表示段落: 第1部/第2章/4/4-6


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4-6 南関東地域の地震対策

(1) 南関東地域直下の地震の切迫性

 昭和63年6月,中央防災会議地震防災対策強化地域指定専門委員会で,1923年の関東大地震タイプの海溝型巨大地震が相模トラフ沿いで発生する可能性は100年か200年先とされる一方で,南関東地域直下における地震の発生についてはある程度の切迫性を有していることを報告している。さらに,平成4年8月の同専門委員会報告においては,特に重点的に地震防災対策を講じる必要のある震度6相当以上になる可能性のある地域の範囲( 図2-4-10 )は1都6県にわたることが明らかにされている。

  (図2-4-10) 南関東直下の地震により著しい被害を生じるおそれのある震度VI相当以上になると推定される地域の範囲(大網の対象地域)

 また,この2つの報告により,直下の地震は,現状ではその予知は非常に難しいこと,想定される震源域を一つに特定することができないことなどの特徴を有していることが明らかにされている( 表2-4-7 )。

  (表2-4-7) 南関東地域における地震発生の切迫性について

(2) これまでの取組みの経緯

 南関東地域においては,地震の規模や震源地によっては,震災時に多数の人命,財産の損失を招く危険が大きく,さらに,都市機能の阻害等による二次的な影響が国民生活や経済の混乱となって被災地域を越えて著しく広域に波及するおそれがあるなど,都市型の地震災害が発生・拡大するおそれがある。

 このため,南関東地域における地震対策としては,防災基本計画(震災対策編)や防災業務計画,地域防災計画(震災対策編)等に基づき各般の対策を講じているほか,中央防災会議において,国,関係地方公共団体,関係指定行政機関等が一体となって緊密な連携のもとに講じるべき対策を決定し,その具体化及び推進を図っており,応急対策については,昭和63年12月に「南関東地域震災応急対策活動要領」を,応急対策以外の施策も含む広範な震災対策について,平成4年8月に「南関東地域直下の地震対策に関する大綱」をそれぞれ決定した。

(3) 「南関東地域震災応急対策活動要領」及び「南関東地域直下の地震対策に関する大綱」の改訂

 阪神・淡路大震災の教訓とその後の新たな施策の進展や,大都市震災対策専門委員会提言で指摘された関係機関の実践的連携の一層の推進を図るため,平成10年6月に「南関東地域直下の地震対策に関する大綱」及び「南関東地域震災応急対策活動要領」の改訂を行った( 図2-4-11 )。

  (図2-4-11) 南関東地域の地震対策の体系

 この改訂においては,情報の共有化について内容を充実するとともに,密集市街地や地下街対策,行政・経済機能の被災対策,帰宅困難者対策など,南関東地域特有の課題に対する対策のほか,二次災害の防止,自発的支援の受入れなど新たな分野が追加された。また,関係機関が多岐にわたる応急対策活動について,平常時から実践的な備え(アクションプラン)を講じておくことが位置付けられた。

 なお,本年1月の中央防災会議における,これまでの対策の再点検及び広域体制の確立を行う旨の会長(内閣総理大臣)指示に基づき,今後他の大都市圏も含め一層の地震対策の強化を図ることとしている。

(4) アクションプランの作成

 応急対策の具体化を推進するために,大規模震災時の医療と搬送について検討を行い,平成10年8月に中央防災会議主事会議において,「南関東地域の大規模震災時における広域医療搬送活動アクションプラン第1次申し合わせ」を行った。

 また,広域輸送活動,帰宅困難者対策についても,アクションプランの策定に向けた検討を進めている。

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