中央防災会議 防災基本計画専門調査会 第2回風水害プロジェクトチーム 議事録

日時:
平成13年12月10日(月)10:00〜12:00
場所:
虎ノ門パストラル新館6階「藤の間」
  1. 開会
  2. 議事
    • (ア)防災基本計画(風水害対策編)修正スケルトン案について
    • (イ)意見交換
  3. 閉会

野田参事官

 おはようございます。それでは、「中央防災会議『防災基本計画専門調査会』」第2回「風水害プロジェクトチーム」を開催させていただきます。
 担当参事官の野田でございます。よろしくお願いいたします。
 前回、磯部先生が御欠席でございましたので御紹介させていただきます。
 東京大学の磯部先生でございます。

磯部委員

 磯部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

野田参事官

 本日の議事に入ります前に、お手元にお配りしております資料の確認をさせていただきます。
 最初に議事次第がございます。その後に、本日の資料といたしまして「防災基本計画の修正について」と題した資料がございます。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、以降の進行は座長の福岡先生にお願いをいたします。よろしくお願いいたします。

福岡座長

 おはようございます。今日は、2回目ですが、前回いろいろ議論がありましたが、それを受けて今日は防災基本計画の修正スケルトン案が出てまいりましたので、これにつきまして議論をお願いしたいと思います。
なお、専門調査会の運営要領というのがございます。それに準じまして、会議の終了後、本日の資料と議事要旨を公表させていただきます。
 詳細な議事録につきましては、後日委員の皆様の御発言内容を確認いただいた上で記名して公表することになっておりますので、よろしく御了承お願いいたします。
 それでは、事務局から防災基本計画の修正につきまして御説明をお願いいたします。

野田参事官

 それでは、説明をさせていただきます。お手元の資料の「防災基本計画の修正について」というペーパーでございます。
1ページめくっていただきますと、前回お示しをいたしました修正における反映事項、これにつきまして右側に番号を振らしていただいております。
  2ページ目をお開けいただきますと、私どもの方で御提示いたしました反映事項のほかに、前回の第1回プロジェクトチームで出ました意見をお示ししてございます。
 防災と環境の観点の問題。
 防災と関連する行政分野の緊密な連携という話。
 平時から各機関の権限と責任を分担して明確にしておくという話。
 更にハザードマップを作成することによって行政担当者が災害の対応について具体的に考えることができるというお話。
 次には、住民サイドからの論点も重要であるというお話。
 最後の点として地方公共団体の専門家の育成という話を、こちらの方にお示ししてございます。
 前回、委員長の方から、災対法と個別法の考え方の整合性というようなお話がございましたが、この点については、また別途私どもの方で検討させていただきたいと思っております。
 減災という考え方についても入れ込んだらどうかという話がございました。ここにお示しておりませんけれども、また後ほど御議論いただければ大変ありがたいというふうに思っております。
 ここには示しておりませんが、先生方の方から、例えば短時間降雨量等について適用してはどうかというお話もございましたので、その辺については、スケルトンの中に入れ込むように努力をしておるところでございます。
 それでは、1ページくっていただきまして、今回の修正スケルトン案というものがございます。簡単にざっと御説明をさせていただきます。左側に現在の計画の概要を示しております。また、ページ数も変えてございます。右側に修正スケルトン案。更にスケルトン案がどういった反映事項に該当するかということを番号でお示しをしてございます。
 まず「第1章 災害予防」というところでございますけれども、(3)に「風水害に強い国土の形成」というものがございまして、右側に修正すべきものとして水害規模、影響等を想定した上で、流域全体の河川の治水対策に努めるというところについて記述をしております。
 その下の「風水害に強いまちの形成」というところにつきましても、土砂ですとか、都市災害の教訓を反映した形で、関係機関と緊密な連携を図りながら防災拠点施設等の浸水防止機能の確保に努めるということについて入れてございます。
 続いて、2ページ目でございますけれども、右側の1つ目には都市災害の関連で、河川管理用進入路、水防拠点等の施設の整備ということを新たに示してございます。
 その下には、これは追加事項といたしまして、出水時の場合の対応として、出水時の監視体制の強化ですとか、また出水時の排水ポンプ場の運転調整と、これは東海からの教訓という形で入っておるところでございます。
 その下には、ハザードマップの関係の記述を新たに入れ込んでございます。
 更に、その下には、水防法関連の記述といたしまして、浸水想定区域の指定ということについて記述をしております。
 3ページ目に参りまして、上から1つ目、これも水防法でございますが、市町村の地域防災計画の関連で洪水時の避難の確保ということ。
 2つ目の黒点は、同じく地下街の避難の確保ということを示しております。
 その下には、これも水防法の関係でございますけれども、浸水想定区域における避難の確保を図るための必要な事項について住民周知をするという記述をしております。
 同じく、その下にも水防法の関係で浸水想定区域も併せて公表するという形で追加をしてございます。
 その下は、土砂害の関係で土砂法に基づいて基本的な指針の作成をするということについて記述をしておるところでございます。
 引き続き土砂の記述がございまして、下の2つの黒丸につきましては、土砂災害警戒区域についての基礎調査の必要性について示してございます。
 その下には、これも土砂法に基づいて都道府県知事が土砂災害計画区域を指定をするという記述を追加してございます。
 4ページ目に参りまして、引き続き土砂の問題でございますが、特に土砂災害特別警戒区域についての措置を記述してございます。開発行為に関する許可の問題、構造規制の問題、移転等の勧告、またそのための資金の確保ということを示してございます。
 その下には、2つ目の黒丸は、高潮災害の内容でございまして、基礎調査並びに浸水が想定される区域を明らかにするということを記述してございます。
 その下には、同じく高潮の関連で、海岸保全施設の整備ということを追加してございます。
 また、その下の黒丸には、これは御指摘のありました環境の問題でございますが、ここはまた、いろいろ後で御意見があろうかと思いますけれども、今のところ河川整備基本方針、河川整備計画に基づいて環境や景観への配慮ということを記述をさせていただいておるところでございます。
 ここで、風水害に対する建築物の安全性の確保というところに参りますが、1つ目の丸といたしまして、地下街の洪水対策ということで、浸水経路とか浸水形態の把握を図るということを追加してございます。
 また、その下の丸も地下の話でございますけれども、地下街の管理者が土のう等の備蓄をするということを追加的に記述をしてございます。
 その下の丸は、都市の問題といたしまして、災害弱者に対する配慮として、2階建て以上にするなど、一時避難が可能になるように配慮をするという記述をしてございます。
 5ページ目に参ります。5ページの頭は、ライフライン施設などの機能の確保ということでございまして、右側に新たに浸水時の耐水化対策というライフラインの浸水化対策を追加記述してございます。
 その下にいきまして、住民の避難誘導体制ということについて記述をしておるところでございます。避難指示勧告について、河川管理者及び水防管理者の協力を得ながら、避難勧告を行う基準というものを設定するように努めるという追加記述をしております。
 また、その下にも土砂災害等に対する住民の警戒避難基準をあらかじめ設定するとともに、必要に応じて見直すという記述を追加してございます。
 その下には、地下街の場合についての避難誘導等、安全体制の確保につい追加記述をしておるところでございます。
 更にその下へいきますと、災害未然防止活動という内容になります。1つ目には、水防管理者について、水防活動の必要性が高い区域を水防計画書で、重要水防箇所として記載するという追加記述をしております。
 6ページに参ります。頭のところは、同じく水防活動の関連で、特に違法駐車、放置車両に対する必要な措置について記述をいたしております。
 その下から、情報の収集連絡関係の記述でございます。上から2つ目の白丸でございますけれども、これは豪雨の提言に関連をいたしまして、「国、地方公共団体は住民と連携し」てということで、情報を相互に伝達をするという、前回御指摘のありました事項も含めて追加記述をしております。
 その下の丸は、これまで国だけでございましたけれども、地方公共団体も含めて一般への情報提供体制を整備するという記述でございます。
 更に、その下につきましては、通信網の活用、また河川・水路の水位情報等々、そういったものを提供していくという追加記述をしております。
 最後の白丸は、高潮に関する情報について記述をしておるところでございます。
 7ページ目に参ります。これは災害のときに回線が輻輳するということがございますので、十分な回線容量を確保するという形の記述をさせていただいております。
 その下からの記述は、災害応急体制の整備関係、特にまず職員の体制ということで、地方公共団体は、専門的な人材の育成確保を図るという形で御指摘の事項を含めさせていただいております。
 その下のところは、字句の追加で、港湾という文字が入っておるだけでございます。
 飛びまして、8ページでございますが、避難収容、特に避難場所についてでございます。特に応急仮設住宅についての記述でございますけれども、これにつきましても、水害や土砂災害という形で語句の追加をしておるところでございます。
 8ページ中ほどからは、被災者等への的確な情報伝達活動体制ということでございまして、上から2つ目の白丸で、これまで国だけでございましたが、地方公共団体も入れてございます。
 上から3つ目の白丸は、これも地方公共団体の活動を規定するとともに、高潮を追加、また、リアルタイムでの情報の提供、地下街等の利用者への伝達体制の確保というような事項を追加してございます。
 その下の4つ目の白丸につきましても、「地方公共団体」という言葉を追加をさせていただいておるところでございます。
 9ページ目に参りまして、「第3節 国民の防災活動の促進」ということについて記述をさせていただいおります。
 1つ目が、「防災知識の普及」という内容でございますけれども、1つ目の白丸については、「避難勧告等の発表時にとるべき行動」ということを追加的に記述をしております。 また、2つ目の白丸については「早期避難の重要性を住民に周知」をさせること。また「地域のコミュニティーを活かした避難活動を促進する」ということを追加記述しております。
 その下につきましては、3つ目の白丸は「国、関係公共機関等の協力を得つつ」「以下の施策を講じる」ということで、ここから追加的に記述をしております。
 9ページの下の黒ポツでございますけれども、これについてはハザードマップ、防災マップの作成による防災知識の普及という観点から記述をしておるところでございます。
 次のページに参りまして、1つ目の黒丸は、土砂災害についてのハザードマップ、防災マップについてでございます。
 また、2つ目の黒丸は、高潮についてのハザードマップ、防災マップについて記述するとともに、特に災害体験館などの活用ということを記述しておるところでございます。
 また、その下には、地下街などの管理者が浸水被害を防止するための計画を作成するという、地下街の対策についての記述でございます。
 また、その下には、水防管理者が重要水防箇所を一般に周知するということについて記述をしておるところでございます。
 更にその下には、気象庁、国の方として、河川情報、気象情報の解説に努めるという記述をしております。
 また、その下の4つ目の白丸につきましては「一般住民向けの専門的・体系的な防災教育訓練の提供」という形での防災知識の普及啓発について記述をしております。
 そこで、防災訓練の実施指導というところに入るわけでございますが、10ページの一番下の白丸については、水害を想定し実践型の防災訓練を実施するということについて追加記述をしております。
 11ページに入りまして、11ページの上の白丸は、地下街での訓練の実施ということについて記述をしておるところでございます。
 その下は、国民の防災活動の環境整備に関わる部分でございますけれども、これは消防団と同じ記述を入れておりまして、水防団についても青年層・女性層の団員への参加促進という形で水防団の活性化について記述をしておるところでございます。
 その下に参りまして、第4節には「風水害及び風水害対策に関する研究及び観測等の推進」ということについて記述をしております。
 1つ目の丸については、防災研究の成果を地方公共団体等の各機関が活用できるように努めるということを記述しております。
 その下の丸については、防災体制の中身を具体的に災害危険区域の指定を始めとしてという形で具体性を出して記述をしておるということでございます。
 また、一番下の丸については、洪水短時間予報というものの活用について、御指摘のありましたとおり記述をさせていただいております。
 12ページからは、災害の応急対策でございますが、これにつきましては、上の方の白丸については字句の修正だけでございます。
 2つ目の白丸については、水防法関連の国土交通大臣と都道府県知事の関係について追加記述をしておるということでございます。
 その下の丸についても、水防法に関連いたしまして、都道府県の指定について記述をしておるところでございます。
 13ページに参りますと、そこから災害未然防止活動という範囲でございますが、上の白丸につきましては、水防活動の一環として警戒区域を設定して、区域への立入を禁止するということについて記述をしております。
 その下は、発災直後の情報の収集、連絡及び通信の確保ということでございますけれども、2つ目の白丸については字句の修正だけでございます。
 これ以降につきましては、修正がございませんで、15ページに参ります。15ページの2つの白丸につきましても、字句の修正並びに表現内容を災対法に合わせるという形の修正のみでございます。
 16ページに参りまして、避難場所の開設という問題でございますけれども、水害や土砂災害などの危険性を十分配慮して避難場所を開設するという形で、過去に避難場所が水没したというようなことを踏まえて記述をさせていただいております。
 17ページの事項については、特にございません。
 18ページについても、特にございません。
 以上が風水害編の修正の内容でございます。
 19ページからは、「第15編 防災業務計画及び地域防災計画において重点をおくべき事項」という内容でございまして、都道府県、市町村の地域防災計画の策定の留意事項を記述しておるところでございます。
 これにつきまして、防災上必要な教育に関する事項につきまして記述をしておりまして、他の地方公共団体の研修制度及び国の研修機関の活用等々。また、防災に関する教材といったものの充実ということについて記述をしておるところでございます。
 19ページの下の浸水想定区域の指定に関する事項でございますが、これは、水防法に基づきまして、浸水想定区域の指定ということが出てまいりましたので、それに関連する記述をするということで記載をさせていただいております。
 更に20ページでございますが、土砂災害関連の土砂法の関係の記述をさせていただいております。右側の16番に土砂災害警戒区域の指定があった場合の対応について記述をさせていただいております。
 17番につきましては、高潮に対する関連の事項を記述をさせていただいておるということでございます。
 以上が現在第1回プロジェクトチーム開催以降、関係省庁と調整をしながら、まだあらあらでございますけれども、現在時点でのスケルトンの内容でございます。
 説明は以上でございます。

