中央防災会議 防災基本計画専門調査会 第1回風水害プロジェクトチーム 議事録

日時:
平成13年10月29日(月) 14:00 〜16:00
場所:
中央合同庁舎5号館5階共用第7会議室
  1. 開会
  2. 議事
    • (ア)防災基本計画の修正について
    • (イ)風水害について
    • (ウ)意見交換
  3. 閉会

野田参事官

 それでは定刻でございますので、ただいまから「中央防災会議『防災基本計画専門調査会』第1回風水害プロジェクトチーム」を開催いたします。
 災害予防担当参事官の野田でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、早速委員の皆様の御紹介をさせていただきます。
 最初に、本日の座長を務めていただきます、福岡委員でございます。
 水山委員でございます。
 片田委員でございます。
 なお、本日、磯部委員は、御欠席でございますけれども、事前に私の方から御説明に参りまして御意見をいただいておりますので、後ほど御紹介をさせていただきたいと思っております。
 福岡委員には、本プロジェクトチームの座長をお願いしておりますとともに、防災基本計画専門調査会の専門委員にも御就任をいただいておりますので、検討結果を専門調査会に御報告いただきます。
 次に、内閣府防災担当の出席者を紹介させていただきます。
 高橋政策統括官でございます。
 北里大臣官房審議官でございます。
 中北参事官でございます。
 布村参事官でございます。
 春田企画官でございます。
 名執企画官でございます。
 菅井企画官でございます。
 続きまして、関係省庁から御出席の方を御紹介させていただきます。
 消防庁の務臺防災課長でございます。
 国土交通省の平尾防災課長でございます。
 気象庁の横田防災企画調整官でございます。
 以上がメインテーブルでございますが、その他にも関係各省から御出席をいただいております。
 それでは、審議に先立ちまして、高橋政策統括官よりごあいさつを申し上げます。

高橋統括官

 内閣府で防災担当の政策統括官をやっております、高橋でございます。
 本日は、中央防災会議の防災基本計画専門調査会の風水害プロジェクトチーム第1回の会合でございまして、会合に先立ちまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。 先生方には、お忙しい中、このプロジェクトチームの委員をお引き受けいただきまして、大変ありがとうございます。また、福岡先生には、取りまとめ、座長役をよろしくお願いいたします。
 少し防災行政の現状をお話しさせていただきたいと思いますが、防災行政につきましては、従来、今年の1月6日までは、国土庁の防災局というところがございまして、そこで担当しておりましたが、今回の省庁再編、行政改革の中で内閣府に旧国土庁防災部門が移行しまして、内閣府の中で防災担当として活動することになりました。
 内閣府には、内閣の重要政策を助けていくということで、防災行政につきましても、従来以上に政府全体としての各省にまたがります防災行政を、連携を取りながら、内閣総理大臣が政府全体としての防災行政を担当する中で、その事務方として調整を行うという役割が与えられております。
 また、この中央防災会議も従来からございましたが、従来にもまして内閣の重要政策に関する4つの重要会議ということで、経済財政諮問会議、あるいは総合科学技術会議等と並ぶ位置づけがなされております。
 そういうこともございまして、この中央防災会議の中で、政府全体の防災行政の基本的な事柄が決められていくことになっております。新体制になりましてから、今年の1月、そして6月に中央防災会議を開催いたしました。さる6月の中央防災会議の中で、防災基本計画、とりわけ風水害の問題等につきまして、今年度中に防災基本計画の改定を行うということで、専門調査会を設置することが了承され、さる10月11日に防災基本計画専門調査会が開かれたところでございます。
 とりわけ風水害につきましては、最近の状況としましても、平成11年には広島県を中心とした、20数名の方が亡くなるという土砂災害がございました。更には、この11年はある意味で風水害の当たり年でございまして、福岡及び東京においては地下室での水死者が出ました。地下空間における被害というのは以前からあったんですが、この11年に初めて地下空間で死者が出るという大変ショッキングな出来事がございました。11年の9月には、熊本県の不知火海岸で高潮災害、これも相当数の死者が出ました。また、昨年の9月には、東海地方で集中豪雨、これも大災害でございました。
 こういったことを受けまして、政府といたしましても、土砂災害対策法でありますとか、あるいは水防法の改正、そういった法制度の整備も進めておりますし、また地下空間、都市型水害、あるいは高潮対策に対するいろいろな政府としての対応等をまとめてまいったわけでございます。
 そういったことも受けまして、風水害に関する一連の行政的な対応、これをちゃんと防災基本計画の中で位置づけていくというのが、今回の防災基本計画改定の趣旨でございます。
 防災基本計画は、中央省庁、指定行政機関及び指定公共機関等が策定します防災業務計画、あるいは地方公共団体が策定します地域防災計画といったものの基本となるのが、この防災基本計画でございますので、とりわけ風水害につきましては、これまでの蓄積を踏まえて、専門的な立場から、また、このプロジェクトチームで御指導をいただいた上で、専門調査会あるいは中央防災会議の本会議に報告をしていきたいと思っております。
 大変タイトなスケジュールで、お忙しい先生方には恐縮でございますが、よろしく御指導いただきますことをお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。

野田参事官

 それでは、議事に入ります前に、配布資料の確認をさせていただきます。 お手元の資料、まず議事次第がございます。その次の資料といたしまして、「防災基本計画の修正について」というペーパーがございます。更に次の資料といたしまして、「風水害について」という資料がございまして、最後に平成13年1月に発行をいたしました「防災基本計画」を添付してございます。
 更に、本日、消防庁の方から「風水害対策に関する最近の地方公共団体の取組み等」という資料の追加をしていただいております。御確認いただけましたでしょうか。もし、不備等がございましたら、お申し付けいただければお手元にお届けいたします。よろしゅうございますか。
 それでは、以降の進行は座長の福岡先生にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

福岡座長

 本日の会議の進行役を務めさせていただきます、福岡です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回、風水害プロジェクトチームにおきまして検討いたします洪水、土砂災害等の風水害は、我が国の防災対策の重要な対策と認識しております。近年の災害対策の進展を踏まえて、防災基本計画を改定することは、防災対策の進展に大いに資するものと考えております。議事の円滑な進行が図られますよう努力いたしますので御協力をお願いいたしたいと思います。
 また、本プロジェクトチームの議事の公開についてでございますけれども、専門調査会運営要領に準じまして、会議の終了後、本日の資料と議事要旨を公表させていただきたいと存じます。また、詳細な議事録につきましては、後日、委員の皆様に発言内容を御確認いただいた上、発言者を記名して公表することにいたしたいと存じますので、よろしく御了承お願いいたします。
 それでは、議事に従って進めさせていただきます。まず、お手元にございます資料のうち「防災基本計画の修正について」事務局より説明をお願いいたします。

野田参事官

 それでは、恐縮でございますが着席して説明させていただきます。
 お手元の資料「防災基本計画の修正について」。1ページをご覧いただきますと、「中央防災会議について」というペーパーがございます。災害対策基本法に基づきまして、防災に関する重要事項を審議する国の最上位の会議でございます。内閣総理大臣、防災担当大臣の諮問を受けて、答申並びに意見具申をするという機関でございまして、会長は内閣総理大臣、委員には全閣僚、指定公共機関の長が4名、学識経験者が4名という構成になってございます。
 次の2ページ目を開いていただきますと、6月28日に開催されました中央防災会議で以下の3つの専門調査会の設置が決定されております。
 更に、その下に「参考」で付けてございますけれども、その前の1月の中央防災会議では、「東海地震に関する専門調査会」も設置されておりまして、現在4つの専門調査会が設置されておるわけでございます。本プロジェクトチームは、このうち10月11日に発足した「防災基本計画専門調査会」の下につくられたものでございます。
  3ページ目でございますが、防災基本計画専門調査会の役割として、1つは「防災基本計画の修正」がございます。今回は、風水害対策と原子力災害対策ということで、分野ごとにプロジェクトチームを設置して検討することとしております。更に「防災基本問題の検討」ということで、平成14年中を目途に、基本的な問題についても中長期的観点から審議を行うという形になってございます。
 4ページ目でございますが、防災基本計画の修正に関する基本的な方針をお示ししてございます。本プロジェクトチームは、この中でも「洪水対策」における危険性の事前周知等々。更に「土砂災害対策」、情報収集・伝達体制、早期避難。更に「高潮対策」における高潮防災施設の整備、ハザードマップの作成等について御検討をいただくということでございます。
 5ページ目には、「防災基本計画専門調査会」の委員の名簿をお示ししてございます。委員には、先ほども申し上げましたように、福岡座長に入っていただいております。
 6ページ目でございますが、この「防災基本計画専門調査会」を、10月11日に開催いたしまして、そこで本プロジェクトチームの設置の御決定をいただきました。プロジェクトチームにつきましては、風水害と原子力の2つをつくるということでございまして、今後のスケジュールでございますが、風水害対策につきましては、本日10月29日に第1回を開催させていただいて、その後11月の下旬から12月上旬に第2回のプロジェクトチームを開催させていただきます。その後、防災基本専門調査会を開催し、3月中旬ごろに中央防災会議で計画の決定をお願いしたいというふうに考えておるところでございます。
 その下には、プロジェクトチームのメンバーをお示ししてございます。
 7ページからは、参考でございますが、これは「防災計画の体系」でございまして、災害対策基本法に基づく最上位の計画として、これから修正をいたします防災基本計画がございます。先ほど統括官からも申し上げましたように、この計画に基づいて指定行政機関及び指定公共機関が防災業務計画を策定いたします。また、都道府県、市町村においては地域防災計画を策定するという体系になってございます。
 8ページ目が、「防災基本計画の構成」でございますけれども、大きく「自然災害」と「事故災害」に分かれておりまして、自然災害の中もここに示しましたような4つの分野に分けて記述をしておるところでございます。
 これまで、下の表の中にございますように、昭和38年の策定以来、都合5回改定をしておりますが、特に自然災害編につきましては、平成7年の阪神・淡路大震災を受けて全面的な修正をして以来の改定になるということでございます。
 9ページ以降には、10月11日に開催いたしました防災基本計画専門調査会の議事概要をお示ししてございます。幾つか重要な点、私どもの風水害に関係することについても記述をされておりますが、御一読いただければと思います。
 「防災基本計画の修正について」の説明は、以上でございます。

