表示段落: 第2部/第4章/1


表示段落: 第2部/第4章/1


1 災害一般共通事項

1-1 教育訓練

(1) 警察庁における教育訓練

 警察庁においては,次のとおり教育訓練を行った。

  (事業費 167,552千円  国費 163,000千円)

a

 都道府県警察の幹部に対して,災害応急対策等についての教育訓練を行った。また,各管区警察局単位で広域緊急援助隊の広域派遣訓練,救出救助訓練等を実施した。都道府県警察においては,関係機関と連携した災害警備訓練を行った。

b

 レンジャー訓練等災害救助のための特殊技術訓練を行った。

c

 災害発生時における迅速な映像情報等の確保のため,ヘリコプターテレビ等の各種情報通信システムを活用した実践的な災害警備通信訓練を行った。

(2) 防衛庁における教育訓練

 防衛庁においては,9月1日の防災の日に訓練防衛庁災害対策本部を設置し,自衛隊各部隊等との間で,要請された災害派遣実施のための調整等を伝達する訓練等を実施した。また,自衛隊の部隊等は,各地方公共団体の実施する防災訓練へ積極的に参加し,自衛隊の集結地の確保等について調整を行い,迅速かつ適切な災害派遣の実効性の確保を図った。

(3) 法務省における教育訓練

 法務省においては,災害等非常事態における法務省関係機関相互の情報連絡手段を確保するため,「法務省緊急連絡体制網」通信訓練を行った。

  (国費 27,527千円)

(4) 防災・ボランティアハンドブックの作成

 防災知識,避難方法及び震災発生時のボランティアの活動方法等について啓発するため,全国立大学等の学生にハンドブックを配布した。

  (国費 22,064千円)

(5) 安全教育の充実

 文部省においては,学校における安全教育の充実を図るため小学校1,2,3年生用防災教育教材の作成・配布等を行った。

  (国費 68,267千円)

(6) 日本赤十字社の救護員養成事業に対する補助

 厚生省においては,日本赤十字社の非常災害に係る救護班要員等に対する研修に要する経費について補助を行った。

  (事業費 43,442千円  国費 15,114千円)

(7) 都道府県の災害救助対策事業に対する補助

 厚生省においては,都道府県が行う市町村災害救助法担当職員に対する研修等の災害救助対策事業に要する経費について補助を行った。

  (事務費 22,082千円  国費 11,041千円)

(8) 海上保安庁における教育訓練等

 海上保安庁においては,巡視船艇,航空機等による各種災害対策訓練を実施したほか,機動防除隊,特殊救難隊等を対象とした高度な防災技術・救難技術の訓練・研修を行った。また,海難防止思想の普及・高揚等を図るため,海難防止講習会等を開催したほか,タンカー等危険物積載船舶の乗組員,危険物荷役事業者等を対象に訪船指導,タンカーバースの点検等を行うとともに,カーフェリー等旅客船の事故対策訓練を実施し,運航関係者に対して事故時の措置等を指導した。

  (国費 13,896千円)

(9) 気象庁における教育訓練

 気象庁においては,各地で防災気象講演会を主催し,気象等に関する知識の普及及び気象予報,警報等の利用方法等の周知を図った。また,防災機関の担当者を対象に,予報,警報その他の情報の伝達等に関する説明会を適宜開催した。一方,気象大学校大学部及び研修部で,それぞれ気象業務遂行に必要な知識及び技術の教育を行い,気象庁職員の資質の向上を図った。

  (国費 140,644千円)

(10) 郵政省における非常通信訓練の指導

 郵政省においては,非常通信協議会に対し非常通信体制の整備について指導を行うほか,無線局の免許人に対しても非常通信の訓練の実施及び通信施設の総点検について指導を行った。

  (国費 21,477千円)

(11) 日本放送協会における教育訓練等

 日本放送協会(以下「NHK」という。)においては,大規模災害等における放送確保等のため,広域応援体制も織り込んだ総合訓練を実施するとともに,各放送局においては,個別訓練等を実施した。さらに,「防災週間」を中心に,防災知識の普及に資する放送を行った。

  [公団等支出額 25,537千円]

