表示段落: 第1部/第1章/3/3-2/(2)


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(2) 国等の対応(省庁名,大臣等は当時)

 三宅島の火山活動が活発化したことから,6月26日22時より第1回災害対策関係省庁連絡会議を,また6月27日10時より第2回災害対策関係省庁連絡会議を開催し,[1]関係機関は今後とも迅速かつ的確に情報の収集・伝達を行い,関係地方公共団体を含め,緊密な連携を図り,警戒などに万全を期すること,[2]事態の推移に応じ必要があれば,災害関係省庁連絡会議を開催する等関係省庁の連携を密にしていくこと,等を確認した。

 震度6弱の地震が発生した7月1日,9日,15日,30日及び8月18日には,地震発生後,直ちに官邸対策室を設置するとともに,関係省庁の局長級職員が速やかに官邸に参集し,緊急参集チーム会議を開催した。緊急参集チーム会議には,森内閣総理大臣,中川内閣官房長官,扇国土庁長官も度々参加して陣頭指揮をとった。また,国土庁においては,災害対策関係省庁連絡会議を開催した。

 7月21日,官邸において中川内閣官房長官の出席の下,第1回関係省庁局長等会議を開催し,下記の4点について確認した。

[1]

 火山活動及び地震活動について引き続き厳重な監視・観測を行い,被害の発生・拡大防止に努める。

[2]

 住民の生命・身体の安全確保を最優先としつつ,被災住民の生活面での支援に遺漏なきを期する。

[3]

 緊急時の住民避難等に万全を期するため,関係機関においては,引き続き必要な体制を維持する。

[4]

 今後とも状況に応じて適宜関係閣僚及び局長等による会議を開催する。

 また,8月29日12時15分,政府は「平成12年(2000年)三宅島噴火及び新島・神津島近海地震非常災害対策本部(本部長:扇国土庁長官,場所:国土庁)」を設置した。同日14時から官邸において,中川内閣官房長官及び扇非常災害対策本部長(国土庁長官)の出席の下,第1回非常災害対策本部会議と第2回関係局長等級会議をあわせて開催し,下記の5点について確認した。

[1]

 三宅島火山の活動状況及び三宅島,神津島,新島,式根島近海における地震の発生状況にかんがみ,引き続き厳重な監視・観測体制を維持するとともに,可能な限り監視・観測体制の強化を図る。

[2]

 島内の住民が生活を維持する上で欠かすことのできない電力,水道,交通網,通信網等のライフラインの確保に努めるとともに,ライフラインに被害が生じた場合は可能な限り速やかに応急復旧できる体制を整えることとする。

[3]

 島外に避難した住民を含め,住民の生活環境の改善を図るとともに,今回の災害による被害を受けた農林水産業,観光業等の産業を支援すべく,所要の施策を実施することとする。

[4]

 島内に残った住民の安全確保に万全を期すとともに,万一の場合も想定し,緊急時の避難支援体制を構築しておくこととする。

[5]

 関係省庁間及び東京都,地元自治体との緊密な連携を維持し,これらの対策を適切かつ迅速に行うこととする。そのため,現地において各種施策を迅速に具体化するため関係省庁で構成する「政府現地対策チーム」をできるだけ早い時期に派遣するとともに,今後とも状況に応じて関係局長等会議を開催することとする。

 8月30日より,政府現地対策チームの先遣チームを派遣し,9月1日から2日にかけて,関係10省庁23名からなる政府現地対策チーム(先遣チームの合流を含む)を三宅島に派遣した。9月6日から8日にかけて,関係17省庁33名からなる政府現地対策チームを神津島及び新島に派遣した。

 9月5日,扇非常災害対策本部長(国土庁長官)は,避難住民の一時避難先となった国立オリンピック記念青少年総合センター(代々木)を訪問した。9月14日には,森内閣総理大臣及び扇非常災害対策本部長(国土庁長官)が,三宅島,神津島及び新島を視察した。9月15日,内閣総理大臣は三宅村の児童・生徒が避難している秋川高校を訪問した。11月23日,蓮実非常災害対策副本部長(国土総括政務次官)が三宅島及び東京都現地災害対策本部(神津島村内に設置)に派遣した。11月30日,国土庁にて第2回非常災害対策本部会議を開催した。12月18日,高橋非常災害対策副本部長(国土総括政務次官)を三宅島,神津島及び新島に派遣した。13年1月15日,伊吹非常災害対策本部長(防災担当大臣)が三宅島,神津島及び新島を視察した。25日,坂井非常災害対策副本部長(内閣府副大臣)を三宅島,神津島に派遣した。また,2月27日,伊吹非常災害対策本部長(防災担当大臣)は,三宅村住民が避難している都営桐ヶ丘団地等を訪問した。3月3日,森内閣総理大臣が三宅島の被災状況等を視察した。