福岡座長

 ありがとうございました。では、ただいまから討議に入らせていただき御意見等をいただきますが、その前にまず、この修正について事務局から御説明いただきましたが、関係省庁で補足の説明がございましたら手短に説明をいただいて討議に入りたいと思います。どうぞ、何かございましたらお願いいたします。
 よろしいですか、あるいは討議の中で、またいろいろ補足の説明をお願いしたいと思います。
 それでは、これからこのスケルトンにつきまして、御意見をいただきたいと思います。今の御説明のように1ページ目からやられますと大変時間が掛かりそうですので、どこからでもお話をいただくという形を取らせていただきますので、よろしくお願いいたします。 全体として1つだけ先にお聞きしておきたいことがございます。あるいは消防庁さんの方が関係があるのかもわかりませんが、この防災基本計画ができて、そして最後の2ページの「防災業務計画及び地域防災計画において重点をおくべき事項」というのがありますね。私は広島の土砂災害が起こったときに、広島県の人といろいろ議論をした経緯があります。その中で、地域防災計画を見直した方がいい面がありますという話をしたんですが、地方の方は、地域防災計画を見直すことに対して、手続的とか、いろんな点で難しそうだという雰囲気を持っているです。
 今、お聞きしたいのは、どんな手続で地域防災計画は見直しをやるのか。要は中央防災会議にそれを出しなさいという文言があるのは知っているんです。ですから、今後、地域防災計画も、こういうふうに市町村長さん、あるいは都道府県がこうやってやれというふうに書いてありますから、具体的な見直しが入ってくるわけですね。
 そのときに、1つだけ先にお聞きしたいのは、地域防災計画の見直しというのは、どんな手続で、簡単なのかどうかをあらかじめ聞かせておいていただきたい。お願いします。

消防庁

 今、我々のルーティン業務として、各県の地域防災計画は、毎年毎年必要に応じて見直していただいて、それで上げていただいて、消防庁が受けて、関係省庁の御意見をいただいて、総理に上げて、それをOKしてもらってまた戻すと、そんな手続を取っております。市町村のものは、県が同じような手続をしていると思います。
 手続は大層な手続のように思いますが、実態的には、余りそれでとやかく言うというようなこともございませんし、むしろこちらでは阪神以降、特に市町村の地域防災計画については、できるだけ定期的に見直してもらいたいというお話を申し上げています。県の場合は、大分それは進んでいるんですが、特に町村部になりますと、まだ4割方阪神以降一度も見直されていないというような実態がございまして、我々としては、このような計画の見直しがある都度、また通知を申し上げまして中身を見直していただきたいというふうに申し上げています。
 ただ、そこの点について徹底していないという御指摘がございましたら、改めて周知徹底してまいりたいというふうに思っています。

福岡座長

 そうですね。中央防災会議の専門家会議でも話題になっているように、防災というのは、やはり地域が中心になるべきだということがありますね。それで、手続的にわかっているんでしょうけれども、本格的にそれを直すのに時間が掛かるとか、少しちゅうちょする雰囲気が私はあるかのように感じているんです。
 ですから、今、消防庁さんがおっしゃられたように、手続的にはそう難しいことではなくて、大事なことは見直しをやっているんですというのではあれば、それで結構です。
 ただし、地域防災計画の見直しについては、というあの条文を見ると、私ども大学にいる者にとっては大変難しそうな雰囲気を受けるんです。それを言われて難しいかなと。中央防災会議の首相のところまで出すかのような文案になっているので、本当にそんな書き方である必要があるのかなと、もうちょっと簡単にいかないのかなというふうに感じているところがあるんです。行政の人が見ればわかるんでしょうけれども、行政もややちゅうちょするところがあるし、その辺りをどうするのかも併せて見ておいていただいた方がいいんではないかと。我々も住民ですので、住民がこういうのを直すのは、そう難しいことではないということがわかればよろしいと思います。

野田参事官

 昨年の実績と言いますか、昨年の5月に防災基本計画を改定いたしまして、このときは原子力災害対策特別法という法律ができまして、原子力災害編を全面修正をしたわけでございますけれども、大体都道府県さんの場合ですと、年に一回ぐらいは都道府県の防災会議をお開きになっている。それに合わせて修正をされているという状況で、私どもに協議がございまして、都道府県の場合は、かなり順調に修正をされております。
 ただ、市町村レベルにいったときに、それがどれぐらいかというのは、正直言いまして私ども十分フォローアップができていないというような状況でございます。

高橋統括官

 私も条文を今見たんですが、内閣総理大臣に協議しなければいけないと書いてあるんですけれども、これは法律上の整理としては、要は国と相談しましょうという話なんです。だから、総理大臣協議だから、別に知事が総理のところに行ってというのではなくて、今消防庁の方からお話があったように、要は県から国に上がってくれば、また事務的なと言いますか、事務的な整理として国の関係機関がよくそこを確認した上で、防災基本計画との整合性を確認してお互い了解し合うということですので、条文そのものはおどろおどろしく書いていますが、通常の国と地方との連絡調整をよくやりましょうという趣旨だと思いますので、その辺は国の方としても趣旨はこういうことだということを、また消防庁ともよく相談してアピールしていきたいと思います。

