地域コミュニティの力を活用した風水害対策の活動事例

(1) 岐阜県大垣輪中水防事務組合

地域の特色

大垣市は、揖斐川・杭瀬川・水門川など14の一級河川が流れ、古来よりしばしば水害に見舞われたことにより、「輪中」と呼ばれる堤防を築造した。輪中とは、低地に暮らす人々が、洪水から自分たちの田畑や家屋を守るために自らで村の周りを堤防で囲んだもので、輪中の人々は、この堤防を大切にしただけでなく、協力・工夫して洪水と闘ってきた。

防災活動の状況

大垣市と大垣輪中水防事務組合では、水防体制の確認と技術向上のため、出水期前に毎年、全国的にも珍しい競技形式による水防工法大会を市内の19の水防分団、大垣少年消防クラブ、(社)岐阜県西濃建設業協会など関係機関が参加して実施している。


■鵜森伏越絵図(天明年間1781-1788)

■洪水の史碑

■平成17年水防工法大会

■平成17年水防工法大会に大垣少年消防クラブ員も参加

平成17年5月29日に実施した水防工法大会には、9小学校から95名の少年消防クラブ員が参加し、水防組合員の指導の下、土嚢積みなどを実際に行った。子供たちにとっては水害に備えるための貴重な経験となっている。

写真提供:大垣市

災害時の対応

台風到来や前線停滞時の影響による河川増水時に自治会や市の要請等により消防団(水防団)が水防待機、河川巡視し、河川越水の危険や堤防の漏水の際には、水防工法大会で培われた技術を駆使し、被害を最小限に止めている。

今後の課題

河川改修・治水対策が進展したことにより、大きな水害が発生する頻度は減少したものの、近年の全国的にも発生している局地的大雨や大型台風の到来等により、いつ大垣市内の河川が氾濫し、住民の生命財産が脅かされるか分からない。万一の水害を食い止めるのは、大垣市内19地区の消防団員(水防団員)であるが、頼みの綱である団員の人数が全体的に減少傾向にあること、また、水害の頻度が減少したことによる一般住民の水防意識が薄れ、住民自らの水防対策がおろそかになっている。水防団員の確保とともに、いかに一般住民の水防意識を高めるか、また、高齢化が進む昨今、地域単位での相互扶助の精神をいかに植えつけていくか、対策を講じていく必要がある。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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