表示段落: 第2部/第6章/1/1-5


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1-5 平成11年台風第18号と前線に伴う大雨に対してとった措置

(1) 政府調査団の現地への派遣及び関係省庁連絡会議の開催

 9月24日13時より,災害対策関係省庁連絡会議を開催し,政府調査団を派遣することを決定するとともに,[1]行方不明者の捜索救助に全力をあげること,[2]これまで生じた被害に対し適切に対応を続け,復旧が速やかに進められるよう対応すること,[3]関係機関は今後とも迅速かつ的確に情報の収集・伝達を行い,関係地方公共団体も含め,緊密な連携を図り,警戒体制に万全を期すること,[4]事態の推移に応じ必要があれば,災害対策関係省庁連絡会議を開催する等,関係省庁の連携を密にしていくこと,等を確認した。

 政府調査団は9月25日に関谷国土庁長官(当時)を団長とする12省庁29名からなる陣容で,熊本県の被災現地を視察した。

 政府調査団帰京後の9月25日22時より,第2回災害対策関係省庁連絡会議を開催し,政府調査団に係る報告を行い,これまでに生じた被害に対し適切に対応を続けていくこと,及び上記の[1]から[4]の事項を確認した。

(2) 警察庁においてとった措置

 警察庁及び関係管区警察局においては,「災害警備連絡室」等を設置して,情報の収集及び関係機関との連絡調整等に当たった。

 関係都道府県警察では,「災害警備本部」等を設置して,舟艇等による救出救助活動,行方不明者の捜索活動,住民の避難誘導及び交通規制等に当たった。

(3) 防衛庁においてとった措置

 山口県知事,大分県知事,第7管区海上保安本部長からの災害派遣要請を受け,9月24日から9月26日までに,延べ約120名を派遣し,防府市内及び大分県九重町において給水支援,関門海峡において海底に沈降したコンテナの捜索を実施した。

(4) 国土庁における対応

a

 9月24日10時「情報対策室」を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,被害及び対応状況をとりまとめ,官邸,関係省庁に伝達した。また,24日,被害現況を確認するため,防災局防災企画官をはじめ4名からなる情報先遣チームを高潮被害のあった熊本県不知火町に派遣した。

b

 被災者生活再建支援法の適用

 愛知県豊橋市,山口県下関市,宇部市,山口市,防府市,小野田市,大畠町,秋穂町,阿知須町,山陽町,福岡県北九州市及び熊本県全域に被災者生活再建支援法を適用し,同法の用件に合致する被災世帯の内,238世帯に合計17,712万6千円の被災者生活再建支援金を支給し,国はその半額を補助した。

  (事業費 176,646千円  国費 88,323千円)

(5) 税務行政上の措置

 大蔵省においては,次のとおり税務行政上の措置を講じた。

a 申告,納付等の期限の延長

 災害により,申告,納付等をその期限までに行うことができないと認められる納税者について,その申請に基づき,災害によるやむを得ない理由のやんだ日から2ヶ月以内の日を期日として指定し,申告,納付等の期限を延長した。

b 納税の猶予

 災害により,その財産に相当の損害を受けた納税者及び国税を一時に納税することができないと認められる納税者について,その申請に基づき,1年以内の期間についてその国税の全部又は一部の納税を猶予した。

(6) 災害救助法の適用

 厚生省においては,山口県山口市,下関市,宇部市,防府市,小野田市,玖珂郡大畠町,吉敷郡秋穂町,吉敷郡阿知須町,厚狭郡山陽町,熊本県熊本市,宇土市,宇土郡不知火町,下益城郡松橋町,下益城郡小川町,八代郡鏡町,八代郡龍北町,天草郡竜ヶ岳町,天草郡御所浦町,福岡県北九州市において災害救助法を適用し,避難所の設置,応急仮設住宅の供与,炊き出し等による食品の給与,被服・寝具等生活必需品の給与等を実施した。また,救助に要した費用1億2,890万6千円に対して6,445万3千円の国庫負担を行った。

  (事業費 128,906千円  国費 64,453千円)

(7) 災害弔慰金

 厚生省においては,災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき,本災害により死亡した者の遺族に対し支給した災害弔慰金6,250万円について3,125万円の国庫負担を行った。

  (事業費 62,500千円  国費 31,250千円)

