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7-3 豪雪地帯対策の概要
降積雪の多い地域で産業の振興及び民生の安定向上のために総合的な対策を必要とする地域は,豪雪地帯対策特別措置法に基づき,豪雪地帯に指定されている。現在,豪雪地帯では,全域指定が10道県,一部地域の指定が14府県であり,961市町村が指定されている。その面積は全国土面積の約51%にあたる約19万km 2 で,全国の人口の約18%にあたる約2,300万人が生活している。また,特に積雪量が多く,積雪により住民の生活に著しい支障が生ずるおそれのある地域は特別豪雪地帯に指定されている。現在,特別豪雪地帯は15道県の280市町村が指定されている( 図2-7-1 )。豪雪地帯では,豪雪地帯対策特別措置法に基づき豪雪地帯対策基本計画を策定し,各種の雪害対策を含む豪雪地帯対策が講じられている。
(1) 交通,通信の確保
交通基盤整備を推進し,除排雪,防雪対策及び消融雪を実施するほか,防雪施設等の維持・保全及び交通安全施設整備の充実を図る。
また,情報通信の高度化へ向けた基盤整備を推進する。
(2) 農林業等における対策
雪面黒化法等による消雪促進や,耐雪性の育苗等農業用施設,除雪機械,消融雪施設等の整備・拡充,ローカルエネルギー利用による消融雪の促進に努める。また,雪に強い品種の開発・導入や,栽培管理技術の向上・普及に努める。
また,工場等の施設の耐雪耐寒構造化及び工場内消融雪施設の整備を推進する。
(3) 生活環境施設等の整備
教育,保健衛生,医療,介護・福祉サービス,消防防災等の各分野における施設等の整備と克雪住宅の普及・促進,克雪用水の確保,安定的な電力供給の確保やエネルギーの有効利用等に努める。
(4) 国土保全施設の整備及び環境保全
治山,治水,農地保全事業等を総合的に推進し,環境保全に配慮した施策の推進を図る。また,雪崩等の災害発生の予測・連絡・避難体制の確立・整備を図り,災害復旧体制の整備・強化に努める。
(5) 雪に関する調査研究の総合的な推進及び気象業務の整備・強化
総合的な調査研究体制の充実を図り,除雪機械,冬期道路交通の確保,克雪住宅や屋根雪処理等に関する理工学的,技術的な調査研究の推進に努める。
また,観測,解析,予報・警報等の業務体制の充実・強化を図る。