福岡座長

 ありがとうございました。ただいま、事務局からの説明につきまして、御質問等がございましたらお願いいたします。
 よろしいでしょうか。また、次の風水害のところで関連して御質問等がございましたら、併せてお願いすることにいたしまして、それでは風水害についての議論に移らせていただきたいと思います。
 それでは、事務局から説明をお願いいたします。

野田参事官

 それでは、引き続き「風水害について」という資料について説明をさせていただきます。
 1ページをご覧いただきまして、1番目としまして「洪水対策」でございますが、「新たな都市型水害の発生」ということで、最近の状況といたしまして、1時間雨量が100 ミリを超えるような短時間の集中豪雨が増加をしており、結果的に地下街への浸水といった新たな都市型の水害が発生しておるということでございます。
 下の図にございますように、75ミリ以上の年間発生頻度をお示ししてございますが、特に100 ミリ以上の集中豪雨が、1998年、1999年、2000年と頻度が高いという状況にございます。
 その下の表には、東京都における集中豪雨の状況も示してございます。平成11年の7月21日、また8月29日には、練馬区、中野区、港区、目黒区において1時間雨量100 ミリを超えるというような状況が出ております。
 その下には、水害による主な浸水被害を示してございます。先ほども統括官のコメントにもございましたが、平成11年6月29日、並びに7月21日には死者も出ているという状況でございます。
 2ページは、東海豪雨の件でございますが、平成12年9月11日から12日にかけて、東海地方では、名古屋を中心として集中豪雨がございました。延べ61万人に避難指示・勧告が出され、都市機能が麻痺し、大都市の水害に対する脆弱性が露呈されたというような状況がございました。
 その下の表には、そのときの時間最大雨量、また総降雨量を示してございます。更に被害といたしましては、床上浸水、床下浸水の被害が非常に多数あったということ、また、ライフラインの被害も非常に多く、復旧に時間がかかったというような状況がございます。
 3ページ目は、こういった集中豪雨等に対する国の対応でございますが、平成11年6、7月の地下空間への浸水に対応した形で、地下空間における緊急的な浸水対策の実施について、当時の国土庁、運輸省、自治省、建設省といったところが提言を出しております。豪雨時における地下空間の危険性の事前周知・啓発、また地下空間管理者への情報の伝達、避難体制の確立、地下施設への雨水流入防止といったようなことが柱になった提言でございまして、下の絵にあるような周知が必要であるということでございます。
 4ページにございますような、「浸水実績の公表」や、また5ページにございますような、「洪水情報の地下空間管理者への伝達」ということを、河川管理者等から適切に行うということが必要であります。
 また、避難体制についても、計画を整備するとか、地下の管理者との連携を強化するというようなことが重要だといったことを提言しておるところでございます。
 更に6ページは、今年の6月13日に公布をいたしました水防法の概要でございますが、「洪水予報河川の拡充」、「浸水想定区域の公表等」といった対応をするようにということで、法改正をしておるところでございます。これについては、また国土交通省の方から補足説明がございます。
 8ページにとんでいただきまして、東海豪雨を受けまして、平成12年11月に、当時の建設省の方から、都市型水害対策に関する緊急提言というものも出ております。
 水災の危機管理や情報提供、また河川、下水道の整備といった内容でございます。これにつきましても、国土交通省の方から補足説明を申し上げます。 続きまして、10ページでございますが、土砂災害対策についての資料をお示ししてございます。平成11年6月の広島地方を中心とした集中豪雨では、結果として土砂災害が発生いたしました。災害情報の事前通知、伝達体制の充実の必要性ということが、このとき特に認識されたわけでございますが、下の広島市における概況をごらんいただきますと、避難勧告が出ていないという状況がございまして、こういった対応が必要であるという認識をこのときにしたわけでございます。
  11ページには、こういった災害を受けまして、内閣府の方で、平成12年度に実施をいたしました洪水・土砂災害に関するアンケートの内容をお示ししてございます。一つ目の図には、市区町村の被災経験ということで、過去20年間を見ますと、洪水・土砂の関係で避難をした市区町村の割合が6割と、非常に高いということでございます。
 そういった状況にもかかわらず、市町村におけるハザードマップの作成状況を見ますと、洪水で2割弱、土砂災害で3割弱という状況でございます。
 また(3)にございますように、避難勧告など警戒避難ということに関しまして、客観的な発令基準を定めているところは、洪水で約3割、また土砂災害では、2割5分ということでございまして、なかなか定量的な発令基準が定められていないという状況が明らかになっております。
 12ページをお開きいただきますと、こういった状況に対応いたしまして、中央防災会議の関係局員会議で、提言をお出ししたものをここにお示ししてございます。
 その提言の柱といたしまして、一つには「気象情報等の収集体制の強化」ということ。特に、警戒避難に関わる気象情報をし、またリアルタイムで雨量情報等を入手するというようなことでございます。
 2つ目の柱は、「連絡手段の確保と情報の整理」。これは、広島の場合には、電話が非常に輻輳してかかりにくかったというような状況もございました。災害時の優先電話を確保すること、また、災害時の情報処理の体制を整備していくことが大事だということでございます。
 3番目の柱が、「住民等との連携の強化」ということでございまして、これは早期自主避難が重要であるということを住民に十分周知しておくとともに、住民の側も行政と連携して、異常な現象などの情報を速やかに行政に伝達するといった双方向の連携が重要であるということでございます。
 4つ目の柱が、「早期避難実現のための措置の推進」ということでございまして、これは先ほど申し上げました客観的な指標を定めて、それに基づいて避難勧告を出していくといったような内容でございます。
 13ページには、国土交通省で、当時の建設省で検討されました、俗に土砂災害防止法といわれる法律の概要を示してございます。警戒区域の指定とか、避難体制の整備、また住宅等の立地抑制といったことが記述されておりますが、これにつきましても、国土交通省の方から追加説明をさせていただきます。
 15ページにでございますが、「高潮対策」についての資料をお示ししてございます。高潮につきましては、平成11年9月の台風18号で、熊本県不知火町で12名が死亡するという災害が発生し、あらためて高潮被害の深刻さを認識したわけでございますが、このときには、対岸の龍ヶ岳町の方は被害はなかったというような状況もございまして、非常に明暗が分かれた災害でございました。
 最近では、下の表にございますように、高潮災害は少なかったわけでございますが、新たにこういう被害が出ましたので、これについても対応をとっていく必要があるということでございます。
 16ページにございますように、この高潮の後、直ちに平成11年の10月19日に関係6省庁で連絡会議をもちまして、平成13年の2月までかけまして、高潮に対する対策を検討してきたところでございます。
 16ページの下にございますように、「地域防災計画における高潮対策の強化マニュアル」というものもつくりましたし、また情報の周知を図るためのCD−ROM並びにホームページも、この研究会を通じてつくったわけでございます。
 17ページには、この研究会の出しました高潮対策強化マニュアルについて、その概要をお示ししておりますが、特に、この強化マニュアルの中では、市町村の地域防災計画に、高潮対策強化について記述をして欲しいということを書いてございます。まず、地域防災計画における基本事項として、ハード、ソフトの一体化や、住民、企業、行政というそれぞれのグループの連携などについて記述をしてございます。
 それから、「高潮防災計画の策定手順」として、特に留意すべき事項として、施設整備の観点、また地域づくりの観点、それから、防災体制の強化というような3つの視点を持って高潮防災計画を策定するべきという内容がございます。
 さらに、「ハザードマップの作成」ということについても記述をしておるところでございます。
 資料の中身につきまして、私の方からの説明は以上でございますが、引き続き国土交通省と消防庁から追加説明がございます。