(12) 建設省建設大学校における教育訓練

 建設大学校においては,建設行政を担当する国,地方公共団体,公団等の職員に対し,各研修コースにおいて,防災及び災害復旧事業に関する研修を実施した。

(13) 消防庁における教育訓練

a 消防庁消防大学校における教育訓練

 都道府県の消防の事務に従事する職員及び市町村の消防職団員に対し災害の防止や応急対策に関する高度の教育訓練を行った。また,航空消防防災講習会及び緊急消防援助講習会を実施するとともに,地方公共団体の防災担当者に対し防災に関する実務講習を行った。

  (国費 139,886千円)

b 防災訓練の実施の推進

 地方公共団体が,総合防災訓練や広域応援訓練,参集訓練,情報伝達訓練などを実施するよう要請・助言等を行った。

1-2 防災施設設備の整備

(1) 災害警備活動用資機材の整備

 警察庁においては,都道府県警察の災害警備活動に必要なヘリコプター等の整備を行った。

  (事業費 3,913,134千円  国費 3,902,706千円)

(2) 警察情報通信システムの整備

 警察庁においては,災害発生時に効果的な災害警備活動を行うための通信手段の確保に資する衛星携帯電話端末の整備を行った。

  (国費 42,151千円)

(3) 防災情報システムの整備

 北海道開発庁北海道開発局においては,情報伝達を行う防災情報システムの整備及び防災情報データベースを構築した。

  (国費 11,956千円)

(4) 中央防災無線網の整備

 国土庁においては,首都直下型地震に備えた衛星地球局の配備,固定通信系のデジタル化整備,移動通信系の高度化更新等の調査研究を行った。

  (国費 2,137,101千円)

(5) 貴重な文化財の保存機能の強化(埋蔵文化財センターの建設)

 文化庁においては,防災機能に配慮した施設を前提に,拠点施設を整備するための補助を行った。

  (事業費 1,399,431千円  国費 662,700千円)

(6) 日本赤十字社への補助金等

a 日本赤十字社への災害救護活動用通信指令車輛整備費補助

 厚生省においては,日本赤十字社に対し災害救護活動用通信指令車輛を整備するために補助を行った。

  (事業費 64,113千円  国費 31,500千円)

b 災害救助物資保管倉庫の設置等

 日本赤十字社においては,災害救助物資保管倉庫,救急車等の配備を行ったほか,被災者配布用物資を購入した。

(7) 災害拠点病院の整備

 厚生省においては,災害時の患者受入機能(ヘリポート等),水・医薬品・医療材料の備蓄機能等を備え,耐震性能が強化された災害拠点病院の整備について補助を行った。

  (事業費 3,554,760千円  国費 1,744,395千円)

(8) 広域災害・救急医療情報システムの整備

 厚生省においては,災害時において医療機関の稼働状況,受入れ機能等災害医療にかかる総合的な情報収集を行うため,厚生省,消防本部,病院等とのネットワーク化を図るための整備について補助を行った。

  (事業費 6,737,209千円 国費 2,245,719千円)

(9) 緊急時の農業水利施設の活用

 農林水産省においては,緊急時に消防用水,雑用水利用を容易にするための防火水槽等の施設整備を行った。また,消防車の進入スペースの確保等の水路周辺の整備を行った。

  (事業費 1,020,000千円  国費 510,000千円)

(10) 漁港漁村の防災対策

 農林水産省においては,漁港施設の耐震性の確保等災害に強い漁港漁村づくり事業を行うとともに,災害時の救援活動等の拠点となる漁港において防災拠点漁港整備事業を行った。

  (事業費 39,497,000千円  国費 23,725,000千円)

(11) 農山村の防災機能強化の促進

 農林水産省においては,農村総合整備事業(緊急防災型)等により,緊急車両の通行や避難路の確保等のための農道・農業集落道等の整備を行った。

  (事業費 6,270,000千円  国費 3,135,000千円)

(12) 巡視船艇の整備等

 海上保安庁においては,次のとおり巡視船艇等の整備を行った。

a 巡視船艇・航空機等の整備

 継続分も含め,ヘリコプター1機搭載型巡視船,大型巡視船等の整備を行った。

b 通信施設の整備

 老朽化した陸上通信回線の抜本的な見直しを行い,大容量高速データ通信に対応でき,耐震性に強い高度情報通信網の整備を実施した。

c 電子海図システムの整備

 航海の安全に必要な情報を表示できる電子装置に必要な航海用電子海図を作製するためのシステムの整備を引き続き行い,航海用電子海図を刊行した。

d 航路標識の整備

 海難を未然に防止するため,灯台の設置等の航路標識の整備について,24件の新設整備及び794件の改良改修を行った。

  (国費 68,145,294千円)