消防庁

 今、統括官がおっしゃったように、県の場合は、私も県にいましたけれども、年に1回9月1日に防災会議をやりまして、そこで各省集まってわっとやっちゃうんですが、市町村の場合の実態がちょっとつかめていないものですから、なぜ見直しになっていないのか、今、先生がおっしゃったように、手続がいかめしいのでひるんでしまうのか、そこら辺の事情もちょっと調べて、きちんと改定が行われるように申し上げていきたいと思っています。

福岡座長

 よろしくお願いします。それでは、これも質疑だったんですが、質疑に入らせていただきます。よろしくお願いします。先生方どうぞ。
 どうぞ、片田先生。

片田委員

 災害弱者の対応の記述について、ちょっと2〜3伺いたいのですが、いろんな水害関係の調査をしておりますと、犠牲者の多くが高齢者で占められているという実態というのが無視できないなという感じがしております。広島の土砂災害でも亡くなった方のたしか6〜7割は高齢者だったと思いますし、犠牲者をなくすという観点からいきますと、ここのところを無視するわけにはいかない問題だという認識を持っております。
 そういったときに、いつも犠牲者が出た役所に行って話を聞きますと、どこに、いわゆる災害避難困難者がいて助けに行かなければいけないというのが、よくわからなかったと。そこのところの対応が非常に遅れてしまったという話をよく聞きます。
 片やその情報というのは、各役所の中では福祉部門がちゃんと持っていたりする。そうすると、福祉部門の情報、どこにどういう人がいて、どこに助けにいかなければいけないかという情報が防災部局の方にちゃんと伝わっているかと言うと、伝わっていない。理由はプライバシーの問題等々があるわけです。
 そこで、対応が難しくなっているという現状を見るときに、福祉関係の部署が持っている災害弱者の情報というのを、いざ災害の緊急対応をしなければいけないときに、さっと見れるというのが、それが有効に使えるようなところをこの中でフォローしていただくわけにはいかないだろうかというふうに思います。
 いつもプライバシーの問題というのを非常に福祉部署の方々は重視しますので、出せないというようなことで対応がうまくいっていないという現実が多々あるものですから、その辺りをこの修正の中で、緊急対応のときにはそうした福祉部門の方のそういった情報も対応できるようなところがフォローされているかどうか。ちょっと私が今ざっと見た範囲の中では、その辺がフォローされていないようにも思うんですけれども、もしできるんであればこの対応の中でやっていただけたらというふうに思います。

福岡座長

 今の件はいかがでしょうか。何かお答えすべき点があるんでしょうか。それとも、後で検討するということですか。

野田参事官

 それでは、災害弱者の記述の部分もございますので、先生が前回から御指摘をいただいているんですけれども、要するに防災部門と福祉行政分野との連携というのを平時からやっていかないといけないという御指摘をいただいておりますので、ちょっとその点について検討させていただきたいと思います。

福岡座長

 第3回の会議もありますので、そこまでに御検討していただくということでよろしいですか。

野田参事官

 はい。

福岡座長

 どうぞ、続けてください。

水山委員

 京都の消防局が作業されたGISでは、今のような情報が含まれていたようです。GISの作業は、最初旧建設省などが頑張ってやられたけれども、最終的に動いているのは福祉関係と消防関係らしいです。

野田参事官

 GISと書けるかどうかも含め、とにかくそういった情報の共有化のようなことが書けるかどうかについて修正することを検討させていただきたいと思います。

福岡座長

 どうぞ、磯部先生。

磯部委員

 1つは、この横長の新旧対照表の3ページで、真ん中辺りに小さいポツの上から4つ目で「国土交通省又は地方公共団体は、洪水、高潮、土砂災害等による」云々というのがあって、「危険箇所等を公表し、安全な国土利用や耐水性建築方式の誘導、風水害時の避難体制の整備を行う」と書いてあるんですが、これは、危険箇所等を公表して、そして誘導というのをした上で、更にまた誘導というのを積極的に追加で何かやるのか。あるいは、公表することによって自然に安全な国土利用がなされるように誘導するという、誘導ということは、要するに公表すれば自然に誘導されるだろうというふうに見るのか、公表してなおかつ、こういうのがあるんだから危険なところには住まないでくださいというような意味の趣旨のことを積極的に誘導をするのか、どういうふうに解釈するのかをちょっと教えていただきたいんですが、それはこの文章で更に後に避難体制の整備を行うと、これは多分公表した上で更に別に整備をするんだと思うんですね。更に誘導ということもやるのかどうかというのが1点です。
 それから、ついでに申し上げますと、4ページで真ん中辺のところに御説明があった「環境や景観へも配慮するものとする」というのが、河川法に基づいてというふうに御説明があったわけですが、私は海岸工学が専門できていますので、海岸法も変わってこれも防護環境利用というような書き方に変わりましたから、河川法というふうに御説明をなさられるとすれば、海岸法も入るし、ひいては港湾法とか、あるいは水産基本法を基にした漁港法とか、そういうところもあるのではないか。
 具体的には、例えば現在高潮に対する防護が十分ではないところ、更に海面上昇などを考えると、将来十分でなくなる可能性があるところについて、単純に考えると堤防のかさ上げをするというふうに出てくるわけですが、それで本当に住民の人たちが快適に暮らせるだろうかということを考えると、なるべくここの中の文章にもありましたけれども、面的防護などの考え方を使って、環境にも配慮したやり方をするというのが基本的な思想だと思うので、海岸についてもそんな記述を入れていただけないだろうかということです。 6ページの一番下なんですが、これは非常に単純な話で、6ページの一番下に「国土交通省及び地方公共団体は、高潮に関する情報及び」何とか何とかとあって、「海岸保全施設を集中管理、伝達するシステム」と書いてあるんですが、海岸保全施設を集中管理するというのは日本語としてわかるんですが、伝達するというのは、余り動詞としてはつながらなくて、ここは全体として海岸保全施設の情報をという趣旨だと思うんです。だから、そういう書き方にしておかないと、これは単純に何か日本語がおかしいんではないかということです。
 以上、まず3点です。

福岡座長

 ありがとうございました。では、国土交通省お願いします。

国土交通省

 まず、3ページのところですけれども、文章の方が非常にわかりにくくなっておりますけれども、例えば洪水の場合と土砂災害の場合におけるハザードマップの持っている法的な効果と申しましょうか、これが若干違っておりまして、洪水の場合は危険ですよというものを公表する。土砂災害の場合は、危険であるということと併せて建築物の規制までできるような効力を持っているというところで、最終的には国土利用であるとか、あるいは建築物であるとか、そういったものを災害に強い形にもっていくのが目的であるわけですけれども、主権の制限というのが掛かってくる中で、それぞれの法律が与えている効力は若干違いがあるものですから、それをなかなか厳密に書きずらいということであります。
 精神としては、国あるいは地方公共団体は、そういった法的な権限に基づく誘導以外に行政として地域のビジョンづくりであるとか、いろいろな形での誘導ということも可能でありますから、そういうものを含めてこの表現の中に入っていると思うんですが、それを明確に書き分けようとすると非常に困難が生じるように考えておるわけです。お答えになっているかどうか。
 4ページの環境のところですけれども、実は内部的に省内でいろいろ議論がございまして、災害対策という範疇の中で防災と環境というものをどういうふうな形で扱っていくのか。それぞれ個別法の中では先生御指摘のとおり、海岸も港湾も環境というものを配慮しながら整備を進めていくということになっておりまして、これを防災基本計画の中で個々に書いていくのか、それとも総論的な扱いにするのか、ちょっと省内でもまだ議論が十分ではないもので、それは防災基本計画の中での環境の取り扱いというものと平仄をそろえた形で個々に書いていくんであれば書いていく、あるいは総論でいくんであれば総論でいくというような、そういう全体の扱いとの関連で我々としても検討させていただいたらと思います。
 もう一点御指摘ありました点は、文章の書きぶりがまずいように思います。情報の伝達と、それから施設の管理というところですね、書き分けておくべきと思います。

福岡座長

 先生よろしいですか。そうすると、2番目のものについてはもうちょっと検討するということでよろしいんですね。

国土交通省

 はい、そういうふうにさせていただきます。

福岡座長

 どうぞ。

水山委員

 土砂法が動いて、それを受けた修正というのが今回の作業の目玉でもあるんですが、その点を見させていただいて、全部把握してわかっているわけではないですが、これでいいんではないかなと思いました。
 違う話なんですが、9ページに浸水想定区域の話で、ハザードマップと防災マップが書いてあるんですけれども、どう違うんでしょうか。ハザードマップというのは、火山とか土砂災害で作業をしてきているのでわかるんですが、防災マップというのは、特に浸水に関してあるんでしょうか、どんな意味ですか。

藤田参事官補

 防災マップにつきましては、ハザードマップの概念ができる前から住民の方に地域の危険箇所を災害に限定せずに地図の上で示しているものです。水害とは限らずにいろいろ書かれています。
 ハザードマップについは、それぞれ水害、土砂災害等についてより正確な情報を提供するという観点から、それぞれの法律の事項を反映しながら書かれているということで、一時期防災マップというのは一回外してはみたんですけれども、まだ使っているところもあるようなので、まだ入れてあります。
 以上ですけれども。

