表示段落: 第1部/第2章/2/2-4


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2-4 災害応急対策の実施

(1) 災害発生時の措置,応急対策

 大規模な地震等による災害が発生した際には,災害応急対策を迅速かつ円滑に実施するために,被害状況や応急対策に関する情報を的確に収集し,迅速に伝達する必要がある。特に,災害の初期の段階において,その被害規模や程度を全体的に把握することが重要である。

 官邸への迅速な報告連絡を行うため平成7年2月21日の閣議決定において,内閣情報調査室を情報伝達の窓口とした。また,平成8年5月11日には,内閣情報集約センターが設立され,24時間体制で対応に当たっている。さらに,社会的影響の大きい突発的災害が発生した場合,内閣としての初動措置を迅速に始動するため,関係省庁の局長等の幹部が官邸に緊急参集し,情報集約を行うこととした。このほか首都直下型等大規模地震発生時の内閣の初動体制についての閣議了解により,各閣僚の参集場所の順位を,[1]官邸(危機管理センター),[2]内閣府(中央合同庁舎第5号館災害対策本部長室),[3]防衛庁(中央指揮所),[4]立川広域防災基地(災害対策本部予備施設)とすること等が取り決められた。

 加えて,内閣官房における危機管理機能を強化するため,平成10年4月に内閣危機管理監が設置されるとともに,内閣安全保障室が内閣安全保障・危機管理室に改組され,危機管理関係省庁連絡会議が設置された。

 このほか,平成7年度以降関係機関における迅速な初動体制の整備に関して,警察庁及び都道府県警察においては広域緊急援助隊の設置,消防庁及び地方公共団体においては緊急消防援助隊の整備を行った。消防庁においては状況により,消防庁長官が他の都道府県知事に応援要請ができるなど消防組織法の一部改正を行った。防衛庁においては防衛庁防災業務計画に,いわゆる自主派遣に係る判断基準を明記するとともに,都道府県知事等の派遣要請を簡素化する自衛隊法施行令の一部改正を行った。また,平成12年11月には,災害対処マニュアル及び都道府県別災害派遣連絡窓口一覧表を作成し,都道府県等に周知した。

 被害規模の早期把握のため,各省庁はそれぞれの立場において現地の関係者からの情報を集約するほか,警察庁,消防庁,防衛庁,海上保安庁においては,一定規模以上の地震の場合,航空機,船舶等を活用した情報収集体制の整備を行った。また,内閣府(旧国土庁)においては,被害規模の早期把握に関して,地震発生直後,概ね30分以内に被害の大まかな規模を把握するための「地震被害早期評価システム(EES)」( 第2章4-7 参照)を整備し,平成8年4月から稼働させている。

 中央防災会議主事会議においては,中央省庁再編(平成13年1月6日)に伴い所要の各種申し合わせを行い,また,内閣府においては,非常災害対策要員を指定し,職員による宿日直体制をとるとともに,ポケットベルによる一斉情報連絡装置により,関係者への地震情報の連絡を行っている。

 なお,海外からの支援受入については,防災基本計画に規定を設けた上で,平成10年1月20日に,海外からの支援受入れ可能性のある分野毎の対応省庁及び対応方針,支援受入れ手続き等を定めた関係省庁間の申し合わせを行った。

(2) 非常災害対策本部等

 都道府県又は市町村の地域について災害が発生し,又は災害が発生するおそれがある場合において,都道府県知事又は市町村長は,災害対策本部を設置することができ,地方防災会議と緊密な連絡のもとに,当該地域に係る災害予防及び災害応急対策を実施する。

 一方,国においては,非常災害が発生し,災害の規模その他の状況により,災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは,災害対策基本法第24条第1項の規定に基づき,防災担当大臣を本部長とする「非常災害対策本部」を内閣府に設置することができる。過去10年間における国の非常災害対策本部等の設置状況は( 表2-2-2 )のとおりである。

  (表2-2-2) 非常災害対策本部等の設置状況(過去10年間)

 直近では,平成12年3月31日に,「平成12年(2000年)有珠山噴火非常災害対策本部」及び平成12年8月29日に「平成12年(2000年)三宅島噴火及び新島・神津島近海地震非常災害対策本部」を設置した。

 さらに,著しく異常かつ激甚な非常災害が発生した場合において,同法第28条の2第1項の規定に基づき,内閣総理大臣を本部長とし,全閣僚等を本部員とする「緊急災害対策本部」を内閣府に設置することができる。

 また,現地における被災地方公共団体に対する国の支援や相互の連絡調整を行うため,非常(緊急)災害対策本部の事務の一部を行う組織として,現地対策本部を設置できる。平成12年3月31日から同年8月11日までの間,「平成12年(2000年)有珠山噴火非常災害現地対策本部」を伊達市に設置した。

(3) 応急対策活動

 発災直後の情報の収集・連絡,活動体制の確立と並行して,人命の救助・救急活動,医療活動,消火活動等の応急対策活動が開始される。応急対策活動の実施については第一次的には市町村が当たり,都道府県は広域にわたり総合的な処理を必要とするものに当たる。また,地方公共団体の対応能力を超えるような大規模災害の場合には,国が積極的に応急対策を支援することとなっている。

 これらの活動には消防機関約110万人(消防署員約15万人,消防団員約95万人)をはじめとして,警察機関(都道府県警察の警察官の定員は約23万人),海上保安庁(地方勤務の海上・航空,陸上職員の定員は約1万人)の職員が従事する体制が整備されるとともに,都道府県知事等から派遣要請があった場合には,自衛隊(陸上,海上,航空の各自衛官の定員合計は約27万人)が災害応急対策活動に従事する体制がとられている。

 平成11年には,延べ約40万人の消防職団員と警察官,海上保安官が応急対策活動に従事したほか,平成11年度の都道府県知事等から自衛隊への災害派遣要請は815件に上り(救急患者の搬送件数も含む。),延べ26,367人の人員が派遣された。

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