中央防災会議防災基本計画専門調査会第3回風水害プロジェクトチーム 議事録

日時:
平成14年3月13日(水) 14:00 〜15:30
場所:
ホテルフロラシオン青山3階「クレール」
  1. 開会
  2. 議事
    • (ア)防災基本計画(風水害対策編)修文案について
    • (イ)意見交換
  3. 閉会

○野田参事官

 ただいまから中央防災会議「防災基本計画専門調査会」第3回の風水害プロジェクトチームを開催をさせていただきます。
 担当の野田でございます。よろしくお願いいたします。
 本日の議事に入ります前に、お手元にお配りしております資料の確認をさせていただきますが、最初に議事次第がございまして、前回の議事録の概要を添付してございます。
 その後に防災基本計画風水害対策編の修正対照表がございます。
 それでは、以降の進行は座長の福岡先生にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○福岡座長

 それでは、ただいまから始めさせていただきます。今回は、「防災基本計画(風水害対策編)修正案」が提出されておりますので、これについて議論をさせていただきます。
 本プロジェクトチームの議事の公開についてでございますが、専門調査会運営要領に準じまして、会議終了後、本日の資料と議事要旨を公表させていただきたいと存じます。
 また、詳細な議事録につきましては、後日、委員の皆様に御発言内容を御確認いただいた上、発言者を記名して公表することにいたしたいと存じます。よろしく御了解ください。
 それでは、議事に従って進めてまいります。お手元にございます資料の防災基本計画の修正案について、事務局より御説明をお願いいたします。