福岡座長

 今の藤田参事官補の方のお話で、私はこの間、中央防災会議の専門委員会に出て参りまして、杉並区の子どもたち学校何とかグループが、杉並の町をみんなで歩いてどういった場所がデッドロックになっているか、道が狭い、火事になったらどうなるかとか、そういう平常時のものも含めて防災マップとしたらどうか。だから、本当は防災マップとハザードマップとが重なっていくようなことが地域にとっては非常に望ましいんでしょうね。
 そういう意味で、本当はただ並べて書くと防災マップというのは、余り知られていないので、考え方は非常にいいと思うんですが、もうちょっと何か工夫を、ハザードマップと防災マップを並べることが本当にいいのかどうかということで、ちょっと水山先生が言われたような面があると思いますので、ちょっと御検討願えますか。環境教育と言うか、防災教育面での考え方は私は非常に大事だと思っていますので、ついでですけれどもよろしくお願いいたします。
 私の方から、ちょっと幾つかあるんですが、どこに書いてあったかわからないんですが、例えば警戒避難の基準を決めるというのは、今度きちっと書きましたね。具体的には、都道府県も国も警戒避難のための基準を決めると、これは非常に結構なんですが、指標と基準というものをちゃんとしておいた方がいいではないかと。すなわち、指標というのをもうちょっとうまく使うことが必要ないのかと。基準までしていくのか、そこがあいまいなんです。
 と言いますのは、今日いただいたものの表紙の次の1ページ目のところに、ここにはどこだったか、さっき見ていたんですが、指標を基準化するというようなことを書いてあったと思ったんですが、検討項目の中にありましたね。

野田参事官

 1ページの一番下ですね。警戒体制の基準となる指標等。

福岡座長

 これは、すぐ基準までやれというのは、なかなか大変な話なので、やはり指標というのが一つ大事だと思うんですよ。それが、雨であるのか、水位とか、潮位とかいろいろあると思うんですが、その指標をどう考えるのかとか、それを基準にして避難までもっていくのかというのは段階があると思うです。その辺りがちょっと書き切れていないのではないのかという何か基準をつくりなさいと。 そうなると、ついでなんですが、前回もちょっと御質問したんですけれども、防災基本計画の強制力と言うか、それについてちょっとお伺いしておきたいのですが、非常にいろんなことが書いてあるわけですね。災害対策基本法があって防災基本計画と、これはこれで当然書いてあると思うんですけれども、個別法との関係がそうなると、例えば河川法ですと、総合的に別に災害のときだけ考えているんではなくて平常時も含めていろいろやるんですが、防災基本計画の場合は、事前の予防とか、災害時、その後の復旧、そんなことを意識していると思うんですが、その辺りの防災基本計画に書いてあることが、個々の災害事業と言うか、災害が起こったときに対して私は勉強不足なので誠に申し訳ないんですが、そういったことはどこに書かれてあるんでしょうか。 すなわち、この防災基本計画というのは、災害対策基本法でつくりなさいと。それから、それぞれ地方の防災計画までやりなさいというのはわかっているんですが、そこはいいんですけれども、ここに書いてあることが、他の個別の法律とどういう重なり方をしていくのか。ですから、環境についてどこまで書くのかというのは、まさにそういう話だと思うんですが、その辺りは私のような大学にいる者にはわかりずらいんですよ。これは、やはり今回前段の総論のようなところでしっかりと整理する必要はないのかなと思っているんですが、その辺りはどうなんでしょうか。もう当たり前なんでしょうか。

野田参事官

 まず、一番最初の質問の指標の話でございますけれども、これについては、平成12年に豪雨災害対策のための情報提供の推進についてという中央防災会議の提言を出したんでございますが、その中に早期避難実現のための措置の推進というところがございまして、ちょっと読み上げますと、行政側の警戒避難体制の基準となる指標を地域の実情に応じ複数設定するということを言っております。それから、指標の数値を客観的な事実として早い段階から継続的に住民に伝達する仕組みをつくるということを言っておりまして、災害の発生に対して指標や基準の適否を検証し、必要に応じてこれを見直すということであります。 先生がおっしゃっるように、まずは地域の実情を反映した指標を定める必要があるということを言っておりまして、そういうことからしますと、確かにここの記述はちょっと丸めて書き過ぎかもしれませんので、そこのところは少しまた検討させていただきたいと思います。 それから、法律の話としましては、災害対策基本法の中で、防災基本計画を策定するということになっているわけですけれども、この影響力というのは、指定行政機関の防災基本計画と地域防災計画、これを策定するときに防災基本計画に基づきという表現が入っているということでございまして、全部が全部法的に強制力があるというものではないという、あくまでもガイドライン的なものであると。

北里審議官

 今、座長おっしゃった話ですが、基本的に我が国のすべての行政が法律に基づいて動いていると。 他方、災害対策というものについては、防災基本計画というのをつくるという2つの柱になると思うんです。そうすると、防災基本計画に書かれることというのは、法律に書かれていることはプラス法律に書かれていない、つまり防災にとって必要な事柄というのが外に実はあります。そのあるものが、例えば法律を超えてどこまで書けるかというと、これは中央防災会議には各省が全部入っておりますので、法律の法体系の中から、ここまでは書きますと、ここから先は書けませんというのは勿論あり得る。 他方、立法論として今後そういう分野もうちの役所として、あるいはそういう行政分野ついてやっていきましょうというようなことで、中央防災会議の議論の中で先生方、あるいは大臣等の議論を各省とも受け止めていけるということであれば、防災基本計画の中に書かれていくだろうということなんです。 ですから、基本的に言うと、防災基本計画というのは、防災に対する日本の制度というのは、どうあるべきかということを書いてあることは間違いない。だからと言って法律を直ちに乗り越えられるかというと、必ずしもそうではなくて、法律の外の空白部分について書ける部分というのが基本的にはあるだろうと。そこへ付加していこうとすれば、そこで議論を深めていくということがまず必要になると思いますので、それこそ中央防災会議での議論、あるいは専門調査会での御議論等をいただく中で、新しい提案等も場合によっては含まれるし、場合によっては、今の段階でここまでしか書けませんという形になっていく。 ただ、いつも既存の制度でとまっているという訳にはいかないので、やはりこういう専門調査会、あるいはいろんな会議の中で御提案いただいて一緒に議論していくというのが現状ではないかと思いますが。

福岡座長

 わかりました。防災について、ちゃんとこれに書いてあると。それから、関連するもので書けるところは今書いていると。私の個人的な考えはなるべく防災という視点については、うまくつながっていくようにしてほしいなと思っているので、これはこれからいろいろ各省庁ともいろんな議論をしていただいて、ただ単に防災事業計画、指定機関がやるのとか、地域防災計画だけのものではないんではないかというような感じは、実は個人的には持っているものですので、これはまた今後で結構かと思います。 もう一点、都市型水害のところで、なぜか都市型水害だけが基礎調査と書かれなくて、微地形調査と書いてあるんです。都市型水害の提言のときも基礎調査をちゃんとやると、都市型水害に書いてあるところが、微地形調査を始め、ハザードマップ等々と書いてあるんです。 高潮とか、土砂災害については、基礎調査をちゃんと行いと書いてあるんですが、なぜそうなったのかがわからない。やはり、都市型水害は基礎調査が大変重要で、微地形は言うまでもないんですが、地下街がどこにあるとか、雨がどう降ったらどうだとか、そういう基礎調査は大変大事だと思うんですが、これはどこだったですかね。2ページですか。2ページの下から2番目の黒ポツです。「浸水常襲地帯における微地形調査や」とこうなっているんですが、これだけではないんではないかと。基礎調査でないかと。 と言いますのは、最初の防災基本計画反映事項のところに都市型水害も基礎調査とちゃんと書いてあるです。都市型水害対策、基礎調査、影響予測などの実施及び関係機関等への情報提供についてと、私はこの方がいいんではないかと。基礎調査をしっかりやらないと都市型水害は、いろいろ問題がその場しのぎになるということで、ここは基礎調査を書いた方がよろしいんではないでしょうかということですが。

国土交通省

 この文を書いたとき、恐らく内水の浸水シミュレーションをかなり意識をして、この部分の文案をつくったんだろうと思います。先生御指摘の点、確かに非常に重要だと思いますので検討させていただきたいと思います。

