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c 地震に関する基盤的調査観測体制の整備
地震調査研究推進本部は,平成9年6月に「地震に関する基盤的調査観測網等の計画」を決定し,関係省庁はこの計画に基づいて地震観測の体制整備を進めている。
(a) 高感度地震計による地震観測
微小な地震動を観測できる高感度地震計は,高密度な観測網とすることにより,地震の震源と発震機構(震源において,地震を引き起こした断層運動の様子)の決定精度を高めるとともに,破壊した断層の把握等に資する。文部科学省は,関係機関と調整しながら,当面水平距離で15〜20kmメッシュで全国に配置されるよう整備を進めており,平成12年度末現在520観測点の観測網が整備されている。
(b) 広帯域地震計による地震観測
広い範囲の周波数の地震波を検知する広帯域地震計は,大きな地震時に発生する周期の長い震動も捉えることができ,地震の規模と断層の破壊方向を高い精度で把握できる。文部科学省は,当面水平距離で100kmメッシュで全国に配置されるよう整備を進めており,平成12年度末現在45観測点の観測網が整備されている。
(c) 強震動観測
構造物に被害をもたらすような強い震動を観測する強震計による観測網は,地震動の強さ,周期及び継続時間を把握でき,被害の大きな地域を特定し,防災活動を有効に展開するための情報を与える。強震計は文部科学省防災科学技術研究所,国土交通省,気象庁,地方公共団体等により,全国に数千箇所設置されている。
(d) 地殼変動観測(GPS連続観測)
GPS連続観測網は,地殼歪みの時間的・空間的変化を広範囲で把握でき,地震発生に至るまでの過程の解明に資するものである。
国土地理院は,平成5年度から全国の広域地殼変動を監視するため,全国に947点の電子基準点を整備しているほか,東海地域のプレート運動の3次元的な把握のため,当該地域に25の観測点を整備している。また,国土地理院,文部科学省は,活断層の地殼変動を捉える目的で,GPS地殼変動観測施設を全国の主な活断層周辺にそれぞれ19及び41箇所整備している。