)

c 石油コンビナート防災アセスメント実施の推進に関する調査研究

 石油コンビナート防災対策の充実強化のため,防災アセスメントの理解の増進と実施こ推進を図ることが必要なため,防災アセスメントの結果の意味及び公表に当たっての留意すべき事項,公表のあり方等について理解の増進と実施の推進を図る。

  平成13年度予算額 (0百万円)

  平成12年度予算額 (4百万円)

  差引増△減    (△4百万円)

(4) 危険物規制についての指導

 消防庁においては,消防法に基づき,次の予防対策を推進する。

  平成13年度予算額 (129百万円)

  平成12年度予算額 (158百万円)

  差引増△減    (△29百万円)

a 危険物の規制に関する指導等

 危険物規制事務が適正に行われるよう,その運用に係る指導を行う。特に危険物の判定業務が円滑かつ適正に行われるよう指導を徹底するとともに,都道府県担当者を対象として危険物規制事務に係る研修会を開催する。

b 危険物等に係る調査の実施

 危険物施設,危険物取扱者の実態を把握するため,危険物規制事務調査等の調査を行う。また,危険物施設における事故事例の収集及び液化石油ガス,都市ガス等に係る事故状況調査を行う。

c 危険物の安全を確保するための技術基準等の整備

 危険物施設の技術基準の作成等を行う。

(a)

 危険物防災に関する基準の作成

 危険物に係る違反処理マニュアルの作成に関する調査研究を行う。

(b)

 危険物施設に係る効果的な立入検査のあり方の調査検討

 立入検査の専門家の育成方策に係る調査検討を行う。

(c)

 危険物施設の安全確保対策及び事故調査体制等のあり方に関する調査検討

 事故状況等を詳細に分析し,危険物施設における今後の安全管理のあり方や今後のより効果的な事故調査体制等のあり方について検討を行う。

(d)

 特定屋外タンク貯蔵所の開放周期の算定方法に係る性能規定化に関する研究

 タンク内部の検査・点検について,個々のタンクの状況に応じて開放周期を設定する方法を技術的な面から検討を行う。

d 危険物データベースの活用

 危険物の判定が公正かつ統一的に行われるよう危険物データベースのデータの一層の充実を図り,そのデータを消防機関に積極的に提供する。

e 危険物災害等情報支援システムの運用

 火災が発生した場合に著しく消火が困難な物質や人体に有害な物質の性状及び消防活動上必要な情報を消防機関等に提供する危険物災害情報支援システムの運用を行い,危険物災害等の安全対策の強化を図る。またシステムの内容を更に充実させるよう,化学物質の性状等の収集・整理等を行う。

f 危険物等事故情報研究・活用システムの構築

 消防庁に危険物事故情報データベースを構築し,消防機関,研究機関,事業所等とネットワーク化を図り,事故内容の研究を高度化し,その成果を活用することによって,危険物施設の保全確保を推進する。

g 危険物規制に関する技術基準の性能規定化の検討

 危険物規制に関する技術基準に関して,安全性を損なわないことを前提とし,新技術,新素材等の円滑な導入を可能とすることを目的として,性能規定化について検討を行う。

(5) 高圧ガス保安対策の強化と拡充

 経済産業省においては,次の事業を行う。

  平成13年度予算額 (25百万円)

  平成12年度予算額 (27百万円)

  差引増△減    (△2百万円)

a 高圧ガス保安技術基準作成事業

 技術進歩に即応して,計画的な保安基準の作成,整備を行う。

b 事故調査解析事業

 高圧ガスに係る事故の原因調査,分析を行う。

(6) 高圧ガス及び火薬類による災害防止の指導等

 経済産業雀においては,製造事業者等に対する立入検査及び保安教育指導,都道府県取扱担当者に対する研修,事故調査等を行う。

  平成13年度予算額 (28百万円)

  平成12年度予算額 (21百万円)

  差引増△減    (7百万円)

(7) 石油コンビナート等防災対策についての指導

a 新設事業所等のレイアウト規制

 経済産業省及び消防庁においては,石油コンビナート等災害防止法に基づき,石油及び高圧ガスを併せて取り扱う事業所の新設等に際し,事業所内の施設のレイアウトについて規制を実施するとともに,必要な指導を行う。

 〈経済産業省〉

  平成13年度予算額 (12百万円)

  平成12年度予算額 (12百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(8) 危険物の海上輸送の安全対策の確立

 国土交通省においては,危険物の多種多様化及び海上輸送量の増加にかんがみ危険物をばら積み船等で運送するための要件を評価検討し,危険物の特性に応じた安全対策を行う。また,危険物の海上輸送における国際基準を定めている海上人命安全条約及び国際原子力機関が定める放射性物質安全輸送規則の改正に伴い,国内規則を整備する。

  平成13年度予算額 (27百万円)

  平成12年度予算額 (27百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(9) 危険物運搬船の立入臨検等

 国土交通省においては,危険物の海上運送による事故を防止するため,危険物運搬船に対し立入臨検を行うとともに,危険物コンテナの安全基準適合性について確認を行う。

  平成13年度予算額 (4百万円)

  平成12年度予算額 (6百万円)

  差引増△減    (△2百万円)

(10) 沿岸海域環境保全情報の整備

 海上保安庁においては,油流出事故が発生した際の迅速かつ的確な油防除措置等の実施に資するため,沿岸海域の自然的・社会的情報等をデータベース化し,海図データ及び油の拡散・漂流予測結果と併せて電子画面上に表示できる沿岸海域環境保全情報の整備を引き続き行う。また,この情報の効果的な収集・整備等のため「沿岸海域環境保全情報整備推進委員会」を開催する。

  平成13年度予算額 (24百万円)

  平成12年度予算額 (24百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(11) 危険物積載船舶及び危険物荷役に関する安全防災対策

 海上保安庁においては,海上交通安全法,港則法等の関係法令による諸規制等を行い,危険物積載船舶の航行安全を確保するとともに,荷役安全管理体制,大型タンカーバースにおける防災体制等について指導を行い,荷役時の安全防災対策の充実を図る。また,船舶所有者に対し排出油防除資機材を備えるよう指導する。

(12) 油防除対策に係る分野別専門家等の登録

 海上保安庁においては,「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」に基づき,それぞれの関係行政機関が把握している国内の各種分野の専門家等に関する情報を一元化するとともに,油汚染事件への準備及び対応に関する活動に活用しようとする関係行政機関,地方公共団体の要請に応じて提供しうる体制の確保に努める。

(13) 漂流予測体制の強化

 海上保安庁においては,現場の巡視船からリアルタイムに海象,風等のデータが収得できる「船舶観測データ集積・伝送システム」を引き続き整備するとともに,リアルタイムで運用される海流メッシュデータベースの作成等を行う。さらに,日本近海の海況把握の精度向上及び漂流予測の精度向上を図るため,データアシミレーションによる海況把握手法の研究,外洋域の潮流を考慮した漂流予測モデルの開発研究を行う。

  平成13年度予算額 (27百万円)

  平成12年度予算額 (38百万円)

  差引増△減    (△11百万円)

8 原子力災害対策

8-1 教育訓練

(1) 警察庁における教育訓練

 警察庁においては,都道府県警察の幹部に対し,原子力災害発生時の災害応急対策等についての教育訓練を行うほか,都道府県警察に対し,関係機関との合同による原子力災害警備訓練の積極的な実施について指導する。

(2) 原子力防災対策のための研修等

 文部科学省においては,原子力防災関係者等を対象に日本原子力研究所等において,防災対策に係る研修等を行う。

  平成13年度予算額 (1,640百万円)

  平成12年度予算額 (1,175百万円)

  差引増△減    (465百万円)

(3) 原子力防災対策のための研修等

 経済産業省においては,原子力緊急時に救済活動に携わる消防等の関係防災機関職員に対し,放射性物質等についての研修を実施する。

  平成13年度予算額 (71百万円)

  平成12年度予算額 (71百万円)

  差引増△減    (0百万円)

8-2 防災施設設備の整備

(1) 原子力関係施設等の防災対策

 文部科学省においては,原子力防災対策の充実強化を図るため,緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムの整備,各種防災予防資機材の整備,緊急事態応急対策拠点施設及び緊急時における通信・連絡体制の維持等を行う。

  平成13年度予算額 (5,074百万円)

  平成12年度予算額 (4,600百万円)

  差引増△減    (474百万円)

(2) 原子力施設等の防災対策

a 経済産業省における設備等の整備

 経済産業省においては,実用原子力発電所等において緊急事態が発生した場合,災害防止対策を迅速かつ的確に実施するため,オフサイトセンターの維持・運用,緊急時対策支援システムの整備等を行う。

  平成13年度予算額 (3,131百万円)

  平成12年度予算額 (1,740百万円)

  差引増△減    (1,391百万円)

b 経済産業省における緊急時連絡体制の整備

 経済産業省においては,緊急時の連絡体制を強化するため,本省—道府県—市町村間並びに本省—原子力保安検査官事務所,原子力事業所,及び経済産業局間を結ぶ専用回線・電話ファックスによる連絡通報設備の運用及び維持を図る。

  平成13年度予算額 (917百万円)

  平成12年度予算額 (653百万円)

  差引増△減    (264百万円)

