地域コミュニティの力を活用した風水害対策の活動事例

(11) 広島県広島市安佐南区伴地区自主防災連合会

地域の特色

伴地区は広島市の北西部に位置し、人口約28,000人、面積37㎢である。近年、大規模な宅地開発により、新旧の混在する特殊な地域となっている。特に宅地開発以外の住宅地の多くは地盤が弱く、急傾斜地に面しており、土石流危険箇所が非常に多い。平成11年6月29日の豪雨では大きな被害を生じ、それを契機に自主防災活動が特に活発となった地域である。

防災活動の状況

平成7年1月の阪神・淡路大震災の教訓を基に、同年9月に3小学校区、22の自主防災会の連合化を行い、地域全体での協力連絡体制を図るため、各小学校区の生活避難場所運営マニュアルを作成した。避難経路、古い家屋、災害時要援護者宅、公共建物等を記載した防災マップを作成し、災害時に対応出来るよう各世帯に配布している。また、平成11年6月29日の豪雨により、死者2名を発生させた大災害及び平成14年3月の芸予地震発生時には地区内の被害状況を調査し、区役所、消防署へ報告した。 これを基に、平成12年から生活避難場所運営マニュアル及び防災マップの検証訓練を各学区持ち回りで毎年実施している。特に、夜間の宿泊は、避難、炊き出し等を毎年500人以上の規模で実施し、自主防災会保有の発電機、無線機、投光機等を活用し、実践的な訓練をしている。 さらに、毎年、他都市から当地区の自主防災組織について研修受講者を受け入れるとともに、依頼による出前研修にも応じている。研修は連合会長を中心に、研修者に分かりやすく、各事例を交えて説明することから、研修者から参考になったと非常に好評を得ている。

災害時の対応

平成17年9月6日、7日の台風第14号による雨量は、伴地区で270mmに達したため、地区内の危険箇所の見回りを各自主防災会の役員を中心に実施した。9月7日の深夜、危険地区の住民に対し、避難勧告が発令され、自主防災会は各世帯への呼びかけ、同時に避難所の開設(2箇所)受付、連絡等の活動を行った。このとき、各自主防災会の幹部との連絡には無線機を使用し効率をあげている。特に、土砂災害警戒避難マニュアルに基づき瀬戸内ハイツ自治会自主防災会及び大塚上、下、町内会自主防災会は約103箇所の危険地域の世帯へ避難連絡をし、指定避難場所においては、消防署、区役所、消防団及び自主防災会連合会と合同で運営にあたった。 さらに、避難場所では60名以上の避難者を受け入れ、避難場所運営マニュアルに基づき整然と運営が行われ、日頃の訓練の成果が十分発揮された。

今後の課題

自主防災活動に参加していない住民へ防災意識を周知徹底する。 行政とタイアップして防災ボランティアの派遣隊の受け入れ体制を確立する。 避難勧告に基づき災害弱者の早期避難及びその搬出方法の見直し。 自主防災会の役員の高齢化が進むので、若い世代への継承。防災マップ及び、運営マニュアルの見直し。


写真提供:広島市消防局

広島市安佐南区伴地区の防災マップ

広島市安佐南区伴地区の防災マップ

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