福岡座長

 ありがとうございます。ほかに、どんどん御意見をいただければありがたいと思います。 はい、どうぞお願いします。

磯部委員

 ちょっと最初に、さっきの質問の補足を簡単にしたいと思うんですが、誘導ということの定義は、御説明の中でも私権の制約というお話がありまして、私も非常にそこの問題があるので書きにくいところだというふうに理解しているので、さっき結構ですというふうに申し上げましたが、基本的にはハザードマップをつくったからには、危険なところには住まないというのが、やはり基本的な方向性ではないかというふうに思いますので、これは私権の制約との関連で順次やっていくという、そういうテーマかなと思っています。 環境の問題については、後からも質疑があったんですが、基本的にはやはり生命を守るというのが、まず防災を考えるというのが第一義的にあって、ここの河川のところで表現されているように、環境や景観に配慮するという、そこがやはり基本的な視点ではないかという気が私はしています。とにかく国民を安全にするということが第一ではないか。それが補足です。 もう一つは、ハザードマップに関して高潮のところなんですが、大変こういうことが入れられて結構なことだと私も思っていまして、特に私が期待しているのは、高潮については、いわゆる高潮偏差で水位が本当に上がってくる分と、それから、そのときに波が大きいから波で打ち上げるという分。水位が上がって堤防から越流するという部分と、それから波で越波と言いますけれども、波で打ち上がる分と2つあって、越流というのが非常に危険度が高いんだと思うんです。それが、八代海で12人も人が亡くなったというところに効いてくるので、これを全部丸めてハザードマップと浸水域というところに出てくるので、私は非常にそれに期待をしています。越波であれば、流量が越流に比べれば、勿論条件にもよるわけですが、比較的小さいですから、浸水域は小さくなるというようなところに効いてくるので、非常に期待をしているということで、それによって危険度が明確に出てくるだろうと。 最後にもう一点は、この第3編の直前に津波対策というのが防災基本計画の冊子の55ページに書いてありまして、そちらの方は、構造物をつくるときは、津波に対して安全に配慮すると書いてあって、後は避難場所、避難路というような書き方がしてありますから、津波が来ても陸上に津波が侵入しないようにというような書き方は、恐らくしていないんだと思うんです。 今、議論されていて、ひょっとしたら変わっているかもしれないんですが、それに対して風水害の方は明確に、風水害から国土並びに国民の生命、身体及び財産を保護することに十分配慮するというような書き方になっていて、若干書きぶりが違うんだろうかというふうに感じるんですが、サイエンスと言うか、エンジニアリングと言うか、そういう立場からしても津波の場合は、こういう書き方をせざるを得ないのかなという気もするので、これはこれでいいんですが、そういうことになっているということなんでしょうかという確認であります。

野田参事官

 まず、最初の方のハザードマップの件につきましては、前回の1回目のPTの場で、磯部先生の御指摘について、高潮ハザードマップについては、水位偏差と波を使い分けるべきであるというふうに、私、その前にお伺いしたときのことを申し上げているんですが、ちょっと具体的にどういう形で記述をしていいのかどうかというのが。

磯部委員

 今、とにかく期待していますと申し上げたのは、とにかくハザードマップをつくれば自動的にそれは出ると思いますので、特にここに書くという話で申し上げたわけではありません。

野田参事官

 そういう形で1回目から御紹介をして担当の方も御理解をされていると思います。 それから、今の津波のところの書きぶりが違うという話なんでございますが、正直申し上げて、風水害のところをぐっと見つめて記述をしておりまして、津波のところとの整合性がまだ十分に取れていないというふうに思いますので、これについては全体を見ながら調整をさせていただければというふうに思います。

磯部委員

 だから、私が今申し上げたのは、津波と高潮、あるいは津波と風水害との、やはり基本的な性格の違いということもありますので、全部を一律に必ずしも書けるかどうかというのはわからないと私も思っています。 ただ、ちゃんと理解をした上で書きぶりが違うなら違うという理由を持っていないといけないと、そういうふうに思います。

福岡座長

 ありがとうございます。それは、ちょっと御検討をお願いします。 どうぞ、水山先生。

水山委員

 11ページの一番下のところに、研究の推進のところですが、気象庁は、降水短時間予報等を活用しというのがあります。この種の情報は気象庁から出るべきだろうと思っていますが、研究の推進の話ということならば、降雨予測の方は、勿論気象庁に頑張っていただくとして、その後の土砂災害の有効な予測技術の開発云々については、国土交通省と共同してといった文言が入ってもいいかなという気がしています。

福岡座長

 今のに関連して、これは後の問題になるかもわかりませんが、これは土砂災害だけ書いてありますね。例えば、困っているのは2級河川のような観測体制がよくできていないところですね。国の河川は比較的しっかりと情報を集めて、すなわち洪水情報を集めて、それを管理につなげるということをやっていますけれども、多くの地方の川は、なかなかそこまでいかないとなってくると、やはり雨のしっかりした予報を立てるということが、実はその後のものに管理と言うか、危険回避にとって大変重要なんです。 ここまで、土砂災害についてきちっと書いたんであれば、私は河川についてもそれぞれのところがやっているのは十分承知しているんですけれども、特に地方の川については情報がないので、気象予測を活用した形で、それぞれの流域のものについて雨を考えていくというのが大切になるんではないかと。それが人命に関わってくるということ。その辺をどうするのか。 地域防災計画で、これは後の方にあるように、こういうことをやりなさいと、洪水氾濫予想何々をつくりなさいとか、それから見直しもやりないとか、いろいろあるわけです。書いてあるんだけれども、具体的にそんな技術を地方が持っているとは思えないわけです。 となると、有力情報としては、かなり信頼度の高い雨の情報、少なくとも雨の情報については気象庁が現在行っているいろんな予想技術、GPVとか、レーダーとかいろんなことをやっていますし、今、水山先生からお話があった国土交通省と体制を一緒に、今はともに国土交通省ですね。だから、その中でやればかなりの信頼度が上がってくると思うんですが、こういう中でやはりうたわないと、いつまでたってもそこは変わらないのではないかという感じを私は持っているんです。

水山委員

 水防法の改正で2級河川も洪水予報するんですね。ということは、今の話が含まれるということではないんですか。

福岡座長

 そうだね、そこはちょっと失言しましたけれども、2級河川にもまたいろいろあるでしょう。 だから、小さな河川で災害が起こりますね、人間が死んだりすると、前回の玄倉川のようなものが起こったりすると、ああいうものに対しては、やはり雨の方の情報がかなり信頼度を高めていくということが必要なんだろうと思っているんです。その辺りは。 だから、確かに今、水防法でやると。やると言っても本当に気象情報がぴしっとうまく入っていくのかどうか。自分らでやれと言うのか、その辺りをこういったところで考え方はしっかり書いて、その後技術の進展に合わせて変わっていくのや見直しをやるということは何ら問題はないんですが、レールはある程度敷く必要はないのかということを少しお聞きしたいと思います。

国土交通省

 水防法の改正で、県管理の河川まで洪水予報の対象にいたしまして、当然雨量データ等が必要になってくるわけですけれども、ここについては、気象庁と協力をしまして洪水予報を行う河川について必要な情報が都道府県に伝わるような体制、これも併せて整備をしていくということで取り組んでおります。 12ページの下段のところに書いてあるのは、水防法で取り組むべき内容を書いているわけでございますけれども、ただ現実には、1時間前とか、2時間前予報を出す関係上、中小河川と言ってもそこそこの流域を持った河川になってくると。またその程度での雨量情報等と言いましょうか、その提供ということになってくるんですが、更に本当の小河川になった場合には、残念ながら現在の予想技術では対応ができないという状況になっておりまして、中河川ぐらいについて必要な情報の提供も含め予測もできるような体制は、今取り組んでいるところです。 土砂災害の方の関係については、これは。

福岡座長

 そうすると、今のお話は、要するに雨の方についてはやるんだということですね。 土砂の問題で、地中の中のどういう水がどれぐらいあるかとか、これは危険になりますよということを改めてここに書いたと解釈すればいいんですか。すなわち、雨全般の予報、予測と言うか、情報を渡すのは中河川まではもうやりますと。

気象庁

 国土交通省、気象庁、一緒の国土交通省でございまして、洪水等について2級河川も含め、連携を取ってまずデータの共有化の部分についても国土交通、気象庁、それから地方公共団体と併せて有効なデータを共有して、すぐさまより精度の高い情報を出せるようにと。ただその際に先般水山先生の方から御指摘がありました、ごく短時間の予報技術、それを更に推進して、雨が降ったらすぐざっとくるような、そういう災害に対しても対処できるようにということで、現在の予報技術のさらなる推進を図ろうというのが一つの前半の観点でございます。 土砂災害の発生の部分につきまして、これは確かに先ほど御指摘のように、気象庁もやってございますが、砂防等土砂災害の関係のところについては、ほぼ似た記述でございますけれども、別の形でもやっておりますので、その辺については技術開発という観点では相互に、あるいは場合によってはお互いに協力しながら何かうまくやれるよう、情報交換もしながら実際には進めようとしてございますので、そこはもう少しわかるような形で、どう書けるか国土交通省の方とまた相談してみたいと思います。 それについても、ばっと降ってすぐ来るようなところとか、そういうところもあると思いますので、それについてもう少し研究を進めながらと思っております。

福岡座長

 そうすると、水山先生が言われた11ページ一番下の「気象庁は」というのは、これは「国土交通省は」でいいんですね。

水山委員

 ただ、次のページが皆「気象庁と国土交通省は共同して」と書いてあるものですから。

福岡座長

 何でこういうことになるんですか、同じところなのに。

国土交通省

 少し整理をさせていただきます。

福岡座長

 わかりました。もう一度確認しておきたいんですが、今の御説明はわかったんですけれども、技術を高めていくため見直しをするとか、何々をするというのは大いにやるんです。これは大学を含めて、だけどこれは法律ですので、やはり何と言うか、見通しと言うか、こういうことが必要なんだということを読めるようにしておいていただきたいと。

国土交通省

 今の両先生の御意見を伺っていまして感じましたのは、1つは降雨予測についてできるだけ短時間の局地的な予測技術を高めるという部分。それから、土砂災害の予測をする分。そして、水防法の世界で言う洪水の予測をする。恐らくその3つをそれぞれにきっちり書き分けるべきであったところが11ページのところが短時間予報と土砂災害がくっついてしまったために、ややそれと洪水予測に対して見たときに違和感があるのかなと。短時間予報は予報で、必要な情報提供なり、あるいは精度の向上ということで書き分けをしていけばすっきりするかもしれませんので、そういうような部分を含めまして検討させていただければと思います。