8-3 その他

(1) 原子力災害対策の推進

 消防庁においては,原子力災害対策特別措置法の制定及び防災基本計画の見直し等を踏まえ,地域防災計画の見直しの推進,消防活動マニュアルの活用,放射線防護資機材の整備に対する補助等原子力防災体制の充実を図る。

  平成13年度予算額 (9百万円)

  平成12年度予算額 (8百万円)

  差引増△減    (1百万円)

(2) 原子力施設の安全管理等

 文部科学省においては,JCOにおける臨界事故を受け,試験研究用及び研究開発段階にある発電の用に供しない原子炉施設等の一層の安全の確保を図るため,原子力保安検査官の設置を始め,安全審査,検査等安全規制行政の充実に万全を期する。

  平成13年度予算額 (2,170百万円)

  平成12年度予算額 (1,927百万円)

  差引増△減    (△243百万円)

9 その他の災害対策

9-1 教育訓練

(1) 漁船災害防止のための研修

 農林水産省においては,漁船損害等補償法に基づく漁船保険加入漁船のうち,小型漁船の機関事故の発生を防止するため,漁船事故防止対策の検討及び研修,漁船の点検,事故分析調査等の事業に対して助成を行う。

  平成13年度予算額 (1百万円)

  平成12年度予算額 (1百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(2) 鉱山における災害防止のための教育等

 経済産業省においては,鉱山における自主保安活動の充実を図るため,鉱業労働災害防止協会鉱山保安センターが実施する救護隊訓練及び重要鉱山保安教育等の事業に対して助成を行う。

  平成13年度予算額 (171百万円)

  平成12年度予算額 (239百万円)

  差引増△減    (△68百万円)

(3) 船員の災害防止のための教育

 国土交通省においては,一般公共メディアを通じて船員等に対し安全衛生等の指導を行う。

  平成13年度予算額 (7百万円)

  平成12年度予算額 (8百万円)

  差引増△減    (△1百万円)

9-2 防災施設設備の整備

(1) 石炭鉱山保安確保施設整備の促進

 経済産業省においては,石炭企業が実施する保安専用機器の整備,ガス抜き及び先進ボーリング工事,採掘跡等の充てん工事,不要坑道などの密閉工事,坑道の仕繰拡大工事,防水工事,自然発火防止工事,坑内火災防止のための不燃化・難燃化工事に対して助成を行い,保安確保事業の促進を図る。

  平成13年度予算額 (2,275百万円)

  平成12年度予算額 (1,955百万円)

  差引増△減    (320百万円)

9-3 その他

(1) 特殊災害対策の充実強化

 消防庁においては,特殊災害に係る防災対策について,関係機関との連携を強化し,災害防止対策及び消防防災対策の充実強化を図るため,消防活動や防災体制を検討する。

  平成13年度予算額 (5百万円)

  平成12年度予算額 (5百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(2) 岩石採取に伴う災害防止のための教育等

 経済産業省においては,岩石採取に伴う災害を防止するため,各都道府県に対して採石業者の監督を指導するとともに,岩石採取場の現地調査を実施し,さらに,採石災害防止月間に採石業者等にポスターやパンフレットを配布し災害防止意識の高揚を図る。

  平成13年度予算額 (8百万円)

  平成12年度予算額 (8百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(3) 鉱山に対する保安上の監督

 経済産業省においては,施設及び性能に関する検査並びに一般の巡回検査等を行うほか,これらの検査の内容を一層充実する等監督指導等の強化を図る。

  平成13年度予算額 (342百万円)

  平成12年度予算額 (347百万円)

  差引増△減    (△5百万円)

(4) 電気・ガス災害対策

 経済産業省においては,電気・ガス施設の耐震対策の向上のため次の措置を講じた。

a 電気・ガス災害の予防

 電気工作物及びガス工作物の検査その他の監督指導を実施した他,電気用品及びガス用品について,製造事業者等への立入検査,不良品の取締り等を行う。また,ガス消費機器業務用需要家安全調査を実施するとともに,特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律に基づき,ガス消費機器設置工事監督者の認定等を行う。

  平成13年度予算額 (42百万円)

  平成12年度予算額 (55百万円)

  差引増△減    (△13百万円)

(5) 船員労働災害防止対策

 国土交通省においては,第7次船員災害防止基本計画に基づき,船員労働災害の防止を効果的かつ具体的に推進するため,平成13年度船員災害防止実施計画を作成し,各企業における自主的な船員災害防止体制の確立を図るとともに,船舶及び事業場の監査指導を行う。

  平成13年度予算額 (34百万円)

  平成12年度予算額 (28百万円)

  差引増△減    (6百万円)

(6) 外国船舶の監督の強化(ボートステートコントロール:PSC)

 国土交通省においては,海上人命安全条約等の国際基準に適合しない船舶(サブスタンダード船)を排除し,海難事故を防止するため,「外国船舶監督官」の組織を拡充し,我が国に寄港する外国船舶に対する監督(PSC)の強化を図る。

  平成13年度予算額 (92百万円)

  平成12年度予算額 (85百万円)

  差引増△減    (7百万円)

第4章 国土保全

1 河川事業

 国土交通省においては,第9次治水事業七箇年計画に基づき,5年度となる平成13年度は,大規模放水路等の治水事業を始めとして,基幹大河川の整備を重点的に実施し,近年激甚な災害が発生した河川についての再度災害の防止対策や慢性的な床上浸水被害の解消を図る治水対策を推進する。また,常襲的な浸水被害を防止するための中小河川の整備や内水対策を推進する。

 このほか,住宅宅地供給や下水道整備等とあいまって,流域が一体となった総合的な治水安全度の向上を図るための河川事業及び超過洪水等に備える危機管理対策等を推進する。

 また,都市化の進展等に対処し,水害の防止を図るため,市街化地域等に関連する都市河川の治水対策を重点的に推進するとともに,安全で快適な生活環境の実現等を図るため,まちづくりと一体的な河川整備を推進する。特に,床上浸水被害が頻発している地域に関する河川のうち,特に対策が必要な河川を対象とした床上浸水対策特別緊急事業,全国の都市域のゼロメートル地帯等において,高潮・津波対策等を実施する低地対策河川事業,流域の保水・遊水機能の維持増進,水害に対して安全な土地利用の誘導等と併せて,治水施設を総合的・計画的に整備する総合治水対策特定河川事業等を引き続き実施する。

 さらに,周辺の環境に対し河川環境が著しく劣悪な市街地等の中小河川において,河岸の緩傾斜化,多自然化等を行う河川再生事業,市が施行主体となって地域に密着した河川整備を実施する都市基盤河川改修事業,周辺の市街地整備等と一体となり,安全かつ良好な水辺空間の創出を図る特定地域堤防機能高度化事業等を実施する。

  平成13年度予算額 (649,263百万円)

  平成12年度予算額 (663,608百万円)

  差引増△減    (△14,345百万円)

1-1 河川事業

(1) 直轄事業

a 直轄河川改修事業

(a)

 一般河川改修

 基幹大河川の整備では,一般河川117河川及び北海道の指定河川3河川について改修を実施する。

(b)

 総合治水対策特定河川改修

 流域における保水,遊水機能の確保のための各種流域対策と併せて治水施設を計画的,総合的に整備する必要のある5河川の改修を実施する。

(c)

 特定構造物改築事業

 老朽化が著しく,施設機能に著しい障害を生じている大規模な河川管理施設及び流下能力を著しく阻害している大規模な許可工作物の改築を18施設について実施する。

(d)

 高規格堤防(スーパー堤防)整備事業

 6河川の区間において,破堤による壊滅的被害の防止を図るため幅の広い堤防を築造し,併せて水辺を生かした良好な市街地環境の形成を図る。

(e)

 水防対策特定河川事業

 連続堤防による治水対策に代えて,集落を輪中堤や宅地嵩上げ等で効率的に短期間で整備する必要のある7河川について実施する。

b 直轄床上浸水対策特別緊急事業

 床上浸水被害が頻発しており,特に対策を促進する必要のある10か所について,総合的な治水手法を集中的に実施する。

c 直轄河川維持修繕

 直轄河川において,従前の機能を保持するために必要な維持修繕を行う。

d 直轄河川工作物関連応急対策事業

 堰,水門,橋梁等工作物の附属施設又は関連施設である護岸,擁壁,護床工,又は門扉等について,前後の一連区域の治水機能に比較して,工作物周辺の治水機能が劣っているものについて,応急的に改良及び新増設の改善措置を図る。

e 直轄流水保全水路整備事業

 直轄河川のうち,流入支川等の水質汚濁が著しく,適切な水利用に支障が発生すると認められる河川の区間について,水質保全を図るため,新たな低水路等を整備する。

f 直轄消流雪水導入事業

 消流雪用水を導入するための水路等の整備を5か所において実施する。

g 直幹河川災害復旧等関連緊急事業

 上流部での災害復旧等による下流部での流量増への対策を機動的,集中的に実施する必要がある10河川において実施する。

h 直轄河川激甚災害対策特別緊急事業

 浸水家屋2,000戸等に相当する洪水被害を生じた直轄河川で,再度災害を防止するため,改修工事を3河川について実施する。

(2) 補助事業

a 河川改修事業

(a)

 河川改修

 指定区間内の一級河川及び二級河川において,特に近年災害を受けた河川を重点的に河川改修工事を実施する。

(b)

