荒川の洪水はん濫時の浸水想定の公表について

記者発表資料
資料1
  • 平成19年10月23日
  • 内   閣   府

中央防災会議「大規模水害対策に関する専門調査会」において、荒川の洪水はん濫時の応急対策等の検討に用いることを目的とした浸水想定をとりまとめた。

これまで、荒川においては、河川整備の目標である200年に1度の確率で発生する洪水流量注1を対象に、はん濫計算結果を重ね合わせた浸水想定区域図注2が公表されている。この浸水想定区域図は、様々な地点で堤防が決壊した場合の浸水深の最大値を示したものであり、個別箇所で堤防が決壊した場合のはん濫域や浸水深は一部のケースしか公表されていない注3。

避難誘導、救助活動等の具体的な応急対応策は、堤防が決壊する場所によって異なってくることから、本専門調査会では、新たに、堤防決壊箇所が異なる25ケースの浸水想定を作成した。類似のはん濫形態を持つものを5つの類型に分類し、各類型毎に、被害が最も大きくなるケース等の代表ケースを選定した。なお、河川のはん濫は微妙な地形の相違によっても異なる場合があることから、レーザープロファイラー測量注4等の最新の技術・情報を用いて、検討を行った。【資料2】 (PDF形式:1.7MB)別ウインドウで開きます

代表ケースとしては、川口市(左岸21.0km)で堤防が決壊し、浸水域の人口が約160万人注5に及ぶケース(資料2、P4)や、北区(右岸21.0km)で堤防が決壊し、丸の内、新橋付近まで浸水するケース(資料2、P6)等がある。 さらに、洪水は自然現象であり、荒川の河川整備の目標流量(200年に1度の確率で発生する洪水流量)を上回る洪水が発生する可能性があることや、気候変動により大雨の頻度の増加が予測されていることから、新たに、洪水流量を約1割増(約500年に1回の確率で発生する洪水流量に相当)注6、約3割増(約1,000年に1回の確率で発生する洪水流量に相当)注7としたケースの浸水想定を作成した。【資料3】 (PDF形式:1.5MB)別ウインドウで開きます

約3割増の洪水流量時に川口市(左岸21.0km)で堤防決壊した場合、江戸川区が浸水し、はん濫域の人口は約160万人注5から約220万人注5に増加。葛飾区役所周辺の浸水深は、0.5m〜1m程度から2階の床が浸水する3m程度に増加する(資料3、P2)。 このため、避難の対象範囲や避難場所の選定、重要施設の浸水対策等の検討の際には、洪水規模が増大した場合についても留意する必要がある。

今後、これらの浸水想定結果を用いて、人的被害や物的被害、経済被害等の想定を実施し、被害軽減を図るための対策の検討を行い、平成20年度内を目途に大規模水害対策をとりまとめる予定。

(注)

1)200年に1度の確率で発生する洪水流量
昭和22年カスリーン台風時の降雨量を約200年に1回の確率で発生する降雨量に引き伸ばし、洪水流量を算出。北区岩淵地点において約14,000m3/sの洪水流量※。
2)浸水想定区域図
水防法第十四条にもとづき、荒川がはん濫した場合に浸水が想定される区域を浸水想定区域として指定。平成16年9月10日に公表(平成17年7月8日一部変更)。 (http://itgis.ara.go.jp/arahzd/arasuiban.html) (http://www2.arajo.ktr.mlit.go.jp/prevent/shinsui.html)
3)個別箇所で堤防が決壊した場合の浸水想定
既存の浸水想定区域図では、首都高速5号池袋線笹目橋より下流区間の堤防決壊箇所別の浸水想定がホームページ上に公開されている。 (http://itgis.ara.go.jp/arahzd/app/map/main.jsp)
4)レーザープロファイラー測量
航空機からレーザーを照射し地表面を測量する技術。広範囲の測量を精度良く短時間に行い、電子データとして処理できる。高さ方向の誤差は一般に15cm程度。(国土交通省HPより)
5)浸水域人口
越水氾濫を含む浸水域の人口
6)約1割増の洪水流量
北区岩淵地点において約16,000m3/sの洪水流量※。
7)約3割増の洪水流量
北区岩淵地点において約18,000m3/sの洪水流量※。

※ この流量は、ダムや調節池による洪水調節を考慮せず、また、はん濫が生じない条件として算出。

<問合せ先>

内閣府 地震・火山対策担当参事官
池内 幸司
同企画官
安田 吾郎
同参事官補佐
時岡 真治
TEL:03-3501-5693(直通)
FAX:03-3501-5199

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.