地域コミュニティの力を活用した風水害対策の活動事例

(13) 愛媛県新居浜市立川自治会

1)地域の特色

風光明媚な山間の集落で人口230名余り、70才以上の高齢者が多く、急傾斜地崩壊危険箇所及び地すべり危険箇所が多い地形である。近くには産業遺産としての日本三大銅山の一つ別子銅山があり、その選鉱場跡地に観光施設マイントピア別子がつくられている。 過去100年余り前に大水害を経験し、多数の死者を出した。近年では昭和51年9月に地すべりを経験し、31世帯71人が避難生活を1年送っている。 最近では平成16年9月に土砂災害に見舞われ5棟が流出したが、早めの避難が功を奏し、人的被害はなかった。しかし14世帯32人が仮設住宅で1年余りの避難生活を送る。

2)防災活動の状況

ふだんから自治会委員から地域の実態の情報を集めていたが、災害に対処するため、地区の人の現状を知るためのアンケート調査を実施(100%の回収)し、足が悪い人が多く、不安を持っていることが判明した。調査結果の個人情報は、会長・副会長・婦人部長の3人のみが把握し、災害時のみに使用すると確約している。このような体制を確立するまでに3年かかった。 避難先は公民館のみだったが、観光施設も災害時の避難先にしてもらうよう依頼した。車も入れない地区では、避難に30〜40分かかるので、いつ迎えに行くか、避難路、避難方法、連絡方法を決めた。避難勧告は自治会長の判断に従うこととし、ダムからの放流量(400t/s)による水位、連続雨量(200mm以上)、時間雨量(30mm以上)に基づく避難勧告基準を作成している。

3)災害時の対応

平成16年9月29日、120mm/時の豪雨に見舞われ、生活道路も寸断、土石流が流れたが、住民は全員無事だった。避難勧告までには3段階の放送を、何回も繰り返し行った。(1)避難準備:危険な状態なので、注意をしてください。 (2)自主避難:○○へ避難してください。(3)避難勧告:ハンドマイクでサイレンを鳴らす。○○地区は、○○へ避難してください。 さらに防災委員21人に電話し、本部に何人か集まってから避難誘導を実施した。アンケート調査を実施したことにより、住民が自分の地域の危険を知り、避難率90%につながった。

4)今後の課題

会長の交替による防災力の維持、充実。あわせて防災意識の高揚を図る。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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