 水防災対策特定河川事業

 宅地等のかさ上げ及び輪中堤等の築堤により早期に治水効果を上げる事業を3か所において実施する。

(c)

 耐水型地域整備事業

 氾濫水による破滅的な被害を受けやすい地域において,まちづくりと一体となった氾濫流制御施設の整備を2か所において実施する。

(d)

 鉄道橋梁緊急対策事業

 洪水の疎通能力が著しく不足しており早急に対策を図らなければならない鉄道橋梁の改築の改築を6か所において実施する。

(e)

 情報基盤緊急整備事業

 降雨,水位情報等,都道府県の各種観測施設及びデータ収集処理施設の整備を実施する。

b 床上浸水特別緊急対策事業

 床上浸水被害が頻発しており,特に対策を促進する必要のある13河川について,総合的な治水手法を集中的に実施する。

c 河川修繕

 指定区間の一級河川における河川管理施設等の修繕を行う。

d 河川災害復旧等関連緊急事業

 上流部での災害復旧等による下流部での流量増への対策を21河川において実施する。

e 河川激甚災害対策特別緊急事業

 激甚災害対策特別緊急事業を実施する。

f 総合河川整備事業

 治水上等の影響が小さい河川工事を地域で裁量的に実施する。

1-2 都市河川事業

(1) 直轄事業

 直轄河川環境整備事業を霞ヶ浦等122河川(うち新規5河川)について実施する。

(2) 補助事業

a 都市河川改修事業

 広域河川改修事業として139河川,局部改良事業として33河川について実施する。

b 総合治水対策特定河川事業

 17河川について実施する。

c 都市基盤河川改修事業

 169河川(うち新規4河川)について実施する。

d 都市水防災対策事業

 1か所について実施する。

e 調節池整備事業

 11河川について実施する。

f 流域貯留浸透事業

 37河川(うち新規3河川)について実施する。

g 低地対策河川事業

 30地区について実施する。

h 特定地域堤防機能高度化事業

 7河川について実施する。

i 河川環境整備事業

 47河川について実施する。

j 床上浸水対策特別緊急事業

 12河川(うち新規3河川)について実施する。

k 準用河川改修事業

 314河川(うち新規8河川)について実施する。

2 河川総合開発事業

 国土交通省においては,国土の総合的な保全及び整備を図るための洪水調節等の治水対策と併せて,今後見込まれる水需要の増大への適切な対処に不可欠な水資源を確保するため,渇水頻発地域における渇水対策等に資する多目的ダム,流況調整河川,治水ダムの建設,湖沼の開発等を実施する。

  平成13年度予算額 (324,953百万円)

  平成12年度予算額 (337,235百万円)

  差引増△減    (△12,282百万円)

2-1 直轄事業

 74事業(建設工事58事業,実施計画調査16事業)について実施する。

2-2 補助事業

 123事業(建設工事101事業,実施計画調査22事業)について実施する(休止事業を除く)。このほかに生活貯水池68箇所の建設工事を実施する(休止事業を除く)。

2-3 水資源開発公団事業

 10事業(建設工事8事業,実施計画調査2事業)について実施する。

3 砂防事業

 国土交通省においては,第9次治水事業七箇年計画に基づき,土砂災害対策を強化するため,緊急土砂災害防止対策,高齢者等の災害弱者対策,都市山麓グリーンベルト整備事業,重要交通網集中地域等に係る土砂災害対策事業等のハード対策を推進する。

 ソフト対策としては,土砂災害予警報システム等の整備や土砂災害危険区域図及び活火山におけるハザードマップの作成・公表支援やダイレクトメールによる危険箇所の周知など適切な警戒避難体制の確立に向けた各種施策を推進する。

 また,砂防設備の整備にあたっては,地域の活性化や自然環境との調和に配慮するとともに,総合的な流木災害防止緊急対策等の他省庁との連携,公共工事に係るコスト縮減の推進,砂防ボランティアとの連携等により効率的・効果的な整備を目指す。

 特に平成13年度は,土砂災害防止施設によるハード対策とともに,ソフト対策として,土石流や斜面の監視カメラ,GPS等による斜面監視等の機器及びそれらの災害情報を伝達するための光ファイバー網の整備などITを活用した土砂災害対策を実施する。

 また,迅速な避難が困難なことにより土砂災害の犠牲になりやすい高齢者,幼児などの災害弱者を守る土砂災害対策を重点的に実施する。

  平成13年度予算額 (189,801百万円)

  平成12年度予算額 (194,741百万円)

  差引増△減    (△4,940百万円)

3-1 直轄事業

 34水系について,重荒廃地域,火山地域,都市地域等に重点をおいて事業を実施する。

3-2 補助事業

a 通常砂防事業

 近年の災害による荒廃の著しい溪流や土石流の発生により人命,財産に大きな被害を及ぼす危険性の高い溪流及び都市地域等に重点を置き,事業を実施する。

 また,情報基盤緊急整備事業によりテレメータ雨量計やワイヤセンサーなどの観測機器や,これらのデータを処理する監視装置,情報の伝達等に関する機器の設置,及びこれらを統合する土砂災害警戒避難システムの整備を推進する。

 さらに,平常時から災害時を通じて,住民と行政機関が土砂災害関連情報を相互通報する土砂災害情報相互通報システム整備事業を実施する。

b 火山砂防事業

 火山地,火山麓地,又は火山現象により著しい被害を受ける恐れのある地域における,泥流,土石流等に関する対策を実施する。

 また,警戒避難体制を整備する火山噴火警戒避難対策事業を実施する。

c 砂防環境整備事業

 砂防設備が整備され,直接的な土砂災害のおそれがなくなり,特に環境整備が必要とされる溪流,すぐれた自然,歴史環境をもつ地域等の溪流等において周辺の地域環境に相応しい良好な溪流を保全・創出する事業の推進を図る。

d 砂防設備修繕事業

 老朽化した既設の砂防設備の修繕を行うことにより,機能回復を図り,災害の発生を未然に防止することを目的として事業を実施する。

e 砂防激甚災害対策特別緊急事業

 平成11年6月末梅雨前線豪雨により,広島市を中心に土石流が多発した。この様な災害に対処するため,広島市において砂防激甚災害対策特別緊急事業により再度災害防止のための対策工事を推進する。

f 特定緊急砂防事業(特緊砂防)

 土石流により人的被害,家屋被害等が発生した地区について,同規模の土石流が再び発生した場合でも安全が確保されるよう,災害関連緊急事業と一体的かつ緊急的に対策を実施する。

g 火山砂防激甚災害対策特別緊急事業

 平成12年度は,有珠山および三宅島において火山の噴火活動による火山泥流や土石流等により,甚大な災害が発生した。

 このため,火山活動により激甚な災害が発生した一連地区において,広域的かつ大規模な土砂災害に対処するため平成13年度より事業を創設し,一定期間内(概ね5年)に緊急的かつ機動的な火山災害防止対策を実施する。

h 砂防関係基礎調査補助

 「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(土砂災害防止法)が平成13年4月より施行されたことに伴い,土砂災害警戒区域等の指定等を目的とする基礎調査に対し,平成13年度より補助制度を創設し総合的な土砂災害対策を推進する。

4 急傾斜地崩壊対策事業

 国土交通省においては,各地で台風,集中豪雨,地震等によりがけ崩れ災害が多発している事態をふまえ,第4次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画に基づき急傾斜地崩壊防止施設の整備を強力に推進する。

  平成13年度予算額 (47,563百万円)

  平成12年度予算額 (49,411百万円)

  差引増△減    (△1,848百万円)

a 補助事業

 災害発生箇所等の施設整備を推進するとともに,土砂災害の犠牲者となりやすい高齢者,幼児などの災害弱者に関連した施設を保全対象に含む急傾斜地崩壊危険箇所等を重点的に整備する。

 また,急傾斜地崩壊危険箇所の増加を抑制するため,急傾斜地崩壊危険箇所の指定を促進するほか,関連諸施策との連携を図る。さらに,ボランティア団体と連携した「斜面カルテ」「土砂災害110番」の充実等,警戒避難体制の整備を促進する。

 さらに,平常時から災害時を通じて,住民と行政機関が土砂災害関連情報を相互通報する土砂災害情報相互通報システム整備事業を実施する。

 一方,斜面環境・景観を保全しつつ安全度を向上するため,既存樹木を活用した緑の斜面工法による斜面整備や危険な斜面の直下の土地を利用して崩壊土砂を捕捉するがけ崩れ緩衝樹林帯の整備を推進する。

b 急傾斜地崩壊対策事業調査

 事業の効率的な執行を図るため,がけ崩れの警戒避難基準雨量の設定,避難支援並びに自然を生かした斜面安定化工法等に関する調査研究を行う。

c 砂防関係基礎調査費補助

 「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(土砂災害防止法)が平成13年4月より施行されたことに伴い,土砂災害警戒区域等の指定等を目的とする基礎調査に対し,平成13年度より補助制度を創設し総合的な土砂災害対策を推進する。

5 治山事業

 農林水産省においては,災害に強い安全な国土づくり,水源地域の機能強化,豊かな環境づくりを基本方針とする「第九次治山事業七箇年計画」の5年度として緊急かつ計画的に治山事業を推進する。