国土交通省

 国土交通省防災課長でございます。今の資料の6ページにお戻りいただきまして、若干の補足をさせていただきます。
 まず、水防法の改正でありますけれども、洪水からの被害軽減、堤防の整備等だけでは、なかなかかなわないということで、予報、そして円滑な避難のために水防法を今年改正いたしました。
 改正のポイントは、3つになりますが、これまでは国土交通大臣が管理する河川について洪水予報を行ってきておりました。これに基づいて水防対策と呼応していたわけでありますが、これを都道府県知事が管理する河川についても、同様に行うことができるようにしたという点が1点であります。
 第2点目は、洪水で河川が氾濫した場合に、浸水が想定される区域、ハザードマップと通常は言っておりますが、これの法律上の位置づけを明確にいたしまして、浸水する区域と、その深さを公表するようにいたしました。
 第3点目は、そうした浸水想定区域を前提としまして、市町村の地域防災計画の中で洪水予報、伝達方法、あるいは避難場所など適切に定めていただき、これを住民に周知していただくというような内容でございます。
 昨年の東海豪雨でも、いろいろな課題が出てまいりました。後ほど、また御説明いたしますが、その対策の一つとして水防法を改正いたしました。
 現在、この法律に基づいての浸水想定区域を、直轄の河川について、12の河川で公表をいたしております。
 先ほど、野田参事官の方から御説明がありました、地下街への対策でありますけれども、同様に水防法の中で洪水予報の伝達を行うように、その方法を定めることとなっております。これにつきましては、国と県、あるいは地下街の管理者等で、8つの河川で今、取り組んでおります。どういった形で伝達するのがいいか、そういった検討に取り組んでいるところであります。
 8ページでありますけれども、「都市型水害対策に関する緊急提言」。これは、昨年の東海豪雨を受けまして、非常に大きな都市型水害になったことから、緊急に取り組むべき事項についての提言を、約二月弱で取りまとめいただいたものでありまして、これに基づいて、その後国土交通省の方で調査を進めております。
 項目が4つほどございますが、1点目は、都市においての洪水、あるいは内水での浸水がどういうふうになるのかという、正確な実態が把握できていないために、必要な施設等の危機管理、被害軽減を図れないというような状況がございました。そのため、正確な微地形を調査をし、浸水のシミュレーションを行うというものであります。
 2点目は、防災拠点、備蓄の資機材の保管場所、ライフライン、そして地下空間の入口と、水から守るべきところ、あるいは浸水に弱いものについての被害軽減等を図るために、点検、必要な対策を講じようというものであります。
 市役所に備蓄をしておりました資材が水に浸かったとか、あるいは配水ポンプ場のモーターが水に浸かって動かなかったとか、そういう事例が東海豪雨でも見られたところでありました。
 3点目は、情報提供を迅速に行い、あらかじめ水害の危険性を認識していただこうということでのハザードマップの整備等でありまして、先ほどの水防法改正で取り組んだところであります。
 4点目でありますが、河川からの外水と内水、これが複合して広い範囲での浸水が生じるという状況がございました。河川と下水道の整備、また例えば下水道のポンプ場の運転等をどうするかについて、それぞれが非常に連携する部分がございまして、この辺りが一つの課題になっているわけでありますが、それ以外の対策としてもいろいろな従来の堤防整備だけではなくて、堤防の監視でありますとか、貯留浸透機能とか、いろいろな手法を活用した対策を進めていこうということが提案されております。
 この緊急提言を受けまして、更に具体的な対策をどうするかということで、特にこの「河川、下水道等の整備」に関連して、今年度から河川と下水道が一体となった都市型水害対策を、計画面と管理面でどう進めるかという委員会を立ち上げて検討いたしております。
 また、出水時におけるポンプ場の運転調整を、下水道の施設の管理と河川管理者とで、あらかじめ定めておこうという協議会も順次動かしているところであります。
 つぎの補足事項は、土砂災害の関係でありますが、13ページをご覧下さい。これは平成11年の広島、呉を中心にした非常に大きな土砂災害がありまして、それを契機に当時建設省内にプロジェクトチームをつくって対応策を検討し、河川審議会に答申をいただいて法律までもっていったものでありまして、今年の4月から施行されております。
 この法律制定の背景といたしましては、広島の土砂災害が大きなきっかけであったわけでありますが、従来から急傾斜地の対策を、国土交通省として講じてきた一方で宅地開発がどんどん進むというような状況がございました。例えば数字で申し上げますと、昭和62年に急傾斜地、危険な箇所が約七万七千ございました。これが10年後の平成9年には8万7,000 か所ということで、1万か所も増えております。対策が講じられた箇所が、昭和62年当時で9,800 か所、平成9年では1万7,200 か所というような状況ですので、従来から市街地の開発、宅地化が急激に進むということで、対策が追いつかないという面もあるわけでありまして、その土地土地の状況を踏まえた土地利用を図っていただく必要があるということと、それから情報伝達によって安全に避難することが重要であろういうことで、法律の内容としては危険の周知をするということ、警戒避難体制を整備するということ、そして住宅等の立地の抑制、あるいは移転の促進を行うという内容になっております。現在は、国土交通大臣が土砂災害対策の基本方針を示しまして、それを受けて都道府県において警戒区域を指定するための基礎調査を実施をしているところであります。これが終わりますと、都道府県知事が警戒区域を指定をし、更に著しい危険が生じる恐れのある区域については、特別警戒区域を指定するということで、今後法律が現実に施行されていく形になってまいります。現時点は、まだ基礎調査を実施している段階でございます。
 以上でございます。

消防庁

 消防庁でございますが、国土交通省の資料を更に補完するという形で、主として、最近の地方団体の取り組みについて資料を用意させていただいております。
 1ページ目が、今、御説明にありましたような、特に早期避難の実施等について指摘されている問題点を整理しております。その結果、避難勧告を早期に、的確に出せるような体制づくりと平時から住民との情報共有が必要だという2点に論点が集約できるのではないかということであります。
 2ページ以降、それを受けてさらに資料をつくっておりますが、避難勧告・指示基準の明確化等という観点に関しましては、広島県におきまして土砂災害発生監視システムというシステムの運用が開始されておりまして、警戒避難の警報判定を早期に行うシステムが動いているということでございます。
 3ページにまいりまして、これは名古屋の例でございますが、避難勧告の前段階として、避難勧告の準備情報というものを、この6月から出すようになっているということです。13年の6月に基準をこのようにしたということが書いてございます。今回、台風11号が8月に来たわけでございますが、その際にその準備情報というのを名古屋に出しておりまして、消防庁において被害速報を出しておるわけでございますが、その際にも今回避難勧告準備情報が、こういった6万世帯に出された経緯もございます。
 2番目の必要な観点という、「住民との情報の共有」につきましては、ハザードマップの例を書いてございます。広島市におきまして、土砂災害の危険図というのを、平成12年、これは次の5ページに、白黒で見にくいですが、広島市内で土砂災害の危険想定箇所を右のような形で、カラー刷りで出しております。ちょっと大きな図で、これはその一部しか書いてございませんが、宅地開発地域にもわたる各所についてこのような形で出しているということで、大分議論があったようでございますが、あえてこれを公表したということでございます。
 6ページでございますが、東京都がこの8月末に発表した資料でございまして、神田川の流域浸水予想区域図というのがございます。これも一部しか書いてございませんが、神田川に沿って、あるいは神田川に関連する下水管に沿って、東海豪雨並み雨が降った場合に、どのような浸水地域が予測されるかということを、あえて公表しております。たまたま、歌舞伎町の火災と重なって、新聞には出ませんでしたが、このようなものをつくっているということでございまして、必要な取り組みではないかと思います。
 ハザードマップに関しては、さまざまな取り組みがあるわけでございますが、7ページをご覧いただきたいんですが、財政措置がばらばらだということがございます。火山については、一応国庫補助金があるのですが、水害は交付税、土砂については火山と補助率が違うものがあるということで、これから地方がハザードマップをどんどんつくっていく必要があると思うのですが、財政措置をどのように考えていったらいいかということも、一つの論点になるのではないかということでございます。
 7ページには、住民と協力した防災マップの作成のケースがございまして、杉並区でやっている例を出させていただいております。8ページにもございます。
 最後の9ページでございますが、情報の共有を住民とともに行っていくという観点で、地方団体の防災体制を自己評価するような指針がつくれないかという観点を持つ必要があるのではないかということでございます。FEMAで、昨年危機管理の対応能力評価のため、州政府の危機管理対応能力評価の基準をつくっておりますが、六百数十項目にわたっておりまして、ここに抜粋して、地域の危険度をどの程度州政府が把握しているかという、チェック項目を挙げておりますが、こういう自己評価できるようなものを国としてもつくっていく必要があるのではないかということで、消防庁でもその検討を始めているところでございます。
 以上でございます。

野田参事官

 このような資料に基づきまして、防災基本計画を具体的にどういうふうに修正をするかということでございますが、お手元の風水害についての資料の19ページ目に、「防災基本計画(風水害対策編)修正における反映事項」ということを、骨子としてお示ししてございます。
 1つ目の柱が洪水対策でございますが、この中には先ほど御説明をいたしました地下空間についての浸水対策の提言を受けまして、事前周知、また管理者への情報伝達、避難体制、流入防止というような柱で追加をしたいということでございます。
 また、水防法につきましては、国土交通省からも御説明がありましたように、洪水予報河川の指定、水防管理者への情報の通知、また浸水想定区域の指定、更には迅速な避難の確保というような事項について追加できないかというふうに考えております。
 更に、都市型水害対策につきましても、先ほどの説明にありましたように、都市型水害対策の基礎調査に基づく情報の提供、更には危機管理体制の強化、河川、下水道等の整備促進、それをふまえた耐水に配慮したまちづくりというような項目について記述をできないかと考えておるところでございます。
 土砂災害対策でございますけれども、これも先ほどの御説明にございました、土砂災害防止法の中身を反映して、基本指針の策定から始まりまして、警戒区域の指定、円滑な警戒避難のための事項、また開発行為の制限といったような項目について記述をできないかと考えております。
 20ページ目に入りますと、これは中央防災会議の局員会議での提言でございます「豪雨災害対策のための情報提供の推進」の4つの柱、すなわち気象情報の収集という話、連絡手段の確保、住民との連携した情報伝達、更に客観的な指標の設定という柱について記述をできないかということでございます。
  最後に「高潮対策」でございますが、先ほど御説明しました高潮対策の提言に基づきまして、地域防災計画の中にどういった形で高潮対策の策定を記述していくかということについて、それを促進する形での記述ができないかというふうに考えております。
 また、高潮ハザードマップの作成の促進、国土交通省の方で実施されております「津波・高潮防災ステーション」といった施設の活用、また高潮災害対策の基礎調査、影響予測といったことについて記述をできないかというふうに考えておるところでございます。
 以上が、私ども事務局からの説明でございます。