福岡座長

 よろしくお願いいたします。では、片田先生お願いします。

片田委員

 前回も住民サイドの視点がほしいという話をしたんですが、今回の改定を通じていろいろ細かな配慮、行政サイドは何をやるべきかということについては、随分細かく盛り込まれてきたなという感じを持っておりますけれども、例えば9ページの一番上の丸、これは防災教育のところだと思うんですけれども、結局避難勧告が出たり、いろんな情報を住民に与えても最終的に逃げるのは住民であって、住民の意識がそのレベルにないとどうにもならないという意識を持っております。 そういった観点から、9ページの一番上の丸を見ますと、危険性を周知させるということがうたわれている。それから、取るべき行動、防災知識の普及啓蒙を図るというぐらいになっておりますけれども、もう少し踏み込んでいただいて、例えば地域の安全は地域で守るとか、自分の命は自分で守るというような、非常に防災の根本のところに踏み込んでうたっていただくといいんではないかなと。そうすると、何か非常に難しいそのとおりに書くのは難しいのかもしれませんけれども、要は単に知識の普及を図るだとか、危険性を周知するということだけではなくて、やはり根本は地域の安全は地域で守るというような姿勢を、そういったレベルで住民にわかっていただかないといけないんではないかなというふうに思います。 そういった観点では、もう一つ関連することとしまして、11ページの水防活動の話なんですけれども、特に地方に行きますと、初期対応をしてくれるのは水防団であって、全体として記述の量とか、記述の深さというもの、これは水防団については、ちょっと不足ぎみなんではないかなという気がしております。 特に地方に行きますと、消防団もそうですけれども、水防団の人員がどんどん少なくなっているというのは、非常に顕著なことでして、災害時の初期対応の力がどんどん低下しているという事実は、もう少し前向きにとらえた方がいいんではないかなと私は思っております。 11ページの上から2つ目の丸の記述、これも単に「青年層・女性層の団員への参加促進等水防団の活性化を推進し、その育成、強化を図るものとする」。書いてあると言えば書いてあるんですけれども、具体的に災害の現場を見て歩いておりますと、この前の西枇杷島町の対応なんかでもそうでしたが、水防団で出ていて、家を完全に空けていて、水防団の方々も被災者であるわけですね。そういった対応と言うか、そういった方々へのケアみたいなものが何もないというような状況の中で、結局、彼らの士気だけに依存している。でも、実際は大きな損害を被ったのは、水防団の方々の家だったりして、そういったところへの対応というのが何もなされていない。そういった中で、やはり組織率と言うのか、加入率も低くなっていくような要因も一つあるだろうというふうにも思います。 そういった面から考えますと、この中で記述するかどうかはともかくとして、実態として水防団の方々、そういったものをもう少し待遇面とか、その方々が被害に遭ったときの対応だとか、そういったことまで対応を考えていかないと根本的にはうまく回っていかなくなっていまうんではないかなというふうに思います。 災害時の一次対応の一番最初に出ていく人たちですので、ここの部分の力不足というのは、被災の大小に非常に大きな影響を及ぼすと思いますので、あえて発言させていただきました。

福岡座長

 もう片田先生は、これで生きていますので、一生懸命災害現場へ出てこういうことを調べて、いろんなところで言っているところなんです。どういうふうに、これを反映するかというのは、どうぞ。

水山委員

 最近のことはよく知らないんですが、水防団の訓練について、昔ながらのトレーニングをしているんではないかなという気もします。最近の水防活動そのものが資機材の変化で、大分変わってきているような気もします。指揮系統がどうなっているか私はよく知りませんが、内容的に今の時点での見直しが必要かもしれません。今、水防団、消防団が最初に動かれるという話をされたんですが、昔、私は田舎にいまして、消防団も水防団も若いころやっていました。最初のころはまさに我々が先に動いたんですけれども、ちょっとすると、もう交通整理だけでいいんだという話になったんですね。水防団のあり方も、大河川の都市の水防団と、田舎の水防団とまた違うんでしょうが、今の時代に合ったトレーニングを含めての見直しが必要かもしれません。

片田委員

 地方によって位置づけが全然ばらばらですね。何か統一したものがあるようには思えないと思っています。

福岡座長

 勉強不足なんですが、水防法を議論したときには、こういったことは議論されたんですか。

国土交通省

 水防法は、今年改正しましたけれども、それに先立って水災防止対策の在り方について、旧建設省の時代から議論をいたしまして、そして提言をいただいた中から法律としては水防の改正に至っております。 そのほかにも、いろいろな今御指摘があったような課題がありまして、それについてどう改善すべきかというような提言は随分たくさんいただいております。 国土交通省としては、それを受けて具体的な政策を打っていかなければいけないわけですけれども、なかなか一方で非常に難しい局面にもきているものですから、一気にはかばかしく成果が出てこない、そんな状況でございます。 随分技術も進んで時代も変わってということで、いろいろ水防活動そのものについても改善をしているのかというような点がございますけれども、いろいろな新しい素材とか、設備とか、そういうようなものはできる限り普及できるような形で国で用意できるものは用意し、それを貸与するとかやっていっておりますけれども、最終的にはやはり伝統の素材のところに行き着くような気もいたしております。全く改善されていないかと言うと、そうではなくて、順次改善はしつつあるということです。 どの程度のものまで、既に提言をいただいているものが対応できるのか。若干地域によっても差があり、またこういう社会状況の中で、ああいった大変な活動に参加をしていただけるような雰囲気が世の中になくなってきていると、そういう社会的な背景もあるものですから、思い切ったことはなかなかここで書けないという点は御理解いただけると思います。

福岡座長

 別なところでもいいですから、本当にこれはちゃんとしなければだめですね。

国土交通省

 おっしゃるとおり。

福岡座長

 この中に書くというのは、いろいろもう少し配慮しないといけないと思うんですが。

国土交通省

 消防団も同じなんですけれども、こういった活動をしていただいた方への最低限の補償については、法律できちっと手当はできていますけれども、それを超えるようなところまではなかなか難しいという面がございます。 もう一方で水防団の重要性というものをPRをしていくということと、それからそういった労に報るというようなことで、公報活動、それから報償につきましても、消防団、水防団、総理大臣表彰をたくさんいただくような形での報償を行ったりとか、そういうようなことで、できる限り活性化するように取り組んでいきたいと思っています。

消防庁

 消防団も全く同じで、水防団ほどは沈静化していないかもしれませんが、同じような問題がありまして、今、消防庁の方でも消防団の活性化の在り方で抜本的な議論を始めていまして、現に団長さんにも入っていただいて議論しています。 ただ、地域によって大分違いまして、長野県のようなところは4万2,000 人もいまして、女性消防団も入れて最近随分活性化していると。地域の会長さんの意気込みによって大分変わってくるということもあると思うんです。そういうことをちょっと総合的に考えてみたいと思います。

片田委員

 それは、9ページの最初に申し上げました、地域の安全は地域で守るとか、自分の命は自分で守るというような、そうやって書くと責任放棄しているみたいで書きずらいのかもしれませんけれども、根本はそういうところに本当はあるわけですね。ですから、ここも単に知識を周知するというような書きぶりだけではなくて、もう少し踏み込んだ書かれ方、防災教育のポリシーというのが根本ですので書き込まれた方がいいんではないかと思います。それは、消防団や水防団とも連動すると思います。

野田参事官

 9ページのところ、防災知識の普及訓練というところで、こういう記述をしているんでございますが、その上に略させていただいておりますけれども、「防災思想の普及、徹底」というところがございます。 お手元に計画書がいっておりませんでしょうか。今、計画をお持ちいたしますが、71ページの上のところに1番「防災思想の普及、徹底」というのがございまして、自らの身の安全は自らが守るのが防災の基本であり、国民はその自覚を持ち、平常時より災害に対する備えを心掛けるとともに、発災時には自らの身の安全を守るよう行動することが重要である。一応、ここのところで思想的にはうたってございますので、後はここの思想を、ここの書きぶりにどういうふうに生かせるかというのは、ちょっと検討させていただければと思います。

福岡座長

 はい、ではよろしくお願いします。 もう一点、私もちょっとわからないのでお尋ねしたいんですが、19ページの一番下の文がよくわからない。すなわち、「浸水想定区域の指定に関する事項」なんですが、市町村防災会議の協議会が設置されている場合には、同協議会が市町村相互間地域防災計画において定めると、これは何を言っているんですか。

藤田参事官補

 地域防災計画は単体の市町村がそれぞれ防災会議の中でつくるんですけれども、例えば水害等の場合、河川に幾つもの市町村が並んでいて、被害を受けたときに1つの市町村に収まらない場合は、それらの関係市町村が防災会議に相当する協議会をつくれるという規定がございます。要するに、それが一つの地域の防災会議としてまとまるので、水害の場合はそういう事例が多いですから、複数の市町村にまたがるような場合は、そういう協議会が防災基本計画にそういうものを反映させなさいという意味で書いてございます。

福岡座長

 そうすると、14のヘディングを見れば浸水想定区域の指定に関する事項なので、そういうことを言うんだろうなと思うんですが、この2行だけ読んでいると意味が通じにくいんではないんですか。同協議会が何を、市町村相互間地域防災計画において定める。