 特に近年の火山・地震災害や集中豪雨等に伴う激甚な山地災害の多発状況に対処するため,大規模な火山災害が発生した地域において,治山施設の整備,大規模な緑化等を集中的,総合的に行う火山治山激甚災害対策特別緊急事業を新たに実施するほか,荒廃地,荒廃危険地等の整備の積極的な実施や山地災害予知施設の設置を推進する。

 また,森林が過密化し,山崩れや土砂,流木等の流出が発生するおそれのある水土保全機能が著しく低下した保安林について,本数調整伐等を積極的に推進する。

 さらに,台風や集中豪雨によって上流部の森林から発生した流木が大量に流下し,下流部の集落が被災する事例が多発したことに対応するため,砂防事業との連携を強化し,上流部における森林整備や流木防止対策と下流部において流木を捕捉する透過型ダムの整備などを実施する。

  平成13年度予算額 (168,030百万円)

  平成12年度予算額 (171,593百万円)

  差引増△減    (△3,563百万円)

5-1 国有林治山事業

 国有林野内における治山事業を国費310億900万円をもって実施する。

5-2 民有林治山事業

(1) 直轄事業

a 治山事業

 継続21地区について,民有林直轄治山事業を事業費109億4,043万円,国費81億7,900万円をもって実施する。

b 地すべり防止事業

 後掲(4章6-1(1)c)

c 治山計画等に関する調査

 治山事業の効果的な推進を図るため,山地保全調査,地すべり対策調査及び治山事業積算基準等分析調査を国費9,968万円をもって実施する。

(2) 補助事業

a 治山事業

 荒廃地,荒廃危険地の復旧整備等を行うため,山地治山,防災林造成,保安林整備,保安林管理道整備,防災対策総合治山,水源地域整備及び環境保全保安林整備の各事業を事業費2,407億500万円,国費1,263億9,474万円をもって実施する。

b 治山激甚災害対策特別緊急事業

 甚大な被害を受けた平成11年災害に係る2地区について,再度災害を防止する事業を29億7,288万円,国費15億9,758万円をもって実施する。

c 国有林野内補助治山事業

 国有林野に係る治山事業のうち,集落,公共施設等と密接な関連を有する地域を対象とする事業を事業費19億8,139万円,国費10億円をもって実施する。

6 地すべり対策事業

6-1 直轄事業

(1) 農林水産省所管事業

 農林水産省においては,次の事業を実施する。

  平成13年度予算額 (11,452百万円)

  平成12年度予算額 (10,884百万円)

  差引増△減    (△568百万円)

a 直轄地すべり対策事業

 継続8地区について,国費66億4,000万円をもって実施する。

b 農地地すべり防止対策計画基準調査

 農地地すべり防止対策に係る計画基準について,最近の技術開発による調査・計画・設計手法を取り入れた基準の改定を図る調査を,国費2,100万円をもって実施する。

c 地すべり防止事業

 継続11地区(直轄治山と重複している地区を含む。)について,民有林直轄地すべり防止事業を事業費61億354万円,国費47億1,300万円をもって実施する。

(2) 国土交通省所管事業

 国土交通省においては,次の事業を実施する。

  平成13年度予算額 (5,893百万円)

  平成12年度予算額 (6,037百万円)

  差引増△減    (△144百万円)

a 地すべり対策事業

 継続12地区において事業を実施する。

 また,GPS観測装置等によって地すべりの挙動を把握する地すべり監視モデル事業,広域情報伝達手段としての光ファイバー網の構築等を推進する。

b 地すべり調査

 継続11地区において,地すべり機構の解明と,地すべり対策の計画・立案に資するための基礎的な調査を実施する。

6-2 補助事業

(1) 農林水産省所管事業

 農林水産省においては,次の事業を実施する。

  平成13年度予算額 (17,769百万円)

  平成12年度予算額 (18,548百万円)

  差引増△減    (△779百万円)

a 地すべり対策事業

 農地,農業用施設に被害を及ぼすおそれのある地域のうち,緊急度が高くかつ事業効果の大きいものに重点を置き,事業費141億3,545万円,国費70億6,048万円をもって実施する。

b 地すべり防止事業

 集落,公共施設等に被害を及ぼすおそれが大きくかつ緊急に対策を必要とする林地等について,事業費214億8,600万円,国費107億900万円をもって実施する。

(2) 国土交通省所管事業

 国土交通省においては,次の事業を実施する。

  平成13年度予算額 (17,929百万円)

  平成12年度予算額 (18,596百万円)

  差引増△減    (△667百万円)

a 地すべり対策事業

 地すべりにより,人家,公共施設等に被害を及ぼすおそれが大きく,かつ,近年の豪雨等により被害のあった区域など緊急に対策を必要とする区域及び治水上影響が特に大きい区域,並びに老人福祉施設等の災害弱者施設を含む区域に重点を置き事業を実施する。

 また,地すべり防止工事により排出される地下水の有効利用を図る特定地下水関連地すべり対策事業,より望ましい地すべり斜面空間利用の誘導を図る特定利用斜面保全事業,GPS観測装置等により警戒避難等ソフト対策に資する地すべり監視モデル事業等を推進する。

 さらに,平常時から災害時を通じて,住民と行政機関が土砂災害関連情報を相互通報する土砂災害情報相互通報システム整備事業を実施する。

b 地すべり防止施設修繕事業

 既設の地すべり防止施設の機能回復を図るための事業を実施する。

c 特定緊急地すべり対策事業(特緊地すべり)

 地すべりにより人的被害,家屋被害等が発生した地区について同規模の災害が再び発生した場合でも安全が確保されるよう,災害関連緊急事業と一体的かつ緊急的に対策を実施する。

d 砂防関係基礎調査費補助

 「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(土砂災害防止法)が平成13年4月より施行されたことに伴い,土砂災害警戒区域等の指定等を目的とする基礎調査に対し,平成13年度より補助制度を創設し総合的な土砂災害対策を推進する。

7 海岸保全事業

7-1 直轄事業

(1) 農林水産省所管事業

 農林水産省においては,海岸保全施設整備事業を海岸事業調査費を含めて,国費45億6,300万円をもって実施する。

  平成13年度予算額 (4,563百万円)

  平成12年度予算額 (4,203百万円)

  差引増△減    (360百万円)

(2) 国土交通省所管事業

 国土交通省においては,全国23海岸において,直轄海岸保全施設整備事業,直轄海岸維持管理事業及び海岸事業調査を,国費197億8,700万円をもって実施する。

  平成13年度予算額 (19,787百万円)

  平成12年度予算額 (19,482百万円)

  差引増△減    (305百万円)

7-2 補助事業

(1) 農林水産省所管事業

 農林水産省においては,緊急度が高くかつ保全効果の大きい地区に重点を置き,海岸保全施設整備事業,海岸環境整備事業及び公有地造成護岸等整備事業を,事業費493億3,216万円,国費242億1,300万円をもって実施する。

  平成13年度予算額 (24,213百万円)

  平成12年度予算額 (25,617百万円)

  差引増△減    (△1,404百万円)

(2) 国土交通省所管事業

 国土交通省においては,緊急度が高くかつ保全効果の大きい海岸に重点を置き,海岸保全施設整備事業,海岸環境整備事業等を事業費1,071億1,808万円,国費517億8,170万円をもって実施する。

  平成13年度予算額 (51,782百万円)

  平成12年度予算額 (54,681百万円)

  差引増△減    (△2,899百万円)

8 農地防災事業

8-1 直轄事業

a 国営総合農地防災事業等

 農村地域の自然的社会的条件の変化により生じた農地,農業用施設の機能低下又は災害のおそれに対処するため農業用排水施設等の整備を行う事業を事業費431億2,607万円,国費328億2,344万円をもって実施する。

 また,農地を取り巻く環境条件等に対応して,総合的な農地防災計画指針の策定のための調査等を,国費2,115万円をもって実施する。

8-2 補助事業

a 農地防災事業

 洪水被害や土壤の侵食被害等を末然に防止し,農業生産の維持,農業経営の安定及び国土保全に資するため,防災ダム事業,ため池等整備事業,湛水防除事業,農地保全整備事業,中山間地域総合農地防災事業等について,事業費1,150億5,354万円,国費663億6357万円をもって実施する。

(注)

 農地防災事業のうち,地すべり対策事業及び地盤沈下対策事業を除く。

b 地すべり対策事業

 前述(4章6-2(1)a)

c 地盤沈下対策事業

 後述(4章10(3))

9 災害関連事業

(1) 農林水産省所管事業

 農林水産省においては,次のとおり災害関連事業を実施する。

  平成13年度予算額 (4,753百万円)

  平成12年度予算額 (4,846百万円)