○野田参事官

 それでは、お手元に分厚い風水害対策関係の修正対照表がございます。本日は、プロジェクトチームとしては一応最後ということを予定しておりますので、全体をざっと見ていただきたいというふうに存じます。
 本日の資料の中で、ブルーと赤の文字で表示しておるところが前回の基本計画案から変わった部分でございます。中でも、赤文字につきましては、前回の第2回のプロジェクトチームの意見を踏まえまして修正をさせていただいているところでございます。
 では、1ページから見てまいりたいと思います。
 まずは、災害予防のことでございますけれども、「第1節 風水害に強い国づくり、まちづくり」というところで、(3)の「風水害に強い国土の形成」というところでございます。ここのところに、都市地域では、水害実績、また水害規模、影響を踏まえた効果的な治水対策というところを新たに付け加えております。
 2ページにまいりまして、「風水害に強いまちづくり」の中で、1つ目の○には字句の修正がございます。
 2つ目につきましても、字句の修正並びに、ここで「防災拠点施設等の浸水防止機能確保」ということを記述をしております。
 3つ目の○につきましては、国、自治体で河川管理用進入路等の施設の整備ということを記述をしております。
 その下から、特に風水害に強いまちづくり形成上の重点事項を小さいポツで示しておりますが、1つ目の黒ポツでございますけれども、まずは出水時の堤防等施設の監視体制並びに出水時における排水ポンプ等の運転調整の実施ということを記述をしております。
 その下のポツでございますけれども、字句の修正並びに、ここでハザードマップの作成ということを示しております。
 2ページ一番下の黒ポツにつきましては、水防法に基づく浸水想定区域等の指定ということについて記述をしております。
 その下の黒ポツにつきましては、浸水想定区域の指定があったときに、避難の確保を図るために必要な事項について定めるという事項でございます。
 以上は水防法でございますけれども、その次からは、まず地下の問題が出てまいりまして、地下街等におきまして、避難の確保が得られるような洪水予報の伝達方法ということを記述しております。
 その下には、浸水想定区域内においてそれぞれの市町村の長について、避難確保を図るための必要な事項について住民周知をするということを記述しております。
 その下については字句の修正です。更にその下の黒ポツにつましては、土砂災害の基本的な指針作成について記述しております。
 少し飛びますが、余白があって、今度は土砂災害関係でございます。都道府県が土砂の特別警戒区域の指定、それに必要な基礎調査を実施するということです。
 更にその下の黒ポツでは、都道府県知事が土砂災害計画区域を指定をして、それを住民に周知させるという記述でございます。
 一番下は、都道府県知事が、土砂災害特別警戒区域を指定した場合には、以下の措置をとるということで、アとして指定開発行為に対する許可、イとして構造規制、ウとして移転等の勧告、エとして移転者への融資、資金の確保ということを記述しております。
 その下には、高潮災害について記述をしておりまして、基礎調査を行い、浸水が想定される区域を明らかにして高潮防災対策を進めるという記述でございます。
 その下の黒ポツにまいりまして、ここのところで、1つ目は字句の修正がございますが、「P(要検討)」というところがございます。これにつきましては、まだペンディングの状態でございますので、まだ関係省庁の合意が得られておりませんけれども、こういった記述をすべきか否かということも含めまして、御議論いただければと思いますが、いわゆる環境や景観にも配慮するという記述をここに入れておるわけでございます。
 (2)の建物の安全性の確保、地下鉄、地下街等における浸水経路や浸水形態の把握、そういった安全性の確保ということを記述しております。
 その下の○でも、地下街等における水防資材の備蓄について付け加えております。
 その下の○につきましては、災害弱者に対して関連施設について、2階建以上にするといったような配慮ということを記述しております。
 (3)はライフライン関係でございまして、5ページにまいりまして、浸水時の耐水化対策というような字句を追加しております。
 続いて第2節の災害応急対策、災害復旧・復興への備えということで、1つ目に、災害発生直前の対策関係、(1)が警報の伝達、(2)が住民の避難誘導体制です。これらは地方公共団体が避難、指示、または避難勧告を行う基準を設定するように努めるという記述です。
 その下の○としては、土砂災害について住民の警戒避難基準をあらかじめ設定するとともに、必要に応じて見直すということを記述しております。
 その下の○は、地下街等におきまして、6ページ目の上にまいりますけれども、避難誘導等、安全対策の確保を図るという記述でございます。
 (3)が災害未然防止活動。これは水防管理者について水防計画書で重要水防箇所として記載をするという記述です。更に、国及び地方公共団体が河川管理上支障をきたす違法駐車、放置車両に対して必要な措置を講ずるという記述でございます。
 2の「情報の収集・連絡関係」でございますが、ここのところで、6ページの下側に、国、地方公共団体は住民と連携して、土砂災害についての情報を相互に伝達する体制を整備するという記述をしております。
 7ページに入りまして、上側については地方公共団体を追加。その下の○についてはe-Japan 等で言われていることですが、光ファイバー等の通信網を利用して、浸水情報とか道路の冠水について把握をするということでございます。
 更にその下には、光ファイバー等を活用した高潮に関する情報の整備ということを記述しております。
 7ページの下に通信手段について、8ページに、まずは輻輳対策のために十分な回線を確保するということを十分考慮するようにという記述をしております。更に、ヘリコプターテレビシステム等の映像の情報について、これは配信するための通信網の整備ということにつきまして、今回新たにつけ加えさせていただいております。
 8ページ下の「職員の体制」でございますが、9ページ目に入りまして、これにつきましては、先生からの御指摘もありましたように、専門的な人材の育成確保、こういったことに努めていくことを記述をしております。
 (2)、(3)については修正がございません。(2)について防災中枢機能の確保、充実という点につきまして、10ページ目に入りますが、明確化をするために港湾・漁港というような記述にさせていただいております。
 4番目の二次災害の防止活動関係については修正がございません。
 5番目の救助・救急等についても修正はございません。
 11ページ、6の緊急輸送活動関係についても修正はございません。
 12ページに入りまして、7の避難収容活動関係、応急仮設住宅につきまして、ここについても災害の明確化ということで、洪水、高潮、土砂というところを修正をさせていただいております。
 8の食料・飲料水関係、供給活動については修正はございません。
 13ページ、9.施設、設備の応急復旧活動、修正はございません。
 10の被災者等への的確な情報伝達活動関係で、1つ目の○、「地方公共団体」を追加、その下には、これも「地方公共団体」を追加するとともに、高潮、土砂更には潮位等について広域的な情報共有ネットワークの構築、更に地下街等の管理者及び地下街等の利用者への伝達体制を図るということを記述をしております。
 その下も字句の修正でございます
 11、海外からの支援、修正はございません。
 14ページに入って、12の防災訓練の実施、修正ございません。
 13の災害復旧・復興への備え、修正ございません。
 15ページに入ります。第3節、国民の防災活動の促進、2の方の防災知識の普及、訓練、これにつきしまては、1つ目の○で「避難勧告等の発表時に」という表現を追加をして、文言の修正でございます。
 その下の○につきましては、早期避難の重要性を住民に周知をさせ、特に地域のコミュニティーを活かした避難活動を促進するという記述をしております。
 その下につきましては、防災活動に資するよう以下の施策を講じるということで、1つ目にハザードマップ、防災マップ、行動マニュアルといったものの作成の重要性を16ページの頭にかけて記述をしております。
 16ページの1つ目の黒ポツにつきましては、土砂災害危険個所等についてのハザードマップの作成と、住民への配布です。同じくその下には高潮について同様の対応をするということです。更にその下は、災害体験館等防災知識の普及に資する施設の設置ということを記述しております。防災活動に資するポイントをここに示しているところでございます。16ページの1つ目の白丸につきましては、地下街等の管理者が浸水被害を防止するための計画を作成するということを記述をしております。
 その下には、水防管理者が重要水防個所を一般に周知するということについて記述をしているところです。
 その下の○、国として河川情報・気象情報の解説並びに正確な伝達をするという記述でございます。
 その下の○につきましては、防災についての専門知識の充実ということについて防災教育訓練の提供等々について記述をしております。
 (2)の訓練の実施、指導では、1つ目の○が、国、自治体が水害を想定した実践方の防災訓練をするという記述でございます。
 17ページに入りまして、地下街等におきまして、各組織との連携をした訓練の実施という記述でございます。
 3といたしまして、国民の防災活動の環境整備、消防団、水防団等々でございますが、1つ目の○にございますように、水防団について、青年層、女性層の団員への参加促進という記述でございます。
 (2)、(3)は修正はございません。
 18ページにまいりまして、第4節、風水害及び風水害対策に関する研究及び観測等の推進でございます。これにつきましては、まず(1)、研究でございますけれども、1つ目の○にございますように、防災研究の成果についてできるだけ活用できるように努めるという記述でございます。
 その下は、表現の具体化を計っているということでございます。
 更に(2)予測、観測の充実・強化につきましては、前回先生方から御指摘がございまして、それを踏まえまして、1つ目には気象予測の高度化を測るということを記述をしております。2つ目の○につきましても、国、都道府県が土石流が崩れる等の予測技術の開発・精度向上を図るということです。
 更に3つ目の○につきましては、河川水位の予測といったことについての開発・実用化を図るという追加的な記述をしております。
 第2章、災害応急対策でございますが、19ページに入りまして、第1節、災害発生直前の対策で、1つ目に警報等の伝達があります。これもただいまの先生方の御指摘を受けまして、気象庁の方で降水短時間予報等の雨量予報情報の情報提供に努めるという新たな追加記述をしております。
 その下については、文言の訂正でございます。
 更にその下から、水防法関係で、国土交通大臣と知事との関係を記述をしております。1つ目の○については、国土交通大臣が指定した河川においての対応について記述をしているところです。
 2つ目の○につきましては、都道府県が指定した河川においてその内容について一般に周知をさせるということについて記述をしております。
 20ページに入って、2は修正ございません。
 3につきましては、災害未然防止活動として、水防団及び消防機関は、警戒区域の設定、更には区域への立入りの禁止等々の対応方針について追加記述をしているところです。
 第2節は、災害発生直後の情報及び通信の確保ということでございます。
 21ページ目に入りまして、(1)の被害規模の早期把握については、「国土交通省」という文言の追加をしております。
 それから(2)の災害発生直後の被害の第1次情報の収集・連絡、ここのところから赤文字が続いておりますけれども、これにつきましては、これはまだ記述をしておりませんでした内閣官房の対応につきまして、より明白に表現をするということから、官邸につきましても、これまでの内閣情報調査室という文言を「内閣官房」という形で統一をさせていただいております。
 更には、大規模な風水害が発生した場合の対応として、緊急参集チームが情報の集約を行う、という追加記述をしております。
 22ページにつきましても、文言の修正をしております。
 23ページにまいりまして、活動体制の確立でございますが、これにつきましても官房関係の1つ目の○にございます緊急参集チーム会議、関係閣僚会議を位置づけてございます。 1、2を飛ばしまして、3番目のところにも「内閣官房」を加えまして、「内閣官房、指定行政機関、公共機関の活動体制」、1つ目の○として、官邸連絡室、また、官邸対策室を設置するということを記述をしております。
 4番目は飛ばしまして、5番目に、「緊急参集チーム会議及び関係閣僚会議の開催」、これにつきまして、23ページの下で位置付けをしております。
 24ページの非常災害対策本部の設置については、修正がございません。
 25ページ7「自衛隊の災害派遣」これも修正はございません。
 26ページにまいりまして、第4節「災害の拡大防止と二次災害の防止活動」も、修正ございません。
 第5節「救助・救急及び医療活動」、これについても修正はございません。
 28ページ、下側に第6節「緊急輸送のための交通の確保・緊急輸送活動」、ここでも文言の適正化をさせていただいております。
 29ページ、(2)の「輸送対象の想定」、ここも文言の修正でございます。
 その下2の「交通の確保」につきましても文言の修正をしているところです。
 (2)並びに30ページの(3)、(4)については修正はございません。
 31ページについても、(5)から(9)まで修正はございません。
 32ページに入りまして、第7節として「避難収容活動」がございます。
 33ページにまいりますと、33ページの「避難場所」のところで、ここも文言の適正化をしておりまして、洪水、高潮、土砂災害という統一した表現にしております。
 33ページの左側になりますが、3の「応急仮設住宅」については修正ございません。
 34ページ、災害弱者並びに第8節、食料・供給活動等、修正ございません。
 35ページの第9節、保健衛生、防疫等、修正はございません。
 36ページにまいりまして、第10節の社会秩序の維持、第11節の施設、設備の応急復旧活動、これについても修正ございません。
 37ページ、第2節「被災者等への的確な情報伝達活動」、修正ございません。
 38ページ、第13節「自発的支援の受入れ」、ここも修正はございません。
 39ページ以下、「災害復旧・復興」でございますけれども、特段修正はございませんが、ざっと節だけ見ていただきますと、第1節は、「地域の復旧・復興の基本方向の決定」、第2節が「迅速な原状復旧の進め方」です。
 40ページにまいりまして、第3節「計画的復興の進め方」、それから41ページにまいりまして、第4節「被災者等の生活再建等の支援」となっております。
 42ページ、第5節「被災中小企業の復興、その他経済復興の支援」ということで、一応風水害編については、これが全体ということでございます。
 これに関係いたしまして、43ページから第15編「防災業務計画及び地域防災計画において重点をおくべき事項」というところがございます。これにつきましては、43ページの右側の4というところに先生方からも御指摘がございました専門家のことにつきまして、防災に関する研修等の必要性を追加をしているところでございます。
 それから44ページにまいりまして、14番といたしまして、水防法関係、浸水想定区域の指定等についてここで記述をいたしております。
 また、16につきましては、土砂法関係、17につきましては高潮対策について記述をしておりまして、これで高潮についても一応地域防災計画について記述するということが前提になっているということでございます。
 15編の修正は以上でございます。
 私からの説明は以上でございます。