福岡座長

 どうもありがとうございました。ただいま風水害に関係して、内閣府、国土交通省、消防庁の方から御説明がございました。これから、ただいまの御説明、資料等につきまして、御意見、御質問等を各委員の方々からいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 どうぞ、今日は第1回目の会議ですので、御自由に御意見、わからない点も含めましていただければ、それぞれの担当の方からお答え願えると思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは私、1点だけ先によろしいですか。全体の最後に野田参事官から御説明があった最後のページ、19、20ページを見ていまして、この防災基本計画の改定をやるということは、どうも非常にソフト的なものを中心に書いて改定を行うように思えるんですが、実は私が個人的に考えていましたのは、新しい色々な形の災害が起こってきたときに、やはりハード技術というものを、今後どういうふうに考えていくのかということが非常に大事だということです。
 例えば、高潮のところで、ハードとソフトの一体化という話がありましたね。一方、これまでの土砂災害対策法とか、都市耐水、都市の雨水、豪雨対策について見ますと、何となく避難とか、そういう話が中心になっていて、基本的なもう少し調べなければならないこと、この時代に合わせて、災害の形態に合わせて検討しなければならない技術の話というのが、どうも薄れがちになる。その辺は、私はよくわからないで質問しているんですが、この防災基本計画の思想というのは、一体どの辺の範囲をカバーするためのものなんでしょうか。すなわち、風水害に関して、もう本当に大きな災害が起こって、それがそこに住んでいる人々の人命とか財産を守るためだということもあるし、いろいろあると思うんですが、そのときに基本法というのは、どこまで触れるべきものか。
 個々の技術に関する法律はあると思うんですが、個別には土砂の問題とか川の問題とか、水害対策でいろいろあることはあると思うんですが、この辺のカバーする範囲をどう設定するのかが見づらいんです。
 今までの災害対策基本法とか、この防災基本計画等を見ますと、どちらかというとこういう雰囲気で書かれているところだと思っています。しかし、またいろんな制約が出てきて、コストの面とかいろいろ出てきたときに、やはり技術的な面のバックグラウンドをしっかりしておかないといけない、災害対策としてそういうものもあるんだろうなと実は考えておりまして、その辺りをこういったところではどう反映しようとするのかというのが少しわからないので、座長なんですけれども、事務局のお考えを御説明願えればと思います。

野田参事官

 防災基本計画の現在の計画内容をごらんいただきますと、57ページからでございますが、ハードの部分についてもかなりの広範囲をカバーしておる状況でございます。個々の詳細なことについては触れてはおりませんが、ハードについても先ほどおっしゃったような調査を実施していく必要性があるとか、そういうことについて記述は当然できるものと考えております。

福岡座長

 議論に入る前に、その辺はわかりづらかったもんですので。

野田参事官

 決してソフトだけということではございません。

福岡座長

 わかりました。では、どうぞ委員の方々、御自由に御意見をいただければと思います。どうぞ。

水山委員

 書いてあることはみんなもっともだし、いいのではないかと感じます。土砂災害中心ということで出席していると思うので申し上げます。避難のために雨量が幾らぐらいになったら避難しましょうといったことを表に出していこうというのが既にありましたけれども、広島なんかを見ましても、一番雨の強いときに災害が起こっているもんですから、やはりその前に情報が必要です。洪水では、破堤したら予想区域内みんなそれなりに浸水するわけですけれども、土砂災害の場合、数から言うと崩れてもおかしくないのが100 本あったとしますと、広島でも2%ぐらいしか崩れてないんです。その辺が避難する割合を低くしているようです。気象庁さんの短時間降雨予測情報を、できるだけ表に出していただきたい。多分都市型降雨に関しても必要だと思います。
 用語の話で、いまだに気象情報、天気予報の方は雨が強く降りますと、気象予報士は土石流という言葉を使うんですけれども、気象庁は相変わらず山崩れ、がけ崩れという表現だと思います。その辺の言葉も、今の時代に合わせてわかりやすくしていただいたらいいなという具合に思っています。

福岡座長

 ありがとうございました。気象庁さんの方で何かあれば、どうぞ。

気象庁

 今、御指摘のありました短時間雨量等ですが、これについては、予警報の改善とかいろんな形で使えるようにするための検討をしているところでございます。特に、土砂災害等に関して、土壌雨量指数という形で、土壌の中への滞水がどのぐらい水を含んでいて、がけ崩れ、土砂災害がどのくらい起きやすくなっているかのポテンシャル的なものをベースにしながら、警報等の出し方の改善を行いまして、まず雨での警報を出して、それからそういうポテンシャルが高まるとまた切り換えて、更に警報を呼び掛けるという形を取っておりますが、御指摘があったようにできるだけ事前にこういう災害対策に使えるように、より検討していきたいと思っております。
 用語については、よりわかりやすいと思って使っていた用語でございますが、山崩れとかではわかりにくいというような形の御指摘を受けましたので、持ち帰りましてこの辺については少し検討してまいりたいと思います。

福岡座長

 ありがとうございました。では、片田先生。

片田委員

 幾つかコメントというような形で話しをさせていただきます。今回の防災基本計画修正に関する基本的方針というところに、危険性の事前周知とか情報伝達ですとか避難体制というような、ソフト対策が中心のお話が盛り込まれて、これは土砂災害についてもそうですし、高潮についてもそういうことになっていると思うんですが、私は東海豪雨の調査をさせていただいたり、有珠山の調査をさせていただいたりして、住民の避難の問題、それから情報伝達の問題については興味を持ってずっと研究を続けております。そういった中で、幾つか気になっている点がございまして、特に東海豪雨のことで調べておりますと、どうも情報という観点においては、河川の情報も気象の情報も、それなりに各首長のところには入っている。しかしながら、それが避難勧告に結びつかない、発令の意思決定までもっていけない、そのタイミングをどうしたらいいのかというのがわからない。いってみれば、首長さんも災害に対しては素人なわけで、適切なアドバイザーの必要性というのを非常に強く認識しました。
 やはり、数値情報で水位がどれだけとか、雨量でどれだけという情報が入っても、首長さんは、それでどういう事態が生じるのかという具体的な現象に頭が結びつかない。そんな中で右往左往している間に、事態が進展していってしまって、手遅れになっていくというようなことだったかと思います。
 西枇杷島町の場合、最後避難勧告を出した最終的な意思決定の最後の要因というのは、庄内川の工事事務所長が避難等も含めて検討されたいという、その一言で意思決定されているというようなことから考えましても、避難勧告を出したりするのは、災害対策基本法で首長だというふうに決まってはいるんですけれども、そこに適切なアドバイザーの必要性というのは非常に強く認識しております。
 先ほど国土交通省の方の説明の資料の中にも、ちょっと書き込まれておりますけれども、河川情報解説者というのがそれを意味するかわからないんですが、資料の9ページの中にそういった文言が出ておりますけれども、そういう人の重要性というのを非常に感じました。
 もう一つ、避難勧告を出せるか出せないかを、決定的に左右する要因の一つには、有珠山の対応と東海豪雨の対応を両方調査してみて、特にわかったことなんですけれども、避難勧告を出して、それが空振りに終わったときに、それを受け入れてくれる住民がいるかどうかという、この存在だというふうに私は思いました。壮瞥町で避難勧告を出された、噴火前に住民がすべて逃げていた、それはなぜかと言うと、避難勧告を出した時点で住民が夏物の衣料、あれは3月31日の噴火でしたけれども、夏物の衣料まで持って避難をしている。これは、火山の噴火というものがどういうものかということを重々住民が認識している、その下で避難勧告が出れば、もしそれが外れた場合、ああよかったなって片付いて、首長は責められないわけです。
 ところが、水害の場合往々にして多いのは、首長が判断できないのは、避難勧告をなかなか出せないのは、住民は逃げて命は助かる。命が助かったことが前提ですから、残るのは経済被害だけなんです。逃げてなければ被害軽減できたのに、命が助かったことは、それ当たり前のことで、それはさて置き経済的被害だけが出ている。この責任はだれだ、逃げろと言った首長だというふうに、こういう責任の転嫁が生じてくる。そこに避難勧告を出せない大きな理由があるというのも、私は痛切に感じております。
 そのときに、先ほど来幾つか話の中に出ておりますけれども、住民との情報の共有化という話で出ているのかなというふうに思うんですけれども、その避難勧告で経済的な被害が出た、それでも自分の命が助かったことをよかったと思えるような、また災害というものはどういうものなのかということをちゃんと理解していくような、日ごろからの住民に対する教育の重要性というのを非常に強く感じております。
 特に、今回情報を伝えるだけという話であれば、肝心かなめの部分というのは避難勧告が出せるかどうかという部分、そこには今、言いましたような住民の理解というのが非常に重要だということと、判断ができる専門家のアドバイザー、首長に対するアドバイザーが必要だということ。そして、実際に住民が逃げるかどうかということになってくると、住民が災害を理解しているかどうか、日ごろの防災教育みたいな話になってくるんですけれども、そういったところの重要性を非常に感じました。そういった面において、今回御説明していただいた資料に、その辺がほぼ網羅されているように思いますので、これを適切に防災基本計画の中に反映していっていただくとよろしいかと思います。
 ちょっと長くなりますけれども、あと一点だけなんですけれども、災害対応の決定的な明暗を分けるのはどこかというのは、恐らく私がいろいろ見てきて、先ほど消防庁さんの資料の中にもありましたけれども、事前に対応すべき危機を認識しているかどうか、それを具体性を持って認識しているかどうかというところ、これが決定的に違うと思うんです。それが影響すると思うんです。ハザードマップということになるんですけれども、ハザードマップの効果は、対住民に対する避難情報だとかそういうことだけではなくて、目の前に例えば東海豪雨の西枇杷島町であれば、真っ赤に塗られたハザードマップを目の前に置いたときに、役場の職員がその具体的な真っ赤の状態でどうするかということを考えざるを得ない。そこに意味があるというふうに思うんです。危機管理を進める、行政担当者に大きな効果があると思います。西枇杷島町では、庄内川がもし切れたら6メートルぐらい水に浸かる、そんなことは事前に彼らは認識していた。ところが、頭ではわかっていても、それに対してどうするかというところまで思いが及んでいない、それはどうしてかというと、初めからお手上げだと思って考えを放棄している。日ごろの災害対応というのか内水の対応だとかいろいろやっている間に、危機管理までやっているというふうに錯覚をしている。ところが、それは全く別なものなわけです。その結果、どういうことをやっているかというと、浸水するようなところの地下室に食料を置いたり、深く浸水するところ避難所に指定されていたりで、全く起こる事態と対応が乖離してしまっている。そういった面において、今回、水防法の改正の中で、防災基本計画にちゃんとハザードマップを反映させろということを明確にうたっておられますので、それは非常に的を得たことだと思いますし、それをまた防災基本計画の中でもフォローしていただくと、より実行性が出てくるんではないかというふうに私は思います。

