表示段落: 第1部/第2章/2/2-2/(4)


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(4) 防災訓練

 大規模地震の発災時等には,政府,地方公共団体をはじめとする防災関係機関,地域住民等が緊密な連携のもと,各種の防災活動を迅速かつ適切に実施する必要がある。特に,災害対策本部等の設置など迅速な初動体制の確立と情報の収集,的確な災害応急対応が人命救助と被害の軽減,その後の復旧の鍵を握っている。このため,各防災関係機関において職員の非常参集,災害情報の収集連絡等の体制が整備されているが,災害は多くの場合,その発生を予測できず,しかも防災に係わる関係機関は多岐にわたっているので,防災体制を実効性のあるものとするためには,常日頃から実践的な防災訓練が不可欠である。

 例えば,鳥取県においては,平成12年10月に発生した鳥取県西部地震の2か月ほど前に,米子に駐屯する自衛隊の参加を得て防災訓練を実施し,その結果電話番号が記入されていなかったというマニュアルの不備な点を改めるなど,訓練での課題を直ちに改善していたことが地震発生時における初動対応に十分活かされたものと訓練の意義を高く評価している。

 政府が行っている総合防災訓練は,訓練の反復を通じて,閣僚をはじめ,国,地方公共団体,指定公共機関等の多くの関係職員に防災業務を習得させ,政府,関係機関全体の災害対応力を高める目的で行われている。

 各地域で行われる防災訓練については,災害の教訓を踏まえつつ,災害事象・社会構造の変化,技術革新等の新たな状況に対応できるよう訓練内容の充実に努める必要がある。有珠山周辺3市町(伊達市,壮瞥町,虻田町)においては,活発な火山活動が続いている有珠山の再噴火に備え,平成12年5月18日,避難訓練が,国の現地対策本部の支援のもと実施され,また,これと合わせ関係省庁の増強要員派遣等の情報伝達訓練が実施された。

 防災訓練の実施に当たっては,テレビ,広報誌等を通じた事前広報を行い,地域住民,自主防災組織,ボランティア等の参加を積極的に進め,それぞれの役割を確認しつつ,地域全体の災害対応力を高めることが重要である。

a 政府における総合防災訓練

 毎年9月1日の「防災の日」に,「総合防災訓練大綱」(中央防災会議決定)に基づき,南関東地域直下の地震及び東海地震に係る大規模な総合防災訓練を内閣,関係省庁はじめ関係地方公共団体などが連携を図りつつ実施することとしている。

 平成12年度の訓練は,国土庁をはじめ,33の指定行政機関等と20の指定公共機関等並びに13の地方公共団体が連携し,訓練参加機関関係者及び地域住民等は概ね374万人(平成12年9月15日現在消防庁調べ)が参加した。

(a)

 東海地震対応訓練

 予知対応型訓練としては,東海地震を想定して,地震防災対策強化地域判定会の開催,緊急参集チーム会議の開催,地震予知情報の報告,関係閣僚会議の開催,警戒宣言の発表,内閣総理大臣を本部長とし,全閣僚を本部員とする地震災害警戒本部の設置・運営訓練等を行った上で,内閣総理大臣(代理:自治総括政務次官)を団長とし,関係省庁からなる政府調査団を現地訓練会場(静岡県湖西市及び新居町)に派遣した。

(b)

 南関東地域直下の地震対応訓練

 発災対応型訓練としては,南関東地域直下の地震を想定して,緊急事態の布告,緊急災害対策本部の設置・運営訓練,ヘリコプター映像伝送システムや中央防災無線網を活用したテレビ会議等を通じての情報収集・伝達訓練が行われ,災害応急対策に関する基本方針等が決定された。

 また,内閣総理大臣を団長とする政府調査団を現地訓練会場(神奈川県平塚市)に派遣したほか,国土総括政務次官を長とする緊急災害現地対策本部を設置し,現地対策会議を開催するなどの訓練を行った。

(c)

 原子力防災訓練

 平成11年9月の東海村ウラン加工施設における臨界事故を教訓に制定された原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号)が6月に施行されたことに伴い,法施行後初の原子力防災訓練が,平成12年10月28日,中国電力島根原子力発電所(島根県鹿島町)を対象施設として実施された。本訓練では,内閣総理大臣をはじめとする関係閣僚が参加し,国の原子力災害対策本部(本部長:内閣総理大臣)及び現地対策本部を設置する等の訓練が行われた。

b 地方公共団体等における防災訓練

 大規模地震に係る訓練をはじめ,台風等風水害,原子力災害,火山災害など地域の実情に即して各種の災害を想定した防災訓練が実施されており,平成12年度においては,47都道府県,2,138市町村,約5万1,000団体,495万人の参加が見込まれた(平成12年9月15日現在消防庁調べ(実施予定を含む。))。

 また,都道府県の区域を越えたブロック単位の広域防災訓練にも積極的に取り組まれており,広域的な応援体制や防災関係機関相互の連携協力体制の強化を図るとともに,地域住民の防災意識の高揚,連帯意識を醸成することができた。

(a)

 七都県市総合防災訓練

 首都圏にあって政治・経済などの中枢機能が集積し,各般において広域に関わり合う七都県市(埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,横浜市,川崎市,千葉市)の地域が,国,防災関係機関等と連携し,一体となった訓練を実施している。

 平成12年9月1日,神奈川県において,連携・強化が推進されている防災関係機関等の,より実践的な応急対策訓練や「七都県市災害時相互応援に関する協定」等に基づく広域的な協力応援体制を生かした訓練を,住民等による地域防災活動の積極的推進と遊漁船を使った帰宅困難者のための帰路確保訓練などを実施した。

(b)

 東京区部直下での大規模地震に係る訓練

 平成12年9月3日,東京都は東京区部直下での大規模地震を想定した東京都総合防災訓練を実施した。これに対し政府は,内閣総理大臣をはじめとする関係閣僚が参加し,防衛庁(中央指揮所)で緊急災害対策本部設置等を行った。

 区部の市街地を中心に都内10箇所の会場で,警察,消防,海上保安庁に加え,陸・海・空の統合運用の自衛隊を含めた大規模かつ総合的な広域支援訓練が行われた。

(c)

 近畿府県合同防災訓練

 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ,平成7年度から実施されている近畿府県合同防災訓練が,平成12年11月10日,「近畿2府7県(大阪府,京都府,兵庫県,奈良県,和歌山県,福井県,三重県,徳島県及び滋賀県)震災時等の相互応援に関する協定」等に基づき,奈良県天理市会場を中心に実施された。

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