○福岡座長

 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまから事務局の修文をいただいたものにつきまして、御質問、御意見等をいただきたいと思います。青文字のところも含めて、初めて出てきたと考えてよろしいわけですね。そういうことですので、以上の修文につきまして是非御遠慮のない議論をいただきまして、まとめの方向をとりたいと思います。よろしくお願いいたします。
 1つだけ、要は、河川の環境に関するところはまだペンディングであるというお話がありました。これについても併せて議論の場を持ちたいと考えております。

○野田参事官

 ただいまの環境の件につきまして、3つほど意見がございまして、1つは、河川関係のみでなく、もっと幅広く記述すべきではないかというのが1点でございます。2点目としては、環境等の配慮については災害個別ではなく、計画全体の総論の部分で書くべきではないかという議論がございました。
 それから、3点めとして、河川法については、環境への配慮事項が明記されておりますが、それ以外の法律にまだ位置づけられていないものがある、こういったことを考えなければいけないというこの3点が関係省庁で議論したときの意見でございまして、その結果、今日はペンディングで出していただいているということでございます。

○福岡座長

 それでは、今、御紹介がありましたので、いずれにしましても、ここの部分は議論をして、プロジェクトチームでどうするのかということを決めなければなりませんので、この件につきまして、最初に御議論をいただきたい。
 4ページ目の59です。書いてあるのは、「河川管理者は、その管理する河川において、風水害対策のための施設整備等を行う場合は、河川整備基本方針、河川整備計画に基づいて、環境や景観へも配慮するものとする」ということです。
 これ以前に、あるいは全体を通してこういうことを議論しなければならないというのと併せてで結構でございますが。

○水山委員

 具体的に言えば、この中にではなくて、外側ということでしょうか。

○野田参事官

 この防災基本計画の頭に総論部分というのがございまして、防災の基本方針ですとか、防災をめぐる社会構造の変化と対応というような総則部分がございます。そこのところでしっかり書いてはどうかという御意見でございますが、そこを変えようといたしますと、すべての編に影響を及ぼすものですから、今回の改定の中で、総論部分をいじるのはちょっと難しいと考えております。それについてはまた平成14年度以降に、全体を見直していく中で考えていかざるを得ないということでございます。

○福岡座長

 まず、河川に関わるものとしては、これはもうあたりまえのものとして受け入れて、具体的に災害が起こったときにも、環境を加味した形の復旧をやるということで動いているわけです。
 ですから、私は書くことについては何ら問題ないと思っているんです。問題は、この河川管理者はという、河川だけに限定するのか、例えば、高潮災害というふうに書いてありますが、波浪高潮、そういったところの海岸関係はどうなんだろうとか、それから、洪水と土砂災害と高潮というふうに災害を分けていますので、土砂災害は、「河川管理者は」、ということで言えているのか、その辺はちょっとわかりずらいので、この辺も併せて検討する必要があるかなというのが、私がまず直観的に感じたことです。

○水山委員

 一番小さくであれば、「河川管理者は」、そうでないとしたら、その上に書いてあるような主語と同じように、「国及び地方公共団体は」、みたいな話になるんですかね。

○福岡座長

 国になると恐らく農林水産省とか、ほかの関係するところが出てくるので、まだそこまで多分早いと、だから、国土交通省は、と言っている分にはかなり限定されてくるということだろうなと思っているんですが。

○国土交通省

 どうも特出しで書いたときに、河川はやっているのは当然なんですけれども、そこだけがやって他はやらないというような形にも読めますし、やっているところだけつまみ食い的に書くというものでもないのか、それやこれやの議論がありまして、一方で総論の方が今回見直しの対象になっていないものですから、やや扱いが、事前の事務局レベルでの議論の中ではまとまらなかったということです。

○水山委員

 この文章を読むと、河川整備基本計画に基づいて配慮するという感じになるんですけれども、この中にそういうことが書いてあるんでしたか。

○国土交通省

 各河川で、こういう基本方針整備計画をつくることになり、更に、当然に環境に配慮してという形の考え方がそれぞれに示されて、各河川での対応の仕方の基本的なものが示されていますので、それをこういう形で「基づいて」、というふうにしているわけです。

○福岡座長

 こういう言葉を河川整備基本方針とか、河川整備計画という名前を付けると、ここに基づいて、とすると、今度は海岸とか、砂防が書けなくなるだろうと、同じようなことをやっていても書けなくなる。