福岡座長

 ありがとうございます。1点よろしいですか、一番最初に私が質問させていただいた件に、もう一回戻らせていただくんですが、是非それぞれの関係省庁はもう一度見直してほしいと思うんですが、この防災基本計画というものを見直すに当たって、本当にこれくらいでいいのか、すなわち関連する法律はありますね、例えば水害になると河川法とか砂防法とか、下水道法もあるだろうし、いろいろあると思うんですけれども、それの更に全体をカバーする災害という視点で見たときに、一番重要な法律としてのこの法律が、これと原局が持っているものが一体化したときに、ちゃんと目的を果たせるような体系になっているのかどうか、特に技術的な面では、それぞれのものより原局の法律に任せるということに多分なると思うんですが、私が思うのはやはりこの基本計画にもその精神というか、技術の精神がちゃんと伝わる。今後、どう考えなければならないのかということが、やはり新しい基本計画としては是非触れることが必要になっているんではないのか。
 例えば、先ほど国土交通省の防災課長からお話しがあった、河川と下水道との整備で、計画面と管理面の検討の委員会をやっている、これなんてまさに私に言わせれば、もう遅きに失した観がありまして、もう当然そういうことはやっていなければならない、今やっているということは、こういうものを実はこの防災基本計画等に重ねたときに、やはり不十分なものがいっぱいあるんだと、とりあえず必要なことはやらなければならない、特にこのハザードマップだとか、避難計画とか、それから情報をどう出すか、これはもう当然のことで、これは構わないんですけれども、当然やっていただくということとしても、それぞれのところで土砂災害、都市型水害、あるいはその他の大規模河川災害等に関して、今ある法体系と、更にこの上位の計画とか一緒になったときに、どこが問題なのかというのは一回見ておいた上で、防災基本計画の改定をちゃんと進めるということが、恐らく大切になるんだろうと思っています。
 個人的には、河川の専門家として、やはりもっとこういうところは触れておいてくれたら、随分今後の発展のためにというか、全体的な防災計画のために大事になるなというようなところを感じているところがありまして、その辺りを原案に基づいたほかに、そういうサーチをちゃんとやって、ローラーをかけて、こういったところが今後の課題だということを出していただけるようにしたい。
 それから、もう一点は、今度も全然話の視点が違うんですが、調整とか連携とかというのが、いつも大事になるというんですが、どんなものを見ても、調整・連携は大事だという割には、意外とそれが大事なのに、さっと書かれているだけで、実態が乏しくなっている。これは何とかしなければならない、今回の見直しに当たっては、やはり従前のように調整・連携が重要だと、それぞれこういう災害を減らすためには、消防庁、そして国土交通省、そのほか各省庁と一緒になってやるんだと、こういう点においては、連携を取ってというだけでは、私はもう不十分だ思っているんです。そういう点で、随分後手に回っているものがあるだろうと、それはやはり法体系の不十分さもあるだろうし、法律を直すことは大変難しいわけですから、どうやってそこの穴を、隙間を埋めていくかということが大事になる。特に、この連携・調整ということを言うと、何でもうまくいくかのように聞こえてくるけれども、実はそこのところに一番うまくいかない点もあるということで、少しその辺もよく検討してほしいと、どういうふうにするかは事務局にお任せしてやっていただきたいというのが私の希望です。
 何か事務局サイドとしてそういった点については、片田先生の話も含めて、あるいはまとめてでも結構ですけれども、何かありますか。

野田参事官

 もっともな御指摘をいただいております。先ほど、先生方からもお話がありましたが、この防災基本計画を見ますと、みんなもっともな話が書いてあって、今それぞれ御指摘いただいたことも、みんなここに該当するのではないか、あそこに該当するのではないかという話がございます。ただ、具体性がないんですね。その辺がまた、座長がおっしゃった各省の連携・調整が適正に行われているのかという話にもなろうかと思います。
 これは、この防災基本計画に限らず、全体的ないろんな上位計画と個別の具体計画との調整の宿命みたいなところがありまして、体系としては上位計画に基づいて、それぞれの個別計画がちゃんと対応するという話ではあるのですが、そこがリンクすればするほど、逆に個別の具体の計画で調整が取れないものを上位計画に取り込めないという悪循環も出てまいります。
 ただ、我々内閣府の防災担当としましては、日ごろ中でいつも言っているのですが、我々自身は個別分野、現場も持っておりませんし、現業も直接やっているわけではないので、関係各省がいろいろ出していかれる施策なり事業なり、そういった制度が各省だけですとなかなかほかの省庁との調整がややこしい問題があったりする話を、潤滑油として我々が身を捨てて調整に当たっていきたいと思っておりますので、そういう観点から、この防災基本計画も、非常に網羅的にいっぱい書いてあるんですが、それでどうなのと言われたときに、具体の各省の立場から見た、あるいは現場の立場から見て、これに基づいてどうするんだというヒントがなかなか見えてこない点もありますので、そう点を心して対応を進めていきたいと思います。

福岡座長

 ついでですけれども、私なんて河川法を見て感激はしないんです。やはり災害対策基本法とか、ああいうのを見て、これだと、こういうことが大事なんだと、やはりああいう思想は本当にちゃんと書いてあって、このとおりやれたらというのは十分練られて書かれているところがあるんですね。だけど、つないでみると、では河川法を見たり、あるいはほかの法律を見たときに、何かうまくつながりが悪いよと、そこのところをもうちょっと考えたらうまくいくことあるよねというのが、意外と多いと思っていますので、今のお話是非、一気にはいかないのはわかっているんですけれども、少しずつそういう思想に変えていっていただきたい、むしろ法律の全体の、外の人が見ても、やはり法律の流れがちゃんとわかって、この法律に基づいてこういうことが行われているということをわかるように、それは何も行政をやる人だけのものではなくて、多くの一般市民が見ても、ちゃんと見えるものというか、何となくわかるというようなものの形にだんだんしていかないと、ちょっと自分勝手な解釈で終わっているというか、考え方に終わるということはあるんではないのか思っているんですが、その辺りは、水山先生どうですか、私の勝手な言い方に対して、補足していただければ大変ありがたいんですが、余り上手に言えなかったと思うんですが。

水山委員

 見直すシステムがあれば、先ほどの評価みたいなものも、あれは県ごとの評価だったですけれども、そういうものがあるといいですね。
 災害対策基本法にも関わるんですが、風水害というと、どうしても伊勢湾台風だとか、大きな水害のイメージがありますが、今回都市型とか土砂災害とかをうまく組み込んでいくのが一つの作業のポイントだと思います。後ほど避難場所の話をいたしますけれども、その前に砂防を見ていましても、がけ崩れもそうですが、やるからには絶対つぶれないものをつくるぞという意識が強過ぎる。もちろんそれが壊れると人災議論になるんですけれども、災害の軽減がうまく組み込めればいいかなと思うんです。水害の方の話ですが、スーパー堤防、高規格堤防の話が用語としても出てきます。スーパー堤防というすばらしいものではなくて、越水した分だけ被害になるような、被害を軽減する方法を進めてもいいな、逆にそっちの方が大事ではないかという気がします。土砂災害で、処理する箇所よりも増える方が多いという話がありましたけれども、それぞれ一か所に金がかかり過ぎているんです。もちろん、壊れたときの問題があるんですけれども、そういうのがまさに基本方針で示されると良いと思います。
 話が変わりますが、避難場所について、67ページに避難場所の話が書いてあるんですが、これはやはり洪水に対する避難という感じがします。土砂災害のようにローカルに起こるようなものを考えますと、私なんかは個人住宅も避難場所に指定できると良いと思います。これはまさに災害対策基本法の議論だと思うんですけれども、これまではたくさんの人を集めて、集中的に食料や毛布を与えるということで、洪水が引いたら戻りましょうというシステムです。これを今回土砂災害など、ローカルな狭い範囲で起こるようなものに対して、これでいいのかという見直しを是非加えたい。従来ですと、かなり大きな公民館とか学校みたいなところしか指定できないようになっているんですけれども、ちょっと違うんではないかという気が以前からしております。