(13) 海上防災体制の整備

 海上保安庁においては,防災資機材の整備,機動防除隊の充実強化,及び巡視船艇,航空機等の常時出動体制の確保等を図った。また,船舶所有者,油保管施設設置者等に防災資機材を備えさせる等海上防災体制の整備に努めた。さらに,海上災害防止センターの行う防災に関する調査研究等の各種事業に対し指導等を行った。

  (国費 101,110千円)

(14) 気象観測施設の整備等

 気象庁においては,主に次の整備を行った。

  (国費 22,066,385千円)

a 台風・集中豪雨雪監視体制の整備

(a)

 静止気象衛星業務の整備

 静止気象衛星5号の運用等を行うとともに,静止気象衛星5号の後継機である運輸多目的衛星新1号(平成14年度打上げ予定)の製作に着手した。

(b)

 地上気象観測施設・地域気象観測施設・気象レーダー観測施設の整備

 地上気象観測の精度向上を図るため地上気象観測装置24台の更新を行った。また,地域気象観測システム(アメダス)の観測精度の向上を図るため,積雪深計の更新を行ったほか,富士山レーダーの代替として長野県車山及び静岡県牧之原に気象レーダーを整備した。

(c)

 気象資料伝送網(福岡Lアデス)の更新整備

 防災情報の高度化等のために福岡管区気象台管内に気象資料伝送網(福岡Lアデス)を更新・整備した。

(d)

 緊急防災ネットワークの整備

 地震情報,津波予報及び気象警報等の伝達の迅速・確実化を図ると共に,各種防災情報の提供機能を強化した「緊急防災情報ネットワーク」を整備した。

(e)

 局地的気象監視システムの整備

 集中豪雨雪等の局地的現象をいち早く捉えるために,全国にウインドプロファイラ(電波を用いて,観測点上空の風向風速を測定する装置)を設置し,高層風観測を自動的に行い,観測データを気象庁に伝送するシステムの整備を開始した。

b 航空気象業務の整備

 空港気象ドップラーレーダー(新千歳)の整備を開始した。空港における新たな気象観測システムの導入(東京国際ほか10空港),静止気象衛星資料受信装置の更新(大阪国際ほか3空港)及び気象資料伝送網の更新(福岡ほか16空港)等を行った。また,航空路における火山灰の拡散予測データを航空局の洋上可変経路発生システムへ提供するため,航空路火山灰監視装置の機能充実を図った。

c 海洋気象業務の整備

 沿岸波浪観測装置(鹿島)及び検潮所の遠隔自記検潮装置を更新した(日向白浜,鹿児島)。また,海難事故等で流出した重油等に関する海上浮遊物移動拡散予測業務を開始した。

(15) 無線局における災害対策

 郵政省においては,防災関係の無線局の免許等に際し,災害に対する保安対策,地域防災関係機関等との連携等を行うよう指導した。

(16) 電気通信網の確保

a 東日本電信電話株式会社,西日本電信電話株式会社

 安定した電気通信サービスを提供するため,次の整備を行った。

  [公団等支出額 21,800,000千円]

(a)

 都市部におけるとう道の建設,屋外設備の耐震対策等を実施した。

(b)

 孤立防止用衛星通信装置及び移動電源車の配備を実施した。

b NTTドコモグループ

 安定した電気通信サービスを提供するため,次の整備を行った。

  [公団等支出額 11,087,000千円]

(a)

 通信網の信頼性向上対策として,伝送路の多ルート化等を実施した。

(b)

 早期復旧対策として,移動基地局車及び移動電源車の配備等を実施した。

c その他の第一種電気通信事業者

 伝送路の多ルート化,設備の二重化及び非常用電源等の各種非常災害対策機器の配備等を実施した。

(17) NHKにおける非常用電源設備等の整備

 NHKにおいては,放送局の非常用電源設備等の整備を行った。

  [公団等支出額 10,557千円]

