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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
南カリフォルニア地域におけるリアルタイム地震情報システム利用現況と今後の利用
 

新規開発
 地震発生後の応急サービスに関しては、最大加速度や最大速度といった強い地震動パラメータの空間分布を把握する方が震源(断裂の初期地点)及び震度の把握よりもしばしば重要となる。特に強震及び複雑な断裂パターンを有する大地震において、このことが当てはまる。本システムは迅速性かつ信頼性が高まればユーザーによっては速やかな地震の予知、地震動地図、及び初期警報を提供することができる。弱震〜強震から得られる広帯域データ記録及び獲得は大地震の地震動の推計に役立つ。また特に大きな建物・構造物の建築方式の耐震構造強化にとって重要となる。最新のデータ獲得能力を備えたリアルタイムシステムの使用が理想的である。こうした概念化実現のために、南カリフォルニア地域に最新のリアルタイム地震情報システムを設置する目標としてCaltech、USGS、及びMines and Geologyカリフォルニア支部(カリフォルニア市)は共同プロジェクトTriNetを構築した。

 TriNetの最重要目標は地震動の連続モニタリングである。関連の振幅パラメータには反応スペクトル振幅計算に用いる、異なる時間(例 0.3、1.0、3.0秒後)での加速後、速度、エネルギー、変異、ウッド-アンダーソン反応、狭帯域反応が含まれる。一般的に地震ネットワークの大半は「トリガ」モードで運営されている。データが連続的に記録されている場合でも、振幅パラメータの計算は際立った地震が検知された場合のみ行われる。このモードでは、データ処理はトリガ記録が完了しないとデータ処理が開始されない仕組みになっている。さらに大地震発生時にはシステム上の作業負荷が急激に増大し、時には応急サービスのリアルタイムデータ必要時にシステムの故障を招くことがある。リアルタイム処理を能率的に行い、オーバーロードの問題を取り除くために、地震発生の有無とは関係なしに地震動パラメータの連続計算を行う「連続」モニタリング手法を開発した。すなわちシステムに地震を特別なものと認識させるのでなく、地震動の連続摂動の一部として認識させるのである5。こうすることで作業負荷の変動を最小限に抑え、システムの総合運営の信頼性を挙げる。試しに、筆者らは一般的な頻度領域分析から、時間領域再帰フィルター及びサンプル毎に処理されたデータを用いて、データ信号が地震計を通るように変換した。概念的には単純な変換であるが、今度の地震情報ネットワークの運営向上に一光を投じるものと筆者らは考える。この連続手法は必要なら、信頼性の高いリアルタイム地震動モニタリングと類似の目標を持つ他のネットワーク上で容易に実施できる。またデータロガー自体にも実施できる。同手法を取り入れたデータロガーにより、必要な振幅パラメータ(加速度、速度、変位、ウッド-アンダーソン反応、スペクトル反応等)計算を行うためにサイト上のデータ処理および処理されたデータを中央処理サイトへの送信が可能となる。この場合、算出された振幅パラメータは比較的容量を小さくして(例 1サンプル/秒)、比較的速度の遅い通信回線(例 通常のデジタル電話回線)を介して送信することができ、リアルタイム地震動モニタリングネットワークの整備を簡素化できる。同連続システムは現在オンライン・マグニチュード報告やウェブサイト(www.trinet.org)のシェクマップ6地震動データ(加速度及び速度)の放送のために用いられている。
 TriNetが南カリフォルニア地域にわたり数多くの観測所(約200)を設けた場合にも、ごく近距離においても著しい変異を示す地震動分布地図を正確に作成するには十分な配置数とは考えられない。本計画はTriNetから得られたデータを修正する。TriNetは各観測所に広帯域地震計を配置しているため、技術的に関心度の高い広帯域周波を通して小規模地震においても地震動データの集積を迅速に行うことが可能である。TriNetにより求められた地震動分布を数値的もしくは実証的に修正するため、周波数に影響を受ける発災地の振幅要因を決定付けるために本データ集団を用いる。

 早期警報発信目的としてリアルタイム地震データを用いる場合には、予報のはずれ・誤報確率及び実際問題(例 被害による経済的損失、負債等)への適用性に関するより入念な調査を必要とする。最も効果的と考えられる利用法は地震動データを端末機に統合的に読み込むことの出来る各利用者にリアルタイムの地震動情報を連続して提供することである。その利用一例を挙げれば、大地震発生時におけるリアルタイムでの構造物の防災装置の作動(例 自動防災装置付き建物)及び災害発生時の交通渋滞を緩和するための電話サービス網の切断を防ぐための代替網への切替えがある。

 

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