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(4) 地震被害想定
大規模地震が発生した際に効果的な対応を図るためには,想定される被害に対して国や地方公共団体などがあらかじめ共通の認識を持って,予防・応急対策に備えることが重要である。
国土庁(現内閣府)では,関係地方公共団体における地震被害想定の作成を支援するため,「南関東地域直下の地震被害想定手法検討委員会」を開催し,地震被害想定の手法についての調査を行ってきた。その成果は,平成8年4月より運用を開始した「地震被害早期評価システム(EES)」にいかされ,地震直後の被害を推定するための手法として利用されている。この手法を全国の地方公共団体などが利用できるようにするため,平成9年8月に公開した「地震被害想定支援マニュアル」について引き続き検討を重ね,震源の位置や規模から地震動分布,建物被害,死傷者等をパソコン上で自動的に推計することができる「地震被害想定支援ツール」を開発し,平成11年1月にインターネットで公開した(https://www.bousai.go.jp/)。このツールは,地方公共団体の地域防災計画作成のための被害想定にも利用されるなど,有効に活用されているところである。
また,消防庁においても,パソコンを用いて地震被害想定を行うことができる「簡易型地震被害想定システム」を開発し,都道府県等に配布した。このシステムでは,活断層データ,地震データ等を用いて,木造家屋被害,出火件数,死者数の推計を行うことができる。
これらのシステムは,平常時においては防災に関する各種計画の見直しや住民の防災意識の啓発等に役立てることが可能であり,地震直後においては,地震被害の規模や被害の大きい地域を推定する際の参考資料として活用することができるものである。