藤田参事官補

 文章につきましては、最終案のときに国交省さんとも調整をさせていただいてわかりやすく書くように努めたいと思います。

福岡座長

 よろしくお願いします。そうすると、これは私が個人的に思っているんですけれども、例えば市町村に行きますと、普段から防災をやっている人は極めて少なくて、違う地域連携とか、どっちかと言うと地域のフロントでみんな地域の人と接触していると。それが災害時になると、防災関係者に変わるケースが多いです。 私は思うんですけれども、この中で書くということではなくて、私が思っていることを申し上げたいんですが、やはり今後は市町村単位の防災関係者ではだめで、もっと大きな広域防災と言うか、洪水氾濫などというのは、そこの市町村にとどまらないわけですね。そうすると、広域防災で、やはり防災をやる人はずっと防災を見ているという考え方にしていかないと、そのときだけになっても恐らく余りうまくいかないのではないのかと思っているんですが、その辺りはどんな状況になるんでしょうか。

消防庁

 特に小規模の市町村に行きますと、役場の総務課の総務係長さんが年に何度か防災のことを考えるだけだというような実態が多々ありまして、先ほどの地域防災計画が見直されていない最大の理由の一つに、やはり人手の問題とか、そういう話もあるということが実態だと思います。 今、おっしゃった点につきましては、例えば19ページの教育の件に関しまして、4のところで従事する職員に対し、いろんな形での研修ということを言っておりますが、少なくともその職員については、こういうことで能力を高めてもらう。その能力を高めた職員がある程度防災という業務でローテーションを組んで、ほかの分野にすぐいってまた無駄になるというようなことがないような仕組みとしてどんなものがあるかというのは、これからの大きな課題だと思っています。

福岡座長

 おっしゃるとおりで、やむを得ないと思うんですけれども、私はもう少し同協議会が浸水想定区域の指定については、そういうところが核になってつくるんだということはありますけれども、これにやはり準ずるような形の防災体制というのを、水災害については考えないと、どんどん形骸化していくと。 消防庁さんが言うように、今努力しているというのは十分わかっているんですけれども、そんなものではないのではないかと。その程度で本当に危機的な状況になったときにできるんですかという印象は私なんかは強く持っているんです。だから、自主防災とかいろんなことを言うけれども、もう少しいつも考えている人がいる。考えていたら暇だろうと思うから別の仕事を言いつける。それが本務になるということになるところが、やはり防災が根づかないというか、しっかりしたものになっていかないことなんではないかなと思っています。これは、かなり個人的で感情の入った考えなんですけれども、ここをちゃんとやってもらいたいなというふうに思っているんです。

消防庁

  消防庁に関しましては、一部事務組合で全国市町村の数が三千二百幾つがある中で、九百ぐらいになっていますから、常に消防中心ですけれども、考えています。 ただ、組合消防のあれは市町村と消防でラインが違うものですから、常に防災のことを考えているという人が特に弱小町村で少なくなるという傾向があるものですから、そこをどういうふうに解消するかというのが大きな課題です。

福岡座長

 ちょっと御検討して、別に書いてくださいという意味ではなくて、そういったことをいつも話題にしていただきたいということで申し上げました。

野田参事官

 専門調査会の方でも同じような御意見等がございまして、そういう防災の専門家というものをいろんな自治体で育てていくということが非常に大事だというふうに認識をしておりまして、ちょっと先ほど御説明した中にも地方自治体の中にそういう専門家を育てるというようなことは少し書かせていただいておりますので、もう少しその辺を広げて書けるかどうか考えてまいりたいと思います。

福岡座長

 もう一点だけ小さいことですが、大学の防災講座どうこうと、あれは防災関係講座の方がよろしいんではないですか。何か防災講座なんていうのは、なかなかないんです。防災に関係する講座ではないですかね。どうですか、水山先生。

水山先生

 私もそう思います。

福岡座長

 小さなことですが、あちこち3か所ぐらい出てきたと思います。防災に関わる講座とかに直していただければと思います。

消防庁

  最近は、防災専門の講座というのもできてきているようなんですが、今のところは確かに関係講座の方なんでしょうね。

福岡座長

 もう一点は、この防災基本計画というのは、何かいつまでこういうことをやりなさいという計画としての時間とか、そういうのは何かあるんですか。これはもう改善していくというだけの話で、いつまでこういうことを考えたらいいんではないかとか、基本計画ですから多分ちゃんとした災害対策基本法というのがあって、なっていると思うんで、いやらしい質問で恐縮ですけれども、これを書いてやりなさいと言うけれども、先ほど拘束力がないというのをお伺いしたので、それはよろしいとしても、タイム的にはどういうふうにこういうのを考えていくんですか、徐々によくなればいいと、問題が出たら見直しをこういうところでやると、それが達成しているかどうかというのは、行政が見ていくということになるんですか。

野田参事官

 まず、防災関係の公共事業につきましては、これは長期計画というのが別途法律体系としてありまして、それは5か年ごとに整備契約が出てまいります。それでターゲットが設けられているわけです。 防災基本計画がどこまで進捗をしているかとか、この中身の評価、これにつきましては、これまでそういうシステムがなかったんでございますが、省庁再編に伴いまして、政策評価という部分が出てまいりまして、この防災基本計画についても政策評価の対象になるということでございまして、今、その政策評価をどういう形で今後やっていくかということを少し検討させていただいているところでございます。 したがいまして、今の時点では2年後に、または5年後にという、いわゆるニュー・メリカル・ターゲットというのはちょっと定められていないんでございますけれども、もう少しお時間をちょうだいして政策評価の方法を考えたいというふうに思っております。

福岡座長

 やはり、こうやって悪い言い方をすれば、非常に総花的に法律改正されるごとにいろんなことを入れていくと。それは、それで非常に大事で体系化してくるんですが、やはり濃淡があると思うんですね、これは急ぐんだとか、これはもう少しこうやってやるんだという、何かそういう温度差のあるものが出てこない限りは、全体にみんなやるんですとなっているんでは、一気に変われとは言いませんけれども、防災問題は余りよくなるということにはなりずらいので、そこのことも少し考える必要はありませんかね。ここの議論というよりも全体の議論として、国の防災計画全体だと思うんですが、この辺りは皆さんどうお考えですかね。こんなの無理だよと言うのか、あるいはこのプロジェクトチームとしては、それぐらいのことはやってくださいと言うのか、もうちょっと前向きにこういうのをつくってよしというのではなくて、どう動いているのかというのが評価システムという形でもよろしいですし、そうしていく形が本当にやれるのなら少しずつやっていただきたいと私なんかは思っています。

野田参事官

 先ほど申し上げました内閣府の中の政策評価というのは、この防災基本計画についても対象になっておりまして、これについては近々どういう方向で評価をしていくかということを検討する予定になっております。それを踏まえまして、そういうシステムについて考えてまいりたいと思います。

福岡座長

 はい、どうぞ。

片田委員

 ちょっと話をぶり返すようで恐縮なんですが、19ページの4のところ「防災上必要な教育に関する事項」についてなんですけれども、先ほど来の議論で、防災業務に従事する職員、これの専門家の育成が重要なんだという話、私も指摘しましたし、そのとおりだと思うんですが、ちょっと考え方が違うような気もしないでもないなというふうにも思います。 と言いますのは、実際の被災対応をした役場へ行って、役場の職員に全部ヒアリングなんかをして回りますと、例えば、防災担当の総務課みたいなところは、防災業務に従事する職員というような位置づけを平時から持っている。でも、ほかの部署の人たちというのは、全然防災に対応する業務を持っていないという認識でいる。そもそもこれが多分間違いなんだろうというふうに思うんです。 実際に被災した役場の対応というのは、全町職員が一丸となって災害対応に当たるわけで、どちらかと言うと、役場の中の業務すべてが平常モードと災害モードがあるというとらえ方をした方が私は正しいんではないかなというふうに思うんです。 例えば、先ほど来話に出ている福祉でもそうですね、平常時の福祉業務と災害時の福祉業務は同じ福祉業務の枠のはずなのに、災害時の対応が全然考えられていない。それは防災担当者の仕事というようなことになっている。 それから、学校もそうなのかもしれませんね。例えば学校の体育館なんていうのも、これは学校教育施設であって、災害対応とは関係ない。 それから、衛生なんかでもそうです。平常モードの業務については日々一貫したマニュアル化されたルーティンワークのようになって、たんたんとことが進んでいっているんですが、災害という異常モードにぽんと入った途端にやることがわからない。現場から上がってくる情報に基づいて場当たり的な対応に終始せざるを得なくなる。 何でこんなことになったんだと言うと、防災の部署がしっかりしていないからだというようなところに責任を一元化していく。自分たちは、関係ないんだというようなことになってしまう。 そういうふうに考えますと、防災業務の専門家を育成するというニーズは勿論あると思うんですけれども、そうではなくて、役場の職員全体が平常モードの仕事は日ごろやっているからそれはそれでいいとして、災害モードの仕事というものをすべての職員がそれぞれの部署の持ち分として災害モードでは何をやるべきなのかを明確化しておく。そういう観点に立たないと、災害対応はうまくいかないというふうに思います。 そういう観点からいきますと、ここの19ページの4の書き方、これはよろしくないなというふうに思うんです。防災業務に従事する職員等に対しと書いてありますけれども、果たしてそれだけなんだろうかと。一般の職員も含めて、災害時にどういう対応をするべきなのか。それを災害モードにおいて何をすべきなのかということを明確化しておく。そういった意味においては役場の職員全員だろうと思うんです。勿論、専門家の育成も必要だと思います。