福岡座長

 今、水山先生が言われた、防災と減災ですね、防災というのは災害の頻度を少なくするという意味では、先ほどの大きなものをつくったりとかあるんだけれども、減災というのは、恐らく今度は技術の問題が随分入ってくると、いかに技術的に災害にならないようにコントロールするかという話ですから、その辺の話はもう少し防災と減災ということでちゃんと仕分けして書いておく必要はあるなというのが、先生が言われたのを聞きながら、私も実はそう思っていました。と言いますのは、いろんなところでもうそういう話にだんだんなりつつありますね、防災というのがもう減災の意味だと、そうするとどう考えていくのと。技術によって立つところもあるだろうし、避難もあるだろうし、いろんなやり方が今度それによって出くるということで、その辺も御検討というか、そういう視点を考えられたら、随分この意味が出てくるんではないかと思います。

高橋統括官

 国民の防災といいますか、災害に関する情報も、大分昔に比べて量は増えてきましたから、だんだん住民サイドの意識もそうですし、行政も今、先生がおっしゃったようにもう転換せざるを得ないんです。我々自身も災害というのは防ぐことはできないけれども、起きたときにどれだけ被害を軽減するか、ダメージコントロールが大事だろうと思います。
  あと、国土交通省の方からも補足があると思いますが、風水害についてもとにかくある一定の計画で、そこまで頑張って、その計画を超えたらあとが不可抗力というのが、かつての治水対策だったんですね。ただ、それだとまさにコップをひっくり返すような大災害、カタストロフィーになるので、後はもうあふれた部分はしようがないという方向に河川行政も変わってきているのではないかと理解しております。
 ですから、その辺が今、冒頭に先生の方からも何かソフトな話がないのかというお話がありましたが、従来はハードな施設整備で徹底的に頑張ると。ただ、思想が変わって、あふれた部分だけということになれば、そこはソフトな部分で相当カバーできるんではないかという感じがいたします。
 もう一つは、いろんな防災のための施設も、例えば護岸などでも、コンクリートで固めて、どんな大洪水が来て護岸は崩れない。ただ、それで環境はめちゃくちゃになるというでは困るので、昔の伝統的ないろんな工法は、災害がきてそれが壊れてしまっても、壊れることによってそれだけの減災機能を果たしているという技術がいっぱいあるんです。ただ、その辺は近代になってから、公共事業でつくったものは壊れると手抜き工事ではないかとか、会計検査の問題とか、そういう世の中全体を変えていかなければ、今、言ったような哲学も浸透しない面もありますし、その辺は我々防災行政の、いわば総論的な立場での発想と、あと具体的に国土交通省なり農林水産省なり、それぞれ事業を所管している各論のところが、右と左を向いていてはなかなかうまくいきませんから、それぞれの事業省庁もそういう考え方に転換してきていますので、我々もそういうことをふまえて前面にそういう姿勢を出していければいいなと思っています。

片田委員

 いろんな関連機関の連携の話等々出てきましたけれども、非常にその重要性というのはやはりあると思います。例えば、学校の施設であれば、それ避難所というような位置づけがあるわけで、学校建設の段階で避難所ということを念頭に建てられているかというと、必ずしもそうではない、現有施設としての学校を避難所に利用するというだけであって、そこに明確な連携が見られない。
 災害、特に人的被害の問題になりますと、ほとんど亡くなっているのが高齢者が大半を占めているという現状があるときに、やはり福祉行政と防災のときの対応の行政がうまくいってないんではないか。特に福祉行政の場合は、プライバシー等の問題で、情報の共有化が図れない。しかしながら、きっと最初に助けにいかなければいけないのは、そういう方々であるというようなところでの連携問題、だから福祉問題の枠組みの中でも、やはりこの防災基本計画にのっとって災害ということを考えた場合に、福祉行政はどうあるべきかみたいなことをやはり考えていただくべきであろうし、そういったような連携というのは、非常に多くの側面であると思うんです。
 先ほどのハードとソフトの連携の話でも、今までの河川行政は川の中の行政だったんだけれども、あふれたことを前提にする河川行政になってくると、今度市街地側の話になってきますから、できれば都市計画とか土地利用の行政と連携した部分というのが非常に重要になってくる。
 東海豪雨を見ておりましても、水の浸水の動きを見ておりますと、22号線というのが西枇杷島町の北側にありまして、そこが土盛りをされております。破堤して出てきた水が、みんな歩行者用の通路を伝わって出てきています。それで、道路が二線堤の役割を果たしている、もう一つは線路が高くなっていて、これが二線堤の役割を果たしていて、水の動きが完全に土木構造物によって制御されている、そうすると裏返して考えると、初めから構造物をつくるときに、水があふれたらこれによって水がどう流れるかということを考えた土木施設の設計というのもあり得るんではないかというふうに思うわけです。
 それと、よく切れる、もしくはよく内水に浸かるところであれば、それは土地利用行政とリンクする、昔の霞堤なんていうのはまさくしそうなんでしょうけれども、そういったところの土地利用行政と河川行政の連携みたいなものもあるでしょうし、そういった意味でハード、ソフトの連携、それから福祉行政や学校行政や、いろんな中で機能し得るような、全部防災基本計画に立ち返ったときにそれの機能として担う得るかどうかというところに、いろんな政策がリンクしていくことを、非常に強く私は希望しております。
 それは、連携という話については、もう一つこれ重要だと思っているのは、連携だとか連絡だとか協力だとか、そういった言葉は平時においてやっておいていただきたいということです。災害のその場において、各省庁との連携とか、上位機関との連携とか、近隣市町村の連携とか、そんなことをやっているから対応が遅くなるんであって、そこの部分は平時において連携の部分をやっておいていただきたい。
 私、今、たまたまアメリカのワシントン大学におりまして、出張中なんですけれども、例の同時テロ事件がありました。朝、大学に行ってホームページをつけましたら、あの画面が飛び込んできたもんですから、私はすぐ町の銀行に行きました。決済銀行がやられると、日銭がなくなって生活ができなくなるということで、まず銀行に走ったんですけれども、そうしたところ町中に警察があふれている。主要なところに、ばっとついているわけです。何でこれだけ対応が早いのかということを考えると、私は恐らく役割分担とか、任務と権限というのが、各組織の彼らは明確に認識していると思うんです。あの事件がぽんと起こったときに、私のいるのはシアトル市なんですけれども、シアトル警察は自分たちの管轄の中で、自分たちの権限で何をすべきか、どこを守るべきかというのを、どことの調整もなくまず最初の対応としてさっと動いている。これがもし日本だったら、どうなるかというと、上級官庁と相談し、隣の市町と相談し、それで足並みそろえてさあ動きましょうといったころには、対応が遅れているというような状況になるかと思うんです。最初に、とにかく自分たちの職域の中で、権限の中でやるべきことは何かという、権限と責任と義務と、そういったものが事前に明確になっていて、それで初期対応がまずどの機関も一斉に動き出す。その後州政府からの指示が来て、それで補正される。連邦政府からの指示が来て補正されるというような形で対応が取られていたと思うんです。その部分で、連携の必要性というのは、日常においてあって、災害のときにはもうそれぞれが独自の権限の中でまず最初の対応ができるような体制を取っておくことが重要だなというふうに感じました。蛇足ですが。

福岡座長

 ありがとうございました。この防災基本計画の全体、例えば風水害のところを見てみましたら、恐らく全体の枠組みは変わらないんだろうと思うんですが、例えば高潮災害とか、土砂災害と、河川災害と言いますか、そういったものは恐らくだんだんいろんなことが、もちろん災害防御という意味では同じだけれども、それぞれ本当はこういうことをちゃんと考えなければならない、こういうことが大事な考え方なんだということがいろいろありますね。その辺りは、これ一括してこういうまとめて書くことの意味というのは、どういうことなのかを少し検討していただきたい。
 例えば、地域防災計画で、私が来る前にちょっと見てきたら、阪神・淡路大震災の後に、例えばいろんなものを分けて書くようになったというふうにありましたね。あれ非常にいいことで、前一括だと何か地震のときの避難場所が、そこは氾濫したら大変なことになるところが、実は河川も避難場所になっていたとか、そういう誤りを犯していた面があったと思うんです。だから、そういうのを分けて考えなければならないというのが、地域防災計画ではやり始めたと、そのときに防災基本計画の中で、やはりその問題、みんな一括して書くところと、少し個別の基本計画として大事なことというのは、そろそろ出てくるんではないか、何も個別にするのがいいという意味ではないですが、一緒にするところは一緒にすると、だけど特別にこういうことは配慮事項として出てくるというようなものは、考えておく時代になってきたんではないかと思っているんですが、その辺りもうちょっと考えてみないと、私もやや思い付きに近い形で言っているところもありますので、少し考えさせていただきますが、その辺りは例えば技術の流れとか、技術の流れというのは、私が技術にこだわっているのは、先ほど減災というのはソフトだけではなくて、まさに技術の時代になっているという意味で大変大事になると、そういうことから各個別の、どうしてもこれだけはここにつなげるために必要な書くべきことだというようなものがある可能性がある。その辺りも、是非例えば国土交通省とか消防庁とか、いろんなところと少し議論されて、検討されることで、今回でなくても次のときとか、いろんな形でやはり少し考えていただければと思います。