(18) 河川・道路管理用無線通信の整備

 建設省においては,次の無線通信設備の整備を行った。

a 多重無線通信設備

 本省,地方建設局,事務所及び出張所間を連絡する多重無線回線のディジタル化整備及び通信容量の増強を引き続き行った。

b 移動無線通信設備

 複信方式による通話,データや写真の伝送が可能な建設省移動通信システム(K-COSMOS)の整備を引き続き行った。なお,ヘリコプター画像固定受信設備は,東北,四国及び九州地方建設局で整備を行った。

c 衛星通信設備

 災害画像の迅速な収集配信を行うため,衛星通信車2局及び衛星小型画像伝送装置(Ku-SAT)46局の整備を行った。

(19) 宅地防災工事資金の融資

 住宅金融公庫においては,宅地造成等規制法,急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律及び建築基準法による勧告又は命令を受けて,擁壁又は排水施設の設置等を行う宅地防災工事に対して必要な融資を行った。

  [融資実行額 88,300千円]

(20) 地域衛星通信ネットワーク整備構想の推進

 自治省及び消防庁においては,地域情報通信基盤整備事業等を活用して,地方公共団体における衛星通信地球局の整備を進めた。

(21) 緊急防災基盤整備事業の推進

 自治省及び消防庁においては,大規模な地震等の発生時に住民の安全が確保できるよう緊急に防災機能の向上を図るため以下の事業を推進した。

a 公共施設等の耐震改修

 避難地や災害対策拠点等となる公共・公用施設,不特定多数の者が利用する公共施設等について耐震性の強化を図った。

b 防災基盤の整備

 防災拠点,ヘリポート,防災情報通信施設等,地域防災計画に基づき整備すべき防災基盤の整備を推進した。

(22) 防災まちづくり事業の推進

 自治省及び消防庁においては,防災まちづくり事業として,地方公共団体が行う防災センター,コミュニティ消防センター,防災無線施設等の消防防災施設,避難路,避難地等の防災基盤及び閉塞区域情報システム等震災対策に有効な施設・設備の整備を推進した。

(23) 消防防災無線通信施設の整備

 消防庁においては,次のとおり,消防防災無線通信施設の整備を推進した。

a 国・都道府県・市町村相互間を結ぶ消防防災無線の強化充実

 国・都道府県・市町村相互間における情報の収集伝達の確実化及び迅速化を推進するため,全国的な消防防災通信ネットワークの整備等機能の高度化に努めた。

b 市町村防災行政無線の整備促進

 同報系無線,移動系無線,地域防災無線など,市町村防災行政無線網整備を国庫補助金及び単独事業に対する支援により推進した。

  (事業費 6,238,532千円  国費 1,987,291千円)

(24) 画像伝送システムの整備

 消防庁においては,高所監視カメラやヘリコプターテレビ電送システムからの映像を消防本部においてリアルタイムで把握するとともに,その映像情報を国,都道府県及び他の消防本部等へ伝送するための施設整備を推進した。また,山間部等の災害でもリアルタイムでの映像情報を送信できる可搬型画像伝送システムの導入を推進した。

  (事業費 920,810千円  国費 321,359千円)

(25) コミュニティ防災資機材

 消防庁においては,地域の防災力を向上させるため,市町村が行う315組織に対するコミュニティ防災資機材等整備事業について補助を行った。

  (事業費 305,895千円  国費 101,965千円)

(26) ヘリコプター,救急用ヘリコプター離着陸場及びヘリコプターテレビ電送システムの整備

 消防庁においては,ヘリコプター,救急用ヘリコプター離着陸場及びヘリコプターテレビ電送システムの整備について,地方公共団体に対し補助を行った。

  (事業費 826,837千円  国費 284,272千円)

(27) 救助・救急施設設備の整備

 消防庁においては,災害の複雑多様化に対応して救助体制の整備・拡充を図るため,救助工作車,救助資機材の整備について,地方公共団体に対し補助を行った。

 また,救急業務の高度化を推進し,傷病者の救命効果をより一層向上させるため,救急隊員が高度な応急処置等を行うために必要となる高規格救急自動車及び高度救命処置用資器材の整備について,地方公共団体に対し補助を行った。

  (事業費 6,391,143千円  国費 2,130,381千円)

