地震防災対策強化地域の指定について(報告)2


地震防災対策強化地域の指定について(報告)
 
4.  次にこの地震の断層モデルを受けて、予想される地震が発生した場合に「著しい地震災害が生ずるおそれがある地域」の検討を行った。地震災害には、直接地震動に起因するものをはじめとし、各種のものがあるが、限られた短い時間内に、これら全ての要因について検討することは困難であるとともに、地震動に起因するものが他の災害の誘因となることにかんがみ、本委員会は直接地震動に起因する被害を対象に検討を行うこととし、とくに、当面は、各地域に一般的に存在する木造建築物又は低層建築物(以下「木造建築物等」という。)における被害に重点をおいて作業を進めた。
木造建築物等の被害については、その建築物に加えられる地震動の強さ(一般的に気象庁震度階級又は最大加速度で表わされる。)でこれを判断することが適当である。このため、本専門委員会は、まず関係地域内の各地の地質・地盤の状況を調査し、その地震動特性等を把捉する作業を行うとともに、震源からの距離・方向により、基盤層における地震動の強さがどのように減衰するかを検討した。
次に、先に検討した断層モデルに閲し地震動の強さの減衰性を検討した結果と対象地域の地質・地盤状況とを総合的に勘案し、各地の木造建築物等に加えられる地震動の 強さを判断した。
この場合、木造建築物等が一般的に著しい被害を蒙る地震動の強さという見地から震度IVに相当する地震動加速度以上を一応今回の検討に際しての指定の基準とした。
   
5.  この結果、木造建築物において著しい被害を生ずるおそれのある震度Ⅵ以上となると予想される地域は別添図に示す範囲であろうと推定され、この地域に係る市町村は別表に掲げるとおりである。これらの対象地域についてその社会・経済的集積状況を考慮するといずれも地震防災に関する対策を強化する必要がある地域と認められる。
また、過去の当該地域に生じた大規模地震の被害との比較を行った結果に照しても、十分妥当性の高いものであると認められた。
   
6.  津波については、3で述べた断層モデルに基づいて検討した結果、伊豆半島南部から紀伊半島南端にかけての外洋に面した沿岸部において「津波」(注)が発生するおそれがあり、特に伊豆半島南部から駿河湾内部に「大津波」(注)が発生するおそれがあると考えられるとの結論を得た。このうち、「著しい地震災害が生ずるおそれのある地域」に該当し、強化地域として指定すべき地域は、大津波の可能性のある地域と考えられるが、この地域はすべて5で述べた地域に含まれることとなる。
   
7.  なお、今回の指定の対象とすべき地域の外周で、自然斜面のすべり及び崩壊、地盤の液状化又は長周期の地震波によるものの被害を想定しなければならない地域等については、今回の指定に引き続き詳細な地盤資料、深部地質構造資料等に基づいて検討を行う必要があると考える。
(注)
津波予報文とその説明  
予報の種類 予報略文 予   報   文
津波警報 ツナミ 津波が予想されます。予想される津波の高さは、高いところで約2メートルに達する見込みですから、特に津波が大きくなりやすいところでは警戒を要します。その他のところで数10センチメートル程度の見込みです。
オオツナミ 大津汲が来襲します。予想される津波の高さは、高いところで約3メートル以上に達する見込みですから、今までに津波の被害を受けたようなところや、特に津波が大きくなりやすいところでは、厳重な警戒を要します。その他のところでも1メートルぐらいに達する見込みですから警戒が必要です。
 

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