表示段落: 第1部/第2章/4/4-4/(1)


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(1) 東海地震発生の可能性と予知

a 発生の可能性

(a)

 発生のメカニズム

 日本列島の太平洋側沖合では,陸側のプレートの下に海側の太平洋プレート及びフィリピン海プレートがもぐり込んでおり,その境界に当たる日本海溝,南海トラフ等の地域では,プレートのもぐり込みに伴って地殼の歪が蓄積され,これが急激に解放される際に海溝型の大地震が発生する。

 駿河トラフ沿いについてみると,1854年に南海トラフ沿いに発生した安政東海地震の際,駿河トラフ沿いの破壊も同時に起こったと考えられているが,1944年の東南海地震では未破壊のままとり残されており,安政東海地震以来既に140年以上経過していることや,駿河湾周辺の明治以降の地殼歪の蓄積状況を考え合せると,駿河トラフ沿いに大規模な地震が発生する可能性が高いと考えられる。この予想される地震が「東海地震」である。

 なお,平成13年1月26日に開催された中央防災会議で,過去23年間における観測体制の高密度化・高精度化や観測データの蓄積,新たな学術的見地等を踏まえて,東海地震対策の強化について検討するよう会長(内閣総理大臣)から指示されたことを踏まえ,「東海地震に関する専門調査会」を設置した。第1回の専門調査会が同年3月14日に開催され,東海地震対策に関する今後の方針等について検討された。

(b)

 発生の可能性

 東海地震については,予知体制の整備が図られている。

 現在までの観測結果によると,長期的前兆の重要な指標となると考えられる駿河湾西岸の沈降速度の変化に関しては,内陸部を基準とした御前崎の沈降が近年も依然として続いており,東海地震発生の可能性の高さを引き続き裏付けたものとなっている。

b 東海地震の予知

 気象庁では,東海地震の直前予知に有効と考えられる観測データを,地震活動等総合監視システム(EPOS)によりリアルタイムで処理し,総合的に監視を行っている( 図2-4-6 )。

  (図2-4-6) 東海地域等における地震常時監視網(2001年4月現在)

 観測データに異常が認められ,大規模な地震が発生するおそれがあると認めるときは,気象庁長官は,気象業務法の規定により,地震予知情報を内閣総理大臣に報告することになっている。また,その異常な観測データが東海地震の前兆であるかどうかを判定するために,昭和54年8月から気象庁長官の私的諮問機関として地震防災対策強化地域判定会(以下,「判定会」という。)が開催されることとなっている。

 判定会は,地殼変動の観測データにある基準以上の異常な変化が現われたとき,気象庁長官からの要請等に基づいて招集されることになっている。また,平常時の地震活動及び地殼変動等を把握しておくことが重要であることから,判定会委員打合会を定期的に開催し,観測データ等の検討を行っている。

 なお,気象庁では,判定会招集には至らないが,東海地域の監視を通じて地震活動や観測データにあるレベル以上の変化を観測した場合に,その原因等の評価を行い,結果を発表することとしているが,その際,発生した現象の状況に応じて,「解説情報」(東海地震の前兆現象とは直接関係ないと判断した現象及び長期的な視点等から評価・解析した地震・地殼活動等に関する解説)と「観測情報」(判定会招集には至っていないが,観測データの推移を見守らなければその原因等の評価が行えない現象が発生した場合の情報であり,原因等の評価が行えるまで継続して発表する。)に区分することとしている。

 なお,これまで観測情報が発表されたことはないが,解説情報は平成13年3月までに2回発表されている。

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