○白崎審議官

 河川法に根拠があるのではなかったですか。根拠は河川法ですね。

○福岡座長

 河川法に根拠がありますね、目的に入りましたので。

○白崎審議官

 何年か前に大改正しましたね。ほかの法律にはないんでしょうね。

○国土交通省

 それぞれの法律で少しずつ違うんだろうと思うんですね。今の時代ですから、恐らく、公共土木施設について環境に配慮しなくていいというものはもうないと思いますから、それぞれに書けるんだろうと思いますけれども、この書きぶりだとすると、ちょっと他の施設が抵触してくる場合もあると思います。

○福岡座長

 磯部先生、どうですか、ここの辺りは。先生は環境に随分お詳しいので。

○磯部委員

 私は、法律とか制度のことは全然わかりませんが、趣旨としては、例えば、海岸保全をするときに、高潮対策をするときに、工法としては複数考えられるという場合があるわけです。そのときに、もし、複数あって、防災ができるのであれば環境に最もいいものを選ぶという格好でやっていくのが私はいいのではないかというふうに思いまして、そういう趣旨が何かここに出るような文言だといいなというふうに思っています。
 どういう文言にするかについては、特に今具体的な案があるわけではありませんけれども、そういうことを生かすとすれば、河川管理者は、というような限定されたものではなくて、もうちょっと一般的にするか、もう一つは、その上の海岸保全施設の整備というところがありますので、そこのところに「環境に配慮して」というような文言を入れてしまって、更にあとは、土砂災害のところが一箇所どこかにあれば大体全体が入るという格好にもなるので、入れ方は2つぐらいあるかなと思いますけれども、趣旨としてはそんなことが読み取れるようなものになってほしいなと思っています。

○福岡座長

 例えば、この分を生かすとしたら、「河川管理者はその管理する河川において」を取ってしまって、「風水害対策のための施設整備等を行う場合は、環境や景観へも配慮するものとする」というのではいけないんですか。余りにも漠然とし過ぎているんですか。ここで扱っているのは風水害ですよね。だから、風水害で、要は、施設整備を行うときにはそういうことに配慮すると。

○野田参事官

 十分に位置付けられていない風水害関連法令があるという御趣旨の意見をいただいていたんですね。

○藤田参事官補

 長期基本計画に書きましても、それぞれ土砂災害なり高潮災害対策工事につきましては、別途そういう整備事業制度的なものがありまして、それを持ってきてやっているのが普通だと思うんですけれども、その場合は、それはそれでまた根拠となる仕組みとか法律等が別途ございますので、工事とかについてはそちらの方のしばりがかかってくると思われるので、ここに書いても、そちらの法律が対応しないと制度的に工法の選定という話は別にしまして、選ぶことが難しくなってくるのではないかなという感じは若干していますけれども。

○福岡座長

 だけど、そういうのはどこにでもあるのではないんじゃないですか。

○布村参事官

 別に一般的に配慮と書いて法律上抵触するものは一個もないはずだと思うんですけれども。

○磯部委員

 その範囲であれば、海岸法も防護環境利用ということは入っているわけですから、今の発言が出ましたけれども、配慮するという範囲であれば、河川法と同じような意味で、入れても全くおかしくなくて、ただ、先ほどから出たのは、やはりそうは言ってもちょっと重みの付け方がそれぞれの法律によって違うというのは、私が素人として読んでもそのとおりだと思うので、一律にならないということはわかりますけれども、委員長がおっしゃったような案で、少なくとも海岸法については私が感じるところはおかしくないと思います。

○布村参事官

 例えば、国土交通省で所管されているものであれば、環境政策大綱として省全体のものですべてそうすると言い切っているわけですし、農林水産省にしても、環境、景観について配慮するという話はどこのものも全部うたっているはずですから、これは配慮するということで何か法律上おかしくなるようなこともないと思いますので、常識的に余り議論する余地もないような気がします。

○内閣官房

 私も環境に以前若干関わった立場から申し上げますと、今、布村さんがおっしゃった環境政策大綱もございますし、環境基本法も制定されましたので、いろいろな施策を実施するときに環境に配慮するのは我が国の大前提だと思います。ここは風水害に強いまちづくりの形成のところに書いているので何となく違和感のある話になるので、もう少し前の全体の風水害について記述しているところで、こういったものを実施するときに環境に当然配慮するというようなことを位置付けておけば、全体を包括できるのではないかと思います。

○福岡座長

 場所はそうですね。どうもここの場所はふさわしくないという点で。

○内閣官房

 河川だけ抜き出すとほかがやっていないように思えますし、バランスを考えると全体を傘の下に置けるようなところがいいのではないかと思います。

○野田参事官

 それでは、今、御指摘がありましたように、1章1節1に「風水害に強い国づくり」という表現があって、全総云々という話をしておるようなところの下に、もう一つ○を設けて、「風水害対策のための施設整備等を行う場合は、環境や景観へも配慮するものとする」というような表現で調整できないかどうかという検討をさせていただくようお願いいたします。

○福岡座長

 皆さんよろしいでしょうか。
 では次に、全体でお願いいたします。
 私、一番先に言わせていただきますけれども、例えば、1ページ目57番ですが、「高潮、波浪等に」というのは、最初に高潮、波浪がペアで海岸保全施設で出てくるんですが、後ろに行きますと、皆「高潮」になっているんですね。私は、波浪災害というのは相当なものがあろうと思うので、ふさわしい場所、高潮でよかった場所はいっぱいあるんですが、波浪が入った方がいい場所があったんです。先ほど聞いていまして、4ページ59のポツで、「国及び地方公共団体は、高潮発生の際に」のところ、ここは面的防護様式というのが、高潮だけでなくて、多分波浪もこれは合うのではないかと思って聞いていたんですが、どうなんでしょうか。ここは要らないんですか。

○磯部委員

 高潮というのは、特に行政の言葉としては波浪も含めて高潮と言っているんだと私は理解しています。
 というのは、高潮対策で例えば、堤防をつくったりしますけれども、その堤防の天端高というのは、いわゆる狭義の高潮で水位が上がってくる分に波が当たるので、波の分が上がってくる。それを足し算して堤防を決めていくわけです。それを高潮対策と何か行政で言っているので、厳密には、学問的には座長のおっしゃるとおり、「高潮、波浪」と言わなくちゃいけないと思うんですけれども、従来そういうふうな言い方をしてきたというふうに私は思います。

○福岡座長

 ちょっと先生にお伺いしたいのは、1ページ目の海岸保全施設の整備を推進するというのが「高潮、波浪等に」なっているんですが、この59番目も、「海岸保全施設の整備を推進する」というふうに青になっていますね。