(28) 緊急消防援助隊関係資機材の整備

 消防庁においては,全国の消防機関相互の援助体制として創設された緊急消防援助隊が使用する救助工作車,災害応急対策救急自動車等の車両及びファイバースコープ等の高度救助用資機材等の整備について,地方公共団体に対して補助を行った。

  (事業費 818,558千円  国費 409,279千円)

1-3 災害危険地住宅移転等

(1) がけ地近接等危険住宅移転事業

 建設省においては,がけ地近接等危険住宅移転事業により,全国各市町村で実施した危険住宅の除去174戸及びこれに代わる住宅建設(購入を含む。)162戸に対して補助を行った。

  (事業費 868,602千円  国費 435,256千円)

1-4 その他

(1) 国際防災の10年の推進

a

 科学技術庁においては,災害軽減に取り組む科学技術の現状と課題について討議を行った。

  (国費 4,382千円)

b

 国土庁においては,政府の推進本部の運営等国際防災の10年を推進した。

  (国費 26,951千円)

c

 外務省においては,国際防災の10年事務局に対して支援を行った。

  (国費 64,500千円)

d

 気象庁においては,津波,火山,地震及び気象の各災害についての調査結果をもとにして,アジア・太平洋諸国における総合的な災害防止システムの改善に寄与する報告書を作成した。

  (国費 3,152千円)

e

 建設省においては,国際防災の10年建設省推進本部を運営するとともに,建設省国際防災の10年シンポジウム等の事業を実施した。

  (国費 8,381千円)

f

 消防庁においては,我が国の防災技術関係資料を取りまとめ,我が国の防災分野における技術協力に対するニーズの把握に努めた。

  (国費 3,021千円)

(2) 大規模災害対策の推進

 警察庁及び管区警察局においては,大規模地震対策特別措置法に基づく警戒宣言の発令時及び大規模災害発生時における災害応急対策等について検討を行った。また,災害時には,画像伝送等による迅速な現場情報の収集,伝達に努めるなど,災害警備対策の強化推進を図った。

  (国費 702,584千円)

(3) 防災意識の高揚

a

 警察庁及び都道府県警察においては,過去の災害発生状況,防災に関する知識等について各種広報紙で紹介するなど,国民の防災意識の高揚に努めた。

b

 国土庁においては,防災週間,防災の日を中心に,防災フェア,「防災とボランティアを考えるつどい」等の行事を実施すること等により,防災知識の普及と防災意識の高揚を図った。

  (国費 27,640千円)

c

 消防庁においては,テレビやインターネットによる広報活動を実施するとともに,地方公共団体に対し「防災週間」等の機会を通じ,広報活動や啓発行事を実施するよう要請した。

  (国費 54,747千円)

(4) 防災関連情報の総合的活用の推進

 国土庁においては,防災関連情報の高度利用を目的とした基本システムの運用及び高度化の検討を行った。また,危険箇所,避難地等の防災関連情報を図面化した防災マップのモデルを作成した。

  (国費 11,865千円)

(5) 防災分野における国際協力等の推進

 国土庁においては,開発途上国における防災体制の整備の促進を図るための調査を行った。また,アジア地域を対象にしたリスクアセスメントの検討を行った。

  (国費 20,165千円)

(6) 防災基本計画の推進

 国土庁においては,事故災害対策を編として追加するなど防災基本計画を改訂し,その普及・推進を行った。

(7) アジア防災センターにおける多国間防災協力の推進

 国土庁においては,アジア防災センターにおける多国間防災協力として,防災情報の収集・提供,防災協力の推進に関する調査等を行った。

  (国費 107,100千円)

(8) 企業における防災対策と職場での防災活動の推進

 国土庁においては,企業の防災活動の参考となる事例を収集するなど,企業防災に関する普及啓発を行った。

  (国費 4,577千円)

(9) 阪神・淡路地域の防災関係情報の分析・活用

 国土庁においては,阪神・淡路大震災に関する情報を広く収集し,教訓情報資料集としてインターネットによる情報発信を行っている。

  (国費 49,882千円)

(10) 復興対策の調査検討

 国土庁においては,被災地方公共団体が復興計画を策定する場合の指針となるマニュアル策定のための調査を行うとともに,あらかじめ発生の切迫性が指摘されている災害に対して,被災地の迅速的確な復興に資するための調査を行った。あわせて,海外における復興施策の実態調査を行った。

