地域コミュニティの力を活用した風水害対策の活動事例

(4) 京都府京都市消防局

京都市消防局では、市民自らが防災について考え、行動に移していけるように「身近な地域の市民防災行動計画づくり」を推進している。  この事業を推進するための新しい手法として、市民への防災情報を提供する手段に「防災カルテプログラム」を作成した。この「防災カルテプログラム」は、自主防災部(町内会・自治会)毎に、 1)地域災害対応力診断 2)地震被害シミュレーション 3)防災GISを活用した火災延焼シミュレーション 4)震災デモ 5)浸水想定図 6)土砂災害 7)水災学習情報 8)水災デモをノートパソコンにインストールして情報を提供している。  プログラムの作成に当たっては、平成10年度から京都市消防局内でプロジェクトを立ち上げ、平成10年度から2年6箇月かけて、立命館大学政策科学部石見利勝教授(現姫路市長)や慶応義塾大学総合政策学部梶秀樹教授らとの共同作業により完成させたもので、平成17年には、水災害や土砂災害の防災情報提供プログラムについても付加した。

a.地域災害対応力診断  各自主防災部の防災行事の実施回数、町内や自宅で保有している消火器数、普通救命講習の受講者数などの合計15項目についてデータ入力し、その入力された数値を基にして、その自主防災部の災害対応力を、消火能力、救出能力、応急手当能力、搬送能力及び食糧自給力の5つの項目に分けて、評価するとともに、診断結果を一覧表や五角形のグラフで表示し、市民に分かりやすく自分たちの自主防災部の災害対応力を知っていただくことができる。  また、診断結果は履歴として保存できるので、再診断した際や他の自主防災部との比較もすることができる。

■防災カルテプログラム (画像提供:京都府京都市)

b.浸水想定図  京都市防災マップ(水災害編)では、行政区単位で3段階(〜0.5m、0.5〜3m、3m〜)の浸水想定区域で表現しているものを、より詳細な6段階(〜0.5m、0.5〜1m、1〜2m、2〜3m、3〜5m、5m〜)により各自主防災会単位でも表示することが可能で、淀川水系(桂川、宇治川、木津川、淀川)、鴨川・高野川、山科川の河川ごとの浸水想定についても提供することができる。また、京都市消防局で業務として把握している防火対象物の3・4・5階建て以上で300㎡又は500㎡以上の建物を表示する機能もある。

防災カルテプログラム2

c.土砂災害  京都府の土砂災害警戒箇所マップで表現している地すべり、急傾斜及び土石流のおそれのある部分について、京都市域に関係する部分を、自主防災部単位で危険箇所を表現することができるとともに、前兆現象についても表示できるようにしている。

防災カルテプログラム3

d.水災学習情報  京都市防災マップで水災学習として掲載している浸水の様子と避難行動、避難のきっかけとなる情報、降雨情報(1時間当たり降雨量)と水災発生の関係、水災害からの避難要領を表示することができる。

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