○磯部委員

 「既往最大規模等の高潮、波浪等に対応できる海岸保全施設の整備は」、これは私はこのとおりと。そういう意味で、学問と行政の言葉がごっちゃになっているからいけないんですが、ここはいわゆる高潮偏差という意味で水位が上がってくるのが高潮で、それに波がのるので波浪等に対応できるということですよということであり、ここから先は全部高潮と言ったら波浪が入るというふうに思っちゃうのが素直ではないかと思います。

○福岡座長

 それでは、わかりましたので。どうぞ、皆さんの方から。
 もう一点、皆さん御検討の間に、災害が洪水と土砂災害と高潮になっているんですが、「河川、土砂災害、高潮」と書いてあるところがあるんです。あれはまずいのではないかと思う。先ほど聞いていましたら、13ページの69、国土交通省の「潮位等の河川、土砂災害、高潮に関する」と、ここは洪水の方がいいのではないかと、河川災害ならわからないわけではないけれども、「洪水、土砂災害、高潮」ではないでしょうか。

○水山委員

 これは河川に関する情報、土砂災害に関する情報、それから洪水に関する情報ではないんじゃないですか。

○福岡座長

 河川に関するというと広いですよね。

○藤田参事官補

 ここは、雨量、水位、水質、潮位という河川に関する情報と、土砂災害、高潮に関する情報等のという意味で。

○福岡座長

 ただ、河川という書き方にはなっていないんです。全部、洪水、土砂災害、高潮になっているんですよ。

○布村参事官

 ただ、下の方に「河川情報、土砂災害、高潮に関する情報」とか、多分こちらから派生をしていっている河川情報というものがあります。

○福岡座長

 下にありますね。では、わかりました。そういうことであれば、結構でございます。河川情報の方が多いですかね。

○消防庁

 ちょっとつまらない話で、2ページ目の、「国土交通省及び国の協力を得つつ地方公共団体は」と、これは国土交通省と国の協力を得ながら地方団体は、という意味なんですけれども、国土交通省のほかに国のと、最初読んでいるときに変だなと思ったんですけれども。

○布村参事官

 最終版でしょうから、細かい字句の話で恐縮なんですけれども、「させる」というのがあちこちに見えるんですけれども、2つあって、1つはまず日本語的に「住民に対し周知させる」とは言わなくて、「住民に対して周知する」でしょうし、それから、もし、「させる」ということが必要でも、今は余り行政文書でも住民に「させる」ということは使わないで、もうちょっとしていただく的な言葉とか、これは昔のものが「させる」になっているので何かならっているのでしょうけれども、本当は洪水編だけではなくて、ほかのところもそうなっているきらいがありますが、ちょっと今様には直しておいた方がいいと思います。

○藤田惨事官補

 法律に書いてあるとおり書いたもので、「させる」というのはそのまま「させる」になっています。

○野田参事官

 法律用語と、今風の表現ということなので、できるだけ今風に修正をしたいと思います。

○福岡座長

 16ページの、これはこういうことを書くようになったのかなということで、16ページと実は最後の15章の地域防災計画との関連なんですが、16ページの一番下には、「水害を想定し、実践型の防災訓練を実施するよう努めるものとする。また、訓練の実施にあたっては、ハザードマップを活用しつつ行うものとする」と書いてあるわけです。国及び公共団体は。これは、地域防災計画の第15編の方には、この手のものは出ていないような気がするんですが、地域防災計画でも当然そういうことになるわけです。このことは、地域でハザードマップを用いていろいろ図上でやれというようなことですから、44ページにも同じようなものはあるんでしょうか。

○野田参事官

 今回、訓練のところまでは、特出しでは指示をしていないんです。

○藤田参事官補

 43ページの5番目に、防災上必要な訓練、これは、防災業務計画及び地域防災計画に重点を置くべき事項の中に訓練に関する事項も入れなさいという言い方になっております。

○福岡座長

 そうするといいんですか。

○野田参事官

 一応、この15編というのは、防災計画にあります地震から始まって、事故災害まで全部を網羅しているものですから、訓練についても一般的な表現にとどまっているということなんです。

○福岡座長

 ここに書いてあるのは非常にいいと思うんですけれども。

○藤田参事官補

 それで、それぞれの自治体とか、公共機関の状況に応じて必要な訓練のについて、防災計画にきちんと書くわけです。

○磯部委員

 この前も申し上げたところなんで申し訳ないんですが、7ページの赤がある○ですけれども、「国及び地方公共団体は、光ファイバー等を活用し、高潮に関する情報及び水門、陸こう等の海岸保全施設を集中管理、伝達するシステムを構築するなど」というのはどういう意味か教えていただけますか。

○藤田参事官補

 今、それぞれ海岸の整備が関係する省庁の方で進めておりますが。

○磯部委員

 文言的なことです。まさにこの文の解釈でいいんですけれども、文の構造で。

○藤田参事官補

 高潮に関する情報が1つですね。

○磯部委員

 集中管理し伝達するですね。

○藤田参事官補

 そうです。それから、海岸保全施設の集中管理と申しますか、操作等の状態監視等の集中管理ということです。

○磯部委員

 それで、伝達するというのは、海岸保全施設を伝達するんですか。

○藤田参事官補

 伝達するシステムというのはそれぞれ散っている個々のこう門なりを一か所の集中管理システムに。

○磯部委員

 海岸保全施設の情報を伝達するならわかるんだけれども、海岸保全施設は伝達できないですね。ちょっと読んでいてどうなのかなと思ったので、わかりやすく書いた方がいいのではないかと思うんですが。

○野田参事官

 先生のおっしゃっているのは、海岸保全施設の情報を伝達するという。

○磯部委員

 これは、多分趣旨はとにかく高潮に関する情報を集中管理して伝達するシステムをまずつくりたいということはあるわけです。その後、水門、陸こう等海岸保全施設を集中管理したいということであって、別にこちらの方は伝達したいわけではないのではないかという気がするんです。

○野田参事官

 伝達をする話と集中管理をするという話を書き分けるということですね。

○磯部委員

 それによって日本語ですから、高潮に関する情報の方を集中管理伝達し、海岸保全施設は集中管理するというと、集中管理が2回出てくるから嫌だなという気持ちになっちゃうかもしれませんが、趣旨としてはそういうことなんです。