北里審議官

 今おっしゃったとおりの課題があると思っております。阪神・淡路大震災の後、「防災基本計画の修正について」の資料の8ページに書いてありますが、平成7年に自然災害対策編の全面的な修正というのをやっているわけです。それから、平成9年に事故災害対策編を追加しております。それで、災害の類型に応じた体系に書き換えをしました。したがってベクトルとしては、より具体的な災害ごとに対応できる方向へ行こうというのが一つあったと思うんですが、今おっしゃったように、では風水害があった中でもやはり個別にそれぞれあるだろうという御指摘だと思うんです。
 例えば、この防災基本計画の本体の67ページの7のところに、避難場所を「学校等を対象に風水害の恐れのない場所に指定して」と書いてあるわけです。一応、これは地震とを分けたことによって初めて書けるようになった。ところが、書いてあるけれども、現実に地域防災計画なり地域でできていたかというとできていない。したがって、そこも一つの課題なんです。今おっしゃったように、実戦的なものにして、権限とを書いてはあるけれども実効性があるかという問題が一つあります。
 ただ、おっしゃったように、ではこの程度の分類で足りるかというと、やはりもう少し地下の場合はいろいろパターンが違うでしょうというような問題もありますので、是非そういう議論も整理したいなと思います。
 それからもう一つ、災害軽減の話が先ほどございましたが、これも8ページの図の防災基本計画のところですけれども、真ん中に「災害対策の順序に沿った記述」という表現がございます。これは、「災害予防・事前対策」から「災害応急対策」、「災害復旧・復興対策」という順序なのですが、従来ごちゃごちゃと書いてあったものを、ここまでは整理したのです。ところが、例えば災害予防ということであると、要するに一切起きないようにしようということが基本的になっていて、次は起きてしまったらどうしようかというのが応急対策になっていて、それが済んだら復旧・復興とやりましょうと、これだけを基本的な対応というか思想である意味できている面がございまして、おっしゃるようにミティゲーョンと言いますか、プリベンションなりクイックレスポンスだけではなくて、ミティゲーションというのが、今、世界中の災害対応についても非常に重要な思想として動いてきているわけなので、恐らくこれは防災基本計画全体に共通する問題でしょうが、そのミティゲーションの思想というのは、やはりこの中に入っている部分はあるはずなんですが、もう少しきちっと位置づけていくというのはおっしゃるように非常に重要なファクターではないかというのを、今後議論をさせていただきたいと思います。

福岡座長

 1点だけ、その流れで追加させていただきたいんですが、防災基本計画であり、災害対策基本法に対するものですから、非常に大きな定義がありますように、災害の種類がこういうものだとあるんです。しかしながら、世の中が環境問題に対してかなり敏感になってきていますね。ですから、災害と環境というのは分けて考えるのではなくて、当然応急復旧ではなくて、最終的な災害復旧のようなレベルになると、環境との関係というのは出てきますから、ミティゲーションとか、そういうものは別に環境を強調せいなんて言うつもりは毛頭ないんですけれども、やはりこういう防災基本計画の中にもでき上がったものとか、こういうことを考えるという思想が入っていないといけないと。すなわち我々で言えば、治水と環境というのは両方柱なんです。その柱が基本計画の中にも、何か少し触れられると、今後はこういう考え方をするんだということを、やはり流れとしてあるのが望ましいのではないのかと、ただそれを一生懸命書く必要はないんですけれども、やはりそういうことは配慮事項してある。それが、結局個別の災害によって違うと。河川の災害と地下の災害と土石流のような災害では、恐らく配慮するレベルが違う。
 そんなことが、そろそろ出てくることが望ましいと、私なんかは思っております。だから、やわなものをつくれなんて言うつもりは、全くないんですけれども、その辺の考え方を、こういったところにもあるんだということが少し出るようなことが必要ではないかと思っているんですけれども、どうなんでしょうか。これは、私個人の意見なんですけれども。

野田参事官

 防災白書でも、環境の変化で21世紀に起こる災害そのものについても随分対応も変わってくるだろうという指摘というか、そういう論点も今年取り上げておりますので、おっしゃるように災害対策そのものが環境との関わりでのという部分もあると思います。どういうふうな表現が取れるか、また議論をしたいと思います。

福岡座長

 各省庁からも来られていますけれども、どうぞ御意見を、いやそれは違うよという御意見があれば是非お聞かせください。
 国土交通省の方はどうですか。指名して恐縮ですけれども、いろいろ国土交通省に関わる議論が多いんではないかと思うんですが。

国土交通省

 災害への対応の考え方として、絶対に壊れない堤防をつくるとか、あるいは水害を完全に防ぐということはできないと、そういうふうに認識の転換をして、それに応じての対策を取って、いろいろ御議論があったわけですけれども、そういう方向に大きく流れが変わっておりますし、それを受けての現実的な施策をどんどん今展開しております。座長、先生方から御指摘があった点で、基本的な認識として国土交通省もそういう方向に向かっているというふうに考えております。
 もう一つは、昨年の東海豪雨、そして今年も台風による豪雨災害があったわけでありますけれども、かなり避難勧告、あるいは避難準備、そういったようなもの、それから自主避難、こういったものがかなり速やかに出るようになってきたのかなと。自主避難もかなり多かったですし、今年の違いというのは、東海豪雨、いわゆる大都市の水害、それに対して今年の台風による水害というのは、どちらかというとローカルなところで、しかし全国的にはたくさんの箇所で被害が出ているわけですけれども、非常にコミュニティがしっかりしているということがあるかもしれませんが、避難勧告もスムーズだったし、自主避難も結果的に人的な被害は減ってきているような、そういうようなこと。
 それから、ハザードマップ、水防法の改正を通じて思ったわけでありますけれども、ああいうようなものを出しますと、地価が下がるとか、やめてくれとか、そういう強い反対があるかと思っておりましたけれども、むしろそれを前提に考えていかなければいけないという認識もあって、比較的自分たちのところの土地の状況を認識しながらいろいろな施策を展開するという、それも定着しつつあるのかなというふうに考えております。
 我々としては、やはりそういう状況というものを、もっともっと積極的につくっていく、あるいは最終的に市町村が地域防災計画でというところに、すべて土砂法も水防法も行き着くわけでありますけれども、市町村が取り組みしやすいような環境づくりと支援というものを環境のところと協力しなければいけないなと、そういうふうに考えておりまして、その面での取り組みを順次やっているという状況でございます。

福岡座長

 ありがとうございました。

消防庁

 消防庁ですが、昨日、長野県の上田市で、県内の消防の関係の方々、消防団ですね、法被を着た人たちの会合に出たんですが、国の防災対策を消防庁なりに理解している点をお話し申し上げてきましたら、そういう話がどこまで国でいろいろ考えて、全国的にこんな動きがあるかというのを定期的にきちんと掌握する機会がなかなかないので、やっていただきたいという話がございました。消防団ですらそうですから、多分住民の方とか、学校の教育現場に防災に関してこれだけ国で議論していることが伝わっていないような気がしますので、危険地域の共有化というのも基本的に重要だと思います。
 それ以外にも、もっとどんどん住民の方に情報を体系的に下ろしていくということが、やはり必要ではないかと思います。文部科学省の方は今日はちょっとお見えになっていませんが、やはり各省間の連携が更に必要ではないかというふうに思います。
 それから、蒲原沢というところに3週間ぐらい前に行ってきたんですが、蒲原沢で、いろんな工事現場があったんですが、地元の業者の方が入っているところが災害が起きたときに、たまたまかどうか知りませんけれども、ちょっと危ないのでということで工事を控えていたと。実際にやられたのが県外の業者の方が入っているところで出稼ぎの方が多い、そこだけがやられたということになっておりまして、やはりその地域の災害の伝承とか、そういうこともハザードマップをつくる際にきちんと把握していかないといけないんではないかという気もしまして、防災に関しては大変やることが多いので、総力を挙げてやっていく必要があるんではないかと思います。
 特に最近のように、安全とか、健康とか、随分意識が高まっていますので、こういう時期にやるべきことを御議論していくことが必要ではないかというふうに思いました。

福岡座長

 今は、災害の予算は増えているんですか。

高橋総括官

 災害といっても、何といいますか、国土の基盤づくりみたいな話が、やはり予算的に一番大きいんです。だから、一番大所が国土交通省の治水事業だと思うんですが、ご存知のように今回は公共事業10%というような構造改革の中で、増えているというか、大幅に減るんですね。

国土交通省

 来年度予算については、そうです。10%削減という大きなあれがありますから、そういう状況になるのは間違いないであろうと思います。
 かなり長い期間をとらえてみても相対的には、土砂治水事業費というのは、シェアを下げてきている状況だろうと思います。事業の重要性は認識されているわけでありますけれども、しかしそれは着実にやっていくという性格のものであろうというような、そんなところがございます。
 そういうことも含めて、一方では、堤防の整備水準を順次上げるということと、一方でどうしても災害のためのソフト施策といいましょうか、知恵を出していく部分だとか、みんなで協力していく部分、そちらと両輪でやっていかざるを得ない。あるいは、そういう方向が望ましいだろうという考えで取り組んでございます。

