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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
国家地震被害軽減プログラムの実施改善へ向けて
 

今後の方針
 
NEHRP戦略計画は、機関が「重点分野」と呼ぶリストの給付により、今後のプログラム進行方向を決める。この重点分野とは、2つ以上の機関がチームワークの必要性を感じる分野と、機関が将来より多くの労力を投入しようとする分野である。以下のような分野があげられる。

・ 「プロジェクト効果」のような、地方コミュニティに根ざした被害軽減への取り組みを強調
・ 被害軽減対策ツールとして、危険をはっきりと見極めさせ、危険査定を促進する
・ 建物、公益事業、交通システムへの地震の影響査定を改善し、影響を少なくさせる
・ 被害軽減の代替策にかかるコストと、その利点を見極める
・ 専門家の技術の向上促進
・ 地震と地震被害に関する情報の精度、完全性、公開性と速報性の向上
・ 実験研究設備の改善

 NEHRP戦略計画四大目標の枠組みの中で、大体これらの重点分野が、NEP4機関がこれから2年余りをかけて集中して取り組まねばならないと感じている事項である。この分野は、プログラムが明らかに目指すべき方向性を定めるものである。このリストは、戦略計画の更新に従って更新される。プログラムの方向性についての我々の見通しをまとめると、地震被害軽減を「技術主導」から、「需要優先」へと移行させることと言えるだろう。例外はあるにせよ、これまで我々の科学・工学研究開発活動は、大概これらの採用・実施にあまり乗り気でない政治家達をけしかけて地震被害軽減政策や技術をうまく取り入れさせる事で終わっていた。ゆくゆくは、地震被害軽減は世間の需要がひっぱってゆくことになると見ている。

 NEHRPは地震被害の査定・対策に取り組む個人や地域に役立つ製品の開発に大きな成果をあげてきた。この「震災対策ツールボックス」は、危険通知の許可が降りたとき、技術者、建築家、建築規制機関が非常に有効に駆使してきた。問題は一般人が、被害の軽減に必要な時間と手段に殆ど執心しないことである。そのかわり、一般的には、規制された建築物の構造は損傷を受けず、受けたとしても連邦政府が救いに来て一から立て直してくれる、と思われている。建築基準とは命を守る最低限の基準であるだけで、被害を予防することはほとんどない。そして連邦政府の災害救助は保険と決して同義語ではないのである。

 この計画を達成するには、最終的には一般の行動の根本的な変化が求められる。この変化は災害がくる前に地域レベルで震災対策を通知・奨励するプログラムから始めねばならない。これは既にFEMAのプロジェクト効果によって始まろうとしており、震災予防対策が公的・民間両団体に支えられている地域において、根本的な変化が見え始めているところである。この官民協力は震災予防策の需要を高め、具体的にし、最終的には来る被害の軽減につながる大きな可能性を秘めている。我々は、震災予防プログラムは震災後対策費よりも遙かに有効な税金の使い道であると固く信じている。

 NEHRPは長い間、多くの手段方策を所有しており、それは現在プロジェクト効果ト内で有効利用されている。FEMA地域地震人員はおおむね、既に州・地方レベルでの経験を積んでおり、多くのプロジェクト効果地域で迅速に対応することが出来た。まさに、地震の危険度が高いシアトルやオークランド、ソルト・レーク・シティといった地域で、プロジェクト効果は最も効率的な動きを見せている。こういった地域での、まことに画期的なプロジェクトの具体例には以下のようなものがある。

・ オークランドは住宅機構の震災対策活動を支える補助金/低金利プログラムを開設した。このプログラムとその適用は他のプロジェクト・インパクト地域にも当てはめられるよう特別に作られている。
・ オークランドはボランティア使ってプログラムの第一段階を完成させた。これは154のオークランド住宅管理局運営アパートにおいて危険の確定、個別の火事・地震対策を行わせるものである。
・ シアトルは住宅所有者が住宅の耐震性を高める「プロジェクト効果住宅改造プログラム」を開始した。このプログラムの中には、訓練授業や専門ガイダンス、地元の各種機材販売店での資料・訓練授業のデモンストレーションや保険会社の資金供給による訓練資料の発行、ワシントン大学による詳細情報のウェブサイトなどがある。資金供給用に、ワシントン相互銀行とシーファースト銀行は低金利地震対策改造ローン計画を発表した。シアトル市はさらに、ローン申込者に早期建築許可手続きを設けた。
・ また、シアトルは学校での非構造上の危険と、USGS協力の、地滑り地点の地図化計画を広める震災対策改造プログラムを開始した。
・ ソルト・レーク・シティは最近136,000,000ドルの債権法案を通過させた。市内の学校が、現在要求されているUBC地震ゾーン3ではなく、ゾーン4に建てられるようにする。

 我々はこういった地震予防活動がきっかけとなって、公共・民間による自然災害被害軽減活動への関心が高まり、その基礎をつくってゆくことを望む。しかしこれを支援する政府予算が減少しつつある中、全関係機関のリソースの最適な使途の見直しが必要になってくる。これは言い換えれば、プログラムの中で、最も確実に地域や住民に危険を自覚させ、被害軽減の責任を自負させ、災害への耐性を高めるため適切な対応をさせる点をもっと徹底的に強調するということである。我々の意図するところは、戦略的な計画プロセスに沿って、関心を持つもの全てを巻き込みながらこの点に集中していくことである。我々は一丸となって我が国の地震被害軽減に取り組んでいるからである。

 

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