○野田参事官

 では、わかりやすく表現を適正化いたします。

○磯部委員

 これも質問で、28ページの青書きで、「災害の発生防御」と書いてあるんですが、恐らく大分工夫されたのかと思うんですけれども、やはりそれでも読むと発生防御って何だろうという気がしまして、これは恐らく、後ろに、被害の拡大防止というのがあるので、最初は、第1回目のときは「災害の発生防止」と書きたかったんだろうけれども、防止が重なっちゃうから嫌だなということで出てきたようにも感じられるんですが、でも、いかにも「発生防御」というのはこなれない言葉だなという気がするんです。やはり「発生防止」でいいのではないかという気がするんですけれども。
 発生を防御するわけではないでしょう。発生に対して防御をするわけでもないから、やはり発生を防止するんですね。もっといい案があれば、換えていただきたいし、もしないのならば、日本語として美しくなくても「発生防止」とわかりやすい言葉の方がいいだろうと。もし、そうであるとすれば、次のページにももう一回使ってありますので、お願いします。

○布村参事官

 今の点ですが、災害というのは、発生そのものというのは、防止という言葉のときに、全部抑えるというかゼロにしてしまというみたいなところがありまして、若干減災的なことしかどうしてできないんだというのがあって、本来、そういうことも含めると、何か発生の抑制みたいな、言葉はもうちょっと別なんでもよろしいんですけれども、そういう言葉を選んだ方がいいのかなと思います。

○磯部委員

 趣旨は私もそちらの方がマッチベターだと思います。

○福岡座長

 では、御検討をお願いします。

○野田参事官

 では、そこのところは検討いたします。

○消防庁

 もし、そこまでするなら、発生防御、拡大防止が体言止めで、次が供給するためと、最後が「供給する」というふうに、日本語のバランスが悪いんですよね。

○福岡座長

 私はこういう書き方をするのはどうしてかなということで、3ページの一番真ん中、「国土交通省は、土砂災害の防止のための対策の推進に関する基本的な指針の作成及び必要に応じて変更を行うものとする」と書いてありますが、こちらが変更になっていて、小さなことで恐縮ですが、5ページ、60、地方公共団体は、「見直しに努める」という書き方なんですよ。見直しの方が、私は常時見直していくという形がいいんじゃないかと思うんですが。
 それから教えてほしいんですが、その下の都道府県はおおむね5年ごとにというのは、大体こういう数字というのは数字が5年ごとになんですか。わからないので教えてほしいんですけれども。

○野田参事官

 土砂法でおおむね5年です。

○福岡座長

 おおむね5年になっているんですか。

○消防庁

 8ページでよろしいでしょうか。「災害時優先電話等を効果的に」と書いてあるんですが、これは役所が自分で助けをすることを想定してこう書いてあると思うんですが、どちらかというと、余り住民の方がまだこの制度を十分理解していないという話も、広井先生などがときどきされていますので、住民の方に周知するとかそういうようなこともお書きになった方がいいような気がするんですが。

○野田参事官

 周知するということですね。

○布村参事官

 でも、一般の方は災害優先電話は使わないですね。

○消防庁

 171ではないんですね。では、結構です。

○福岡座長

 伝言ダイヤルではないです。

○消防庁

 では、伝言ダイヤルを周知するという。

○福岡座長

 それから1ページ目の、もうできてしまっているものを言うのも恐縮なんですけれども、(3)風水害に強い国土の形勢など、黒ポツで、「当面の目標として」と、この新しく加わった青いところとその上、河川については当面の目標としてと書いてあるんですが、以下、左側の換えていないところと、何となくスケールが合わないような気がしてしようがないんですが。これでいいんですか。
 すなわち、当面の目標で「中規模の洪水に対応できる〜50mmの降雨に対する〜推進する」と書いてあって、次は、「ひとたび発生すると壊滅的な被害になることが多い土砂災害について、その対策を推進する。
 既往最大規模等の〜について整備を推進する」というような書き方で、何かここだけが異常に具体的な数字が出ている。当面これでいいんですか。私はもうちょっと書けるのではないか、何か、ここも当面の目標としてというところをもうちょっと違う書き方の方が書いてもいいのではないのかと思っているんですが、これは現状を書くんですか。それに対して、土砂とか高潮などは、計画に近い話を書いているわけですね。

○布村参事官

 1つは中身がそういう尺度が既に使っているものがあるかどうかだと思います。今から用意すると2年ぐらい掛かったりする話になっちゃいますから。

○福岡座長

 土砂災害についてもかなりちゃんとしたものがあるんじゃないですか。

○布村参事官

 ですから、それが今あるのかないのかということなんですけれども、あれば、それを書いたらと思いますけれども、ひょっとして目標設定がないと。

○野田参事官

 土砂の方はまだはっきりした目標設定がないんだと思います。ここで河川については中規模並びに大河川についてはこういう感じでいきますよという数字は一応出ているんですけれども、この下のつけ加えた部分というのは。

○福岡座長

 ここは構いません。加わったところはいいんですけれども、もともとあるもののバランスというか、考えていることが少し違う。

○布村参事官

 国土交通省の中で、治水特別会計の治水5か年計画などを策定するときに、大体こういう目標設定をしているんです。土砂の方も、当然一部形式が違うんですが、その他のものは治水特別会計なので、それも書いているんですけれども、そこにこういう類の目標設定は今まで持っていなかったので、土砂の方でどうかとか、海岸の方でどうかという確認をしてみて、何かあればと思うんですけれども、ひょっとしてないので書けないというところがあるのかもしれません。

○磯部委員

 海岸についてはこう書かざるを得ないと思います。つまり、高潮対策をするときに、既往最大か、あるいは台風モデルなどを使って予測をするか、大体その2つぐらいで、設計外力を決めて、整備をしているので、何年確率で高潮対策をとるとか、という規定がどこにもないんです。それで、河川と併せてこういうふうにちゃんと具体的に書きたいんだれども、残念ながら書けないというのが、少なくとも海岸の方の高潮の現状だと思います。

○布村参事官

 言葉ではあるんですが、多分、書き方は同じ確率面だとかのレベル的な設定ではなくても、例えば、重要区域のこういうものをいつぐらいまでこう整備するとかいう、ディメンジョンが違ってもよろしいのだろうと思うんですけれども、当面の最終目標ではなくて、当面こういうふうにやっていくというところをしたものはないだろうかということはちょっと確認してからと思うんですけれども。

○国土交通省

 福岡先生の御指摘なんですが、30年、40年とか50mmとかというような、随分昔の目標をいまだに掲げているではないかという御趣旨ですね。

○福岡座長

 私はむしろそっちの方なんです。というのは、こちらの方はわかりきった話で、着実に動いていることはわかっているんですが、やはり防災基本計画としていろいろほかのところを見ると、こういうことを考えていくというのは、気象庁は、短期降雨を予測するとまで言っているのに、この程度のことしか書かないのかというのが、私にとっては変だなと言っているんです。
 だから、土砂災害にしろ、海岸災害にしろ、びしっと、やはりこれぐらいのスケールに対応するようにするんだというようなことが見えているわけです。それが河川災害の方は、何か中期目標が書かれているぐらいだと、当面の、になっちゃっている。