  差引増△減    (△93百万円)

a

 直轄地すべり対策災害関連緊急事業

 豪雨等による地すべりに緊急に対処する事業を,国費4,200万円をもって実施する。

b

 農業用施設等災害関連事業

 農業用施設等の効用を増加し,再度災害を防止するため,農業用施設等災害関連事業を事業費1億6,718万円,国費1億4,100万円をもって実施する。

 また,農地等の再度災害を防止するため,農地災害関連区画整備事業を,事業費1億7,144万円,国費1億1,300万円をもって実施する。

 さらに,農村生活環境施設の災害に対処するため,災害関連農村生活環境施設復旧事業を,事業費1億1,600万円,国費5,800万円をもって実施する。

 このほか,地すべりに緊急に対処するため,災害関連緊急地すべり対策事業を,事業費1億400万円,国費5,200万円をもって実施する。

c

 直轄治山等災害関連事業

 再度災害を防止するため,豪雨等による土地の崩壊等に対処して緊急に荒廃林地等の復旧整備を行う事業を,国費7億3,300万円をもって実施する。

d

 災害関連緊急治山等事業

 再度災害を防止するため,豪雨等による土砂の崩壊等に対処して緊急に荒廃林地等の復旧を行う事業を,事業費30億8,475万円,国費19億9,600万円をもって実施する。

e

 治山施設等災害関連事業

 治山施設等の災害復旧事業と併せて行う治山施設等災害関連事業を,事業費1,200万円,国費600万円をもって実施する。

 また,豪雨等による災害に対処するため,災害関連山村環境施設復旧事業を,事業費2,000万円,国費1,000万円をもって実施する。

f

 林地崩壊対策事業

 激甚災害の指定が行われた災害等により発生した小規模な山腹崩壊地の早期復旧を図るとともに,山地災害危険地区において発生した土砂の崩壊等の災害に緊急に対処する事業を,事業費1億9,699万円,国費9,100万円をもって実施する。

g

 森林災害復旧事業

 平成10年,平成11年発生の激甚災害による被害森林の復旧を図る事業を,事業費10億7,600万円,国費5億3,800万円をもって実施する。

h

 漁港施設,海岸保全施設災害関連事業

 漁港施設及び海岸保全施設の効用を増加し,再度災害を防止するための事業を,事業費144万円,国費100万円をもって実施する。

i

 なお,後進地域等における公共事業の実施を推進するため,後進地域特例法適用団体等補助率差額10億円を補助する。

(2) 国土交通省所管事業(港湾)

 国土交通省においては,港湾施設及び海岸保全施設の効用を増加し,再度災害を防止するため,災害関連事業を事業費7,200万円,国費3,600万円をもって実施する。また,後進地域特例法適用団体等補助率差額1,000万円を補助する。

  平成13年度予算額 (46百万円)

  平成12年度予算額 (53百万円)

  差引増△減    (△7百万円)

(3) 国土交通省所管事業(河川等)

 国土交通省においては,河川等の災害関連事業を次のとおり実施する。

  平成13年度予算額 (12,842百万円)

  平成12年度予算額 (13,609百万円)

  差引増△減    (△767百万円)

a

 直轄河川等災害関連緊急事業

 被災箇所の単独復旧のみでは効果が局限され,再度災害が繰り返される恐れがある場合において,災害復旧と併せて一定区間において改修計画に基づく改良事業を実施する。また,河川砂防設備,地すべり防止施設の改良復旧や豪雨等により生じた土砂の崩壊等に関連し,緊急的施行を必要とする砂防工事,地すべり防止工事を,国費17億円をもって実施する。

b

 河川等災害関連事業

 河川,海岸,砂防,地すべり,急傾斜,道路及び橋梁について,災害復旧事業のみでは十分な効果が期待できないと認められる箇所について,再度災害を防止するため,末被災箇所を含めた改良復旧を,事業費40億9,700万円,国費21億8,500万円をもって実施する。

c

 河川等災害復旧助成事業

 河川又は海岸について,被害が激甚であって災害復旧事業のみでは十分な効果が期待できないと認められる箇所について,再度災害を防止するため,未被災箇所を含めた改良復旧を,事業費74億6,200万円,国費37億5,500万円をもって実施する。

d

 河川等災害関連特別対策事業

 河川に係る災害復旧助成事業及び河川又は砂防に係る災害関連事業の改良復旧効果を確保するために,障害物等支障となる原因の除去を,事業費2,800万円,国費1,100万円をもって実施する。

e

 河川等災害特定関連事業

 河川,砂防設備及び道路の災害復旧に関し,災害発生の原因となった障害物の除去等を行うため,事業費1億8,300万円,国費9,200万円をもって実施する。

f

 特定小川災害関連事業

 河川の災害復旧に関連して,小規模な河川において,当該災害復旧事業箇所とこれに接続する未災箇所で,緩勾配護岸その他環境に配慮した護岸等の整備を,事業費200万円,国費100万円をもって実施する。

g

 災害関連地域防災がけ崩れ対策事業

 激甚な災害によるがけ地の崩壊等が発生した箇所で,緊急に施行する必要のある箇所についてがけ崩れ防止工事を,事業費4億4,600万円,国費2億2,300万円をもって実施する。

h

 災害関連緊急砂防等事業

 平成13年に発生する災害に関連して緊急的施行を必要とする砂防工事,地すべり防止工事,急傾斜地崩壊防止工事,雪崩防止工事及び大規模漂着流木対策工事を,国費24億9,600万円で実施する。

i

 なお,後進地域等における公共事業の実施を推進するため,後進地域特例法適用団体等補助率差額23億7,900万円を補助する。

10 地盤沈下対策事業

(1) 地盤沈下対策事業等

 農林水産省においては,地盤沈下の防止のために水源の転換が必要な地区及び地盤沈下により生じた農地及び農業用施設の効用の低下を回復する必要であるもののうち,緊急度が高くかつ事業効果の大きい地区に重点を置き,事業費79億9,176万円,国費43億5,034万円をもって実施する。

(2) 地盤沈下防止対策事業等

 経済産業省においては,地盤沈下防止のため,次の事業を実施する。

  平成13年度予算額 (1,833百万円)

  平成12年度予算額 (1,861百万円)

  差引増△減    (△28百万円)

a 地盤沈下防止対策工業用水道事業

 地下水に代わる水源としての工業用水道の整備を推進するため,建設2事業及び改築10事業につき,事業費80億5,412万円,国費17億6,180万円をもって実施する。

b 地下水利用適正化調査

 地盤沈下等地下水障害の見られる地域等における,地下水の適正利用を推進するための地下水理解析,地下水の安全揚水量の算定等の調査,また,地下水利用対策協議会に対する指導の拡充を図るための自主規制の効果等に関する調査,既調査地域における地下水位観測を国費5,304万円をもって実施する。

c 地下水位観測調査

 工業用水法に基づく指定地域における規制効果の測定を行うため,地下水位についての観測を国費513万円をもって継続的に実施する。

d 地域別工業用水使用合理化指導調査

 水需給のひっ迫への対処及び,地盤沈下等地下水障害の防止を図るため,水使用合理化準則の策定と水使用合理化の指導を行う調査を国費658万円をもって実施する。

e 業種別工業用水使用合理化基礎調査

 技術革新の進展等による各業種の質的変化及び先端産業の新展開に適切に対処するため,業種別に工業用水の動向及び最新実態を踏まえた合理化の方策を検討する調査を国費682万円をもって実施する。

(3) 地下水対策調査

 国土交通省においては,濃尾平野,筑後・佐賀平野及び関東平野北部について,地盤沈下防止等対策要綱に基づく対策を推進するほか,関東平野北部地盤沈下防止対策要綱の見直しに向けての調査検討,地下水データベース構築・管理手法についての調査を実施する。

  平成13年度予算額 (54百万円)

  平成12年度予算額 (54百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(4) 低地対策河川事業等

 国土交通省においては,次の事業を実施する。

a 低地対策河川事業(地盤沈下対策)等

 地盤沈下による内水被害を防除するため,排水機場の設置等を実施する。

  平成13年度予算額 [13,951百万円]

  平成12年度予算額 [13,787百万円]

  差引増△減    [164百万円]

(注)

 [ ]書きは,4章1に計上したものの内数である(予算額については,(2)h低地対策河川事業に係るものであり,地盤沈下対策はこの内数として実施)。

b 地盤沈下対策調査

 河川管理施設の沈下対策を検討するため,5河川で水準測量を実施する。

c 地下水保全管理調査

 地下水を適正に保全,管理し,地盤沈下等の地下水障害を防止するための諸施策の立案に資するため,全国主要地下水域において,地下水の水位及び水質の観測を継続実施するとともに,水循環再生構想等策定のための調査を行なう。

  平成13年度予算額 (30百万円)

  平成12年度予算額 (30百万円)

  差引増△減    (0百万円)

d 地盤沈下調査関連水準測量

 国土交通省国土地理院においては,全国の主要地盤沈下地域において水準測量を行い,地方公共団体の行う調査結果と合わせて地盤沈下実態を明らかにする。

 また,地盤沈下地域の地盤高図及び地盤沈下量図の作成資料を得るための簡易水準測量等を実施する。

  平成13年度予算額 (18百万円)

  平成12年度予算額 (18百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(5) 地盤沈下対策調査

 環境省においては,地盤沈下防止等対策要綱に基づく施策の推進及びその他の地盤沈下対策のため,次の調査を実施する。

  平成13年度予算額 (64百万円)

  平成12年度予算額 (45百万円)

  差引増△減    (19百万円)

a 地盤沈下監視測定調査

 地下水採取規制地域等における地盤沈下の監視測定のため,地盤高,地下水位の変動状況及び地質の調査を事業費1億1,058万円,国費3,686万円をもって実施する。

b 地下水揚水量等実態調査

 地盤沈下地域及びそのおそれのある地域については,地下水揚水量等の実態調査及びその解析を,国費732万円をもって実施する。

c 深層地下水採取における地盤沈下機構解明調査

 深層地下水(鮮新世の地層)の採取の増加による地盤沈下の発生が懸念されているため,その機構を解明し,必要な対策手法を検討する調査を,国費1,911万円をもって実施する。

