表示段落: 第1部/第2章/8/8-7


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8-7 火災対策

(1) 災害の現況

 近年の都市化の急速な進展に伴う人口の密集化,建築物の高層化・大規模化等の進展,地下街の発達や,本格的な高齢化社会の到来などにより,火災による被害発生の危険性が増大している。近年の主な火事災害の例としては,平成6年12月の飯坂温泉若喜旅館火災(死者5人,負傷者3人)等がある。

(2) 火災対策

a 防火安全の確保

 国及び地方公共団体では,火災の発生を予防し,被害を最小限に抑えるため,火災予防運動や民間防火組織の活動を通じ,防火思想の普及に努めている。また,人の出入りが多い旅館,病院,地下街等の防火対象物においては,消防法により,消防用設備等の設置,防火管理者の選任,防火管理業務の実施等が義務づけられている。

 しかし,消防用設備等の整備や防火管理者の選任等がいまだ十分でない防火対象物も一部には見受けられる。防火安全に関し不備のある対象物については,法令に基づく措置命令等の厳正な措置をとる必要がある。

b 消防力の強化

 国及び地方公共団体は,より一層の消防力の強化を図るため,はしご付消防ポンプ自動車,化学消防ポンプ自動車,救助工作車,消防・防災ヘリコプター等の重点的な整備を図るとともに,消防水利の多元化,消防団の充実強化を推進している。

c 建築物の不燃化の推進

 我が国の都市は,延焼火災による市街地大火に対して十分な安全性を有していないため,都市の不燃化を促進するとともに,道路や河川等を軸とした延焼遮断帯の整備により,都市全体を火災に強い構造にする必要がある。このため,従来より防火地域の指定等による建築物の構造規制,市街地再開発事業,住宅地区改良事業,密集住宅市街地整備促進事業,住宅金融公庫融資等による耐火建築物への建替えの促進,公営住宅等公共住宅の不燃化,都市防災推進事業による避難地・避難路周辺等の不燃化等各種の対策を進めてきている。

d 林野火災対策

 林野火災の出火原因には,たき火,煙草及び火入れによるものが圧倒的に多いこと,林野火災の消火には多くの困難を伴うこと等から,林野火災対策においては,出火防止対策が特に重要である。このため,出火多発期である春先を中心とした行楽期等の週末・休日の前に徹底した広報を実施し,林野周辺住民・入山者等に対する防火意識の普及啓発を図るとともに,火災警報発令中における火の使用制限の徹底・監視パトロールの強化や,火入れを行う者に対する適切な指導等の実施,林野所有者に対する林野火災予防措置の指導の強化を重点的に実施している。

 また,林野火災の危険度の高い地域においては,林野火災特別地域対策事業を推進するため,関係市町村が共同で林野火災対策に係る総合的な事業計画を作成し,その推進を図ることとしており,平成11年度までに38都道府県の945市町村にわたる227地域において実施されている。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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