○布村参事官

 とにかく逆に上を最終的なものに合わせることはいとも簡単だと思います。

○国土交通省

 治水課長が来ていないものですから。少し持ち帰らせていただけたらと思いますけれども。

○福岡座長

 気象庁さんが書かれたところなどは、私は見ていて、よく書かれたなと思っているぐらいなんです。これを見ると、このレベルぐらいのことをちゃんと少しずつしていかないといけないかなと思っていたものですから、ちょっと申し上げました。

○国土交通省

 恐らく、かなり力を入れて整備をしているところというのは、当然、30年、40年でありませんし、もう50mmを超えた対応をしているわけですが、全体をおしなべて見たときには、中小河川で50mmにも達していないようなところは非常にたくさんあるというような中で、高潮のような既往最大というのは、かなり高いレベルを打ち出しにくいという事情があるように思いますので、少し検討させていただきたいと思います。

○岩田参事官

 河川についてはこれこれというものがあって、それで当面の目標としてというのは、最初のポツの中にあればいいかもしれません。だから、これだけいきなり当面の目標としてお出しになっているので。

○布村参事官

 ただ、先ほどおっしゃられた気象庁というのも、当面の目標だと思うんです。中身はすぐれておるのかもしれませんが。

○福岡座長

 これは水山先生からも是非書いてくださいということで、18ページ、高度化、それで精度向上を図る。目標を書いているわけです。

○布村参事官

 現時点の当面の目標、今はトレンドの部分なんだと思うんですが、気象庁としてはもっといろいろなことが大きい視野の中にあると思うんです。

○福岡座長

 どうですか、気象庁さん。

○気象庁

 降水短時間予報のお話だろうと思いますけれども、徐々に予報の精度として上がっているのは間違いありません。きめ細かく、しかも場所を限定した予想をやろうという、その目標は変わりありません。
 それで、現状は、やはり例えば、台風とか、梅雨前線などによる雨というのは、大きな範囲内では最初予想できるんですけれども、どんどん場所を絞っていくと、非常に難しいということで、登場したのが降水短時間予報というシステムでして、これはもう雨雲の実態を最初押さえていまして、それを大気の中で流して、どこにどれだけ降るかということを予想するものです。
 ただ、量的な予想は、正直言いまして、非常に難しいというふうに認識しています。

○福岡座長

 水山先生、ここはよろしいですか。

○水山委員

 確かに、私は土砂について、具体的には100 年に1回ぐらいの雨で発生するようなものをイメージして、危険個所も対応も考えてます。それ以上のものはある意味で対象外ですけれども、それをわざわざ変えても余り変わりばえがしないし、わざわざ絞ることはないと思っています。座長が言われるように、防災基本計画の中でわざわざ重要目標みたいな話を書く必要があるのかなという気がいたします。

○内閣官房

 私が思ったのは、河川の当面の目標として、30年から40年に1度発生する規模の降雨による洪水を目標にしているかとか、50mm対応の降雨を目標にしてとかではなくて、河川整備基本方針、河川整備計画をつくって、それぞれの流域の特性に応じた目標を設定して、当面の目標と長期目標を設定して整備する方向に変わったはずですので、こういうふうに書くのは、ちょっと数字が一人歩きして短絡的になり過ぎるのではないかという危惧があります。

○福岡座長

 是非ここは議論してください。

○野田参事官

 先生から御指摘いただきました当面という表現、また数字、今、足立参事官も言われた数字をこのまま残すかどうかについて、国交省さんの方で御検討いただいて。

○国土交通省

 大分時代も変わってきていますから、少し進んでいると思いますので、よく検討してみたいと思います。

○磯部委員

 先ほど、座長が御指摘された高潮と波浪の言葉遣いなんですが、1ページ目の下の57と書いてある「既往最大規模の高潮、波浪」、これは私先ほど申し上げたように、高潮のいわゆる偏差のことを意味していますので、もしよろしければ、ここだけは「高潮偏差」と書いてみたらどうかと思います。
 つまり、バックグラウンドはさっき申し上げたとおりなんですが、ここで「高潮、波浪」という言葉を遣ってしまって、後は、その先に出てくるのは全部高潮というんだけれども、実は波浪も入っていますというのはイクスプリシットにはなかなか読みにくいし、普通こういうところに精通しない人が読んで、そこの意味がすぐ読み取れるとは思えない。そういう意味では、ここを「高潮偏差」という言葉を遣えば、高潮という言葉とはちょっと違うことを意味しているんだというのが明確にわかります。
 更に、文章をめんどくさくしてもいいのならば、高潮と書いて括弧の中に「高潮偏差と波浪を含む」とかいう言い方をするとか、あるいは「すなわち」という言葉を使って、実は高潮というのは高潮偏差と波浪とを加えたものなんですよということを明確に言うか、そのぐらいのことを言えば、座長が御指摘になったようなところの矛盾が解決できると思います。

○野田参事官

 今、先生からいただいた幾つか選択肢がございましたので、それで、どの辺にしたらいいのか協議をさせていただき、また御相談をさせていただきます。

○福岡座長

 そうすると、私も後ろの方とのつながりがわかりやすくなります。ありがとうございました。

○水山委員

 今、そこで気がついたのですが、その高潮、波浪の議論のその次の台風集中豪雨等に伴う山地災害に対処する「山地治山」という言葉があるんですけれども、「山地治山」という言葉はあるんですか。私初めて聞いたんですけれども。治山治水とか、地すべり防止施設とかというのはあるんでけれども、「山地治山」という用語があったかどうか、確認していただきたいと思います。これでいいならいいんですけれども。

○福岡座長

 4ページにもありますね。59も同じ、山地災害危険地域、山地治山。

○水山委員

 あるんですね。

○野田参事官

 林野の表現になると思いますが、それは根拠を調べさせていただきます。

○水山委員

 わかりました。

○岩田参事官

 素人でよくわからないんですが、3ページの青いところの1つ目のポツ、5行目から「市町村は浸水想定区域の指定のあったときは、〜少なくとも〜定めるものとする」とあるんですけれども、少なくともというのはわかるんですが、では、多く定める場合は何があるのかなと、これはどこを限定しているんですか、この少なくともというのは。では、多く定めようと、もっとたくさん書こうというのは、これはどういうことを。

