地域コミュニティの力を活用した風水害対策の活動事例

(8) 兵庫県豊岡市百合地(ゆるじ)区防災会

地域の特色

百合地区は円山川右岸から東方に直線で約1.3㎞の里山の麓にある集落である。集落は71世帯からなるが、長屋住宅に住居する14世帯は自治会に未加入でふだんは交流がなく、実質58世帯の自治会として活動している。比較的、「向う三軒両隣」精神が残る村落の特色が強い集落である。消防OBの区長(民生委員兼務)の下、消防団とも連携し、災害活動を実施している。 災害の中でも水害は、過去の水害史でも、さほど驚くことではなかった。平成16年台風第23号に対しても、水害に対する警戒心はあったが、過去の歴史的学習から考え、円山川右岸が決壊し、大きな被害が生ずることは予想しなかった。

防災活動の状況

古くから設置していた「百合地私設消防組」(自主防災組織)は慣例により運営されていたため、平成12年に規約を制定したが、平成16年台風第23号の対応の際、人員的に課題のあることを実感したため、自主防災組織を改変することとした。平成17年12月7日、災害活動は、基本的には、自治会活動の一環であるとの考えのもと、私設消防組を発展的に改組し、全世帯を防災組織の構成員とした「百合地区防災会」を設置した。 平成18年4月9日に、豊岡消防署指導のもと、防災会設立後、初の防災訓練を実施した。その後は、6月に水防訓練を、8月に幹部研修を、11月に家庭防火診断を、12月末に年末特別警戒を実施するなど、事業を推進することとしている。 防災広報は、市の防災行政無線のほか、自治会独自の屋外放送設備を設置している。平成16年台風第23号では、百合地区対策本部の設置を広報するとともに、情報の収集及び提供について周知した。

災害時の対応

平成16年台風第23号に際し、水防活動、樋門閉扉、区内の巡視、警戒態勢を敷き、対策本部を設置した。市から避難指示が出たが、指定避難所(公民館)では間に合わないと、自治会保有の屋外放送設備で「神社の社務所を避難所にする」旨を放送した。また、一人暮らし高齢者を救出(拒否例もあり)し、安否を確認した。地元の遊漁船(ボート)で、浸水した本部の移設、2階に避難している住民への炊き出し配給、夕食調達・配給を行った。さらに減水後の衛生、被害調査、し尿処理を行った。

今後の課題

平成16年台風第23号の際、ボランティアの受入れを行わなかったが、地域住民のニーズもあり、今後は、ボランティアの受入れも考えたい。

兵庫県豊岡市百合地(ゆるじ)区防災会1
兵庫県豊岡市百合地(ゆるじ)区防災会2
兵庫県豊岡市百合地(ゆるじ)区防災会3

写真提供:兵庫県豊岡市

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