表示段落: 第1部/第2章/9/(2)


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(2) 対策の現状

 震災により被害を受けた市街地の復興を図るため,被災地方公共団体においては,「被災市街地復興特別措置法」に基づき,16地域の被災市街地復興推進地域を指定し,土地区画整理事業及び市街地再開発事業等における補助事業の特例措置により,市街地整備を進めている( 表2-9-1 )。

  (表2-9-1) 被災市街地の整備状況(平成13年2月1日現在)

 被災市街地復興推進地域内で行う土地区画整理事業は13地区(20事業地区)であるが,既にそのすべてで事業計画を決定しており,平成12年5月31日には森南第三地区において仮換地指定が開始された。この結果,13地区(20事業地区)の全地区において仮換地指定が開始されたこととなった。また,全体として概ね7割の仮換地が指定されている。このうち,神前町2丁目北地区においては平成12年12月11日に,全事業地区で初めて換地処分が完了する等,2事業区において換地処分が完了している。

 同じく,市街地再開発事業は6地区(14事業地区)で実施されているが,全体地区面積の概ね6割について管理処分計画が決定されている。各地区とも既に建築工事が進捗しており,宝塚市売布神社駅前地区及び宝塚駅前地区において再開発ビルが順次完成している。

 被災地域の住宅対策としては,兵庫県及び大阪府においては,阪神・淡路大震災により住宅を失った多数の被災者に対し,震災直後から合計49,681戸に及ぶ応急仮設住宅を建設し,被災者に提供してきた。

 こうした中,平成8年6月には,自力で住宅を確保できない高齢・低所得者が極めて多い状況にかんがみ,「被災者住宅対策等について」が総理報告,了承され,公営住宅の確保,公営住宅家賃の負担軽減等の対策が行われた。

 その結果,最大時には約4万8,000世帯が入居していた応急仮設住宅が,平成12年1月14日に解消されている。

 なお,上記「被災者住宅対策等について」に基づく公営住宅家賃の負担軽減策が平成13年7月から順次期限切れを迎えることにかんがみ,現行制度に引き続き,激変緩和としての5年間の移行措置を講じることとし,国はその減額分の一定割合を補助することとしている。

 また,自力で住宅を再建する被災者を支援するため,住宅金融公庫では通常より低利の災害復興貸付制度を設けるなどの対応を行っている。

 被災者の生活再建支援については,既に社会保障や社会福祉の分野では,極めて広範なきめ細かな制度が整備されており,被災地においては特別養護老人ホーム等の整備やこころのケアセンターの設置,生活支援アドバイザーの派遣など様々な措置が講じられている。

 さらに,復旧・復興に向けた各般の行政施策を補完し,きめ細かな施策を講じるために設置された(財)阪神・淡路大震災復興基金(以下「復興基金」という。)においても,被災者の生活再建を支援する事業が実施されており,国はこのために必要な地方財政措置を講じている。

 一方,震災後,被災者の生活再建に対する支援の要請が高まったことから,平成8年12月に,応急仮設住宅から恒久住宅への移転に伴って,新しい生活を再建しようとする世帯のうち,自力では対応が難しいと考えられる高齢者や要援護者のいる低所得世帯に対して,月額15,000円〜25,000円の現金を5年間支給する「生活再建支援金」制度の創設を決定し,平成9年より支給を開始した。また,兵庫県が実施している生活復興のために必要な資金の貸付制度(別途,復興基金が全額利子補給を実施)について,その貸付限度額を100万円から300万円に引き上げることが決定され,平成12年3月末まで新規融資の受付を行い,合計27,582件が貸付され,貸付額は累計で51,614百万円に上った。

 この他,被災者の生活再建支援に資する施策として,復興基金において,恒久住宅への円滑な移行促進を目的に「被災中高年恒久住宅自立支援金」が平成9年10月に創設され,翌10年5月から支給が始まった。

 さらに,平成10年5月の「被災者生活再建支援法」の制定の際なされた附帯決議により,地元の兵庫県・神戸市等は,従来から実施中の生活再建支援金,被災中高年恒久住宅自立支援金を拡充し,高齢世帯や低所得世帯のうち,住家を全壊又は半壊で解体した世帯で,恒久住宅に入居した世帯に対して,50〜120万円の現金を支給する「被災者自立支援金」制度を創設し,同年11月から支給を開始している。

 また,恒久住宅に移行した被災者の新たな不安や孤立感を緩和するとともに,新しいコミュニティに親しめるよう,ホームヘルパーによる介護,保健婦・保健士等の訪問指導,生活援助員・高齢世帯支援員による支援,生活復興相談員による訪問活動など様々な施策を展開している。

 経済の復興対策の現状としては,被災地の本格的な復興を図るために,安定した雇用の確保や地域活性化をもたらす前提となる,産業の復興が極めて重要であり,これまでにも,被災企業に対する低利融資など金融上の支援措置,民活法等の活用による産業基盤整備の支援,工場等制限法の運用緩和をはじめとする各種規制緩和措置など,種々の支援策を実施してきている。

 このうち,被災中小企業者を対象として整備された神戸市仮設工場については,平成12年6月27日,5年間の供用が満了した。しかし,平成9年3月より整備を進めてきた神戸市復興支援工場が平成12年4月に全棟完成し,この復興支援工場が仮設工場に入居していた企業の受け皿となり,仮設工場以外からの入居企業も含めて平成13年1月1日現在で104社が入居している。

 また,仮設工場から復興支援工場への移転等を促進するため,復興支援工場への優先入居を認めるとともに,移転費の融資及び復興基金による利子補給等の措置も講じた。

 さらに,中長期的に被災地経済の活性化を図るため,神戸港の国際競争力の強化が必要であるとの観点から,高規格コンテナターミナル(-15m岸壁)の整備や,各種の港湾使用料の引下げ,港湾EDIシステムによる入出港手続きの簡素化といったソフト,ハード両面での施策を推進している。

 神戸市の重要な産業の1つである観光産業は震災後の平成7年には観光入込客数は半減したが,その後の神戸ルミナリエの浸透効果もあり,平成10年には平成6年の水準を上回った。

 平成11年度は明石海峡大橋開通2年目の反動により観光入込客数は前年を若干下回ったが,震災前の入込数と比べると6.4%上回っており,震災後に減少した入込客数は順調に回復している。

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