  (国費 30,939千円)

(11) 特定地震防災対策施設(阪神・淡路大震災メモリアルセンター(仮称))の整備

 国土庁においては,地震災害に関する資料の収集・保存・展示,防災に関する総合的・実践的な能力を有する人材の育成等を行う特定地震防災対策施設の整備費を補助した。

  (事業費 6,005,442千円  国費 3,002,721千円)

(12) 土地保全基本調査の実施

 国土庁においては,土地保全基本調査を鳥取県において実施するとともに,平成9年度に調査を行った山口県について,縮尺15万分の1の土地保全図を作成した。また,異常な自然現象を類型ごとに詳細に調査を行った阪神・淡路地域について,縮尺5万分の1の土地保全図を作成した。

  (国費 50,261千円)

(13) 文教施設の防災対策

 文部省においては,文教施設の耐震性能の向上対策等,文教施設の総合的な防災対策を推進した。

  (国費 7,224千円)

(14) 学校等における防災体制の充実

 文部省においては,地域防災組織や関係機関との連携方策,災害時の情報連絡体制の整備等に関する実践研究を市町村教育委員会に委嘱した。

  (国費 29,007千円)

(15) 食料等の備蓄

a 乾パン及び乾燥米飯の備蓄

 災害対策用乾パン及び乾燥米飯合わせて約26万食を政府倉庫等に備蓄するとともに,食糧庁備蓄分に不足が生じた場合等には,防衛庁が備蓄している乾パンの供給を受けられるよう措置した。

  (国費 5,082千円)

b 種子の備蓄

 災害発生時における代作用種子の確保を図るため,社団法人日本種苗協会備蓄部会に所属する種苗業者の所有する13種類の野菜種子約46klを同協会に備蓄させた。

 また,被災農業者が必要とする代作用種子の配布に備えて,種苗管理センターにおいて,そば及び大豆の種子約31トンを予備貯蔵した。

  (国費 1,268千円)

(16) 山地防災体制の整備

 農林水産省においては,山地災害等に係る情報収集能力を強化するため,市町村職員,地域における治山技術者OB等を山地防災ヘルパーとして認定するとともに,講習会,現地研修会を実施した。

  (国費 11,880千円)

(17) 農林水産省における情報収集・伝達体制の整備

 農林水産省においては,災害に強い通信手段として農林水産本省と各地方農政局等とを結んだ衛星通信施設等を整備した。

  (国費 27,886千円)

(18) 沿岸防災情報図の整備

 海上保安庁においては,離島や半島域において災害が発生した場合における海上からの救難・救助活動を迅速かつ適切に実施するため,自然情報,社会情報及び災害危険地等の防災情報を網羅した沿岸防災情報図の整備を行った。

  (国費 7,770千円)

(19) 予報,警報その他の情報の発表,伝達

 気象庁においては,適時適切な予報,警報その他情報を発表するとともに,防災関係機関,報道機関に伝達して,災害の防止・軽減に努めた。また,各種天気図や静止気象衛星雲写真,台風予報図等について,気象無線ファクシミリ放送等によって提供を行った。

(20) 災害時における無線通信の高度化・多様化に関する調査研究

 いつ発生するかわからない広域災害に備え,喫緊に広域防災無線網の構築を図り,近隣都道府県のシームレスな接続するための諸条件について調査検討を行った。

  (国費 2,654千円)

(21) 「防災と放送についての連絡会」の開催

 郵政省においては,放送事業者やケーブルテレビ事業者の団体と関係省庁が定期的に防災に関する情報交換等を行う連絡会を開催し,防災に対する放送の役割の向上を積極的に推進した。

(22) 地方自治体との防災協定の締結

 郵政省においては,各郵便局と地方公共団体とが災害時に連携して災害対策を行うための防災協定等を締結するなど,地域における防災体制を引き続き整備している。

  (平成11年度末 2,196件)

(23) 災害の場合の放送についての要請

 郵政省においては,放送事業者に対して,非常災害時において放送が果たすべき重要な役割を確保できるよう万全の措置を講じると共に,外国人,視聴覚障害者等に対する配慮を行うよう要請した。