片田委員

 防災基本計画書をざっと目を通しますと、行政のアクションとしてどうすべきかということを中心に書かれているように思うんですけれども、でも減災という観点においてもそうなんですが、結局逃げろと言っても住民が逃げなければしょうがないとか、そういう観点からいきますと、住民サイドに立った論点というのが、やはり実際の減災という部分においては大きな意味を持っているというふうに思うんです。
 今の消防庁さんの方からも話がありましたけれども、例えば伝承みたいな話、土砂災害の場合なんか特にそうですね。ローカルな話として、ここの沢から水が出てきたら危ないんだとか、ここの沢からこんな匂いがしたらまずいんだとか、そういう非常に限られた地域の中でだけ伝わっているような伝承があって、それで現に災難から逃れたというような事例もあるわけですが、そういう面から言いましても、住民サイドと一緒になって日ごろの取り組みとして、そこの部分の重要性というのが私は非常にあると思うんです。消防庁さんの資料の中にもありますけれども、住民が自分たちの町のハザードマップづくりをやる、こういう動きは、これは学校の教育現場も含めてなんですけれども、防災の予算だとかそんなことは関係なく、日ごろの枠の中で、そういう指針を示していただくことが非常に重要ではないかなというふうに感じております。
 ちなみに、群馬県の榛名町というところで先町という地区がありまして、非常に土砂災害の危ないところで、幸いにもまだ起こっていないんですけれども、そこにはいろんな地域の伝承というか、土砂災害が起こるときには、あの辺でこんな水が出てくるんだとか、こっちの沢が濁りだすとか、いろんな話があって、私はそれを全部ハザードマップに落として、住民とともにつくるようなハザードマップをつくった経験があるんですけれども、そういう中で住民の意識も非常に高くなっていって、自分たちではどうも対応できない部分があるなということに気づいて、行政の方に要望を出していくとか、いろんな動きが出てきます。
 また、学校の教育現場なんかでもそうだと思うんです。学校の先生そのものが災害に対する知識がなさ過ぎると言うか、要は全くの素人なわけです。ですから、地域の危険だとか、過去の災害の伝承だとか、そういった部分においてもどんどん学校教育の場で語られることが少なくなっていって、加えて治水だとか、いろんな対応が進んでいくことによって、細々した災害の経験が少なくなっていますから、またそれが伝承を妨げるというような形で、どうも自分たちの地域を知るということがなくなっていっている。
 こんなことも、学校教育の総合学習でしたか、そんな中で取り組んでいただくとか、それぞれ防災だなんていうふうにあえて言わなくっても、日ごろの中で、実際に災害が起こったときに、減災に非常に役立つ政策がいろいろあると思うんです。何かそういったことをもう少しどこかに盛り込めないかなというようなことを非常に感じます。それが、本当に起こった場合に、一番効果があることではないかなというふうに思います。

福岡座長

 水山先生、何かございますか。

水山委員

 以前、市町村長が避難勧告を出すというのを、あきらめるという前提の下に考えてみたらどうかと発言したことがあります。
 実際は、どこかで何か起こって初めて勧告が出ます。だから、1個目は申し訳ないけれども目をつぶって、2個目から助けるとするとどういうことになるのか。いろいろ行き着くところが、ここにも書いてある話ですけれども、以前は行政機関にみんな情報が集まってきて、それで避難勧告を出すか、出さないか判断するぞとやられたのが、今は並行して常に住民に情報を流していく方向です。先ほど共有というのがありました。準備情報も消防庁さんが出しておられました。どうなってきているか、何かやばそうだなというのが共有できているという状態なら避難勧告も出しやすい。
 逆に避難勧告を待つな、避難勧告というのは普通出ないものだと住民に言っていく必要が土砂についてはあるんではないかと思います。川については水位が上がってきますし、皆さん怖いと思えば逃げるなと言っても逃げるんですけれども、怖いと思っていない人をどう逃がすかということは、無理な部分があるんではないかな考えています。避難勧告を待たないで下さい。情報は流します。そうすると、ベースになる防災教育がそこまでできるかということになります。
 土砂災害については、ある意味で半分あきらめるようなことも必要かなと思います。
 違う話ですが、消防庁の方が資料として出されたFEMAの州政府の能力評価ですが、これはなかなか面白いと思っています。日本の場合の地方自治体をこういう防災基本計画に対応した現在の現状分析と評価をやると面白い。同時に中央省庁がここに書かれていることをどこまで実行しているかということを考えると、ますます面白くなると思いました。

福岡座長

 次回の話題になると思うんですが、19ページ、20ページ、「防災基本計画(風水害対策編)の修正における反映事項」とございますね。19ページの「項目(章)」で、この「災害予防等」と書いあって、等というのはどういう意味なんでしょうか。19ページ、20ページの一番右手側に書いてある。
 ほかに、水防法の一番上に災害応急対策等というのもある。

野田参事官

 これは、災害予防を中心にして書くんですが、そのほかにも応急対策についても書くと、そのほかの項目もありますよという意味でございます。それから、復旧・復興もありますよと、そういう意味でございます。

福岡座長

 先走って恐縮ですけれども、2回目の会議のときには、この19ページ、20ページに相当するものの何か文案みたいなものが、あるいは改正点みたいなものが出てくるんですか。

野田参事官

 それでは、これからの手続といいますか、手順について併せて申し上げたいと思いますけれども、この反映事項と申しますのは、近年の災害に対応した形で、国の提言並びに法改正の実行について、それに基づいて防災基本計画を改定しようということで、非常に細々としたことについて記述をしておるわけでございまして、これについて私ども事務方としては、直ちに作業に入りまして、現行の防災基本計画をどういう形で修文並びに更に追加事項がある場合には追加をしていくかという原案をこれから作成をしたいと思っております。
 したがいまして、次回の第2回プロジェクトチームでは、できるだけそういう具体の修文の案についてお示しできるように、これから作業に入りたいと思っております。
 ただ、本日御指摘をいただいた非常に大きな話がございまして、例えば災害対策基本法と個別法との関係でございますとか、それから防災についての考え方としての、いわゆるミティゲーションというような考え方に今後どういうふうになっていくのかというような話とか、それからいわゆる環境の問題というようなことをどういうふうに考えていくかというような御指摘もございましたし、それから片田先生、水山先生の方からも避難についての考え方とか、伝承についての問題とか、いろいろ御指摘がございましたけれども、そういう本日出していただきました新しい話題につきましては、私ども事務局としてどういうふうにそれを処理するかということは、ちょっとまた別途考えさせていただいて御相談をさせていただければというふうに思います。

福岡座長

 もう一点だけ、そうすると防災基本計画の修正をやって、地域防災計画は、これをベースに今後、市町村あるいは県などがいろいろおやりになるんですか。

野田参事官

 そういうことになります。例えば、昨年度も原子力災害対策編というものを全面改定したわけでございますけれども、私どもが全面改定しますと、直ちに都道府県が計画の改定をずってやっておりまして、都道府県が改定しますと、今度は市町村がそれに基づいて改定をしていくという手順になりますので、この基本計画を変えますと、1年ほどかけて国全体の防災基本計画から地域防災計画までが改定されていくという流れになります。

福岡座長

 そういうことだそうです。よろしいですか、これから事務局にいろいろ知恵を出していただいて、それから今日話題に出たのも横に置かないで少し真ん中に据えるぐらいで議論をしていただければ大変ありがたいと思います。

野田参事官

 少し遅くなって申し訳ないのですが、事前に磯部先生のところに私が行って参りました。磯部先生は高潮が御専門ということで、幾つか御意見をいただいておりますので御披露したいと思います。
 まず、第1点として、高潮予防については、これは台風の進路予報が正確にわかればある程度予防ができるのであり、それほど難しいことはないので、高潮予防ということについて十分配慮してもらいたいとのことでございました。
 2点目に、高潮のハザードマップという点でございますけれども、現在の高潮ハザードマップについては、水位の偏差というものと、波によるものというものが一緒になって書かれているけれども、実際には水位の偏差というのが非常に被害を出すということで、高潮ハザードマップをつくるときに水位偏差というものと波というものを分けて考えるようなことが必要ではないかということをおっしゃっておられました。
 3点目は、情報伝達について、高潮について情報伝達の面の整備が非常に遅れているということをおっしゃっておりまして、高潮についての情報伝達手段ということについて何か記述ができないかということでございました。
 それから、避難でございますけれども、これはフロリダの例を出されまして、フロリダの場合には、まず住宅については高床式になっており、それからコンドミニアムというようなものについても1階をピロティ形式にしてあるというようなことで、そういう設計上の配慮というものも必要であるし、もう一つはハリケーン・エバキュエーションルートというようなものがフロリダにはあって、点灯する標識を追いかけていくと内陸部に避難できるというような体制になっていると、日本でもそういう避難ルートというようなものを十分考えていくようなことを促すための記述ということが必要ではないかと、そういった御指摘がございましたので、この場を借りて御披露しておきます。
 どうもありがとうございました。

福岡座長

 それでは、まだ議論は出尽くしたとは申しませんけれども、大体時間がまいりましたので、今日の議論をこれぐらいで終了させていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、長時間いろいろ御意見をいただきましてありがとうございました。また、事務局には、是非いろいろ知恵を出していただいて、いい案をつくっていただけるようお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

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