福岡座長

 これについては、どなたか。はい、お願いします。

野田参事官

 実際には、それぞれの市町村等には、そういう災害時の役割分担みたいなものを緊急参集をするとか、そういうようなマニュアルをつくっているようなところもございますし、基本計画の中にもそういうことに配慮するようにということを一部書いているところもございます。 ここの19ページの書きぶりについては、先生のおっしゃるように防災担当者だけに限定したような書き方になっていますので、少しそういう幅広な読み方がするような修文をできるかどうか検討させていただきたいというふうに思います。

消防庁

 教育と訓練があると思うんです。今、先生がおっしゃったのは、むしろ訓練の局面の話ではないかというふうに思っておりまして、県でも市でもそうなんですけれども、非常時にあなたは何をするというのが決まっているんです。私もJCOの事故で茨城に行ってときに、総務班とかいう班になっていましたが、全く訓練も何もなくて、総務班で何をしたらいいかって、災害時になって初めてぎょっとしたということがございまして、そのようなことを常日ごろ図上訓練なり、何なりしていかなければいけないのかなと。専門家としての教育は勿論必要で、それに加えて非常時モードでどういう訓練なり教育をするかということは、やはり別途必要かなというふうに思っております。

福岡座長

 ほかに、それぞれの省庁から来られている方で、何かこの場で是非伝えておきたいと。はい、内閣官房の足立さんお願いします。

内閣官房

 内閣官房で危機管理担当をしています内閣参事官の足立です。 2点申し上げます。1点目は行政内部の話で恐縮でございますけれども、阪神・淡路大震災以降、官邸の危機管理機能というのを高めようという話がありまして、私どもの方で危機管理体制の整備をしておるところでございますが、そういったところの記載について若干不足しているような感じがありまして、初動対処マニュアルだとか、そういったものをつくってやっている初動の対処体制について、それから情報の収集集約体制。この辺を少し丁寧に書いた方が良いと考えておりまして、これは内閣府さんと御相談して整備させていただきます。 二点目は、私の経験で恐縮なんですけれども、復興復旧のところでちょっと気になったことですが、東海豪雨に少し関わったものですから、記憶にあるんですが、瓦礫処理というのがあるんですけれども、あのときすごく住民の皆さんが苦労していたのは、それだけではなくて、ごみだとか廃棄物だとか、泥とかの処理にすごく苦労されていたという印象があって、その辺が何か工夫ができないかなということと、やはりボランティアも随分活躍されたという印象があって、その辺のところを私の経験からすると少し紹介していただければありがたいと思っております。 ちょっと差し出がましいようで申し訳ございません。

野田参事官

 初動の内容については、また内閣官房の方とよく調整をさせていただきたいと思います。 それから、瓦礫の話は、これは阪神・淡路のときに非常に瓦礫の問題が大きな問題だったので、横並びでざっと入っているんだと思いますが、これもまた今ございました、ごみとか廃棄物の話がどこまで含められるかについて、また御相談をさせていただければというふうに思います。

岩田参事官

 もし、ごみとかそこまで廃棄物を書くんであれば消毒のことなんかも併せて書かれた方がいいかなと思います。

福岡座長

 大体御議論は出たのでしょうか。ほかに、どうぞ。

磯部委員

 防災計画の方の72ページ辺りに、先ほど出ていた消防団、水防団とか、それからボランティアのことが書いてあるんですが、多分防災ボランティアというところで想定されているのは、災害が起こってしまった後どう処理するかということで入っていると思いますけれども、実際にはひょっとしたらボランティア活動で防災の方にも入るのかなということがありまして、それは海岸で言うと、いわゆる海水浴上の監視員みたいなライフセービングという活動がありますが、これはボランティア団体がやっていて、そういう人たちに協力をしてもらうと、例えば津波なんていうところで、地震が起きました。皆さん逃げてくださいというのは非常に役に立つんではないかと思います。 海水浴という例を出してしまうと、高潮の場合は天候が悪いので海水浴をしている人はいないだろうから、余り関係ないかもしれないのですが、NPOの人たちも後処理だけではなくて、その前のところにも関わっていただく可能性はあるんではないかという気はします。

福岡座長

 ありがとうございました。どうぞ。

野田参事官

 検討させていただきます。

福岡座長

 ほかにございますでしょうか。私もこれで最後にしたいと思うんですが、前回申し上げたハザードマップのところは、かなり今度は技術の進展とともに見直しをしていくわけですね。見直しをするということが書いてあるんですが、やはり地方とか国とかが、主として地方なんですけれどもハザードマップつくると。その技術レベルを相当上げていかないと、つくってそれで終わりにならないようにするような何かそういったことが、技術のことがほとんど書かれていないので、やはりこういうものは非常に人々の生命、財産に関わることなので、技術については常に新しい、いろんなところでやられている技術を導入して見直しをしながら精度を高めていくとか、そのことぐらいは書いておく必要はありませんでしょうか。何かつくるということになっていると、具体的には土砂の氾濫区域にしろ、本当にすべてが洪水について2級河川もやりなさいと言われたときに、やはりその制度を問われるわけです。そこについての技術力を上げていくというか、技術の精度を上げるということをどこかにちゃんとうたっておく必要があるんではないかなと私は思いますが、いかがでしょうか。どこかに書いてあるんですか。

文部科学省

 一応我々の大学、それから防災科学技術研究機関があるわけでございますが、特に最近、そのほかの技術ですと、民間への技術移転とか、産学官連携と言われているわけですが、我々の分野について言えば、内閣府さん、あるいは国土交通省さんを始めとする国の関係機関、それから地方公共団体、こちらに研究の成果をいかにフィードバックしていくか。あるいは、そもそも研究開発ニーズをどうやって一番現場に近い自治体の方から持ってくるかということがあるわけでございまして、そういう観点から今回一応11ページのところに書いてございますが、研究成果の活用、これがより図られるような格好で自治体等への情報提供、そういったものを進めていくということを書いていただいておるかと思っております。 そういう観点から言えば、今特に一部の大学の先生とお話ししておるんですが、災害自体が地域にかなり特有のものでございますので、99ある国立大学の防災関係の研究者の方と地域の自治体の防災関係者の方々の何かネットワークみたいなものをつくれないかというようなことも内部では話し合いを進めてございます。

福岡座長

 結構ですね。是非そういったものが、ちゃんとしたものに反映していくと、こういう計画の中で、今のだけではないと思うんですが、現状でもやった後の見直しというのを頻繁にやるぐらいのことになっていかないと好ましくない面が出てくるんだろうなと思うのと、水山先生はその辺りどうお考えですか、御意見を聞かせてけたらと思います。

水山委員

 必ずしも書かなくてもという気もするんです。そういうものをつくりなさいよというのが上にあって、洪水氾濫などそれぞれの現象に関して、今度は個別に例えば5年ごとに見直しましょうといった形になっています。また技術が進んだら、見直しましょうという指示が出るんでしょう。ですから、ここは上の縛りがあればそれでいいかなという気がします。

福岡座長

 その辺りは、恐らくそうなのかもわかりませんが、よく原局というか、それを対応しているところと意見すり合わせて、その辺りて技術の話は、どうしても何となく抜け落ちているので、こういったところが少しすき間になっているような気が私はしますので、どうするのか。 今、水山先生が言われたうような判断でもいいのかもわかりません。もっとちゃんとやっているところがあるから、それを反映すればいいという考え方もあると思います。 そうなると、体系の話になりますので、よろしくお願いいたします。

消防庁

 今のハザードマップに関連しまして、よく防災の専門家の方と話しますと、ハザードマップ、特にに防災マップでしょうね。一方的に行政がつくって出すのではなくて、よく住民の方の話を聞いて、手続に住民の方をかませた上でつくった方が、よくアプリシエートされるし、住民も自分のものだと思うという意見があるので、手続的なことをちょっと我々で考えてみる必要もあるんではないかなと、ちょっとよけいなことですけれども思いました。

磯部委員

 今、大学とか研究所というのが出てきたので、学会というのも単語が入っていないかなというふうに、ちょっと今気がつきました。それは、私は土木学会の会員ですが、高潮災害に起こったときに緊急調査団のメンバーということになっていまして、土木学会から派遣されて、それを調査するという組織がありますので、そんな組織も有効活用すれば使えるんではないなという気がしますので、そういう単語が入っていてもいいのではないかと思いました。

福岡座長

 では、今日は、いろいろな御意見がいただけましたと思うんですが、もう一回やらせていただいてよろしいでしょうか。 それでは、今日の委員会は、これでかなりの御意見をいただいて、この案文に対しての、こういった修正をお願いしたいというのと、大体この辺はよろしいというがはっきりしてきたと思いますので、次回の会議に向けてよろしくお願いしたいと思います。 それでは、事務局の方にお返しいたします。

野田参事官

 大変どうもありがとうございました。今後の進め方でございますけれども、本日御出席をいただきました技術面の話ですとか、専門家の職員の育て方でございますとか、御指摘いただいた点をどこまで書けるかということにつきまして、これから少しお時間をちょうだいいたしまして、スケルトン案を具体的な文面に変えてまいりたいというふうに思っております。 次回の第3回プロジェクトチームで、その案分について御議論をいただきたいというふうに考えております。 したがいまして、次回は2月ごろを予定をしておりますので、ちょっと日にちは今決められませんが、また御案内を差し上げて都合のよろしい日に開催をさせていただければと思っております。 それでは、これをもちまして本日の会議を終了させていただきます。 大変御議論いただきましてありがとうございました。

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