 政府は,9月12日,三宅島火山活動等に対する緊急観測監視体制の強化のため予備費約14億円を使用することを閣議決定した。また,19日には,7月25日の閣議決定で災害対策分として使用留保していた公共事業等予備費約200億円のうち,96億円を三宅島噴火及び神津島・新島近海地震による被害に対する災害復旧事業に使用することを閣議決定した。さらに,新島・神津島近海地震災害について,局地激甚災害の指定を行った( 表1-3-2 )。

 現在,三宅島においては,これまで設置を進めてきた監視・観測機器のデータ等から火山ガス放出が収まること等が確実となり,帰島できる見通しが立った後,出来るだけ速やかに帰島できるよう,関係省庁,地方公共団体,関係機関が連携して,道路や電力等の維持保全や被害の拡大防止等のための作業を進めている。

 関係機関においては,以下の措置を講じた。

 国土庁は,震度6弱の地震が発生した際には,地震被害早期評価システムによる被害推計結果を直ちに関係省庁へ配信した。7月5日,蓮実国土総括政務次官を神津島村に派遣し,19日には,扇国土庁長官が三宅島村,神津島村及び新島村の現地視察を実施した。8月30日以降国土庁職員を現地に派遣し,東京都現地対策本部等との連絡・調整等を実施している。また,11月29日,三宅村内で住宅全壊世帯が10世帯以上確認されたことから6月26日付で被災者生活再建支援法を適用した。さらに,11月30日には,今後も避難が長期化することが見込まれる約1,970世帯を同法に基づく「長期避難世帯」として認定した。

 警察庁では,関係機関との連絡調整等に当たるとともに,警視庁では,警視庁ヘリコプターや自衛隊の航空機及び艦船により,迅速に機動隊を三宅島等に派遣し,被害情報の収集,避難誘導,交通規制,避難住民への「困りごと相談」等に当たった(ヘリコプター派遣:最大時6機,延べ約210機(いずれも13年3月31日現在))。

 総務庁は,11月1日,被災者等からの各種相談,問い合わせ等に応じるための総合的な相談窓口として,東京都竹芝棧橋において関係機関の協力を得て特別総合行政相談所を開設した。

 防衛庁は,関係地方公共団体への連絡要員の派遣,震度5弱以上の地震が発生した場合の航空偵察等を行ったほか,東京都知事より,三宅村については6月27日,8月20日及び29日,神津島村に対しては,7月1日に自衛隊の災害派遣要請を受け,物資輸送,土のう積み,降灰除去,艦船の待機,火山観測,防災関係機関の人員輸送等の支援を実施した(人員派遣:最大時約470人,延べ約39,500人,航空機派遣:最大時約30機,延べ約370機,艦船派遣:最大時約10隻,延べ約290隻(いずれも13年3月31日現在))。

 科学技術庁では,地震調査研究推進本部定例会及び臨時会を開催し,地震活動の現状に関して評価を行った。また科学技術振興調整費を用いた「神津島東方海域の海底下構造等に関する緊急研究」を関係機関の協力の下実施した。

 大蔵省では,多大な被害を受けた三宅村,神津島村及び新島村の納税者について,国税庁告示をもって,別途告示で定める期日まで,申告,納付等の期限を延長した。

 文部省は,幼児・児童生徒の所在・状況の把握,転入学の弾力措置,また状況に応じ,臨時休校や授業短縮,夏季休業の前倒し等適切な対応をとるよう指示した。被災地域における学校については,教育委員会を通じ,学校施設等の安全確認のうえ,授業を再開するよう指示した。なお,三宅村の児童生徒については,都立秋川高校等に受け入れ,授業等が円滑に実施されるよう措置した。9月1日,大島文部大臣が都立秋川高校を視察した。

 厚生省は,三宅村,神津島村,新島村に対し,それぞれ6月26日,7月1日,15日に災害救助法を適用し,避難所・応急仮設住宅の設置等を支援した。避難住民に対する救護活動,健康相談等を実施するため,地方公共団体等は救護班,医療班を派遣した。また生活福祉資金の貸し付けの対象を低所得者に限定しない特例措置を実施した。

 日本赤十字社は,救護班計6班35名を自衛隊機により三宅島へ派遣したほか,緊急の事態に備えて救護班の待機を実施した。

 農林水産省は,被害調査を行うとともに,緊急を要する林道等について応急工事を実施した。また,水産生物や海洋環境への影響調査を行った。さらに,被害の著しい農林漁業者に対する農林漁業金融公庫融資について,地元地方公共団体と協力して,貸付利率の無利子化を実施した。9月15日,谷農林水産大臣が三宅村,新島村及び神津島村の被害状況等を視察した。

