表示段落: 第1部/第2章/8/8-5


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8-5 原子力災害対策

(1) 災害の現況

 平成11年9月30日,茨城県東海村の株式会社ジェー・シー・オー(JCO)のウラン加工施設において,我が国初の臨界事故が発生し,3名が重篤な被ばくを受け,そのうち2名が死亡したほか,作業員,防災業務関係者,周辺住民など319人(うち周辺住民130人)が,一般人の年間実行線当量限度である1ミリシーベルトを超える放射線を浴びたと推定され,また,周辺住民の避難や屋内退避を招くという重大な原子力災害が発生した。

(2) 原子力災害対策

 今回の事故では,原子力安全規制の抜本的強化の必要性や,国・自治体の連携や緊急時対応体制の強化の必要性などの課題が顕在化した。

 これを受け,平成11年12月,「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の一部改正により,原子力事業者に関して,保安規定の遵守状況定期検査制度の創設等がなされた。また,「原子力災害対策特別措置法」が制定され,以下のような事項が定められた。

[1]

 事業者に対する主務大臣及び関係する都道府県知事,市町村長への通報義務や,国の原子力災害対策本部,同現地対策本部の設置手続き等が定められた。

[2]

 文部科学省及び経済産業省に原子力防災専門官を置き,原子力事業所の所在する地域に配置すること等が定められた。

[3]

 原子力事業者には,通報を行うために必要となる放射線測定設備の敷地内への設置及び記録の公表の義務づけ等が定められた。

 これらを受けて,中央防災会議は,平成12年5月,防災基本計画原子力災害対策編の修正を行った。

 その中で,原子力艦船がわが国に寄港した際の万が一の事故に備えるため,原子力艦の原子力災害に関して,関係自治体が防災計画を策定するための根拠を明記した。これを受けて,神奈川県横須賀市は,平成12年6月に「原子力艦船事故防災マニュアル」を,長崎県佐世保市は同年12月に「原子力軍艦防災マニュアル」を策定している。

 さらに,中央省庁再編に伴い,経済産業省に原子力安全・保安院が設置され,原子力等に関する安全規制等を担当することとなった。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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