(8) 農林水産省における対応

 次の措置を講じた。

a

 災害対策本部等の設置及び担当官の派遣

 9月24日に「台風18号災害対策関係局庁連絡会議」を設置するとともに,同日熊本県不知火町の高潮被災地に水産庁の担当官を派遣し,25日には松下政務次官を熊本の災害現場へ調査のため派遣した。

b

 天災融資法の適用

 「9月13日から同月25日までの間の豪雨及び暴風雨」として天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法を適用し,被害を受けた農林漁業者に対し,低利の経営資金を融通する措置を講じた。

c

 本災害が「9月13日から同月25日までの間の豪雨及び暴風雨」として激甚災害に指定されたことにより,農地,農業用施設及び林道施設等災害復旧事業に係る国庫補助率の嵩上げ措置,天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置の特例措置を講ずるとともに,森林災害復旧事業に対する補助を行った。

d

 農業共済金の早期かつ円滑な支払い

 被害状況を早急に調査の上,損害評価を迅速・的確に行い関係団体に対して農業共済金を早期に支払うよう指導した。

e

 既往貸付制度資金の償還猶予等

 関係機関に対して既往貸付制度資金の償還猶予等及び災害関係資金の円滑な融通について指導した。

(9) 中小企業対策

 中小企業庁では,9月24日に山口県,熊本県及び福岡県における政府系中小企業金融三機関及び信用保証協会の各支店に相談窓口を設置するとともに,政府系中小企業金融三機関に「災害復旧貸付」の適用を開始した。

(10) 運輸省における対応

 護岸,防波堤,浮棧橋等340か所に及んだ被害に対し,浮棧橋等75か所については応急復旧工事を実施し,緊急に機能回復を図ったほか,その他の施設についても早期復旧を図った。

(11) 気象庁における対応

 本庁および各地方気象台等において,台風に関する情報並びに暴風,大雨等に関する警報,注意報さらに全般・地方海上警報を適時発表し警戒を呼びかけた。また,二次災害防止に必要な気象情報の提供を関係省庁及び自治体等へ随時行った。

(12) 郵政省における対応

1 郵便葉書等の無償交付

 次のとおり被災世帯に対し,郵便葉書及び郵便書簡を無償交付した。 (表6-1-9)

  (表6-1-9) 郵便葉書等の無償交付

2 被災者が差し出す郵便物の料金免除

 次のとおり被災者が差し出す郵便物の料金免除を行った。 (表6-1-10)

  (表6-1-10) 被災者が差し出す郵便物の料金免除

3 救助用の物品又は現金を内容とする郵便物の料金免除

 次のとおり被災者の救助を行う団体にあてた救助用郵便物の料金免除を行った。 (表6-1-11)

  (表6-1-11) 救助用の物品又は現金を内容とする郵便物の料金免除

4 郵便貯金,郵便為替等の非常取扱い

  (表6-1-12) 郵便貯金,郵便為替等の非常取扱い

5 災害義援金の郵便振替による無料取扱い

  (表6-1-13) 災害義援金の郵便振替による無料取扱い

6 郵便局舎等災害復旧事業

 災害により被害を受けた郵便局舎等について,復旧事業を行った。

  (国費 66,762千円)

(13) 特設公衆電話等(無料)の設置

 西日本電信電話株式会社においては,被災者等の通信手段を確保するため,避難所1ケ所に特設公衆電話14台(無料)を設置した。

(14) 放送受信料の免除

 NHKにおいては,次のとおり放送受信料の免除を実施した。 (表6-1-14)

  (表6-1-14) 放送受信料の免除

(15) 建設省における対応

 次の措置を講じた。

a

 本省に「台風18号災害対策本部」を設置(9月24日)し,被害状況の把握等に努めた。また,同日,本省職員等を高潮災害現地に派遣し調査を行った。

b

 地方建設局においては,災害対策用ヘリコプター「はるかぜ」号を現地調査のため出動させるとともに,対策本部車等を高潮災害現地へ派遣した。

c

 被災箇所のうち必要なものについては,応急復旧工事を実施するよう地方公共団体に指導した。

(16) 地方交付税による措置

 自治省においては,大きな被害を受けた山口県下19市町村,熊本県下9市町,広島県下7町村,鹿児島県下1町に対し,地方交付税法第16条第2項の規定に基づき,11月に定例交付すべき普通交付税の一部6,378百万円を繰上げ交付した。

(17) 災害応急対策等

 消防庁では,9月21日に全国の都道府県に「大雨警戒情報」を通知し,警戒強化を要請するとともに,24日には,消防庁次長を長とする災害対策連絡室を設置し,関係地方公共団体から情報収集を行った。

 また,25日には消防庁審議官を被災現地に派遣し調査を実施した。

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