11 その他の事業

(1) 自然災害防止事業債等

 総務省においては,地域防災計画に掲げられている災害危険区域において,地方公共団体が災害の発生を予防し,又は災害の拡大を防止するために単独で実施する事業について,自然災害防止事業債を措置することとしており,779億円を予定している。また,地方公共団体が単独事業として実施する河川管理施設又は砂防設備に関する工事その他の治山治水事業等について,臨時河川等整備事業債を措置することとしており,1,355億円を予定している。

(2) 保安林整備管理事業

 農林水産省においては,保安林整備臨時措置法の規定により策定された保安林整備計画に基づき保安林の配備を進めるとともに,保安林の適正な管理を推進するため,立木伐採等の許可事務,保安林標識・台帳の整備,保安林の境界等の実態把握等の事業に対して助成する。

  平成13年度予算額 (828百万円)

  平成12年度予算額 (823百万円)

  差引増△減    (5百万円)

(3) 休廃止鉱山鉱害防止等事業

a 休廃止鉱山鉱害防止等事業

 鉱害防止義務者が不存在又は無資力の休廃止鉱山の鉱害防止のために地方公共団体の実施する事業に対して補助を行うとともに,鉱害防止義務者が実施する休廃止鉱山の坑廃水処理のうち,義務者に起因しない汚染に係る部分に対し補助を行う。

  平成13年度予算額 (3,543百万円)

  平成12年度予算額 (3,537百万円)

  差引増△減    (6百万円)

b ぼた山災害防止対策事業

 崩壊流出等の危険性のあるぼた山のうち,防災工事を実施する義務者が不存在又は無資力のものについて,地方公共団体が実施する災害防止工事(崩壊防止工事,保全工事等)に対して助成を行う。

  平成13年度予算額 (1,152百万円)

  平成12年度予算額 (1,547百万円)

  差引増△減    (△395百万円)

c 放置坑口閉そく対策事業

 石炭の採掘事業の廃止後放置されている坑口及び坑道に係る陥没穴への周辺住民の墜落等の危険防止のため,閉そく工事を実施する義務を有する鉱業権者が不存在又は無資力のものについて,地方公共団体が実施する放置坑口の埋戻し工事等に対して助成を行う。

  平成13年度予算額 (13百万円)

  平成12年度予算額 (11百万円)

  差引増△減    (2百万円)

(4) 鉄道防災事業

 国土交通省においては,旅客鉄道株式会社等及び日本鉄道建設公団がそれぞれ施行する国土保全に係る荒廃山地及び海岸等並びに青函トンネルの防災事業に対し,補助を行う。

  平成13年度予算額 (566百万円)

  平成12年度予算額 (1,096百万円)

  差引増△減    (△530百万円)

(5) 下水道事業

 国土交通省においては,都市化の進展に伴う雨水流出量の増大に対処し,都市における安全性の確保を図るため,浸水の防除に寄与する公共下水道事業,都市下水路事業,緊急都市内浸水対策事業等を推進する。

  平成13年度予算額 (182,102百万円)

  平成12年度予算額 (179,394百万円)

  差引増△減    (2,708百万円)

(6) 特殊地下壕対策事業

 国土交通省,農林水産省,林野庁においては,戦時中に築造された防空壕等の特殊地下壕について,現存する危険度が高いものに対して,埋戻し等の対策事業を行う。

12 国土保全関係事業別予算額等総括表

 (表4-12-1) 国土保全関係事業別予算額等総括表

第5章 災害復旧等

1 災害応急対策

1-1 自衛隊の災害派遣

 防衛庁においては,災害派遣に直接必要な経費については,訓練演習費,油購入費等から充当するとともに,災害派遣手当,災害加給食,災害用消耗品,災害救難用装備品等に係る経費を計上している。

  平成13年度予算額 (48百万円)

  平成12年度予算額 (78百万円)

  差引増△減    (△29百万円)

1-2 災害救助費の国庫負担

 厚生労働省においては,災害救助法に基づく救助に要する費用を同法に基づき負担する。

  平成13年度予算額 (200百万円)

  平成12年度予算額 (700百万円)

  差引増△減    (△500百万円)

1-3 災害弔慰金等の支給及び災害援護資金の貸付

 厚生労働省においては,災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき,災害弔慰金等の一部負担及び災害援護資金の原資の貸付を行う。

a 災害弔慰金等の国庫負担

 市町村が一定規模以上の自然災害によって死亡した者の遺族に対し支給する災害弔慰金及び精神又は身体に著しい障害を受けた者に対し支給する災害障害見舞金の一部を負担する。

  平成13年度予算額 (140百万円)

  平成12年度予算額 (140百万円)

  差引増△減    (0百万円)

b 災害援護資金の原資の貸付

 市町村が一定規模以上の自然災害によって重傷を負った世帯主及び相当程度の住家,家財の損害を受けた世帯の世帯主に対し,生活の立て直しに資するため貸付ける災害援護資金の原資の貸付を行う。

  平成13年度予算額 (500百万円)

  平成12年度予算額 (500百万円)

  差引増△減    (0百万円)

1-4 被災者生活再建支援金の支給

(1) 被災者生活再建支援金の支給

 内閣府においては,被災者生活再建支援法に基づき,被災者に支給される被災者生活再建支援金について,その半額を補助する。

  平成13年度予算額 (409百万円)

  平成12年度予算額 (110百万円)

  差引増△減    (299百万円)

(2) 被災者生活再建支援基金への拠出財源に対する地方財政措置

 被災者生活再建支援法(平成10年法律第66号)に基づき各都道府県が被災者生活再建支援基金へ運用資金のために拠出した経費に係る地方債の元利償還金について引き続き普通交付税措置を講じる。

2 災害復旧事業

2-1 公共土木施設災害復旧事業

 国が施行する公共土木施設の災害復旧事業(直轄事業)については,災害発生の年を含めて2箇年で完了する基本方針に基づき,復旧する。また,地方公共団体が施行する災害復旧事業(補助事業)については,公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法により補助を行うこととし,早期復旧の方針に従い,災害発生年を含めて3箇年で復旧する。

(1) 治山施設等

a 直轄事業

 治山施設について,国費9億7,200万円をもって平成12年災害の復旧を完了するとともに,平成13年災害に係る復旧事業の円滑な施行を図る。

 農村振興局所管の地すべり防止施設について,国費1億2,000万円をもって平成13年災害に係る復旧事業の円滑な施行を図る。

 さらに,漁港について,国費1億2,000万円をもって平成13年災害に係る復旧事業の円滑な施行を図る。

b 補助事業

 治山施設について,事業費6億2,084万円,国費4億2,100万円をもって平成12年災害及び平成13年災害に係る復旧事業の円滑な施行を図る。

 また,農村振興局所管の海岸及び地すべり防止施設について,事業費1億5,437万円,国費1億700万円をもって平成11年災害の復旧を完了し,平成12年災害及び平成13年災害に係る復旧事業の円滑な施行を図る。

 さらに,漁港及び水産庁所管の海岸について,事業費6億3,939万円,国費4億7,600万円をもって平成11年災害の復旧を完了し,平成12年災害及び平成13年災害に係る復旧事業の円滑な施行を図る。

(2) 河川等

 国土交通省においては,次のとおり災害復旧事業を実施する。

  平成13年度予算額 (39,274百万円)

  平成12年度予算額 (38,567百万円)

  差引増△減    (707百万円)

a 直轄事業

 河川,ダム,海岸,砂防設備及び地すべり防止施設について,国費188億1,100万円をもって平成12年災害及び平成13年災害について復旧事業の円滑な施行を図る。また,道路について,国費5億5,200万円をもって,平成13年災害の復旧事業の円滑な施行を図る。

b 補助事業

 河川,海岸,砂防設備,地すべり防止施設,急傾斜地崩壊防止施設及び道路について,事業費282億4,900万円,国費197億円をもって,平成11年災害,平成12年災害及び平成13年災害の復旧事業の円滑な施行を図るとともに,火山噴火に伴い多量の降灰のあった市町村が行う市町村道に係る降灰除去事業に対してその費用の一部を補助する。

(3) 港湾等

 国土交通省においては,次のとおり災害復旧事業を実施する。

  平成13年度予算額 (963百万円)

  平成12年度予算額 (956百万円)

  差引増△減    (7百万円)

a 直轄事業

 港湾施設及び海岸保全施設について2億3,800万円をもって,平成13年災害に係る復旧事業の円滑な施工を図る。

b 補助事業

 港湾施設及び海岸保全施設について,事業費9億8,900万円,国費7億2,500万円をもって,平成11年災害の復旧を完了し,平成12年災害及び平成13年災害に係る復旧事業の円滑な施工を図る。

2-2 農林水産業施設災害復旧事業

(1) 農林水産業施設

 農林水産省においては,次のとおり災害復旧事業を実施する。

  平成13年度予算額 (10,413百万円)

  平成12年度予算額 (10,237百万円)

  差引増△減    (176百万円)

a 直轄事業

 土地改良法に基づき直轄土地改良事業により施行中及び完了した施設の災害復旧を行うものであり,災害発生の年を含めて2か年で復旧を完了する方針の下に,事業費4億9,066万円,国費4億6,500万円をもって復旧事業の円滑な施行を図る。

b 補助事業

 地方公共団体,土地改良区等が施行する災害復旧事業については,農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の規定により補助し,災害発生の年を含めて3か年で復旧を完了する方針で事業の進捗を図る。