(24) 沿岸海域基礎調査

 建設省国土地理院においては,沿岸海域の各種防災・保全等の基礎資料とするため,天草中部地区について2万5千分の1の沿岸海域地形図,沿岸海域土地条件図を作成した。

  (国費 68,299千円)

(25) 土地条件調査

 建設省国土地理院においては,岸和田地区について,災害対策及び土地の開発・利用計画の基礎資料とするため,地形の分類,低地の地盤高等に関する事項等を調査し,2万5千分の1土地条件図作成を行った。

  (国費 16,710千円)

(26) GIS基盤情報整備

 建設省国土地理院においては,GISの利用に不可欠な全国の道路,河川・海岸線,鉄道等の国土に関する骨格的な地理情報をディジタル化し,GIS基盤情報の整備を実施した。

  (国費 1,329,101千円)

(27) 被災宅地危険度判定制度の整備

 建設省においては,宅地災害が広範囲に発生した場合に,被害の発生状況を迅速かつ的確に把握するための危険度判定を実施することによって,二次災害を軽減・防止するため,被災宅地危険度判定制度を創設し,危険度判定を行う技術者の養成登録を行い,危険度判定を実施できるよう整備を進めた。

(28) 宅地災害の防止対策の推進

 建設省においては,地方公共団体等に対して,宅地防災マニュアルの普及を図ったとともに,宅地造成工事規制区域指定要領を参考に適正な指定地域の見直しを指導した。また,宅地開発に伴い設置される地下調整地における安全性の確保や完成後の適正な維持管理を確保するとともに,土地の高度利用に資することを目的とした,宅地開発に伴い設置される地下調整地の技術的な指針の整備を進めた。

(29) 道路交通情報の充実

 災害情報,工事・交通規制情報等の情報をリアルタイムにカーナビゲーション等の車載機へ提供するVICS(道路交通情報通信システム)の整備を,警察庁,郵政省,建設省において推進し,平成11年度にはサービスエリアを16都道府県と全国の高速道路に拡大するとともに,情報内容の充実を図った。また,警察庁及び建設省においては,交通情報板,道路情報板や(財)日本道路交通情報センター等を通じて,道路交通情報を道路利用者に提供するため,情報収集・提供業務の高度化を図った。

(30) 災害に対応した道路管理情報システムの整備

 建設省においては,防災カルテ等の防災情報をデータベース化した新たな道路防災管理システムの導入を図った。また,防災情報と道路施設管理に関する情報を有効に組み合わせるための地理情報システム(GIS)の活用について検討を進めるとともに,衛星を活用した災害情報収集方式,災害復旧用資機材の調達を迅速化するためのデータベースの構築について推進を図った。

(31) 地域防災計画の見直しの推進

 消防庁においては,地方公共団体に対し,防災アセスメントや被害想定の実施等により,地域防災計画を抜本的に見直すよう要請・助言等を行った。また,地方防災計画の未策定市町村に対し,策定の要請を行った。

 さらに,平成9年6月の防災基本計画の修正を踏まえ,地域防災計画における各種事故災害対策の充実を図るよう地方公共団体に対し,要請・助言等を行った。

  (国費 2,395千円)

(32) 広域応援体制の整備推進

 消防庁においては,職員の派遣,資機材の提供等防災活動全般にわたる地方公共団体の広域応援協定の締結を促進するとともに,広域防災拠点の整備促進や必要な情報のデータベース化等により,広域応援体制の整備を図った。

  (国費 3,189千円)

(33) 緊急消防援助隊派遣体制の整備

 消防庁においては,緊急消防援助隊の出動が円滑に行われるよう,早期出動体制,活動マニュアル,関係機関との連携体制,緊急消防援助隊が装備する資機材に関する調査研究等を行った。

  (国費 9,488千円)

(34) 緊急消防援助隊の高度情報通信体系の整備

 消防庁においては,緊急消防援助隊が被災地に派遣された場合,効率的に活動できるようにするため,多用な情報通信機器システムの実用性を検証し,情報通信系の確保について総合的に調査研究を行った。

  (国費 20,542千円)

(35) コミュニティ防災の推進

 消防庁においては,都道府県,市町村における推進計画への策定を要請するとともに安全なまちづくり等を含めた自主防災組織のあり方を考慮し,「自主防災組織の手引き」の改訂について検討した。

