南関東地域直下の地震対策に関する大綱

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第7章 対策の効果的な推進

1 広域・多様な被害想定の実施等

市街地が連たんした南関東地域においては、被災範囲が比較的小さい直下型の地震であっても、都県境を超えた大きな被害が発生するおそれがあることが、阪神・淡路大震災によっても明らかとなっている。
こうした地方公共団体の境界を超えた震災被害に効果的な対応を図る上では、国、関係地方公共団体が広域的な被害の状況の共通認識を持って予防・応急対策に備えることが有効であり、対策の目的に応じて必要となる被害の想定を行うことが重要である。
また、その際、現在の地震学では震源や規模が特定できない中で、1つのケースのみならず多様なケースが想定できる機動的な被害想定を行うことが求められる。
このため、都県等においてこれまで行われている被害想定手法及びその結果や、近年の地震学等の成果も踏まえ、南関東地域広域にわたる被害想定の実施について、国、関係地方公共団体、防災関係機関等により実施の検討を進めていく必要がある。
なお、これまで想定されていない被害や、今後新たに明らかとなる被害の危険性等について、その想定手法等の研究・検討を引き続き推進していくことも重要である。

2 情報と目標の共有

南関東地域の震災対策の推進に当たっては、関係する機関が広域かつ多岐にわたることから、圏域の地震防災性に関する改善の目標、進捗状況等について、国の各機関、関係地方公共団体が認識を共有し、一体となって取り組んでいく必要がある。特に、構造物・施設等の耐震化や地震防災性の強い市街地の整備に当たっては、住民の理解の促進のための地域の危険度等の公表も含め、積極的な取組みが必要である。
また、震災対策の推進を定期的にフォローアップしていくことが重要であり、特に、地震防災緊急事業五箇年計画の推進状況等について毎年フォローアップしていく必要がある。この際、施策の成果が理解しやすい形で共有できることが有効であり、そのような手法についても、検討していくことが必要である。

3 幅広い連携による震災対策の推進

南関東地域における震災対策は、防災関係機関あるいは防災関連部局だけで推進できるものでなく、幅広い連携が必要である。
国、地方公共団体等において、防災担当部局と他の部局による連携による震災対策を推進していくものとし、このための検討や情報の共有を推進する必要がある。
また、防災に強いまちづくりに当たり、あるいは、応急対策のための体制整備等に当たっては、行政、地域住民、専門家(研究者、技術者、コンサルタント)、NPO、自主防災組織等の積極的な連携が必要である。

4 国と地方公共団体による総合的な連携

本大綱において、南関東地域に大規模な地震が発生した場合の広域で甚大な被害に備えるために、多岐にわたる様々なレベルの連携の必要性と連携の必要な課題を掲げ、具体的な進め方を示してきた。
そのような中でも、防災対策を一義的に担う地方公共団体と、積極的に被災地方公共団体の支援に当たるべき国の総合的な連携が極めて重要である。本大綱に示された施策や課題については、国、関係地方公共団体等がそれぞれの取組みを行う中で、相互に支援していくとともに、共同の取組みや整合性の確保を図っていく必要がある。
特に重点的に取り組む課題については、国、関係地方公共団体で取組み方や優先順位を明らかにするよう努めつつ、相互の連携の下、順次取り組んでいく必要がある。


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1998.6.23
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