(a)

 農地

 事業費18億2,586万円,国費16億2,600万円をもって平成11年災害の復旧を完了し,平成12年災害及び平成13年災害に係る復旧事業の円滑な施行を図る。

(b)

 農業用施設

 事業費71億6,470万円,国費67億3,000万円をもって,平成11年災害の復旧を完了し,平成12年災害及び平成13年災害に係る復旧事業の円滑な施行を図る。

(c)

 林道

 事業費17億4,410万円,国費15億8,300万円をもって,平成11年災害の復旧を完了し,平成12年災害及び平成13年災害に係る復旧事業の円滑な施行を図る。

(d)

 漁業用施設

 事業費1,281万円,国費900万円をもって,平成11年災害の復旧を完了し,平成12年災害及び平成13年災害に係る復旧事業の円滑な施行を図る。

(2) 国有林野事業(治山事業を除く)

 農林水産省においては,国有林野事業(治山事業を除く)に係る林道施設等の平成12年災害の復旧を完了するとともに,平成13年災害について所要の復旧事業を実施する。

  平成13年度予算額 (1,276百万円)

  平成12年度予算額 (1,478百万円)

  差引増△減    (△202百万円)

2-3 文教施設等災害復旧事業

(1) 学校施設

 文部科学省においては,次のとおり災害復旧事業を行う。

a 国立学校施設

 国費5,150万円をもって,平成13年災害の復旧事業の円滑な実施を図る。

  平成13年度予算額 (52百万円)

  平成12年度予算額 (52百万円)

  差引増△減    (0百万円)

b 公立学校施設

 地方公共団体が実施する公立学校施設の災害復旧事業について,公立学校施設災害復旧費国庫負担法等により補助を行い,平成12年災害の復旧事業を完了するとともに,平成13年災害の復旧事業の円滑な実施を図る。さらに,火山の噴火に伴い多量の降灰のあった公立学校の降灰除去事業に対して補助を行うこととし,国費3億9,140万円をもって,これらの事業を実施する。

  平成13年度予算額 (391百万円)

  平成12年度予算額 (474百万円)

  差引増△減    (△83百万円)

2-4 水道施設等災害復旧事業

(1) 水道施設の災害復旧事業

 厚生労働省においては,水道施設に係る平成13年災害について所要の復旧事業を実施する。

2-5 その他の災害復旧事業等

(1) 鉄道災害復旧事業

 国土交通省においては,鉄道軌道事業者が行う地震,豪雨等による鉄道施設の災害復旧に要する費用の一部を補助する。

  平成13年度予算額 (70百万円)

  平成12年度予算額 (73百万円)

  差引増△減    (△3百万円)

(2) 都市災害復旧事業等

 国土交通省においては,地方公共団体等が施行する街路等の都市施設の災害復旧及び市街地内の堆積土砂除去の事業に対し,都市災害復旧事業国庫補助に関する基本方針により,また,下水道・公園の災害の復旧事業に対し補助を行い,平成13年災害の復旧事業の円滑な施行を図るとともに,火山の噴火に伴い多量の降灰のあった市町村が行う下水道等の施設及び宅地に係る降灰除去事業に対して補助を行う。

  平成13年度予算額 (164百万円)

  平成12年度予算額 (164百万円)

  差引増△減    (0百万円)

(3) 公営住宅等

 国土交通省においては,地方公共団体が実施する既設公営住宅等の復旧事業について補助を行い,平成13年災害に係る復旧事業の円滑な実施を図る。

(4) 廃棄物処理施設の災害復旧事業

 環境省においては,廃棄物処理施設に係る平成13年災害について所要の復旧事業を実施する。

3 財政金融措置

3-1 災害融資

(1) 沖繩振興開発金融公庫の融資

 沖繩振興開発金融公庫においては,沖繩県内の被災した中小企業者,生活衛生関係業者,農林漁業者,医療施設開設者等の再建及び被災住宅の復興に資するため,貸付資金の確保に十分配慮するとともに,必要に応じて貸付条件を緩和した復旧資金の融資措置を講ずる。

(2) 私立学校施設

 日本私立学校振興・共済事業団においては,災害により被害を受けた私立学校に対して貸付条件を緩和した復旧資金の融資措置を講ずる。

 また,防災(地震)機能強化のための施設の整備事業について優遇措置を講ずる。

  平成13年度予算額 [600百万円]

  平成12年度予算額 [600百万円]

  差引増△減    [0百万円]

(注)

 [ ]書きは,融資額を表す。

(3) 社会福祉・医療事業団の融資

 社会福祉・医療事業団においては,病院等の災害復旧に要する経費について貸付資金の確保に十分配慮するとともに,貸付条件を緩和した復旧資金の融資措置を講ずる。

(4) 農林漁業関係融資

 農林水産省においては,天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法等に基づき,農業協同組合等からの災害融資について利子補給費及び損失補償費の補助を行うほか,所要の貸付資金の確保に配慮する。

  平成13年度予算額 (130百万円)

  平成12年度予算額 (195百万円)

  差引増△減    (△65百万円)

(5) 農林漁業金融公庫の融資

 農林漁業金融公庫においては,被害農林漁業者の経営維持安定,施設の復旧等に必要な資金を融通する。

  平成13年度予算額 [13,800百万円]

  平成12年度予算額 [13,800百万円]

  差引増△減    [0百万円]

(注)

 [ ]書きは,融資額を表す。

(6) 政府系中小企業金融三機関による融資

 中小企業金融公庫,国民生活金融公庫及び商工組合中央金庫においては,被災中小企業者等の再建・復興に資するため,所要の貸付資金の確保につき十分配慮するとともに,貸付期間等貸付条件を緩和した融資措置を講じる。

 なお,中小企業庁においては,激甚災害指定の場合,商工組合中央金庫の行う低利融資について同金庫に対し利子補給を行う。

  平成13年度予算額 [8百万円]

  平成12年度予算額 [10百万円]

  差引増△減    [△2百万円]

(7) 中小企業総合事業団の信用補完

 中小企業総合事業団においては,状況に応じ,関係都道府県等の信用保証協会に対し特別貸付を行う等により,災害関係保証を促進する。

(8) 災害復旧高度化事業

 大規模な災害により既往の高度化資金の貸付を受けた事業用施設がり災した場合に,被害を受けた施設の復旧を図る場合や施設の復旧に当たって新たに高度化事業を行う場合に,都道府県又は中小企業総合事業団が高度化資金を貸付ける。

(9) 住宅金融公庫の融資

 住宅金融公庫においては,被災家屋の迅速な復興を図るため,災害復興住宅資金をもって,その建設及び補修等の資金融資を行う。

  平成13年度予算額 [5,000百万円]

  平成12年度予算額 [5,000百万円]

  差引増△減    [0百万円]

(注)

 [ ]書きは,融資額を表す。

3-2 災害保険

(1) 地震再保険

 財務省においては,「地震保険に関する法律」に基づき,地震再保険制度を運営している。平成13年度においては,1回の地震等により政府が支払うべき再保険金の総額を3兆4,891.3億円と定めて実施する。

(2) 農林漁業災害補償等

 農林水産省においては,農林漁業者が不慮の事故によって受ける損失を補てんし,経営の維持安定を図るため,次の災害補償等を実施する。

  平成13年度予算額 (153,888百万円)

  平成12年度予算額 (161,865百万円)

  差引増△減    (△7,977百万円)

a

 農業災害補償法に基づき,農業災害に関する農業共済事業を1,216億991万円をもって実施する。

b

 森林国営保険法に基づき,森林災害に関する森林保険事業を56億5,017万円をもって実施する。

c

 漁業災害補償法に基づき,漁業災害に関する漁業共済事業を85億6,321万円をもって実施する。

d

 漁船損害等補償法に基づき,漁船損害,漁船積荷損害及び漁船船主責任損害に関する保険事業を180億6,448万円をもって実施する。

3-3 地方債

 総務省においては,災害復旧事業債について291億円を措置する予定にしており,その内訳は,次のとおりである。

  〈過年補助災害〉 93億円  〈現年補助災害〉 64億円

  〈過年直轄災害〉 21億円  〈現年直轄災害〉 22億円

  〈過年単独災害〉 19億円  〈現年単独災害〉 70億円

  〈火災復旧〉   2億円

  平成13年度計画額 [29,100百万円]

  平成12年度計画額 [36,700百万円]

  差引増△減    [△7,600百万円]

4 災害復興対策

4-1 阪神・淡路大震災に関する復興対策

(1) 震災復興事業に係る特別の地方財政措置

 総務省においては,被災市街地復興特別措置法に基づく「被災市街地復興推進地域」において被災地方公共団体が実施する土地区画整理事業及び市街地再開発事業について,引き続き,国庫補助事業に係る地方負担額に充当される地方債の充当率を90%に引き上げる(従来30%)とともに,その元利償還金について普通交付税措置を講ずる。

(2) 災害公営住宅等の家賃の低減

 低所得者の被災者の居住の安定を図るため,災害公営住宅等の家賃について,地元地方公共団体が特別に減額する場合の特別措置として,入居後5年間,その減額分の一定割合を国が補助するとともに,地方負担について,特別交付税措置を講ずる。