  (国費 3,349千円)

(36) 自主防災組織の活性化

 消防庁においては,自主防災組織の防災活動を効果的かつ組織的に行うためのリーダーを養成するため,自主防災組織リーダー研修会を開催した。

  (国費 2,594千円)

(37) 防災ボランティアの活動環境の整備推進

 消防庁においては,次の方策を講じることにより,防災ボランティアの活動環境の整備を推進した。

a 災害ボランティアテータバンクの準備

 「災害ボランティアデータバンク」の設置に向けた準備を行うため,防災ボランティア団体に対し,団体の概要に関する調査を実施した。

b 情報通信の活用による防災ボランティアの活性化の推進

 情報通信の活用による防災ボランティアの活性化を推進するため,防災ボランティアの普及啓発番組を制作し,衛星放送により全国放送を行った。

  (国費 17,896千円)

(38) 防災対策の点検システムに関する調査研究

 消防庁においては,地方公共団体が行う防災対策に関するチェックリストを作成し,より実効性のある防災対策が行えるよう調査研究を行った。

  (国費 4,244千円)

(39) 防災情報の積極的な公開・提供の推進

 消防庁においては,地上波デジタル放送による災害・防災情報等の提供の実現に向けて,デジタル放送の特性を考慮した,防災情報の効果的な提供方法を検討した。

  (国費 4,248千円)

(40) 防災情報通信体制の整備

 消防庁においては,防災情報システムにインターネットの技術を導入するとともに登録データの充実を図り,利便性を向上させた。また,大規模災害発生時に災害現場の最前線に出動し,被災状況等の収集,消防庁との連絡調整を行う前線基地ともなる現地活動支援車の運用訓練を行った。

  (国費 477,800千円)

(41) 消防団の充実強化

 消防庁においては,消防団の一層の充実強化を図るため,地域における消防団の活動拠点となる施設の整備を行う消防団拠点施設等整備事業及び消防団に必要な設備等の総合的な整備を行う消防団活性化総合整備事業により,計181団体に対し補助を行うとともに,消防団と地域の自主防災組織等との連携のあり方に関する検討等を行った。さらに,補正予算において消防団基盤緊急総合整備事業を実施し,184団体に対し補助を行った。

  (事業費 3,209,999千円  国費 1,382,928千円)

(42) 救急業務高度化の推進

 消防庁においては,救急搬送に係る傷病者の救命効果の向上を図るため,救急業務の高度化に関する諸施策を積極的に推進した。

  (国費 8,552千円)

(43) 救助技術高度化の推進

 消防庁においては,救助技術の高度化を図るため,救助技術に対する新たな科学技術の導入を検討するとともに,第2回全国消防救助シンポジウムを開催した。

  (国費 4,767千円)

(44) 航空消防防災体制の整備

 消防庁においては,重症患者等の救命効果の向上を図るため,救急ヘリコプター出動基準ガイドラインを作成し,救急業務における消防・防災ヘリコプターの活用を促進した。

  (国費 6,070千円)

(45) 国際消防救助隊の海外派遣体制の整備

 消防庁においては,海外において大災害が発生した場合に,被災国の要請に応じ,市町村の消防隊員等で構成される国際消防救助隊を派遣する体制を整備しているが,国際消防救助隊の教育訓練,情報収集体制等の整備等を行った。また,平成11年1月に発生したトルコ西部及び台湾における地震災害の救助活動を行うため,国際消防救助隊を派遣した。

  (国費 1,145千円)

(46) 消防に係る国際協力の推進

 消防庁においては,国際協力事業団等と協力して,開発途上国を対象に,消防研修員の受入れ,消防専門家の派遣,プロジェクト方式技術協力を実施するとともに諸外国の消防事情に関する調査等を行った。

(47) 防災まちづくりの推進

 消防庁においては,地域コミュニティ等における防災に関する取組のうち,特に優れた取組を防災まちづくり大賞として,自治大臣賞等により表彰し,防災上の効果を解説したパンフレット等により幅広く紹介した。

(48) 災害対策総合推進調整費による調査

 国土庁においては,災害対策総合推進調整費を別表の調査等に配分した。 (表4-1-1)

  (国費 131,625千円)

  (表4-1-1) 災害対策総合推進調整費による調査等

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