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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
南カリフォルニア地域におけるリアルタイム地震情報システム利用現況と今後の利用
 
 

現 況
 1990年、カリフォルニア工科大学(Caltech)と米国地質調査所(USGS)パサデナ事務局は南カリフォルニア地域において共同でCUBEプロジェクト(Caltech/USGS地震放送)を開始した2。ロサンジェルスのような近代巨大都市圏における地震の被害軽減化には研究機関、政府、民間企業の一致団結した調整努力が不可欠であることが認識されてきた。CUBEプロジェクトにおける最重要目標は、大地震発生時における迅速かつ信頼性の高い地震情報システムの利用化を各関連機関の間で一致団結した調整を促すことであった。現在Caltech及び米国地質調査所は250の観測所を有する地震計情報ネットワークの南カリフォルニア地震ネットワーク(SCSN)、及び最新式広域デジタル式地震監視ネットワークのTERRAスコープのものを含む、高度デジタル地震計を配置した50の観測所の共同運用を行っている。各フィールド観測からのデータ信号はパサデナのCaltechにある中央処理施設へアナログ/デジタル電話回線及びマイクロ波リンクを通してリアルタイムで送信される。データはパサデナで自動処理され、地震が検知されるとSCSNおよびTERRAスコープからの送信データを用いてその震源域およびマグニチュードが発生後数分以内で計測される。

 CUBEプロジェクト実施に当たり、震源(地)、マグニチュード、地震発生時刻等の地震情報を商業用ポケットベルを介してプロジェクト参加者に流す既設のシステムに、ハード/ソフトモジュールが据付けられた。またページャーはハイウェイ、鉄道、及び他の社会基盤施設等が表された地図上に震源地域を示すためにPCとの接続も可能である。

 CUBEプロジェクト開始初期には4社(サンタフェ鉄道、メトロポリタン水道局、ロサンジェルス市水道・電力局、及び南カリフォルニア・エジソン社)が参画し、各社施設運営室にCUBEディスプレイシステムを設定した。現在CUBEは参加社数が約30社で、カリフォルニアなどの地震多発地域において応急体制計画の要と認識されている。本プロジェクトの決定的な要素はCUBE運営者(Caltech/USGS)とプロジェクト参加者間の一致団結した相互関係にある。Caltechで年2回行われるCUBEユーザー会議には100人以上が参加し、ユーザーからのフィードバックが同システムの改善に向けて主な役割を果たす。過去のCUBEシステムの有効利用例は,1991年のシェラ・マドレ地震(M=5.8)、1992年のジョシュア・ツリー地震(M=6.4)、1992年のランダーズ・ビッグベア地震(M=7.3)、及び1994年のノースリッジ地震(M=6.7)である。ノースリッジ地震発生時には主要電話回線の切断とシステムのオーバーロードにより、主要地震波に関する情報の提供に遅れが生じたが、余波活動の空間分布想定が参画団体に各種の応急活動を指示するために用いられた。これより単に大地震の情報提供のみならず、余震活動及び余波に関する情報の提供も重要であることが示唆される。連続ディスプレイシステムはまたユーザーに地域の地震活動及び地質構造に関する知識の提供にも役立つ。大地震の発生率は稀であるが、ユーザーが余震活動を手掛かりに震源地域を突き止められないのであれば万一の場合、警戒体制を即座に敷くことは困難である。

 1993年、カリフォルニア大学バークレー校と米国地質調査所メンロ・パーク事務局カリフォルニア中部地域に向けて地震情報を流すREDI(迅速地震データ統合計画)を共同開発した。1994年以来CUBEとREDIはカリフォルニア全域にわたり地震情報を提供する共同事業を開始した。通称CUBE/REDIと呼ばれる本共同放送システムはカリフォルニアのような広域に散在した様々なユーザーによって用いられている。

 

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