 通商産業省は,電気事業者及びガス事業者から申請のあった料金の支払い期限の延長等の災害特別措置を認可した。また政府系中小企業金融機関による災害復旧貸付を適用するとともに,著しい被害を受けた中小企業者等に対しては,閣議決定により貸付利率を財投金利と同水準まで引き下げる措置を実施した。さらに特に著しい被害を受けた中小企業者については,地元地方公共団体と協力して利子補給を行い,結果的に無利子となる措置を実施した。

 運輸省は,航空関係者,観光関係団体に対し必要な注意喚起を行い,安全確保に努めた。また,避難者に対する支援として,自動車検査証の有効期間の延長,雇用確保に関する運輸関係事業者への協力要請を実施するとともに,離島航路運航事業者への財政支援等を実施した。この他,伊豆諸島の観光振興対策として旅行業者等に対し必要な協力要請等を行った。

 海上保安庁は,周辺海域を危険海域として設定し,航行警報を発し,付近航行船舶に対し注意喚起を行った。また,巡視船艇,航空機,特殊救難隊を派遣し,緊急時の避難支援,火山観測支援等を行った(人員派遣:最大時約970人,延べ約17,500人,航空機派遣:最大時7機,延べ253機,巡視船艇派遣:最大時17隻,延べ370隻(いずれも13年3月31日現在))。このほか,測量船による変色水調査及び海底地形の調査の結果,変色水の湧出点付近に3か所の火口列を発見した。

 気象庁は,緊急火山情報,臨時火山情報及び地震情報等を適宜・適切に発表するとともに,火山噴火予知連絡会や地震防災対策強化地域判定会を開催し,地震・火山活動を総合的に評価して情報提供を行った。また,地震・火山機動観測班を急派し,大学,関係省庁等と連携を図りながら,震度計等を増設し,観測・監視体制等を強化した。さらに,警報を含む気象情報を適時に発表し,大雨に伴う土砂災害等に十分に警戒するよう呼びかけた。

 郵政省では,電気通信事業者に対し重要通信の確保等について要請した。また,9月7日と8日,衛星通信設備によりオンラインサービスが可能な移動郵便局(スペースポスト号)を,避難者の一時滞在場所である国立オリンピック記念青少年総合センター(代々木)に派遣した。さらに,郵便物の料金免除等を行うとともに,為替貯金・簡易保険の非常取扱いを実施した。8月4日,損壊・停波した三宅島の放送中継局の代替施設として,御蔵島に三宅島向けの中継局を設置するための許可をした。

 NTTは,災害用伝言ダイヤルを運用するとともに,避難所等に特設公衆電話を設置した。また電話料金の支払い期限の延長等を実施した。

 NHKは,被害が甚大な放送受信契約者に対し,放送受信料を免除した。

 労働省は,雇用・労働に関する相談窓口を設置したほか,一時的な離職を余儀なくされている被災者に対し,雇用保険の基本手当を支給する措置を行った。また,緊急地域雇用特別交付金事業を活用して,雇用の創出を図るとともに,休業等を実施する事業主を雇用調整助成金の支給対象とし,雇用の維持を図った。

 建設省は,情報収集の強化のため,災害対策用ヘリコプターの派遣を行い,迅速な現地調査を実施した。また,観測・監視機器等を設置し,観測監視体制を強化した。さらに,現地に災害査定官を派遣し,道路の応急復旧工事等の技術指導を実施するとともに,泥流や土砂による被害発生を防止するため,砂防関係緊急対策事業の実施を支援した。東京都の土砂災害対策検討委員会にも担当官を派遣し,土砂災害に対する警戒避難体制等について技術的支援を実施した。住宅金融公庫融資を返済中の被災者に対しては,返済金の払込みの据え置き,返済期間の延長等の措置を実施するとともに,被災者等のための公営住宅の建設を支援した。

 自治省では,被災納税者の地方税の減免措置等について地方公共団体に対し通知したほか,9月に定例交付すべき普通交付税の一部について7月18日に神津島村に対して140百万円,8月8日に三宅村,新島村,利島村に対して233百万円,さらに被害が継続している状況等にかんがみ三宅村に対して9月5日に90百万円を,それぞれ繰り上げて交付した。

 消防庁は,情報収集及び関係機関との連絡調整等にあたるとともに,地元消防機関は,東京消防庁と連携を図り,ヘリコプター等による被害状況調査や警戒活動,地震発生時における住民の避難誘導,崖崩れ等の応急措置作業及び避難指示・勧告区域の警戒活動等を実施した(人員派遣:延べ約1,700人,ヘリコプター派遣:最大時2機,延べ59機(いずれも13年3月31日現在))。

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