○野田参事官

 要するに、浸水想定区域以外についても、という意味です。多くという場合には浸水想定区域以外についても、広域での伝達方式云々ということをしなさいよという。

○岩田参事官

 きめ細かくするという意味ではなくて。

○野田参事官

 浸水想定区域について当然こういうことを定めるんですけれども、それ以外のところでも定める。

○岩田参事官

 浸水想定区域についてだったらわかるんだけれども、「ことに」になっていますから、もっときめ細かく決める方法もあるのかなと。

○国土交通省

 1つの市町村の中に、複数の浸水想定区域があって、それを束ねてつくる、あるいはそれぞれにつくるという場合もあり得るということだと思いますけれども。

○福岡座長

 ほかにいかがでしょうか。
 風水害の風という方は台風なんですか、余り変なことを今ごろ聞いて恐縮なんですか、風のことについて何も出てきませんよね、風災害。実はいろいろ風災害ありますよね、最後に言おうと思っていたんですが、もう最後に近いので。台風あるいは水害、風、たつ巻きとかいろいろなものがありますよね、最近は。あれはどこにもないですよね。

○藤田参事官補

 防災基本計画ということで、要するに、マスター、全国版計画ということでつくっていまして、例えば、たつ巻きとかいうのは確かに発生しますけれども、地域が非常に限定されているような感じがいたしますので、そういうところについてはなくても風に対する災害の地域防災計画はつくれるようにということもありまして、一応「風水害」ということだと考えているんですけれども。

○野田参事官

 ただ、先生が言われるように、風水害に風の災害が入っているのも確かなことですので、この表記をするということだと思います。

○福岡座長

 実は、自然災害グループというのがありまして、文部科学省が所管しているんですが、その中に、風の災害を研究するグループという結構大きなグループであるんですね。それで、いろいろ重要な研究テーマでもあり、いろいろなところにかかわる問題ですので、ですから、どこかちょっと触れておいた方がいいかなと、これで気付いたことなので、前からわかっていたわけではなくて、最初にお話を聞いていて気付いたものですので今申し上げましたが。

○野田参事官

 ちょっと今からだとなかなか苦しいかもしれないです。

○福岡座長

 わかりました。

○白崎審議官

 沖縄とか、鹿児島とか、風そのもので相当被害を受けるところがあるわけですね。平成7年の台風19号のときは風によって海水が巻き上がって、これは広島市内で3日間ほど大停電が起きた。

○福岡座長

 3年か4年ですね。電線が全部塩でやられて。

○白崎審議官

 碍子の中に水が入って。ないわけではないですね。

○福岡座長

 もっと前に聞いておけばよかったんですが、今からでは。

○野田参事官

 かなり大きな問題だと思いますので、所管の省庁がどこかという話がまたいろいろ出てくると思うんです、こういう話になりますので、この話をするときには、もう一度新しく防災基本計画でこの風を扱うことについてどうかという話をもう一度やって、これは毎年見直す計画ですので、これはまた次年度なり。

○福岡座長

 もっと専門家も入らなければいかぬわけですね。

○消防庁

 地域防災計画を丹念に見て、風で悩まされるときにはどんな取り組みをしているかちょっと調べてみたいと思います。

○福岡座長

 ほかにいかがでしょうか。

○磯部委員

 ただ、私の確認のために質問なんですけれども、3か所ほどありまして、3ページの青字の上から7、8行目ぐらいの黒ポツで、市町村は、「施設があるときは、伝達方法を定める」ということで、この施設というのは市町村が管理する施設なのか、とにかく何でもかんでも施設なのか、地下街というのは公共の空間とそうでない空間もあると思うんですが、プライベートな空間もあると思うんですが、そういう意味ではどういう施設なのかなというちょっとわからなかったので教えてください。
 それから次のページで、同じような意味で4ページの一番下に地方公共団体は2階建て以上にするなどというのは、これは公共の施設についてそうなのか、私の施設についてもそういう意味なのか、公共の施設なのかというふうに思いますけれども、その辺ちょっと教えてください。
 それから、44ページで、右側に、高潮対策に関する事項というのがあって、海岸保全施設の整備、高潮に強い地域づくり、防災体制の強化に関する事項で、防災体制の強化というのは、保全施設を整備したり、高潮に強い地域づくりをしたりするというのが、まさに防災体制の強化そのものの一部だと思うんですが、これはどういう格好で考えたらいいのか、というのを、その3点について、ただ、解釈だけの問題なんですけれども、教えてください。

○野田参事官

 3ページ目の施設については、これはプライベートの施設も入れた形で理解をしております。
 4ページ目につきましては、これは関連する施設ですので、一応これは公共というふうに考えています。
 44ページの防災体制、これは確かに、先生が言われるように施設とか地域づくりにも含むんですけれども、いわゆる体制ですね、行政の対応体制ということも含めてここでは体制というふうに考えているということでございます。

○磯部委員

 しつこく言えば、地域づくりを含む防災体制の強化という意味だということですね。

○野田参事官

 そうですね。

○磯部委員

 わかりました。

○福岡座長

 気象庁から来ている委員の方々、何かございますでしょうか。
 それでは、大体御意見が出たようです。これはそうすると、今日で終わりにするんですね。それで、今後のことを説明していただけますでしょうか。

○野田参事官

 今日また幾つか御指摘をいただいておりますので、その御指摘事項についてまず整理をさせていただいて、関係省庁で協議をするなり、それから適当な文言をまた考えるなり、対応体制を図らせていただきたいと思います。
 それで、3月25日の防災基本計画専門調査会というところにこのプロジェクトチームの成案を提出したいと思っておりますので、今後、1週間ぐらいで今申し上げましたような見直し等をしまして、先生方に御相談した後、事務局の方から報告するかもしくは座長から報告をしていただくのか、御相談をさせていただき、25日に一応成案を専門調査会で諮らせていただきます。

○福岡座長

 そうすると、今日の議論の結果を受けて直したものを各委員にはもう一度御相談するということですね。
 ということだそうですが、これで終えてよろしいでしょうか。
 それでは、活発な御議論をいただきましてありがとうございました。

○白崎参事官

 国会の関係で遅れてまいりまして大変申し訳ございません。2月の8日から防災担当の審議官になりました白崎でございます。3回にわたりましてこのプロジェクトチームで熱心に御議論いただきましてありがとうございました。私も、ここまで詳しくやっていただけるプロジェクトチーム、それからこの防災基本計画の専門調査会、初めて参加をさせていただき、大変ありがたく思っております。
 ある程度のプロフェッショナルもそろっておりますれども、直接私がこういうことを直接的に制度として携ったことがあまりないので、今日は意見の拝聴をさせていただきました。防災担当の一員として精一杯頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
 本当にプロジェクトチームありがとうございました。

○野田参事官

 それでは、本日は以上をもちまして終了とさせていただきます。大変どうもありがとうございました。

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