 また,入居後5年間を対象とする現行措置に引き続き,激変緩和としての5年間の移行措置を講ずる。

(3) 復興に伴う登記事務処理体制の整備

 法務省においては,復興に伴う大量かつ集中的な登記事務を適正かつ迅速に処理するため,引き続き他部署の職員による事務応援及び賃金職員の雇用による処理体制の整備を図る。

  平成13年度予算額 (7百万円)

  平成12年度予算額 (12百万円)

  差引増△減    (△5百万円)

(4) 要保護及び準要保護児童・生徒に対する補助

 文部科学省においては,災害のため経済的な理由で就学困難となった小・中学校の要保護及び準要保護児童・生徒に援助を行った市町村に対し,次の補助を行う。

  平成13年度予算額 (79百万円)

  平成12年度予算額 (84百万円)

  差引増△減    (△5百万円)

(5) 地震防災フロンティア研究の推進

 独立行政法人防災科学技術研究所においては,兵庫県の協力のもと,兵庫県三木市の地震防災フロンティア研究センターにおいて,多分野の研究者等の連携により,都市部を中心とする地震災害の軽減に関する先導的な研究を推進する。

(6) 実大三次元震動破壊実験施設の整備

 独立行政法人防災科学技術研究所においては,構造物等の耐震性向上を図るため,阪神・淡路大震災級の地震動を模擬し,実大規模での構造物等の破壊現象を解明する実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を,兵庫県三木市において整備を推進する。

(7) 水道施設の整備

 厚生労働省においては,水道事業者等が復興対策として実施する水道の施設整備に対して,国庫補助制度により必要な財政的支援を行う。

(8) 産業復興支援

 経済産業省においては,阪神・淡路大震災の被災地域における経済復興に資する産業支援体制を整備するため,引き続き,民活法の支援措置による産業関連基盤施設整備の促進,被災中小企業の再建・復興に向けた支援策の促進を図るとともに,復興に係る企画・調査事業,新産業創造事業等各種復興関連プロジェクトの実現に向けた支援を行う。

  平成13年度予算額 (167百万円)

  平成12年度予算額 (177百万円)

  差引増△減    (△10百万円)

(注)

 うち,8百万円については「5章4-1(9)中小企業対策」を再掲。

(9) 中小企業対策

 中小企業庁においては,引き続き,被災中小企業への円滑な資金供給の実施,被災中小企業の再建・復興に向けた支援策を講じる。

  平成13年度予算額 [8百万円]

  平成12年度予算額 [10百万円]

  差引増△減    [△2百万円]

(注)

 うち,8百万円については「5章3-1(6)政府系中小企業金融三機関による融資」と重複。

(10) 鉄道の整備

 国土交通省においては,神戸市営地下鉄(新長田〜三宮間8.1km)の新線建設に要する費用の一部を補助する。また,鉄道駅の利便性及び安全性の向上を図るため,土地区画整理事業と一体的に行う最寄駅(阪神電鉄岩屋駅,春日野道駅)の総合的な改善事業に対し補助を行う。

(11) 大阪湾ベイエリアの整備の促進等

 大阪湾臨海地域開発整備法に基づく中核的施設の整備の推進による被災地域の復興を図るため,平成13年度までに整備計画の同意を得たものに対し,日本政策投資銀行のNTT株売却収入の活用による無利子貸付等について融資比率の改善(神戸市,尼崎市,西宮市,芦屋市,伊丹市及び宝塚市において現行25%または37.5%を50%に引き上げ)を実施する。

(12) 被災者向け住宅確保対策

 国土交通省においては,次の措置を講ずる。

a

 低所得の被災者の居住の安定等を図るため,平成13年度予算において,災害公営住宅等の家賃の特別低減対策のための補助を行う。

b

 住宅金融公庫の災害復興住宅融資等による住宅の再建について,引き続き必要事業費の確保により,事業を推進・支援する。

c

 マンションの復興の促進のため,優良建築物等整備事業等について,引き続き必要事業費の確保により,その推進を支援する。

d

 大震災により滅失した家屋の敷地の用に供されていた土地等を譲渡した場合の居住用財産の譲渡所得の課税の特例に係る譲渡期限を平成14年3月31日まで(本則 災害があった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日まで)延長する措置を講ずる。

e

 大震災に係る以下の税制上の特例措置について,適用期限を平成16年度まで延長する措置を講ずる。([3]は,平成17年度まで延長)

[1]

 大震災により滅失した住宅に代替する住宅を取得した場合の登録免許税,固定資産税,都市計画税,及び不動産取得税の特例。

[2]

 大震災の被災者が取得した特定の土地の所有権等の移転登記に係る登録免許税の特例

[3]

 大震災により滅失・損壊した家屋の敷地に係る固定資産税,都市計画税の特例

[4]

 大震災の被害者に対する特別貸付けに係る消費貸借契約書の印紙税の非課税

(13) 被災地域の再生等のための面的整備事業の推進

 国土交通省においては,被災市街地復興推進地域等の再生,被災者のための住宅供給及び新都市核の整備のため,土地区画整理事業,市街地再開発事業,住宅市街地整備総合支援事業,密集住宅市街地整備促進事業,住宅地区改良事業等について,引き続き必要事業費の確保や制度拡充等により推進・支援する。

(14) 幹線道路等の整備推進

 国土交通省においては,次の措置を講ずる。

a 格子型幹線道路ネットワークを構成する高規格幹線道路等

 阪神地域の交通の円滑化はもとより,緊急時における交通の多重化,代替性を確保するため,格子型幹線道路ネットワークを構成する高規格幹線道路等について,引き続き事業費の確保により,事業を推進・支援する。

b 格子型幹線道路ネットワークを補完する一般道路

 緊急輸送道路や広域迂回路の一部を形成する幹線道路等及び災害危険市街地における緊急活動を支援する路線等の一般道路について,引き続き必要事業費の確保により,事業を推進・支援する。

(15) 防災性向上のための根幹的公共施設等の整備

 国土交通省においては,次の措置を講じる。

a 避難地・防災活動拠点となる都市公園等の整備

 広域防災拠点,広域避難地及び一次避難地等となる防災公園等並びに防災公園等における災害応急対策施設の整備について,引き続き必要事業費の確保等により事業を推進・支援する。

b 土砂災害対策の推進

 二次災害の防止や避難路,避難地の安全確保等に資する土砂災害対策,六甲山麓部において安全性を高め緑豊かな都市環境と景観の保全・創出に資するグリーンベルトの整備について,引き続き必要事業費の確保等により推進・支援する。

c 防災性向上に資する河川の整備

 緊急時の消火用水等の取水等を行うためのアクセスが確保できる河川整備を行うとともに,防災拠点,広域防災帯として機能する河川の整備について,引き続き必要事業費の確保等により推進・支援する。

(16) 公共施設の耐震性の向上

 国土交通省においては,震災被害を踏まえ,緊急度の高い橋梁の橋脚及び落橋防止装置等の所要の補強対策,新耐震基準に基づく下水道施設の改築・更新等及び下水道施設のネットワーク化,砂防設備の補強について,引き続き必要事業費の確保等により推進・支援する。

(17) 災害に強いライフライン共同収容施設の整備

 国土交通省においては,一般国道2号等において,災害時におけるライフライン確保に資する共同溝・電線共同溝の整備について,引き続き必要事業費の確保により推進・支援する。

(18) 緊急時の消火・生活用水等の確保対策

 国土交通省においては,下水処理水の活用のための高度処理施設等の整備,生活用水の安定的供給や緊急時における消火用水等の供給が早期に可能となるダムの整備について,引き続き必要事業費の確保により推進・支援する。

(19) 情報通信基盤の整備

 国土交通省においては,災害時に迅速かつ的確に災害情報等を収集し,関係機関に伝達するとともに,道路・河川利用者等への情報提供に資する道路・河川情報通信基盤の整備を推進する。

(20) 災害公営住宅等の家賃の低減

 低所得者の被災者の居住の安定等を図るため,災害公営住宅等の家賃について,地元地方公共団体が特別に減額する場合の特別措置として,入居後5年間,その減額分の一定割合を国が補助するとともに,地方負担について,特別交付税措置を講ずる。

 また,入居後5年間を対象とする現行措置に引き続き,激変緩和としての5年間の移行措置を講ずる。

4-2 その他の災害に関する復興対策

(1) 雲仙岳噴火災害に関する復興対策

 国土交通省においては,以下の措置を講ずる。

a

 監視カメラの配置等,火砕流・土石流に対する警戒避難体制の整備促進を図る。

b

 水無川流域において,上流砂防えん堤群の建設の促進を図る。

c

 中尾川における上流砂防えん堤群及び導流工の促進を図る。

 また,市道の六ツ木橋の架替工事の促進を図る。

d

 湯江川流域における砂防えん堤建設及び付替道路の建設を促進する。

e

 環境庁,林野庁と連携して,荒廃山地地域の総合的な自然環境整備を促進し,土砂流出の抑制を実施することにより安全の確保を図る。

(2) その他の復興対策

 震災等の事由により滅失・損壊した住宅の敷地(仮換地等に対応する従前の土地が住宅の敷地であった場合に,当該土地が被災したときの当該仮換地等を含む。)について,2年度間当該土地を住宅用地であるものとみなして,住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税の特例措置を適用する措置を講ずる。

[資料] 予算額等集計表

 (表5-4-1) 予算額等集計表

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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